Ciao! 腹黒ツッくん☆未来編   作:cibetkato

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その頃のγクン達と入江正一クン

 ツナ達が基地を驀進中のその頃・・・。

 

「チッ、入江の野郎・・・忙しいからって面会希望をことごとく却下したあげくに謹慎なんて命じやがって」

 

 イライラと足を踏み鳴らすγ。

 

「γアニキ・・・どーすんだよ。このままじゃ作戦が・・・っ」

 

「――野猿」

 

 γに呼ばれてハッとして口をふさぐ野猿。いくらブラックスペルの仲間しかこの場にはいないとはいえ、白蘭の息がかかっていないとも言えない。

 

 一刻も早くγの匣兵器を取り戻し、ツナ達が探す丸い装置(おそらく入江の研究室にあると思われる)を探しに行かなければならないと少しばかり焦っていたようである。

 

「なぁ、アニキ」

 

「なんだ、太猿」

 

「入江正一は・・・この基地を掌握して、何をしようとしてるんだろうな」

 

「さてな。・・・どちらにしても、奴をとっ捕まえて話をしないことには始まらねぇってんだよ!!」

 

 ガンッ!

 

 近くにあった椅子を蹴飛ばし、γはキリリと目じりをつり上げる。

 

「・・・随分と荒れているな」

 

 かけられた声は太猿や野猿、隊の仲間のものではない。

 

「てめぇ・・・幻騎士!!」

 

 太猿の眉間に深いしわが刻まれる。この男はユニを裏切り白蘭に傾倒した。それは決して許せるものではない。

 

「何しに来た」

 

 さすがに心穏やかに対面できる相手ではないため、γはギロリと睨み据える。

 

「話を、しに来た」

 

「何をいまさら・・・」

 

 一体何の話をしに来たのかといぶかると、幻騎士は懐から一つの匣兵器を取り出した。

 

 それを見た瞬間、γは勢いよく立ち上がった。

 

 冷静でいられるはずはない。それは。

 

「幻騎士・・・なぜ、それをお前が持っている!!!」

 

「聞け、γ」

 

「まさか、」

 

 この戦いのために、ユニから無理矢理奪い取って来たのではないか。そうγが思っても仕方のない状況だ。

 

「貴様に渡せば、自分の言わんとしていることがわかるはずだ、と」

 

「!!」

 

「ユニ様が、今こそ返す時だ、と。・・・それを使うかどうかは、貴様の自由だ」

 

 言いたいことだけを言って、幻騎士は立ち去る。

 

 その後姿を見送り、γは渡された匣兵器を見つめる。

 

「まさか、姫が」

 

「なぁ、γアニキ・・・姫って“ここ”にはいないんだろ?」

 

「ああ、あの白蘭との会合の時点では・・・すでに姫は“ここ”にはいなかった」

 

 確かに匣兵器を預けたのは空っぽになったユニへだ。それはγの自己満足で、どこかへと行ってしまったユニへの誓いのようなものだった。

 

 しかし、幻騎士を使ってまで匣兵器を渡してくるところからすると、ユニが戻りつつあるのか、それとも・・・白蘭の意思か。

 

「白蘭がアニキを戦力として数えているとは思えないがな・・・」

 

 太猿が呟くように言う。それはγも思ったことだ。

 

 あのツナに関わって以降、冷静に考えることを強制的に強いられてきたせいか、白蘭のことも冷静に考えることができるようになった。

 

「だとしたら・・・姫が“帰ってきている”可能性もある、な」

 

 それでも白蘭のつけた監視がある中では自由に動けないはずだ。

 

 しかし、ユニの救出についてはツナに任せると決めたことなので焦ってはいない。

 

 白蘭にとってユニにには利用したい何かがあるのだろう。そうでなければ、ほぼ同等の権限を与えるようなことをしてまで生かしはしない。

 

 この時代のボンゴレ10代目のように、用が済めば殺してしまうはずだ。

 

 だから救出するための条件が揃うまでは待て。それがツナからの指示だった。

 

「この匣兵器はそれを知らせるためのものなのかも・・・」

 

 野猿はじっとγの持つ匣兵器を見つめて言う。

 

「ああ・・・これで俺達も動ける。入江の野郎が何を考えていようが構うものか。指令室に向かうぞ、匣兵器が手に入りゃこっちのモンだ」

 

「「おう!!」」

 

 

***

 

 

―― 指令室

 

 延々と指令室に鳴り響く警告音。飛び交う悲鳴のような報告の声。

 

「・・・まるで地獄絵図だな」

 

 他人事のように呟いたのは、ここの責任者である入江正一、当人である。

 

「随分と、好き勝手してくれているようだけど・・・どうするんだい、大将」

 

 アイリスがこの騒ぎをものともせずに訪ねてくる。

 

「とりあえず、このやかましい警報を切ってくれ。それから・・・次に奴らが狙ってくるのは警備システムの破壊だろう。誰か・・・」

 

「僕が行くよ」

 

 ニコニコと笑いながら手をあげたのはジンジャーだ。第8部隊の副隊長でもある彼に任せるのはこの場合適任だった。

 

 しかし、正一の本来の立場からすれば少しばかり不安の残る相手だ。だが、Cランク以下の隊員では話にならず、今もまたどこかが彼らに制圧されている。

 

 今はまだ、ミルフィオーレの者達に手を抜いているように思われるのは危険だった。

 

「わかった・・・君に頼む」

 

「うん♪任せてよ」

 

 この選択が吉と出るか凶と出るか、正一にとっては最大の賭けとなる。もし、彼らがジンジャーにやられるようなことがあれば・・・その時は、危険を承知でメローネ基地を起動させる。

 

 メローネ基地を一度起動させたならば、正一は自由にこの基地の姿を変えることができる。そして彼等を安全地帯に送り込むと同時にミルフィオーレの者達を一所に閉じ込めてしまえば良い。

 

 が、それは最終手段であり、できれば使いたくない手でもある。

 

(事前に雲雀さんに聞いた通りならば・・・ジンジャーを退けることくらいはできるはず・・・)

 

 そう自分に言い聞かせ、正一はジンジャーを警備システムのある部屋へと送り込んだ。

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