Ciao! 腹黒ツッくん☆未来編   作:cibetkato

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お猿、2匹、捕獲しました

「・・・アンタ、名前は?」

 

「ハッ、随分と余裕なよう・・・ガッ!?」

 

 ツナの問いを鼻で笑おうとした太猿が、突然吹っ飛ばされて壁にぶつかる。

 

「太猿兄貴ッ・・・っ、ぐあ!」

 

 獄寺とにらみ合っていた野猿が慌ててその傍に駆け寄ろうとした瞬間、獄寺のフレイムアローが野猿の背中に直撃する。

 

「戦闘中によそ見してんじゃねぇっつの」

 

 獄寺が呆れた声を出す。

 

「野猿っ・・・グぅ、ぁッ」

 

 自分の足元まで吹っ飛ばされた弟分を心配して身体を起こそうとした太猿の肩を、ツナが足で壁に押さえつける。

 

「俺が名前聞いてんだよ、他の発言を許した覚えはない」

 

((どこの俺様―――!?))

 

 獄寺と山本が同時に心の中で同時にツッコミを入れる。

 

 我等がツナ様は相当お怒りのご様子で、冷たく太猿を見下ろす。その額に燃え上がる炎はどこまでも澄みきった大空属性のオレンジ。

 

「ぐ、ぅ・・・大空、だと?」

 

 大空属性の波動を持つ者は大変少ない。それを良く知るこの時代の人間であるがゆえに、太猿はマジマジとツナを見つめる。

 

「なぁ、仏の顔も三度までっていう言葉は知っているか・・・?」

 

 ドゴォッ!!

 

 太猿の頭上に拳を叩きつけたツナ。パラパラと頭の上に降ってくる瓦礫と感じた威圧。

 

 本能的に力の差を感じ取った太猿は顔を青ざめさせながら所属と名前を告げる。

 

「ブラックスペル第3アフェランドラ隊・・・太猿、だ」

 

「ふぅん・・・で、そっちは?」

 

 太猿の足元に視線を向けると、同じように顔を青ざめさせた野猿があえぐようにして答える。

 

「お、同じく・・・野猿」

 

 ツナは全てを見透かすような視線で身じろぎする2人を見下ろし、スゥ、と目を細めた。

 

「10代目・・・こいつらをどうするんです?」

 

 ツナからこれ以上攻撃する意思を感じないのを不思議に思った獄寺が問えば、ツナは肩を竦めた。

 

「うん、まぁ・・・リボーンの同胞が身内にいるみたいだし、基地に連れ帰ろうか」

 

「だ、大丈夫ですか?!敵ですよ!?」

 

「逃がすつもりないし?・・・それに、こいつら自身あんまりミルフィオーレにいい感情持ってないみたいだからねぇ。吸収合併で人質取られて無理矢理言うこと聞かされてるっぽいし?」

 

 ズバリ自分たちの置かれた状況を言い当てられた太猿と野猿はギョッとする。その表情を見て獄寺も納得したのか肩から力を抜いた。

 

「まぁ、10代目がそうおっしゃるなら」

 

「10代目・・・?」

 

 太猿がふと思い出したように反応する。

 

「うん、そーだよ?・・・死んだはずのボンゴレ10代目。ま、10年前の過去から来たんだけどねー。あは」

 

 あは、じゃないだろう!!と太猿はツッコミたい気持ちでいっぱいだ。過去から来たというのもどうにも信じがたい。

 

「とりあえず、テメェらは捕虜扱いだな。おとなしく付いてきてもらうぜ?」

 

「じゃ、リングと匣兵器を取りあげとこう!ふふっ、なんかこっちが悪者みたい!」

 

 獄寺がフレイムアローを突きつけながら言えば、ツナがノリノリで太猿と野猿からリングと匣兵器を取りあげる。

 

「10代目、一応、こいつらの腕は縛っといたほうが・・・途中で暴れられたり、逃げられたりすんのは面倒ですし」

 

「それもそっか~・・・じゃ、凍らせとこう!縄とか紐ないし」

 

「イイっスね!さすが10代目!」

 

 さり気に恐ろしいことを言っている自覚のないツナと獄寺。混乱しているせいで太猿と野猿が抵抗できないうちにさっさと両腕を死ぬ気の零地点突破で凍らせてしまう。

 

「この技は・・・!」

 

「嘘だろ・・・!?マジでボンゴレ10代目?!」

 

「だからそうだって言ってんのに~、現実逃避は良くないゾ☆彡」

 

 てへぺろ、とお茶目に言うツナに、さっそく現実逃避をしたくなった太猿と野猿であった。

 

 

 ***

 

 

「太猿と野猿が帰ってこない?」

 

 ブラックスペル第3アフェランドラ隊が溜まり場としているメローネ基地のとある場所で、γは部下からの報告を復唱した。

 

「はっ、並盛の工場跡で交戦中との連絡の後、足どりが途絶えてしまい」

 

「死んだ・・・わけじゃねぇんだな?」

 

「はい。調査に向かった者達によりますと、確かに交戦の痕はありましたが、死体は1つもなかったそうです」

 

「1つも、か・・・つまり、戦っていた相手のものもなかったってことだな?」

 

「はい」

 

 つまり、太猿と野猿は捕虜となったと見て良いだろう。γはそこまで考えて、それができるだろう実力者達を思いうかべる。

 

「ボンゴレの守護者・・・並盛で動いているとしたら、嵐の獄寺隼人か雨の山本武か雲の雲雀恭弥・・・この3人か。

 霧の六道骸という可能性もなくはないが・・・その器となっているクローム髑髏が並盛で目撃されたという情報はない。

 晴の笹川了平についてはイタリアの空港で確認されているから省いても良さそうだな」

 

「・・・雷の守護者は」

 

「アレはまだ子どもだ。太猿と野猿が揃っていて負けるはずがない。ボンゴレリングが無い状態ではな」

 

 カラン、とγの持っていたグラスの氷が音をたてる。

 

 ボンゴレリングが無い。それは雷の守護者だけではなく嵐や雨、雲の守護者も同様だ。2対1で負けるとは思えない。

 

(・・・となると、少なくとも守護者が2人以上か)

 

 γはフッと短く息を吐き、ソファーから立ちあがった。

 

「さて、探しに行くか」

 

「その前に・・・報告を」

 

 新たな声の主に、γはゆっくりと振り返る。

 

「これはこれは・・・」

 

 そこまで言って、γはギクリと表情を強張らせた。

 

 入江正一。片手で簡単にひねりつぶせるような、ひょろっとした痩せ形の男。なのにその眼光は危険な光を帯びていた。

 

「僕は、この基地の総指揮を任されている。勝手に動かれては困ります」

 

「ああ。ウチの義弟共が行方知れずでね・・・ちょっとその辺りを探してくるだけさ」

 

「なぜ行方知れずになったのか、そこまで教えてほしいものだけど・・・まぁ、今回は大目見ます。が、次はないと思ってください」

 

「・・・わかった」

 

 入江はγの返事を聞いて小さく頷くと、身を翻して部屋から出ていった。

 

「ッ、なんだ、あの目は」

 

 実力でいえばγの方が上だ。なのに、あの眼光には寒気すら感じた。アレは味方に向ける目ではない。

 

 確かにホワイトスペルとブラックスペルはその性質上仲が良いとは決して言えないが、そんなレベルではなかった。

 

 袖のまくられた腕に鳥肌が立っているのを見つけて、γは口元を歪めた。

 

「チッ・・・さすがは白蘭の懐刀ってとこか・・・」

 

 呟いて、今度こそγは太猿と野猿を探すため、基地を出発することにした。

 

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