覚醒紅魔郷   作:ジャックハルトル

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まぁ、青い薬の話題も出てくるのですが、今回は回想メインです。

アトラス、レミリア、フランしかメインキャラは出てきません。
てか、後半はアトラスしか出てきませんwww


第13話・黄昏の狼、過去の記憶

 

 

 

「それで、恭君の相談したい事ってなんですか?……と言っても大体は予想できるんですけどね」

 

「まぁ、御察しの通り、レミリア嬢の事についてなんですけどね」

 

「でしょうねー、察するに元気付けたいって所ですか?」

 

「まぁ……そんな感じですね。

パチュリーからこんな薬も貰った事ですし」

 

ポケットから青い薬を取り出すと、アトラスの前にコトン…と置いた。

 

「見せてもらってもいいですか?」

 

「どうぞ」

 

一通りマジマジと見るアトラス、能力を使っているのだろうか?

概念的な能力の人達は、使用時に明らさまな変化が現れてくれないので分かりずらい。

 

「あぁ、なるほど…ふふっ、あははははは!」

 

「ア、アトラス先輩?」

 

ひとしきり納得してから大笑いを始めたアトラス、この人が大口を開けながら笑う姿なんて滅多に見られるものじゃないらしいは、後で聞いた話。

 

「ごめんなさい恭君、パチュリー様の作った薬が余りにも予想外だったもので…ふふふ」

 

「アトラス先輩…笑いすぎて涙出てますよ」

 

「え?あ、あら本当ですね。

でもさすがはパチュリー様ですね、ここまでレミリア様のツボを突いてて尚且つ、とっても洒落の効いた物を持ってくるなんて…」.

 

まだ笑いが収まらないのか、普段浮かべている微笑みよりも20%増しで笑っている。

 

「そんなに笑えるものなんですか?これ」

 

「恭君には予想外かもしれませんけど、これって薬でも何でもない、ただのジュースなんですよ」

 

「ジュース?」

 

「昔のレミリア様は赤色が嫌いだったんですよ、正確には嫌いにさせてしまったのですが」

 

「あのレミリア嬢が!?」

 

館の中も外も真っ赤に塗って、名前にもスカーレット、服は赤色とは言えないけどピンク色の紅色大好きっ子が、以前は赤色が嫌いだったらしい……

 

「もう500年近く前になりますか…レミリア様がまだまだ小さかった頃の話なんですけどね?」

 

 

ーーーーーーー回想ーーーーーーーー

 

 

ベージュ色の壁に赤い屋根、絨毯こそ赤いが、木で出来た床、屋敷の大きさ以外は、その辺の家屋と変わらないような配色をしていた頃。

まだ紅魔館が幻想郷には無く、外の世界に吸血鬼一族の長として君臨していた頃の話。

 

レミリアの父と母、スカーレットの名を夜の王として大成させたのは間違いなくこの二人による活躍が大きい。

周辺の吸血鬼を従え、人間との調和をとても大事にしていた。

 

 

「アトラスーー!!」

 

アトラスに向かって飛びついてくる、とても小さな吸血鬼、満面の笑みを浮かべているレミリアを優しく受け止める。

 

「レミリア様、フラン様が寝ていらっしゃるのでもう少しお静かに……」

 

口元に人差し指を当ててシーっとジェスチャーをすると、レミリアもそれに気が付いたのかアトラスの真似をしていた。

二人の視線の先には、アトラスが大事そうに抱っこしているレミリアの妹である『フランドール・スカーレット』が眠っていた。

 

「フランはいい子で寝ているかしら?」

 

「それはもう、レミリア様に似ていますからね」

 

「つまりフランはいい子ね!」

 

「えぇ、その通りですよ」

 

将来はスカーレット家の当主になるレミリアに、アトラスは専属メイドとして仕えていた。

そもそも、トワイライト家の者は代々スカーレット家に仕えてきた由緒正しい一族でもあり、スカーレット家から絶大な信頼を得ている。

 

「ねぇアトラス?」

 

「どうしました?」

 

この次期当主様は、喜怒哀楽の感情がすぐ顔に出る。

今は哀の表情をしているが、その理由はレミリアには話せない。

 

「お父様とお母様はいつ帰ってくるの?」

 

「そうですね……お二人の事ですから、もう暫く待っていればすぐに帰ってきますよ」

 

内容は言わない。

まだ幼いレミリアにはあまり聞かせたくない事だ、いつかはレミリアもやらなければならないのだろうが、今はまだ早い。

 

レミリアの両親は現在、人間に無用な危害を加えた同族を討伐しに遠征をしている。

そのため、今紅魔館にいる人員はかなり削減されているので、アトラスと妖精メイドいがいは全員出払っている。

 

「……ピクニックかな?」

 

「ピクニック…とはちょっと違いますが、大事な事をしに行っているんですよ?

