覚醒紅魔郷   作:ジャックハルトル

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彼は末期です。

文章を少し編集しました。


第2話・新しい出会い、新しい相棒

 

『恭介君…足の内側…付け根なんだけど怪我しちゃったんだ…舐めてくれる?』

 

『ねぇ、恭介…水着の紐が取れちゃったの……結んで…くれる?』

 

『お前が好きだって言うなら…白いスクール水着くらい…着て…やるよ…』

 

『なぁ、恭介?私…恭介やったら……ええよ…』

 

『兄さん、私達…本当の兄弟じゃないから…手を出しても…いいんですよ…』

 

個性的な美少女、美女5人に囲まれた恭介は実に幸せそうなアホ面を晒していた。

すると突然辺りが白く染まり始めたではないか。

美少女美女5人も『バイバ〜イ』と言って

手を振り、足早に去って行く。

 

『ま、待ってくれ俺のエンジェル達!』

 

恭介の願いも虚しく、エンジェル達は白い闇の中に消えてしまった。

 

『う、うわぁぁぁぁ!あんまりだ、この仕打ちはあんまりだ!』

 

あまりの仕打ちに恭介は目を覚ました。

そう、夢落ちというオマケ付きで。

 

「はぁはぁはぁ…夢か…」

 

飛び起きた恭介は顔を真っ青にしながらも

自分の状況を確認してみた。

 

「えっと…確かルーミアにセクハラしてたらボインちゃんに出会って………ダメだ

ここから先の記憶が一切ない…だが後悔もない…」

 

ふと気がつくと、恭介は布団に寝かされていることに気が付いた。

その布団からするいい匂いは慧音の香りと同じであったため、恭介はもう一度布団に潜り『ハァ…ハァ』と荒い呼吸を繰り返していた。

 

「ん?」

 

そしてしばらくの間ハァハァしていると、不意に歌が聞こえてきた。

その歌声は少し幼い声質だったのだが、とても美しい歌声だった。

恭介はその歌の主が気になり探してみることにした。

 

慧音の家?から出て歌声の主を探していると、推定年齢16歳、バストはBカップと断定した門番のいた場所にたどり着いた。

 

妖怪が出てきたらマズイにはマズイのだが、

ぶっちゃけ倒すのは難しいかもしれないけど逃げ切ることは可能だと判断し、意を決して出て行く事にした。

 

歌声はまだ聞こえている、曲が変わったのか先程よりも明るいイメージの歌に変わっていた。

恭介にとっては歌ってくれている間は、その方面に向かっていけば場所の特定が簡単なので有り難い話でもある。

そうしてしばらく探してみると…

 

「おっ、ここか…」

 

たどり着いた場所には、歌い手であろうピンクの服を着た翼が生えている少女と、何故かルーミアが少女の側に体操座りをしていた。

恭介は木の陰に隠れて少女の歌を聴くことにして、ついでにしばらく様子を見てみることにした。

 

「じゃあ次の歌いくよーー!」

 

「おー!」

 

「〜♪〜〜♪」

 

「いい声だねぇ…」

 

恭介は感想を漏らすと、ルーミアの隣にシレッと腰を下ろした。

 

「あれ?お兄さん起きてたのかー?」

 

「へっ!?何!?」

 

「お嬢さんの歌最高!」

 

「は?いきなり出てきて何言ってるのよ」

 

「お兄さんは壊れたのかー?」

 

ルーミアに貶され、翼の生えた美少女には怪訝な顔をされてしまった。

美少女に並々ならぬ関心と興味と劣情を持つ恭介には耐えられない視線だった。

 

「あっ…すまん、いきなり出てきて悪かったよ。

それよりも…ルーミア」

 

「なんなのだ?」

 

「起きてからずっとなんだけど、尋常じゃないくらい頭が痛いんだけどなんか知ってるか?」

 

「あぁ、それなら…」

 

「はっ!能力的なものに目覚めたのかも!?」

 

「能力!?っまさか貴方、私とルーミアを狙って来たの!?」

 

「…あぁ、その通りだ。

よく気がつくことができたな、少女よ…」

 

恭介のよろしくないノリが出ちゃった。

 

「ルーミア…下がってて、私が足止めしておくから…」

 

「あぁ、また面倒なことになって来たのだ…」

 

ルーミアは一人だけ空を見上げて『はふぅ…』とため息をついていた。

 

「少女よ…名を訪ねておこう…」

 

「…ミスティア・ローレライよ」

 

「そろそろ止めといたほうがいいのだー」

 

「それで、どうするの?

