覚醒紅魔郷   作:ジャックハルトル

11 / 22
相変わらずのパチュリー回。

恭介の帰れない理由、?程度の能力、身体能力の謎が解けますね。


第11話・椛レポートpart2

 

 

「貴方は元の世界に帰れない」

 

「……うん、だよな…何となく予想はついてた……」

 

「こんな事を言って悪いと思ってるわ……

でも、貴方はいつか、誰かからこの事を知らされる…元の世界に帰る方法は存在するけど、貴方は帰る事が出来ない…とね」

 

「…………そっかぁ…だよなぁ……

俺さぁ、この紅魔館の皆が大好きなんだ」

 

「ありがとう、私も大好きよ」

 

「もちろん拙者もであります!」

 

「だけど、外の世界にも大事な連中がいるんだ…幼馴染と妹なんだけどさ、スゲェ可愛いんだよ。

幼馴染の家には、いつも勝手に上がり込んでは怒られて、でも直ぐに治ってそのまま一緒に遊んだりしてた。

妹はそうだな…ミスティアとルーミアに似てるのかな、外見は全然違うんだけど、中身が似てるんだ。

普段はニコニコしてじゃれ付いて来るのに、こっちが褒めたりするとツンデレしたり…」

 

拙者もパチュリー殿も、恭介殿の話を黙って、しかし真面目に聞いている。

笑いながら話す恭介殿ですが、その顔は見ていられないほどつらそうにしています。

 

「パチュリーがさ、能力持ちかもって言われた時に気付いたんだよ……あぁ、やっぱり俺は普通じゃないんだなってさ」

 

「普通に、なりたかったの?」

 

「それこそ勘弁だね、俺が普通だったらこうやってこの紅魔館の皆と会えなかっただろ?

だけど、我儘かもしれないけど、俺は向こうの世界に帰りたい」

 

「そう……」

 

ちょっとだけショックなのであります……

そりゃ会って1月も経ってない拙者達よりもあっちの世界を選ぶのは分かっていますが、なんだか……

 

「でもな、帰りたいのも本音だけど、帰りたくない、ここに残っていたいって気持ちもあるんだ…な?我儘だろ?」

 

「それは、どうしてかしら?」

 

「さっきも言っただろ?紅魔館の皆が大好きだって、その気持ちにも嘘はないんだ」

 

「なるほどね…ふふっ、確かに我儘だわ」

 

「だろ?」

 

「なら、私から言える事は一つね…無理にとは言わないけど、ここをもう一つの家だと思いなさい。

帰って来たら、おかえりなさい。

何処かに行くなら、いってらっしゃい。

朝起きたら、おはよう。

寝る時には、おやすみなさい。

……普通じゃない世界の、普通じゃない連中に囲まれていれば、貴方は普通じゃないまま普通普通の生活を送れる。

どう?いい案だと思わないかしら?」

 

「普通だけど普通じゃない……いいね、最高の生活環境だ」

 

「拙者も!拙者も普通じゃない方がいいであります!」

 

パチュリー殿は、拙者を見て笑っていました、そんなにおかしな事を言ったであります?

 

「あら恭介、早速一人賛同してくれたわよ?」

 

「おっ、ノリがいい犬走ちゃんも可愛いね」

 

可愛いって褒められたであります!

 

「さて、取り敢えず帰れない理由を説明してもいいかしら?

さっきよりは明るくなったけど、納得してない顔してるわよ?」

 

「ありゃ、バレちゃった?

まぁ大方の予想は出来るよ、能力、だろ?」

 

「そう、当たりよ。

この幻想郷にはね、賢者と言われてる妖怪がいるのよ」

 

「話の流れ的に、その賢者様が俺を落としてくれた犯人だな?」

 

「はなまるの回答よ、大当たり。

その賢者様ってのはね、直接会った事はないんだけど、別名が『神隠しの主犯』と言われているわ。

博麗の巫女ってさっき説明したわよね、その巫女が表のバランサーなら、その賢者は裏のバランサー。

人間と妖怪、双方が無益な争いをしないように裏で動き回ってるらしいわね」

 

「神隠し……ね、今頃前の世界じゃ俺は行方不明ってなってんのか」

 

「恐らくはそうね。

で、その賢者『八雲 紫』は妖怪以外にも、能力者を回収、保護を目的とした……うん、誘拐としか言いようがないわ」

 

「その八雲ってのが原因か……感謝すべきか恨むべきか…面倒くせー」

 

「私としては感謝かしらね?新しい友人が4人も増えたんですもの」

 

「拙者も感謝ですありますね、ここでの生活は本当に楽しいであります。

神城殿が来なければここに来ることもありませんでしたから」

 

