セキュリティを抜けて基地の中に入ると、大きな柱が何本もある空間に出る。
「へぇ・・・地下にこんな立派なのを造っちゃうとは」
ツナが感心の声をあげると、山本が嬉しそうに笑う。
「ハハッ、だろ?マジでスゲーよな」
「うん、この時間軸の俺もなかなかやるよね」
何故か上から目線だが誰もつっこまない。この短時間でツナの人となりをだいぶ理解したのだろう。
もちろん、被害者は獄寺だ。
「おい、アレはなんだ?」
ラルが指さす方を見れば、ゲートのようなモノに光の柵が張ってある。
「ああ、アレはジャンニーニの作った、なんとかって物質をさえぎるバリアだそうだ」
「・・・物質、か」
ラルはポツリと呟き、そのゲートの前で立ち止まる。
「ね、山本。これって俺達の身体に影響とかあるの?」
「いや、俺達にはなんにも」
「ふーん、ならいいや。早く入ろ、隼人」
「あ、はい」
ツナと獄寺が入っていくのを見てなんともないことを確認し、ラルはそのあとに続いてゲードをくぐる。
「っ、うぐっ!?」
バタンと倒れるラルを見て、山本がその傍にしゃがみこむ。
「おまえもだったのか・・・!」
「どういうこと?このバリアのせい?」
「ああ・・・環境の違いのせいでショックを受けたんだ。・・・ここはアルコバレーノに有害な物質が撒き散らされている外界とは違う作りになっているからな」
「そういうことか・・・平気そうなツラしてやがったが」
「まぁ、リボーン達と違って呪いは緩やかに解けてたみたいだしなぁ・・・それでも、辛かっただろうに」
山本はそう言いながらラルを抱き上げる。なんとも様になる姿だ、と密かにツナは感心する。
「24かぁ・・・大人だよな」
「ん?」
「ううん、なんでもない。とりあえずラルを休ませなきゃ」
「ああ、そうだな」
山本の案内で基地内を進み、ツナと獄寺はミーティングルームに通される。
「ちゃおっス」
聞き慣れた挨拶。
視線を向ければ、ツナ達が懸命に探していたリボーンがソファーに座って手をあげていた。
「リボーン!」
「リボーンさん!!ここにいらっしゃったんッスか!?」
ついに再会出来たリボーンに近寄ろうとし、ツナは足を止めた。
「・・・これ、ダミー?」
目の前のリボーンがダミーだと見破ったツナに山本が目をみはる。
「抱きしめて~・・・こっちよ!!」
その時、背後から攻撃する気満々のリボーンが飛び蹴りをかまそうとしているのに気づいて、パシッとその足を掴んで宙ぶらりんにする。
「こちとら、心配して探してやったってのに・・・どういうつもりだ?あ゛ぁ゛?」
半眼になり、ドスの効いた声でそう訊ねるツナに、リボーンはちょっと身の危険を感じた。
「・・・いや、ちょっとした出来心でして」
なぜか敬語である。
「ほほーう・・・随分と余裕だねぇ、センセ?」
ニッコリと笑うツナだが、目が笑っていない。
「わ、わりぃ・・・」
「うんうん、そうだね。悪いことしたらごめんなさいしないとね?」
家光がごめんなさいをロクに言わないせいで、ツナにボッコボコにされている姿を見て学習していたリボーンは即座に謝った。
XANXUSとのケンカでなければ素直に謝れるリボーンだったりする。
「本当に悪かったと思ってるぞ」
「ま、いいでしょ」
宙ぶらりん状態のリボーンを睥睨していたツナだが、ポイッとソファーに向かってその身体を投げた。
「よっと、・・・っ、ぁぶねぇ」
綺麗に着地したリボーンだが、その時ぐらりと足元がふらついた。
それを見たツナは目を細めた。
「体調、悪そうだな」
「まぁな、ノントゥリニセッテとかいうらしいぞ、外界に撒き散らされている有害物質ってのは。だもんで、この中にいて、さらにこのスーツを着てねぇと体調最悪なんだぞ」
「そう・・・」
眉間にしわを刻むツナは不機嫌そうにそう呟くと、山本に視線を向ける。
「他のメンツは?」
「ランボとイーピンは、俺がラル・ミルチを迎えに出て行くのと同時に、笹川とハルを迎えに行った。ビアンキとフゥ太は情報収集に出ているところだ」
「ツナ、まずは守護者集めだぞ。今の時点じゃ半分しか揃ってねぇんだ」
「そだね・・・この時代の守護者を集めないと。俺や隼人の例を見る限りじゃ、いつ10年前と入れ替わってもおかしくなさそうだし」
ツナの言葉に獄寺も山本も同意し、早速搜索することになる。
「で、情報とかあるの?」
ツナが山本を振り仰げば、彼は肩を竦める。
「俺もこっち(日本)に帰って来たばっかりでな・・・でも、以前にハルがこの付近でコイツを見たそうだぜ」
ぴらり、と差し出した写真に写っていたのは。
「あ、この鳥・・・」
「雲雀になついてやがった」
「ヒバードって名前みたいだぞ」
「・・・それ、誰の命名さ・・・」
そのまんまの命名にツナが脱力する。
「ま、並盛大好きのアイツのことだ、この辺りにいるに違いねぇぞ」
「そーだね。とりあえず外界に出る前に・・・山本、その匣兵器とリング見せて」
「ん?良いぜ」
山本から手渡された物をしげしげと見るツナと獄寺。
山本はそんな2人の姿を懐かしそうに見つめながら、ふと獄寺の持っていたアタッシュケースに視線を止めた。