旦那様と奥様は人間達を守っている正義の味方なんです」

 

「吸血鬼は悪い生き物じゃないの?

お父様がいつも、がおー!って追いかけてくるの」

 

「レミリア様にはまだ難しいかもしれませんが、吸血鬼にも悪者と良い者がいるんです。

悪〜い旦那様にはレミリア様の必殺技を当てれば正義の味方に戻ってくれるはずですよ」

 

「わかった!レミリアパンチを当てれば治るのね!」

 

「えぇそうですよ、レミリアパンチは悪い心を退治する正義のパンチです!」

 

「レミリアパンチは正義のパンチー♪

すっごいぞつっよいぞレミリアパンチー♪」

 

楽しそうに両手を振りながら歌うレミリア。

願わくば、この幼い主にはあまり汚い事をさせたくはない…それは妹であるフランドールにも言える事だった。

 

コンコン…コンコン……来客でも来たのだろうか、アトラスはフランドールを抱いたまま玄関に向かう。

レミリアも後ろからトコトコとついて来るので、出迎えは賑やかになりそうだ。

玄関を開けると、そこにはスカーレット家と友好のある他の吸血鬼一族が立っていた。

 

「いらっしゃいませ、ご用件をお伺いいたします」

 

「うかがいます!」

 

レミリアもそれに続いて、アトラスの真似をしている。

来客の男も微笑ましそうに笑っているので、どうやら失礼にはならなかったようだ。

 

「いやなに、近くを通ったのでね、挨拶をしようかと思ったのだが…二人は留守なのかい?」

 

「………っ!レミリア様!お下がり下さい!」

 

フランドールを抱えたまま目の前の男を殴り飛ばすアトラス。

レミリアは訳が分からず目を白黒させているのだが、アトラスの言葉が異常事態を知らせているものだと、幼いながらにも理解することが出来た。

 

男を殴り飛ばしたお陰で、少しは話す時間が出来たのは僥倖。

今の内にと、アトラスはフランドールをレミリアに預けた。

 

「フランドール様を連れて屋敷の奥に隠れていて下さい。

向かっている最中に妖精ちゃん達を見つけたら、『アトラスからの命令、私達を守りなさい』と伝えておいて下さいますか?」

 

「う、うん……アトラスは正義の味方だから負けないよね?」

 

「もちろんです、トワイライト家の……レミリア様のアトラスは何があっても負けませんよ?」

 

その言葉に力強く頷くと、その小さな腕にフランドールを抱えて走っていった。

これでアトラスも周りを気にせず戦える。

そう…先程飛ばした男が、この程度で死ぬはずはないのだから。

 

「いきなり何をするんだ、メイドの分際で私に手を出したらどうなるのか分かっているのか?」

 

「何を?レミリア様とフラン様に手を出そうとした分際でよくそんな言葉が吐けますね。

それに、貴方こそスカーレット家に手を出せばどうなるか分かっているのですか?」

 

「……そうか、貴様はトワイライト家の『出来損ない』か」

 

「そう言われているらしいですね、全く気にしていませんが」

 

トワイライト家の狼達は、全員が全員、攻撃的な能力を持っている。

その中でアトラスだけが戦闘用の能力を持たずに生まれてきた異端の存在だった。

しかし、アトラスは別にトワイライト家から『出来損ない』と言われていた訳ではない、

むしろ、それを言っているのはスカーレット家以外の、吸血鬼から言われているだけだった。

 

「戦闘用に教育されたのがトワイライト家のメイド、貴様のような雑魚など、このスカーレット家のような馬鹿な一族しか欲しがらないのだよ」

 

「試してみますか?

このアトラス・トワイライトが本当に雑魚なのかどうか……」

 

「吸血鬼に喧嘩を売るとはな……どうやら能力だけではなく、相手のレベルも分からない程の馬鹿でもあったか」

 

「さて、どうせなら後ろに控えている方々にも手伝ってもらっては如何ですか?

