「獄寺、それ・・・」
「あ、ああ・・・これ、この時代の俺が持ってたんだろうな。近くに落ちてたから持って来たんだが」
獄寺はそう言いつつ、ローテーブルの上でケースを開けてみせる。
「メモ帳、筆記用具に、タバコ・・・髑髏のアクセサリー・・・ん?なんだこりゃ」
苔むした箱と、封筒を発見する獄寺。
「それ、手紙?」
「みたいですね・・・あ、G文字だ」
「G文字?」
「ええ、俺が授業中の時に考えた暗号です!」
「・・・んなもん考えてたのかよ」
真面目に授業受けろよ、と思いつつも自分も他人様のことは言えないと気付いて口を閉ざすツナ。
(自分ができないことは言っちゃダメだよね、うん)
「なになに・・・守護者は集合・・・ダメだ、途中で読めなくなってます」
「守護者は集合・・・まぁ、召集命令でも出すつもりだったのかな?」
「かもしれませんね・・・」
「で、こっちは・・・ボロいけど、匣兵器かな?」
ツナが獄寺の手の上に乗る苔むした箱を見つめる。
「あ、そういや・・・アイツ、スゲーのを見つけたって言ってたような」
「スゲーの、か・・・コレは死ぬ気の炎で開くんだろ?」
獄寺がコロコロと匣兵器を手の上で転がしながら訊けば、山本はスッとリングをはめた手を差し出す。
「人間の体には、血液だけじゃなく見えない生命エネルギーも波動となって駆け巡っている。リングにはそれを死ぬ気の炎に変換して生成する力がある・・・こんなふうにな」
はめたリングを介して青い炎がボッと燃え上がり、それを匣兵器の穴にはめる。すると、青い炎をまとった燕が山本の肩に乗る。
「それ、ラルのムカデは紫色だったよ?」
「ああ、言い忘れてた。この波動には7つの種類があって、自分の素質に合致した波動が出るようになってる・・・まぁ、守護者の役割と同じと思ってもらえればいい」
ツナの問いに答え、山本は雨燕を匣兵器の中に戻した。
「ね、隼人。ソレ開けてみてよ」
「・・・コレをっスか?」
獄寺は自分が持っている苔むした匣兵器を見て、首を傾げる。
「うん。いつ過去に戻れるかもわからないし、この時代の戦闘方法を学んでおくのも必要だろ?幸い、隼人には武器も揃ってるわけだしね」
ツナの言い分も確かで、獄寺はじっと匣兵器とボンゴレリングを見つめる。
「リングを介して炎を出す・・・」
ぐっと拳を握りしめてリングに集中するが、リングには何の反応もない。
「獄寺、イメージだ。覚悟を炎に変える、そうイメージするんだ」
山本が口を開く。
「覚悟・・・か。なるほどな」
山本のアドバイスを聞いて、ニッと笑った獄寺は、今度は何の気負いもなくリングに視線を向けた。
覚悟なら疾うに出来ている。ツナの守護者として自分の命を無駄にせず、ツナをファミリーごと守り抜く覚悟だ。
ボッ!
赤く荒々しい炎が獄寺のボンゴレリングから発せられる。山本の静かな青い炎とは全く違うその形状に、守護者の役割を思い出す。
「常に攻撃の核となり休むことのない怒濤の嵐・・・か」
「属性を持つ死ぬ気の炎にはそれぞれ特徴的な力がある。大空は調和、嵐は分解、雨は沈静、晴は活性、雷は硬化、雲は増殖、霧は構築だ。匣兵器もそれに合わせた力を持つ場合が多い」
「ってコトは、俺は・・・分解の力を持ってるってわけだ。物質の分解っていうなら、攻撃力は結構ある方なのか?」
「そうだな。嵐は攻撃力で言うなら6属性随一だ。・・・大空は絶対数が少ないから、比較対象には出来ねェし」
山本の言葉にツナが反応する。
「そっかぁ、絶対数が少ないのかぁ・・・俺の他に大空属性って誰がいるの?」
「俺が知る限りじゃ、味方の中で純粋な大空属性ってのはディーノさんくらいだな・・・」
「あー・・・なるほど・・・ディーノさんは無事なんだ」
「まぁ、一応は、な」
山本が言葉を濁すところからすると、無事、と言えるほど状況は甘くないらしい。
「跳ね馬の件は後で考えるとして・・・10代目、匣兵器を開けてみてもイイっスか?」
「うん、どうぞ」
ツナが頷くのを確認して、獄寺はリングの炎を匣兵器に注いだ。
匣兵器がパカッと開くと、獄寺の腕にドクロ型のガントレットのようなものが装着される。
「い、イカスぜ」
ポ、と頬を染めてボソリと呟いた獄寺に、ツナと山本は苦笑いをうかべる。
「好きだねェ、そういうの」
「ハハッ、こういうトコは俺の知ってる獄寺のまんまなのなー」
「で、どう使うんだ?コレ・・・」
獄寺が首を傾げた時、ガントレットの上部に文字が浮かび出る。
「・・・あ?弾を食わせろ?」
「何か弾になりそうなもの、あったかなぁ?」
「うーん・・・ダイナマイトとか食わせてみます?」
「いいねぇ~」
「・・・おい、オメェら、ここで試すなよ?」
今にもやりそうな雰囲気のツナと獄寺にリボーンが注意をすれば、2人して至極残念そうな表情をうかべた。
「そうっスね・・・ここじゃ危ねェでしょうし。ヤるなら思いっきり撃てるトコがイイっス」
「チッ・・・何か良い的でもあったら、隼人にぶっ放させるのに」
(過激だ。いろいろと)
しかも、まだ14歳の可愛らしい顔立ちをしているツナが凶悪な表情で舌打ちするとか、精神衛生上よろしくない気がする。
ドン引いた山本を傍目に、リボーンは溜息をついた。
「ツナ・・・家にいるより過激じゃねェか・・・?」
「そーお?でも腹立たない?自分が理不尽に殺されてるとか。責任者出てこいって感じ?」
そう言うツナだが、それだけじゃないような雰囲気だ。そんな感想を抱きながらリボーンが首を傾げると、ツナが目を細めた。
読心術だ。そう気付いた時には自分が予想していることの半分は読まれていた。
「ふぅん・・・アルコバレーノにはまだまだ秘密があるみたいだねぇ?」
「―――ッ!!」
(しまった・・・油断した!!)
「まァいいや、このワケのわからない状態から抜け出すためにも、まずは守護者を集めようか」
パン、とツナが手を打てば、獄寺と山本が頷いた。
「はい!」
「そうだな」