遊びたいなら、とことん弾幕してあげるわよ?」

 

「 (弾幕?石でも投げ合うのか?)よかろう…余が相手をしてやろう…」

 

「それじゃあ、行くわよ!」

 

「デュエル!!」

 

「止めといたほうがいいのだ……」

 

カードは使わないがな。

 

 

・・・・・・・5分後・・・・・・・

 

 

「ごめんなさい……もう二度と歯向かうような真似しないんで勘弁して下さい…」

 

「わかれば良いのよ、わかれば」

 

ボロ雑巾の様になって土下座をしている情けない男がそこにいた。

 

敗因は多くあるが、大まかに分けて3つの違いが大きい。

まず一つは飛べない事、これが一番大きな敗因だろう…戦闘開始と同時に相手は空の上、いくら身体能力が人間離れしている恭介でも、投石くらいしか攻撃手段がなくなる。

 

二つ目は攻撃手段の差、ミスティアは弾幕と呼ばれる妖力の弾丸のようなものを無数に飛ばすことができるが、先述の通り恭介には空中への攻撃手段がない。

 

三つ目は相手の回避スキルの高さ、日頃からこの様な……もとい、もっとレベルの高い戦いをしているのだろう、恭介もかなりの速度で投石をしていたのだが全て紙一重で交わされてしまっていた。

 

「だから言ったのだー……止めといたほうがいいって」

 

「ま、地上での動きは早いし石も速度は凄かったけど、私を倒したいならその3倍は持って来いってね!」

 

ミスティアが舌をペロッと出し、指をビシッと恭介に突きつけ決めポーズを取っていたが、当の本人は土下座中で見ておらず、ルーミアは見ていたがあえて無視していた。

 

「………さて、結局あんたはどういうつもりでここにいるの?」

 

「あ、無かったことにしたのだ」

 

「うっさい、ルーミア」

 

「……喋ってもよろしいでしょうか?」

 

「許可してあげるわ、犬」

 

「わん……ルーミアとはご友人で?」

 

「犬は喋らないわ」

 

「そうなのだー」

 

「わんわん!わんわん!」

 

美少女に罵られていると、何故だか幸せな気持ちになってくる。

新たに目覚めたのではなく、元から備わっていた性癖のおかげで、恭介は犬になる事を受け入れた。

 

「ごめん、言っといてなんだけど、キモいからやめてくれない?」

 

「くぅ〜ん……じゃあ幻想郷に詳しい人の所に案内して欲しいんだけど」

 

寂しそうな声は演技だったのか、それとも本気だったのか……答えは恭介か同等の変態にしか分からない。

 

「急に馴れ馴れしくなったわね……ま、まぁいいわ。

幻想郷詳しい人ねぇ…紅魔館のパチュリーとか?」

 

「へ〜、どんな人なんだ?」

 

「ん〜…会ったことはないけど、『動かない大図書館』って言われてるくらいだし、すっごい頭いいんじゃない?」

 

「パチュリーは見たことないけど、門番とは仲良しなのだー」

 

「じゃあ、そのコネで紅魔館ってところ行けないか?」

 

「私は止めといたほうがいいと思うわよ」

 

やっとこの世界の事が理解できると期待していたのだが、ミスティアからストップが入った。

 

「え、なんで?」

 

「名前から分かる通り、紅魔館にはとんでもない化け物が住んでるのよ…

私程度にここまでやられる程度のアンタじゃあ、運が良くて瞬殺、運が悪けりゃ生きたままガブリ…ってされるかもね」

 

「名前って……仔馬の館で『仔馬館』だろ?可愛らしい名前じゃねぇか?」

 

「気持ちは分かるけどお兄さんはやっぱり……なんでもないのだ。

『紅』の悪『魔』が住む『館』で『紅魔館』なのだー」

 

「説明ありがと、ルーミア。

ま、そういうわけよ、どーするの?

