覚醒紅魔郷   作:ジャックハルトル

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シリアスはもう嫌だ。

さて、今回は三人娘のその後と恭介がアトラスに勝てた理由を説明する回です。

分かり易く説明してる気はしますけど、ボクシング用語が軽く出てくるので分かんない人がいるかも……


第8話・新人と変態

 

 

 

 

拙者はどうなったのでしょうか…確か、レミリア殿に首を絞められて……ダメでありますね、ここから先が思い出せませぬ。

 

も……じ!

 

なんの音でしょうか、そう言えばさっきから誰かに呼ばれてるような気が…

 

もみ……!

 

あぁ、眠い…この微睡んでいる時が一番気持ちいいであります…

 

早く………さい!

 

「拙者は臭いのでありますか!?」

 

「意味分かんないわよ!?」

 

「………Zzz……」

 

メイド服を着たミスティアが椛の肩を揺らすが、何をしても起きない。

いつまでも寝ている椛に呆れたミスティアは、側にいた咲夜の方を向いて深い溜息を吐いた。

 

「ダメだこれ…全然起きないわね……

ねぇ咲夜、椛はもう大丈夫なんでしょ?」

 

「そうね…そのはずなんだけど……

それよりも口調、私は貴女の上司よ?」

 

「まぁいいじゃない、今更変えろって言われてもなんか気持ち悪いし」

 

「それもそうね…それよりもこの子、もう傷も完治してるし問題ないはずだからさっさと起こしてちょうだい、お嬢様が心配していたから様子だけでもお見せしたいわ」

 

「ん、わかったわ」

 

咲夜はミスティアに指示を出すと医務室から出て行った。

レミリアとの戦いで命を落とした思っていたのだが、実はグングニルを喰らう直前に咲夜が能力を使い二人を助け出していた、というのを目覚めてから教えてもらった。

 

「椛っ!さっさと起きなさい!あんた、ヨダレ垂らして幸せそうな顔してるってことはただ単に寝てるだけでしょ!」

 

「……むにゃむにゃ……zzZ」

 

「さっさと起きなさいって……言ってるでしょうがぁぁぁぁぁ!! (グシャッ)」

 

それはそれは見事なエルボードロップが決まったそうな…

 

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁ!!……ぐふっ」

 

「あ………」

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「レミリア〜、椛が目を覚ましたわよ〜」

 

椛をKOしたミスティアはズルズルと引き摺りながらレミリアと咲夜の待つ部屋にやって来た。

椛は生死の境を彷徨っていた。

 

「ありがと〜、ミスティア」

 

「カリスマ保ててないわよ」

 

「げふんげふん…ご苦労だった、ミスティア」

 

「もう見慣れたからいいけどね」

 

ミスティアに冷たい目で見られ気まずい雰囲気が流れる中、咲夜はどエライものを見つけてしまった。

死にかけていることには誰も気にしないのが紅魔館スタイル。

 

「ミスティア…椛の服…」

 

「服?……あ」

 

「セクシーね」

 

椛は服を引っ張られながら歩いてきたせいで、完全に服が捲れあがってしまい小さい下乳が丸出しになっていた。

それだけなら良かったのだが、何処で落として来たのか袴を履いておらず、下着も膝辺りまで脱げてしまっている。

 

「こんな格好してるのを恭介に見られたらこの子…ヤられるわよ」

 

「……急いで履かせなきゃ」

 

せめてパンツだけは履かせてやらねばと思い、咲夜がパンツに手を伸ばした瞬間……

 

「は〜い、神城 恭介で〜す。

ご命令に従い参上しま…し…た……」

 

恭介の来たタイミングが悪かったのか、恭介の頭が腐っているのか…ミスティアが椛のパンツを降ろし、これから三人でイイコトしようとしてるのではないかと思い……参加する事にした。

 

「ウヒョーーーー!!朝からこんな嬉しいイベントに出会えるとは僥倖!据え膳食わぬは男の恥!も〜みじちゃ〜ん!」

 

世紀の大泥棒よろしく椛に向けてダイブした恭介だが、そう簡単にはいかないし、いかせない。

 

「ーーっ!確保!」

 

レミリアが叫ぶのと同時に咲夜とミスティアが左右から恭介に飛び付いた。

 

「甘い!」

 

「ひゃあっ」

 

「きゃっ!」

 

すれ違いざまに気持ち悪い動きをしながら

ミスティアと咲夜のパンツを剥ぎ取った

恭介は、それを顔と頭に装着しこう言った。

 

「我が覇道、止めれるものならば止めてみるがよい」

 

「くっ…咲夜、ミスティア、いける?」

 

二人ともスカートのため顔を赤くし、スカートの前と後ろを押さえながら俊に再び対峙した。

 

「恭介……許さないわよ…」

 

「後輩の、部下の分際で私に楯突こうとは……もう一度生死の境を彷徨いたいのね?」

 

モジモジしながら言う姿は恭介のご褒美にしかならない事を理解した方がいい。

 

「その表情、その仕草が我が糧となる……

だがいいのか?あまり動くと、見えてしまうぞ?」

 

