覚醒紅魔郷   作:ジャックハルトル

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今回のバトルは恭介VSアトラスですね

何故か、VSレミリア戦に比べて短くなったでござる、人数差?

両者共原作には存在しないキャラクター同士なので、ほぼオリジナル小説みたいになっちゃった不思議。

ここから恭介の人外疑惑の理由がちょこちょこ出てきますね。
レミリアに手がつけられないと言わしめる程のアトラスの実力はいかに!


第7話・緋色と黄昏・後編

 

 

 

両手を握りしめて3人の無事を祈るの恭介は普段のバカ具合からは考えられないほどに沈痛な面持ちで佇んでいた。

何とか声よかけようとするアトラスだが、恭介がこうなっている原因が自分達、紅魔館サイドが原因なので声をかけられなかった。

 

「……………」

 

「……………」

 

お互いがお互いに声を掛けれないでいると、客間のドアがガチャっと開かれた。

 

「失礼します。

お嬢様とルーミア様、ミスティア様、椛様の対戦が終了しました。

恭介様とアトラスはまた別の場所で戦っていただきますので、ついてきて下さい」

 

「えっ、もう終わったんですか?」

 

「はい、御三方の勝利で幕を閉じましたよ。

ミスティア様の負傷が少々厄介な事になっていますが、大丈夫です。

確実に全快させられます、もしダメだったら

無抵抗なお嬢様をボロボロになるまでサンドバッグにする権利を差し上げます」

 

冗談のように言う咲夜だが、その言葉からは絶対の自信が湧いている。

どうやらレミリアをサンドバッグにする事はなさそうだ。

 

「そうですか…よかった…」

 

アトラスもその報告に安心して、大きく息を吐き出した。

彼女も心配してくれていたのだろうか、恭介にもそれが伝わってきたため、やはりアトラスは優しい人なんだと思うと少し笑えてきた。

 

「ははっ、アトラスさんも心配してくれてありがとうございます」

 

「当然です。戦うなんて聞いていませんでしたし、あの3人は私からみるとまだまだ幼い女の子なんです。

……お嬢様はいつもいつも…我儘がすぎます」

 

プンスカと可愛らしく怒るアトラスはやはり優しい。

まだ決まったわけではないが、正式採用されてからが楽しみになってきた恭介。

 

「さて、受かりにいきますか」

 

「頑張ってくださいね、恭介様」

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

咲夜に案内されてついた場所は屋外だった

庭園とも呼べるほど広大な敷地に石畳が敷いてある。

そこの中心に恭介とアトラスは立っていた。

咲夜は離れた所に立ってこちらを見ていた。…そう言えばさっきもいなかったが、審判でもしていたのだろうか?

 

「では、両者とも準備が出来次第、構えて下さい」

 

俊は一度深く深く深呼吸してから構えを取った。

見たこともない型だったが、それは誰が見ても隙のないものだった。

 

「やはり神城様は武術の嗜みがあったのですね」

 

「それも『読み取った』んですか?」

 

「いえ、能力を使わずともその動きを見れば神城様がお強いのは分かりますよ」

 

「…じゃあ始めましょうか」

 

「あまり気乗りはしませんが…よろしくお願いします」

 

そう言って構えたアトラスの型は恭介にとっては予想外過ぎるものだった。

 

「では、神城様の技術…この戦闘で使った分は全て読み盗らせていただきます」

 

「……もしかして、バカにされてます?」

 

「いえいえ、バカになどしていませんよ」

 

「ならなんで俺と全く同じ型をしているんですか?」

 

「優れた技術を吸収し、己の物とする…故にこの構えと言うわけです」

 

アトラスは自分の能力で恭介の構えをトレースしていた。

恭介の取った構えは攻撃を殆どしない代わりにカウンターを主とした防御専用の型だったが、それはアトラスにもバレていたようで、向こうから仕掛けてくる気配はない。

 

「怪我しても後悔しないで下さいよ!!」

 

構えを崩し、恭介はアトラスに向かいその場から大きく飛び跳ねた。

この構えは恭介が編み出した技術、故にその有用性や弱点も知り尽くしている。

 

恭介は空中で体を横向きにグルグル回しながらアトラスの頭に向かって、全力で蹴りつける。

 

「スペルカードは持ってないけど…こんは感じで叫べばそれっぽいでしょう!