ここまで聞いてもやっぱり行きたい?」

 

「まぁ、それ聞いたらなぁ…

でも、お前達みたいな姿の妖怪もいるなら

そいつらもやっぱり見た目は人間みたいなのか?」

 

「そうだけど…」

 

「やっぱり、例に漏れず美少女なのか?」

 

「そうね…全員が全員、かなり可愛い部類だと思うけど」

 

「あ、じゃあ行くわ」

 

美少女と聞くなり即答した俊に対して、ルーミアはなんとなくそんな気がしていたのか、溜息を吐くだけで終わったが、ミスティアは何を言っているのか分からねぇ…みたいな顔をしていた。

 

「ア、アンタねぇ…話聞いてた!?

殺されるかもしれないのよ!?」

 

「ルーミアはなんとなくそんな気がしていたのだ、だけど自殺紛いの事はやめといたほうがいいと思うのだ」

 

「あぁ、それなら多分大丈夫だよ」

 

「…へ?」

 

「何でなのだ?」

 

「逃げ足だけは自信あるからな。

攻撃を全て捨てて、逃げに徹すればさっきのミスティアとやった戦いでも被弾しない自信はあったしな。

と言うわけでルーミア、案内してくれるか?」

 

「了解ーなのだー」

 

「もう!ルーミアも止めてよ!

死んじゃっても知らないからねっ」

 

そうして恭介とルーミアは悪魔の館『紅魔館』を目指して歩いて行くことにした。

振り返ってみると、ミスティアは腕組みし、ソッポを向いている。

バイバイと手を振ると、チラッとこちらを見てくれたが手を振り返してはくれなかった。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

2時間程経っただろうか、森の中を歩き続けていると、ルーミアが急に恭介の手を取りクイクイっと引いてきた。

 

「ねぇ、お兄さん…」

 

「ルーミア、安心しろ…言いたいことはなんとなくわかる」

 

テクテク、トコトコ、コツコツ

テクテク、トコトコ、コツコツ

 

足音が三人分、森の中に響く。

恭介とルーミア、それに加えて誰か一人分の足音、二人が足を止めれば慌てた様に少しバタついて止まる。

……オヤシ◻︎様かな?かな? 嘘だ!!

 

反応して欲しいのか分からないが、こちらに姿をチラ見せする頻度が増えている気がする。

別に誰か分からないから無視したのではなく、その方が面白そうと言う理由だったというのが恭介らしい。

鳴き声が聞こえてきては流石に哀れに思えて来たので、恭介は仕方なくその『誰かさん』に声をかけることにした。

 

「なぁ、もう隠れるのやめて一緒に歩かねぇ?」

 

「ルーミアにもバレるような尾行じゃ、隠れてるとは言い辛いのだー」

 

木の陰から見えていた特徴的な『翼』がビクリとして驚いているのがよく分かる。

暫くその翼の方を見ていると……

 

「…ふ、ふふ、ふふふ、あーはっはっは!

よ、よく私がここに居ることがわかったわね!」

 

何故か威張り散らしての登場だった、おそらく照れ隠しだろう、頬が真っ赤である。

 

「ミスティアはツンデレだな」

 

「ミスティアはツンデレなのだ」

 

顔が真っ赤で小動物のような少女に暖かい眼差しを向けながらハモった2人。

 

「な、何よ!心配したらダメなの!?