「愛されてるね〜、俺ってば」

 

「そうね、愛されてるわよ」

 

パチュリー殿は直球でありますな…拙者は恥ずかしくて言えないであります。

 

「まぁ、これ以上この話をしてると空気が微妙な事になるからよ、明るい話題に切り替えようか」

 

「あら、まだ薬が出来るまで時間があるから、貴方の話題に合わせるわよ?」

 

「そんじゃ、俺の能力について話そうぜ」

 

「そうねぇ…身体能力の大幅な強化、私の体調改善…自分や周りの者達に作用する能力かしら?」

 

「あ、それっぽい」

 

「そっち方面の能力だとは思うけど……いくつか検査する方法はあるんだけど、どうする?」

 

「危なくないならやってみたいかも…」

 

拙者も興味あります。

真面目な話も終わったっぽいので、拙者はまた書くのに専念します。

 

「別に危ない事はないわよ。

私の場合は精神を少し弄る魔法で、貴方に能力を自覚させるって感じの方法ね」

 

「精神を弄るって……危なくね?」

 

「あら、私の魔法技術を侮っているのかしら?」

 

「いや、そういう訳じゃないんだけどな?」

 

パチュリー殿が少しムスッとしているでありますね、本気で怒っている訳でもないようですし。

 

「そんなに時間はかからないけど、どうする?」

 

「まぁ危険って訳でもないようですし、頼んでみようかな」

 

「なら、ちょっとここに立ってくれる?」

 

パチュリー殿は、神城殿に自分の側に立つよう指示を出しました。

拙者も興味があるので、見ている事にするであります。

 

「じゃあいくわよ、貴方は静かに心を落ち着かせなさい。

『…其の者は精神は深く沈む、深く…深く…魂の根源に触れ、己が能力を知れ』」

 

「…………」

 

神城殿の体がボゥ…っと光ってます。

これが魔法でありますか、凄いですね……

 

「さぁ恭介、貴方は今魂の奥にある能力に触れようとしているわ。

本来、能力というものは全ての生物が持っているの、問題はそれを自覚出来るかどうかなの。

私の体調、貴方の身体能力、それを強く想い、使いこなせると自覚しなさい」

 

「俺の……能力…自分の力を、分け与える…?」

 

「発動の条件は?メリットは?デメリットは?範囲は?それらを全て理解し、帰ってきなさい」

 

それから暫くすると、神城殿が崩れ落ちました。

物凄い汗です、大丈夫なのでありましょうか?取り敢えず服の袖で顔の汗だけでも拭いて、椅子に座らせてあげました。

 

「……大丈夫かしら?」

 

「……確かに危険はなかったけどさ、こんなにキツいなら最初に教えてほしかったよ…」

 

「ごめんなさい…貴方が幻想郷に来たばかりと言う事を失念していたわ……」

 

「なんか関係あるのか?

あっ、犬走ちゃんもありがとうな、後で洗濯出しといてくれれば洗うからさ」

 

どうやら心配はなさそうでありますね。

神城殿の言う通りあとで洗濯に出しておきましょう。

 

「魔力って言うのは、普通の人間にとってはただの毒なのよ。

魔法使いっていうのはそれを、毒としてではなくエネルギーとして扱うことの出来る者達の事よ、とは言ってもレミィやアトラスみたいに魔法使いじゃないくせに魔法を使える存在もいるんだけどね。

幻想郷の住民は大気中の魔素に慣れているから、今くらいの魔法なら問題ないはずなのよ…つい慣れでやったしまったわ、ごめんなさい」

 

レミリア殿はどれだけ理不尽な存在なのでありますか……勝てる未来が見えて来ませんね、敵になったら自殺した方が良いであります。

 

「うわぁ…アトラス先輩って魔法も使えるの?

どんだけ手加減されてたんだよ…」

 

「そうね、簡単な魔法なら使えるわよ。

アトラスは魔力がそんなに多く無いから、元から使うつもりはなかったはずよ。

レミィに至っては、元の魔力が多いから下手をすれば私よりもヤバい攻撃してくるわね」

 

「ここまで人外魔境って言葉が似合う場所は他に無いな」

 

「幻想郷最強の一角って言われてる生き物が2人もいる時点で…ね?」

 

「レミリア嬢とパチュリー?」

 

「レミィとアトラスよ」

 

「はぁ!?あの人ってそんなに強かったのかよ!レミリア嬢はそんな気がしてたけど、アトラス先輩も理不尽の一人だったのかよ…」

 

あの試験…本当は拙者達を亡き者にするために行われたのでは?