『恭介流・風車!!』」

 

自力と遠心力、そして重量を加えた一撃は、並みの相手ならそのまま殺せる程の威力を誇っていたが……

 

「中々に重い一撃でしたね…腕が折れちゃうかと思いましたよ」

 

「!?」

 

口調こそ優しげだが、ガードの下から覗き込むアトラスの視線は先程までの優しそうな雰囲気と違い、どこか獣じみた、それこそ獰猛な狼を思わせる野性を感じられた。

 

アトラスは風車をガッチリガード、どころか恭介の足を捕まえて逃げられないようにしながら語る。

 

「恭介流……でよろしいのでしょうか、この構えの弱点は上から来る強力な攻撃ですよね?

本来ならば正面からくる攻撃を絡め取り、腕をへし折る技……で間違いありませんよね?

読み盗らせてもらうとは言いましたが、それ以外を使わないとは一言も言って……

ーーーっいません!!」

 

「がはっ!」

 

フルスイングで地面に叩きつけられた恭介は、肺から全ての空気が吐き出される。

直ぐに意識をハッキリさせたのは流石だが、起き上がろうとするよりも、アトラスの行動は更に早かった。

 

「追加です!」

 

アトラスは真上に飛び、グルグルと横に回りながら落下して来た。

 

「げっ!」

 

「風車!」

 

俊自身がその威力を知っているため慌てて横に転がると、アトラスの『風車』が地面に激突する。

 

避けてすぐに起き上がった恭介が目にしたのは、風車の開発者である本人をもってしても信じられない光景だった。

アトラスの立っている場所を中心にして、綺麗に抉れている。

それこそ地面にはひび割れもなく、それはまるで最初から深い溝があったかのようになっている。

いくら恭介が人間離れしているとはいえ、流石にここまで深く抉る事など出来る気がしない。

 

「……冗談キツいですって………」

 

「やはり…貴方の編み出した恭介流は良いものですね」

 

その威力を目の当たりにした恭介は瞬間的に感じた、多分まともな方法じゃ勝てない。

 

恭介が息を整えるのをまってから、アトラスが『風車』の使用感を述べ始めた。

 

「派手な見栄えとは裏腹に極めて繊細な技、只々相手を粉砕するのではなくこの技の極意は相手の肉体を抉り取る…といった所ですか?

むしろただ破壊力がある程度の技なら、お嬢様クラスの攻撃力じゃない限りは私の腕が痺れる事なんてあり得ませんからね。

それよりもこんな技を一般人に使ってはいけませんよ?

人間相手に使ったら確殺ですよ?」

 

「そこまで読み取られた上にこの威力って…

バケモンですか、アトラス先輩は…」

 

「むっ、女の子にバケモンとは失礼ですね」

 

「それはすいませんでした……っね!」

 

こんな時にも関わらず可愛らしく怒るアトラスに対し、俊も冗談を混じりに駆け出す。

瞬時に肉薄した恭介は、一撃で終わらせる事を諦め、手数で圧倒する作戦に切り替えた。

 

無数に繰り出される拳をアトラスは全て紙一重で躱す、躱す、躱す、躱す……

その度に、ボッ、ボッ、と風を切る音がアトラスの耳を叩くも、不意にアトラスが『ふふっ』と笑みを漏らす。

 

「神城様…ご自分の型をお忘れでは?」

 

「しまっ…」

 

気付いた時には既にアトラスは先程見た構えをとっていた。

攻撃後の伸びきった右腕を脇、肘、手首でガッチリと押さえ込みギリギリと力を込める。

 