貴方一人では私も楽しめませんので」

 

そう、アトラスの言う通り、男の後ろには無数の吸血鬼達が控えていた。

ここまで来れば嫌でも分かってしまう自分が何となく嫌になった…これは恐らく、スカーレット家のやり方、人間との共存と調和に納得していない者達のクーデターなのだろう。

 

「私を舐めるのも大概にしろよ?」

 

一瞬でその場から消えた男はアトラスの後ろに回り込んみ、その首を落とそうと手刀を振るう。

そのスピードはかなりのもので、そこら辺の妖怪なら気がつく間もなく死に至っているだろう…

 

「いやはや、吸血鬼とはこんなにも弱かったのですか?

見え見えの上に不意打ち…しかも失敗という残念な結果…なんだか哀れに思えて来ますね…」

 

しかし、アトラス・トワイライトという妖怪は普通の妖怪ではない。

不意打ちの攻撃に見事対応し、その手刀をガッチリと掴み取っていた。

男はその手を振り払うと、今度は胴体を狙った蹴りを放つ。

 

「あら、この程度の蹴りなら、トワイライト家の戦闘用メイドは全員できますよ?」

 

またもや反応し、防御してみせるアトラスに

男は少し焦り始めていた。

 

「これが出来損ないだと?……中々やるじゃないか、犬の分際で私の攻撃をこうも簡単に言う止めるとはな」

 

「貴方に褒められても嬉しくありませんね。

おや、次は右足で首……変えるのですか?左手で腹部、左足で胴、右足で脚、後ろに回り込み左手で心臓を、両手で首、能力を使い拘束、左右のフェイントを織り交ぜつつ……

って、おや…諦めてしまうのですか?」

 

アトラスの予測は未来視と言っても過言ではない…男が出そうとする攻撃を読み、相手が修正、読み、修正、読み、修正。

ここまで何もできないとは思っていなかったのか、男の顔色が悪くなっているのがハッキリと分かる。

 

「化け物め……」

 

「あら、種族的には吸血鬼の方が化け物と言われてもおかしくないんですよ?

まぁ……強さがそれに比例するとは限りませんけどね」

 

「おいっ!全員でこの化け物を囲め!

肉片一片に至るまで殺し尽くせ!」

 

「なるほど、30人ですか…これは少々骨が折れそうですね」

 

まだ出てきてもいないのに人数を言い当てたのは、風の動き、嗅覚、音で判断したのだろう。

ドタドタと足音を鳴らしながら入ってくるのは吸血鬼の群れ、対立する形となって1対30

の戦い。

 

「私の下につくのなら許してやる、貴様の力は有用性がありそうだからな…」

 

「許す?許しを乞うのはそちらでしょう、まさか…ここまで大事にして、31人全員……

生きて帰れるとお思いで?」

 

辺りに広がるアトラスの殺気と敵意に、数名の吸血鬼が飛び出してきた。

連携もなにもない、ただただ突っ込んでくるだけの稚拙な攻撃がアトラスに当たる訳もなく、最小限の動きで避け続ける。

 

「ほらほら、全員でこなければ私は倒せませんよ?……もっとも、全員で来られたところで、私が死ぬ道理はありませんが」

 

上下から来る攻撃に対して、上は拳で迎撃し、下の攻撃は床板ごと頭を踏み抜くことで、簡単にケリがついた。

 

「あら、もう30人しかいませんね。

流石に頭を踏み抜かれると再生のしようがありませんもんね」

 

頭が潰れ、その場で動かなくなった仲間を見たからか、怯え始めた者たちが出てくる。

 

「さて、私はまだまだ余裕がありますけど……そちらはどうでしょう?

ビクビクしている臆病者に、力の差も分からない雑魚、何よりも…挑む相手が悪すぎますね。

今ならここにいる方々を殺すだけで、この自殺行為に参加しなかったご家族は生かしておいてあげますが、どうしますか?」

 

「調子に乗るのも今のうちだけだ…所詮はトワイライト家の者、どれだけ強かろうが吸血鬼に勝てるわけが無いだろう」

 

男は、周りの吸血鬼にアイコンタクトを送る、アトラスにはそれがどういう意味か理解出来た。

 

「なるほど、妖力弾による遠距離攻撃ですか…確かに、その人数に撃たれれば私も反撃出来るかどうか分かりませんね…」

 

「撃て!!」

 

30人による一斉射撃。

妖力弾の壁が迫る中、アトラスは冷静に回避コースを検討していた。

あそこ?ダメですね、ではあそこで…ダメですね、どこに行っても被弾する…ならば!