勘違いしないでよね!私が心配してるのはルーミアだけなんだからね!」

 

あまりにテンプレなツンデレに恭介どころか、同性のルーミアでさえも思わず愛でたい衝動に駆られていた。

 

「ミ、ミスティアが異常に可愛いのだ……お兄さんの気持ちがわかった気がしたのだ…」

 

「ミ、ミスティアたん……ハァ、ハァ」

 

「も、もういいでしょ!

紅魔館に行きたいのなら、私についてこればいいじゃない!」

 

「まぁもう夜遅いからな、流石に俺も眠いし疲れた…」

 

「………ん〜 ( ~_~)」

 

「どうした、ルーミア?」

 

「そろそろ眠いからルーミアの家に来るか?」

 

「だっ、ダメよルーミア!

こんな訳のわかんないやつ家に上げたら

何されるか分かったもんじゃないわよ!?」

 

「んー、多分大丈夫なのだ、ねぇお兄さん」

 

ルーミアが声をかけると恭介は物凄く気だるそうに振り返りこう言った。

 

「…そうだな、今は眠いし疲れ過ぎてもうこれ以上セクハラ出来る元気なんて残ってない」

 

眠い、という発言を聞いて、やっと自分が気を張っていたのを自覚した恭介は、緊張の糸が切れたのか物凄く眠そうな顔をしている。

恭介がセクハラをしない…それは一種の奇跡。

 

「ホント?そう言っといてルーミアの家に入ったらケダモノになるんじゃないの?」

 

「「それはない。あ、ハモった」」

 

「なんでそんなこと分かるのよ?」

 

「「んー…多分、ノリが近いから?

あ、またハモった」」

 

妙に気が合うルーミアと恭介は、お互いの顔を見て頷きあった後、何故か以心伝心と言っていいほどの動きでルーミアを肩車した。

 

「アンタ、疲れたんじゃなかったの?」

 

「まぁ、疲れてはいるけどルーミアくらいの軽さだったら別に気になる程じゃないからな」

 

「ルーミアは体重を気にするレディなのだ。

お兄さんは今『軽さ』って言ってくれたから好感度が急上昇しているのだ」

 

「…あそ、じゃあ私も疲れたしさっさとルーミアの家に向かいましょ」

 

「おー!なのだ」

 

「おし、じゃあ道案内頼むわ」

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

道中では特に変わった事はなく、精々ミスティアが羨ましいそうな目でルーミアを見ていたくらいだった。

 

「やっと着いたのだー!」

 

「……zzZ」

 

「寝てるし…」

 

「……ん、んあ?誰か呼んだか?」

 

「あんた…いつから寝てたのよ?」

 

「…憶えてねぇ」

 

「お兄さんは肩車をして粗方の道筋を教えたら寝ていたのだ」

 

「寝ながら歩いてたの!?」

 

ルーミアの匂いを憶えていた恭介はその匂いを辿って、ルーミア本体の次に匂いの強い場所に寝ながら向かっていたのである。

極度の匂いフェチにしか出来ない技だ。

 

「あんた…ホントに人間?」

 

「ん〜、まぁ、多分」

 

「多分!?」

 

恭介自身、自分が人間離れしている事は分かっているので、ぶっちゃけ人間辞めてるんじゃないかという事を自分でも疑っていた。

 

「ルーミアはもう気にしてないのだ、だから大丈夫なのだ」

 

「何が大丈夫なのよっ!!」

 

恭介とルーミアはミスティアをチラリと一瞥しニヤリと笑って家に入って行った。

 

「ちょ、待ちなさいよー!あんた達を二人にしたら何するか分かんないから私も泊まってくわよ!」

 

こうして、割と幸先の良いスタートを切った恭介の幻想郷初日は過ぎていった。

だが恭介は知らなかった、この先自分の身に降りかかる災厄に………。

 

 

 

 

 

 

 

「最高の抱き枕だ」

 

「ちょっ、何抱きついてんのよ!?

(ドグシャァァァア)」

 

「ぶるあぁぁぁぁぁ!!」

 

その前に一厄あったが。

 




末期だったでしょ?
作者本人が認めているのだから末期です。
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