「くそっ!離せ!」

 

腕を折られそうになる痛みに耐えながら左手でアトラス顔面を狙い殴りかかるが、それすらも捕まってしまう。

 

ギリギリと両腕を締め上げられ折られそうになるも、諦めるわけにはいかない。

アトラスの脇腹を狙って右のミドルキックを……

 

「恭介様に一言言っておきます。

私の目に映るような速度の攻撃では、私に一撃を入れる事は出来ません」

 

アトラスは恭介の左足を蹴り抜いた。

技術も何もないただのローキックだが、恭介の骨を折るくらいは造作のない事だった。

踏ん張りが利かなくなった事でガクンっと体が沈んでしまい、恭介のミドルキックは失敗に終わる。

 

「うがぁぁぁぁ!足が……足がぁぁあ!!」

 

遅れてやって来た痛みと腕にかかり続ける痛みで頭がどうにかなりそうだったが意識を失う事はせず、暫くすると肩で息をして満身創痍になりながらもアトラスを睨みつける。

様子を見ていたアトラスは、悲しそうな声色で語りかけた。

 

「出来れば、一緒に働きたかったです…」

 

腕を解放して恭介を自由にするも、片足が使い物にならない以上は逃げる事も出来ない。

アトラスは無事な右脚を掴むと、恭介を上空に放り投げた。

紅魔館の屋根よりも高く打ち上げられた恭介は、その人間離れした視力により、見ないほうが良かったな…と一人ごちる。

 

アトラスが懐からスペルカードを取り出し、宣言する。

 

「『爆声・ウルフ・クライ』」

 

「わん!」

 

アトラスが犬の鳴き真似をすると、俊の腹で『何か』が弾けた。

 

「ぐふっ…一体何が…」

 

「わん!わん!わん!わん!わん!」

 

その後もアトラスが吠える度に体の何処かで見えない何かが炸裂するせいで、恭介は地面に降りて体制を立て直すことも出来ない……どころか、更に高く高く打ち上げられて行き、体を丸めてガードするもダメージが蓄積されていく。

 

「わん!わん!わん!わん!わん!わん!わん!わん!わん!わん!わん!わん!わん!わん!わん!わん!わん!」

 

「ぐっ!あぎっ、があぁぁぁぁあ!!」

 

「これで…終わりです!」

 

既に何メートル打ち上げられたか分からなくなるほどの高さにまで達したとき、地面に何かをした後、アトラスが真横にまで跳んできた。

迎撃体制を取ろうとしたのだが体を上手く動かせないせいで、簡単に首を捕まれてしまう。

 

「……神城様、死なないで下さいね…」

 

「まだ……まだぁ!」

 

「ーーー!?」

 

恭介はショートアッパーを放つも、スウェーで避けられてしまう。

 

「危なかったです…もう少しで当たるところでした」

 

「……直撃、して、くれると、嬉しかったん、ですけど…ね」

 

空中で話しているのだが、落下しながらなのでそう時間は取れない。

 

「神城様、今ならまだ降参を認めます」

 

「絶・対、嫌だ!」

 

絶対絶命の状況で相手の誘いを断る姿、お互いに見えていないし、知りもしないのだが…

何処かの誰かと同じシチュエーションで同じ意味のセリフを吐いた。

 

「分かりました。では私も、その言葉に敬意を表します。

『今の姿』では全力には程遠いですが……本気で行きます」

 

「カモン、ワンちゃん……俺の合格は揺るがねぇぞ?」

 

「すぅ〜…………」

 

息を大きく吸い……

 

「…………ワン!!!」

 

解き放った。

 

落下の速度があった上に『イグニッション・ボイス』の最大音量が直撃した事により、とんでもない速度で地面に激突した。

 