覚悟を決めたアトラスは、あろうことか弾幕に向かって突撃した。

 

「粉々にしてやれ!」

 

激突するアトラスと魔弾の壁、アトラスはすぐに飲み込まれてしまい姿が見えなくなった。

 

「ぐっ……」

 

凄まじい魔弾の嵐を妖力の籠った手で掻き分けて行くが、やはり被弾はしてしまう。

やがて弾幕は止んだが、アトラスの着ているメイド服はボロボロになってしまっていた。

 

「ほぅ……まだ生きているのか、スカーレット家の番犬は中々に優秀とみえる」

 

「流石に……雑魚とは言え、これだけ上位種からの攻撃に晒されては少しだけ痛いですね…ちょっと血が出ちゃいましたよ」

 

左腕から大量の血が滴り落ちている。

相当痛むのだろうか、苦痛に顔が歪んでいる。

腕を抑えて痛みに耐えながらも、レミリア達の元には行かせまいと、『本気を出す』事にした。

 

「そろそろ本気を出しましょうか…まぁ尤も、それもフルパワーではありませんが…」

 

「そんなボロボロの体で何が出来ると?」

 

「皆殺し…ですかね。

ーーーーーアアァァァァァア!!」

 

八重歯が鋭くなり、爪が尖る。

狼の耳と尾が生えてくる……その変化には激痛がともなり、アトラスのものとは思えないような絶叫をあげている。

変化が始まると同時に、アトラスの妖力が跳ね上がっていく。

それこそ、並の吸血鬼では太刀打ち出来ないほどに……

 

「………これが、私の…全力です……」

 

息を荒げながらも、その眼光は自分の倒すべき敵を見据えていた。

獲物を狩る狼のように……

 

「さぁ……狩りの始まりです…」

 

「なるほど…我々を雑魚と罵るのも当然だな……吸血鬼にも勝る凄まじい妖力じ………」

 

リーダー格の男が会話をやめた。

男の首からは、大量の血が噴水のように噴き出している。

バタリとその場に倒れこむことで、ようやく周りの吸血鬼は現状を理解した。

 

「脆いですねぇ…これが最強種?これが夜の王?これが吸血鬼?

狼に劣るなんて……もしかして手加減でもしていました?

蚊でも潰したのかと勘違いしちゃいましたよ」

 

アトラスの右手から大量の血が滴り落ちている、しかしそれは先ほど怪我をしたのとは逆の手……

アトラスは超速で接近して男の頭を砕いたらしく、それはトマトのように簡単に潰れ、絶命した。

 

「ダメですね…この姿になるといつも自分が抑えられなくなってしまいます。

昂ぶるんですよ、どうしようもなく…獲物を狩りたくなってしまう、目の前の害虫を殺したくなってしまうんです」

 

「ば…化け物……」

 

吸血鬼の誰かが言った。

それは誰もが思っている事だろう…

 

アトラスはトワイライト家の中でも異質中の異質。

能力が攻撃的なものでは無いと、スカーレット家以外の吸血鬼は見放し、見下していたが

アトラスの本質は、その凄まじい戦闘能力にある。

第一段階では上位の妖怪に匹敵し、第二段階では大妖怪を超え、完全体になれば神に等しい戦闘能力を得る事が出来る。

 

「本能が抑えられないんですよ…こうやって怯えている獲物を見ているだけで、ほら……

こんな風に…」

 

ブチっ…と首を千切る嫌な音が聞こえる、また誰かが殺された……そう理解するのは簡単だった。

我先にと逃げ出そうとする一団は玄関に向けて走り出すも、アトラスが駆け抜ける。

 

「ダメじゃないですか、吸血鬼が背を向けて逃げ出したりしちゃ。

残りは28匹……全員生かしては帰さない、違いますね。

全員この場で駆逐するので、死んだ後も帰れないですね……くすくす」

 

口調は普段のアトラスと同じだが、浮かべている笑みは獰猛な狼を思わせるような、見る者に恐怖を抱かせるような笑顔だった。

 

「おや?誰の落し物ですか?心臓を落とすなんて、おっちょこちょいにも程がありますよ、次からは注意して下さいね?」

 

「え……あ?」

 

一人の女吸血鬼が、空洞になってしまった自分の胸を見ている。

口から大量の血を吐き、床を染め上げ、崩れるようにその場に倒れてしまう。

 

「あら、いらないのなら処分しましょう」

 

持っていた心臓を握り潰す。手に付いた血を汚そうに振り払うと、次の獲物に向けて走り出す。

 

「ほら、ほら、ほら、ほらほらほらほらほら、あははっ!抵抗しないんですか!?