神城殿の勝ち方は知りませんが、拙者達の場合は偶然に近かったらしいですし…

 

「あの二人に本気出されたら、私でもヤバいわよ。

ちなみに恭介が私に勝つことは出来ないわね」

 

「一応聞いとくけど、なんで?」

 

「だって貴方、飛べないし遠距離攻撃も無いし…私にはレミィくらいのパワーがないと攻撃なんて当たらないし」

 

「………その理屈でいくと、俺って小悪魔にも負ける?」

 

「ん?勘違いしてるだろうから言っておくけど、あの子、割と強い部類に入るわよ?」

 

「そうなの!?」

 

そうなのでありますか!?

 

「いや、いくら未熟とは言っても、言葉を介する悪魔よ?私からと契約結んでるから余計に強くなってるし」

 

「人は見かけによらない……パチュリーから見る、紅魔館最強ランキングは?」

 

「ん〜、相性もあるから一概には言えないけど……レミィ、アトラス、フラン、私、咲夜、小悪魔、リプト、美鈴、椛、ミスティア、ルーミア、妖精メイド、恭介……ってところかしら?」

 

「最弱宣言キタコレぇ……」

 

メイドさん達よりも弱いって…神城殿、強く生きて下さい……

 

「まぁ、負ける理由は私とほぼ同じよ、飛ばれて弾幕撃たれたらどうしようもないでしょ?」

 

「あのサボリ魔妖精軍団にも負けるとか…」

 

「あのね、ここは紅魔館でメイド長と副長があの二人よ?そんじょそこらの妖精よりは遥かに強いわよ」

 

「あ、拙者から一つ質問です」

 

「何かしら?」

 

「フランって誰ですか?」

 

神城殿はショックでダメになってるから、代わりに聞こうと思います!

 

「レミィの妹よ、普段は地下にいるから今度紹介してあげるわ」

 

「……その子も強いのか?」

 

「強いわよ?力と能力だけならレミィより強いわ」

 

「また理不尽が増えたぁ……俺の必要性…」

 

「貴方はいるだけで、私の体調を良くしてくれる、それじゃダメかしら?」

 

「美少女の役に立てるのならいいか」

 

「あ、私の体調で思い出したわ。

恭介の能力を聞いておかないと、話が脱線して忘れてたわ」

 

拙者は完全に忘れていました!

 

「まだ使ってみないと分からん部分もあるけど、取り敢えず言ってくな。

どうやら自分の『気』もっと言うとスタミナをエネルギーに変換して分け与えるらしい。

パチュリーの体調が良くなったのは、それが漏れ出してたって感じだな。

今なら意識すればもっと出来ると思う、多分だけどパチュリーの体調ももっと良くなる」

 

「一回試してもらってもいいかしら?」

 

「おう……ん〜、こうか?…違うな、こうか?」

 

神城殿は目を瞑り頭を悩ませています。

きっとまだ、力の与え方が掴めていないのでありましょうか?

 

「……こうだ!」

 

神城殿とパチュリー殿の体が光の線で繋がりました、あれが『気』というものでしょうか?

 

「……すごい、これ以上ないってくらい力が溢れてくるわ…ここまで体調がいいのも産まれて初めてよ。

名付けるなら『力を分け与える程度の能力』かしら?

使いようによってはトンデモない能力よ、これ」

 

「そんなに変わるものなのか…」

 

光の糸がプツンと切れると二人の光も次第に収まっていきました。

 

「なるほど、一度繋がれば暫くは続くようね…自分の体力や魔力のタンクがもう一つある状態なんでしょうね…使い続ければ元に戻る感じかしら」

 

「ふぅ……でも、結構疲れるぞこれ。

自分のスタミナを分け与えるのってなんか変な感覚だったな」

 

「今くらいの供給を何人くらいまでなら出

そう?」

 

「ん〜、3人…かな。

4人やれば多分動けなくなる、5人にやれば……多分、死ぬ」

 

拙者も頼もうとしたのですが、止めた方がよさそうでありますね…

 

「じゃあ恭介に一つ枷を掛けておくわ、普段の使用は2回までに留めなさい、3回以上の使用は私かレミィに許可を取ってからじゃなければ使わないこと、そして使用後は私に何回使ったか報告しなさい」

 

「今のよりも軽い供給に関しては?」

 

「そうね…恭介は自分の体力の限界が分かる?」

 

「そこらへんは完全に把握してるぞ」

 

「なら、暫くは体力の限界値を100として、

40までの使用は許可するわ。

さっきの量を一回20使うと合計100になるはずだから、暫くはこの計算方法で勘定しなさい」

 

拙者は細かい計算が苦手なので話についていけませんが、20×5が100っていうのは理解できたであります!