隕石でも落ちたんじゃないかと思うよな爆音に近い音を立てて、地上に叩きつけられた。

石畳など最初から無かったかのように地面が剥き出し状態になり、辺り一面が砂煙りで覆われている。

アトラスは恭介の無事を確認する事もせず、咲夜に向けて視線を投げかけた。

 

「終わり…ました。

神城様を医務室に運んで下さい……」

 

「……貴女ねぇ…そんな悲しそうな顔をするくらいなら少しくらい手加減しても良かったんじゃない?」

 

「いえ、それは出来ません。

神城様は武人です、そんな人が本気で来ているのに私が本気を出さないのは決してやってはいけない行為です。

だからこそ、確かに全力ではありませんけど『この姿』での本気は出して戦いました」

 

「だからって……」

 

「いいんです、こうしないと神城様に怒られてしまいます」

 

「彼……あれで生きてるの?」

 

「はい、後…神城様は生きています。

落とす場所をクッションになるよう、事前に耕しておいたので…読み取った神城様の耐久力ならギリギリ耐えれたでしょう。

意識を失ってるとは思いますが、早く医務室…に……あら?」

 

「おっと…どうしたの、アトラス?」

 

喋っているアトラスが急にフラついたのを見て、慌てて駆け寄り抱きとめてる。

最初は訳が分からないといった表情をしていたのだが、アトラスは合点がいったのらしい。

 

「ふふっ……咲夜さん、頼もしい後輩が出来ましたよ?」

 

未だ答えの出ない咲夜がアトラスの頭をポンポンと撫でていると辺りの土煙が段々と晴れてきた。

 

恭介が何かしたのか?と思い、土煙の晴れてきた先を見ている咲夜は一瞬驚いてからアトラスを見ると、可愛らしい笑顔のままこちらを見上げていた。

 

「恭介様…違うわね、恭介……でいいのかしら?彼、強いわね」

 

「ええ、本当に人間なのか疑うほどですよ」

 

「いつダメージなんかもらったの?

終始一発も貰ってないでしょ?」

 

「空中にいたときに、ですね。

ショートアッパーをされたときに避けきれなかったんですね、顎を掠めたのが今頃来たようです……ごめんなさい、負けちゃいました」

 

「そんな嬉しそうな表情で言われてもねぇ…」

 

「咲夜さんこそ、嬉しそうな顔してますよ?」

 

すると、パタパタと翼を羽ばたかせながらレミリアが飛んできた。

 

「咲夜〜、結果はどうなってる……って、大丈夫?アトラス?」

 

ミスティアの治療を魔法使いの親友に任せたあと、アトラス達の様子を見に来たレミリア。

咲夜に寄りかかるようにしているアトラスを心配していると、咲夜が恭介のいる方向にレミリアとアトラスを連れて行くと、そこには…

 

「お嬢様、合格です」

 

「あらら、結果は全員合格?

私達も油断してたら、いつかクーデター起こされて主要メンバー交代しちゃうかもよ?」

 

レミリアも本気でそんな事を考えてはいなかったらしく、ニシシっと悪戯っぽい顔で笑う。

 

「大丈夫ですよ、レミリア様。

まだまだ後輩に負ける気はありませんし」

 

レミリアの冗談に微笑みながら、アトラスは気絶している恭介の頬を人差し指でツンツンプニプニ。

 

 

 

「こんなにいい笑顔で笑う人が、そんな事考えるなんてありませんよ」

 

 

 

 

 

 

 




はい、こんな感じです。

アトラスの強さはさり気なくヤバいです。
『読み取る程度の能力』に関しては自分の理解できるものならば全て正確に読み取る事が出来ます。

よくよく考えたら、さとりんよりも強力な能力かもしれないですね。

欠点……って言っていいのかどうかは分からないですが、目に映らないものに関しては能力を使えません。
精神攻撃だったり、超スピードのものだったり……
まぁ、スピードに関してはアトラスさんの動体視力を超えないといけないので……幻想郷には果たして何人それが出来るのか…

か、感想くれてもいいのよ?(チラッ
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