少しは楽しませてくれないと、この姿になった意味が無いじゃないですか!

あはははははははっ!!」

 

ある者は首を飛ばされ、ある者は胴体を引き千切られ、ある者は股から引き裂かれる。

地獄絵図を形にしたような光景は、吸血鬼達の理性を奪うのには充分だった。

 

「う、うわぁぁぁぁあ!!」

 

一人の吸血鬼がアトラスに向かって魔弾を放つ。

吸血鬼の解体に夢中になっていたアトラスはそれに気がつかなかった、頭にそれが直撃してしまった。

 

「あ、当たっ……た?」

 

ゴトリ…とその場に倒れるアトラス…….その生死を確認する為に、魔弾を放った男が慎重に近づいていく。

他の吸血鬼も、警戒心を大にしてその様子を見守っている。

 

男がアトラスの顔を覗き込むと、死んだように目を瞑っていた。

倒した、この化け物を殺せた!そう周りの吸血鬼に報告するべく後ろを向くと、肩に手が乗せられた。

 

「痛いですねぇ…貴方ですよね?私に魔弾を放ったのは」

 

背後から聞こえるアトラスの声、肩からはメキメキと骨が軋む音がする。

やがて、ゴキンっと鳴るのと同時にその音は聞こえなくなった。

 

「ギャアァァァァ!!肩が…肩がぁぁ……」

 

膝をつき、その場で蹲っている男の両足を掴み、まるで日を紐を結ぶように足を固く、強く『結んだ』

 

「痛いぃぃい!足がぁ!肩がぁぁあ!!」

 

「五月蝿いですね、そろそろ黙って死んでもらえませんか?」

 

胸倉を掴み無理やり立ち上がらせる。

まともに動くはずの無事だった腕すらもダランとぶら下がり、両足はリボンのように結ばれている。

抵抗する気もなくなったのか、精神が壊れたのか…もはや声も出さず開きっぱなしになった口からは涎を垂らして、虚ろな目をしている。

 

アトラスは男の口に手を添えると、身体の内部目掛けて妖力弾を放つ。

それだけで男の身体は内側から爆散し、アトラスの体が血で染まる。

 

「本当に汚い方達ですね、もうちょっと綺麗に死んでくれたらいいのに……」

 

転がっている死体からハンカチを抜き取って、顔に付いてる分の血だけは拭き取る。

 

「後でお風呂に入って、掃除をして……あぁ、今日は私だけしかいないというのに、自分で仕事を増やしてしまうとは……私もまだまだ至らない点が多いですね…」

 

この場にあってこの場には似つかわしくないセリフが、余計に吸血鬼達の心を抉る。

もはや生きて帰ろう、アトラスを倒そうなどとも考えず、ただただ自分が殺される番を待つだけだった。

 

「もう……早く殺してくれ…」

 

「何を言っているんですか?まだまだこれからじゃないですか、あと14人もいるんですから楽しませて下さいよ、これからが折りかえしなんですよ」

 

「お前は……狂ってる…」

 

「?……不思議な事を言うのですね、妖怪なんですよ?恐怖を煽るのは生命活動の一環でしょう。

ただ、いつもは力を抑えているだけで、この姿の方が妖怪としては正しいんですよ?」

 

語るだけ語ったアトラスは、最後にこれだけを伝えておいた。

 

 

「さぁ…残り14人、一人10秒は保たせて下さいね?」




アトラスさん最強説浮上
前々から出てきていた『第二段階』です、ケモミミけもしっぽ……あれ?萌えね?
アトラスさんは第二段階になると、結構残忍になりますね
仕方ないよ、狼だもの……まぁ狼としての狩りの本能が、普段理性で抑えつけている分、前面に出てしまい今回のよう凄惨な事態になっているわけです。
てか、相手の吸血鬼が弱いのもあるんですけどね。
とは言っても吸血鬼、最強の幻想種との呼び声も高い吸血鬼相手にこの状態……いやはや、自分で設定作っておいてなんだけど、勝てる人いるのかなぁ?

………いるけど(小声

そして、いつになったらフランちゃんはセリフを貰えるのか…こんなに待たせちゃ悪いので、とりあえずレミリアパンチ喰らっときますww

ではまた次回……前半は相変わらず回想でーす。
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