 

「断る理由もないし、そうするよ」

 

「今はそうしてもらうけど、今度貴方に、自分の体力を数値化する魔法をかけてあげるわ」

 

「今は出来ないのか?」

 

「出来ない……というよりも、そんな魔法自体が存在しないのよ。

だから、私がその魔法を開発するわ」

 

「そんな事まで出来るのか?」

 

「まぁね、攻撃魔法や精神魔法と違って対象者の体力を分かりやすくするだけだからね。

そう時間はかからないから安心してなさい、貴方のお陰で、暫くは体調も最高の状態だしね」

 

「ありがたいけど、無理するなよ?」

 

「何かがあってからだと遅いのよ、だから多少無理をしてでも創り上げるわ」

 

「あんまり小悪魔に心配かけてやるなよ?

俺が原因だって知った瞬間、殺しにくる未来しか見えて来ねぇしさ」

 

拙者も少々心配でありますね…パチュリー殿は、普段は館の為に働いていない分、何かしらがあったら自分を省みず無理をする、というのをアトラス殿から聞いた事があります。

体調を崩されなければいいのですが…

 

「っと…もうこんな時間だったのね」

 

時計を見てみると、もう午後6時になっていた。

薬を作ったり話し込んだりしていたので、思っていたよりも時間が早く過ぎていたようでありますね。

 

「恭介も椛も今日はありがとう。

小悪魔がいないと結構寂しいのよ、本は好きだけど人と話すのも好きだから、二人がいるのに救われたわ」

 

「そんな大袈裟な…」

 

「そんな事ないわよ、何をするにもモチベーションが下がっていたら、やる気をなくしてしまうでしょう?

私にとってのモチベーション維持は、本を読み知識を蓄え、他人と会話をする事でその知識が活かされる、そんな瞬間が好きなのよ」

 

「……やっぱりパチュリーは良い女だな、惚れちまいそうだよ」

 

「あら、惚れてもいいのよ?」

 

「とっくに惚れてるよ。

だけど、パチュリーを落とすなら、出入り口の扉から俺を睨んでるこわ〜い悪魔さんを攻略してからじゃないとな」

 

神城殿の差した方を見てみると、殺意の波動に包まれた小悪魔殿がいました……怖かったであります。

 

「さて、ヘタレの恭介が告白をしてくれなかった事ですし…薬も出来たわ、早くレミィに持って行ってあげて」

 

パチュリー殿は拙者に薬を渡すと、神城殿の肩に手を置いて頷きました。

何かあったのでありましょうか?

 

「パチュリーの攻略は難しそうだから、腕を磨いて出直すとして、また何かあったら相談しに来るよ」

 

「今日は拙者も勉強になりました。

それでは、失礼するであります」

 

出入り口に向かった恭介殿が小悪魔殿に腹パンされていました。

なるほど、パチュリー殿はこの展開を読んでいたのでありますね…先に声をかけてあげればよかったのではないかと思ったのは内緒です。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「アトラス殿、これが今日の神城殿の行動を纏めたノートであります」

 

「ありがとう椛ちゃん………ふむ、恭君は真面目に仕事をしているようですね。

仕事とは言っても、パチュリー様の話し相手でしたが…それよりも椛ちゃん?」

 

「はい、なんでありますか?」

 

「小悪魔ちゃんを連れてきてくれる?」

 

椛レポートに書かれていた『レミリアの悪口』のくだりを見たのだろう。

アトラスはいつでも笑顔だが、今の笑顔は背筋が凍るタイプのものだった。

 

「りょ、了解であります…」

 

 

アトラスの元にやってきた小悪魔は、捨てられた子犬のように震えていたらしい。

パチュリー曰く、帰ってきた小悪魔は、アトラスの前でセクハラをした恭介のように真っ青だったらしい。




まぁ当然なのかな?
特殊能力と、それに付随する身体能力を持ってる時点で普通の人間ではいられません、ゆかりんが放っておく理由が見つかりませんよね。

という訳で恭介は『力を分け与える程度の能力』を手に入れました、名付け親はパッチェさんです。
パッチェさんはトンデモない能力だって言ってますけど、それは味方にとっては、という意味で、恭介本人は能力を使うたびにパワーダウンするという……
ちなみにこれは、恭介の消費したスタミナを『対象者に都合のいいエネルギーに変換し増幅したものを供給する』というものですね。

では、次はレミリアが犠牲……活躍しますので、お楽しみに〜

設定などに不満がある方は感想にお願いいたします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。