「……流石は恭介ね、アトラスを条件付きとはいえ破っただけはある…」

 

「レミリア嬢、次は椛と貴女のパンツを奪わせてもらう。

この技は最近アトラス先輩に教えてもらった歩法でね…まさかこんな形で実戦投入するとはな」

 

恭介はアトラス直伝の歩法を無駄に活用し、分身を発生させながらレミリアに接近する。

 

「ふっ」 俊A

 

「俺に」 俊B

 

「大人しく」 俊C

 

「パンツを」 俊D

 

「渡せぇ!」 俊E

 

分身を含めた6人の俊がレミリアに襲いかかった。

その場にいた全員(変態除く)はあまりの気持ち悪さにその場で腰を抜かしてしまい、逃げることすら出来なくなってしまった。

 

「助けてーーー!アトラスぅーーー!」

 

「かしこまりました」

 

いつの間にか恭介の真後ろに現れていたアトラスに後ろから抱き着かれて身動きが取れなくなってしまう。

 

「ア、アトラス先輩!?何故止めるんですか!てかなんで本物見分けられたんすか!?」

 

「私、普通よりも鼻が良いんですよ。

それに……えっちなのはダメですよ?」

 

更にキツく締めてきたアトラスだが、なぜか俊はだらしない顔を更にだらしなく緩ませていた。

 

「うへ、うへへ…」

 

「?……どうしたんですか?」

 

「ア、アトラス先輩の立派なお胸が俺の背中にクリティカルヒットぉ…あぁ、最高だ…おふっ」

 

恭介の高レベルな気持ち悪いセリフを聞いたレミリアがバッと顔を上げ、恐る恐るアトラスの顔を見た。

そこには、金色の瞳を爛々と輝かせ、とてもブラックな笑顔を浮かべるアトラスがいた。

 

「そ、それ以上言うのはやめといた方がいいわよ、恭介」

 

「……レミリア様」

 

「ひっ」

 

「…もう遅いです」

 

ギュウギュウと抱き締める力を強くしていく。

胸が当たるのが恥ずかしいのか、少し顔が赤くなっているが、恭介はそれを堪能出来ていない。

 

「ぐ、ぐるじい…中身出ちゃう…」

 

「えっちなのは……ダメですよっ!」

 

アトラスは恭介を持ち上げ、実に見事なブリッジを描いく、つまりはバックブリーカー。

恭介は幸せに包まれながら紅魔館の床に頭から埋め込まれ、斬新なオブジェと化した。

 

「もう…恭君は真面目にしてればカッコいいのに…」

 

立ち上がり、手をパンパンと鳴らした後、恭介の頭を撫でてあげようとしたのだが、頭は地面に埋まっているので代わりに尻を撫でておいた。

その際に恭介がビクンビクンしてた理由は誰にも分からない。

 

「さて、皆さんも遊んでないで業務に戻って下さいね」

 

ニッコリと笑いながらアトラスは何処かに行ってしまった。

レミリア、咲夜、ミスティアは苦笑いで『はい…』と言うしかなかったのは仕方のない事である。

 

ここまでの間、椛はずっと半裸だった。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

ところ変わり、紅魔館正門前。

 

「美鈴〜、ルーミアお腹減ったのだー」

 

「こらルーミア、さっき私のご飯食べたばかりでしょ。

おかげで私は………(ぐぅぅぅ)」

 

「屁?」

 

「お腹空いたんです!」

 

「まぁまぁ、昼までの我慢なのだ」

 

ヘラヘラと笑いながら言ったルーミアを

美鈴が恨めしそうに見ていた。

ちなみに、4人の中で一番最初に目覚めたのはルーミアだった。

受けた攻撃がたった二発だけだったのが幸いだったらしい……あの、レミリアからの二発だから相当なダメージではあったらしいが。

 

「ていうか、ルーミアはなんでこんな面白くない所に配属されたのだ?

ルーミアもメイド服着たかったのだ」

 

「私が長年やってる仕事を面白くないの一言で片付けないで…」

 

「まぁ、この服を見たときのお兄さんが

中々いい反応を見せてくれたからそこだけは褒めてやるのだ」

 

ルーミアが紅魔館で働くにあたって割り当てられたのが『門番』である。

 

先程からルーミアと話しているのは、この紅魔館で門番をしている『紅 美鈴 (ホン・メイリン) 』という女性だ。

流石に年がら年中起きて門番をしている訳では無いので夜は別の者が門番をしている。

その子も今は寝ているので、夜になったら起きて来るだろう。

そして、ルーミアが着ていた服はレミリアとの戦闘でボロボロになってしまったので、咲夜が縫い直してくれている。

 

今着ている赤いチャイナドレスは、夜の門番である『リプト・ディーノッテ』と言うルーミアとほとんど背丈の変わらない女の子から借りている。

ノースリーブで腰から裾まで長いスリットが入っているが、下にスパッツを履いているのでチラリズムは存在しない。

 

「でも、あの喜びようは異常だったわね…」

 

「にしても椛はまだ起きてないのかー?」

 

「さぁ、どうなんで……」

 

『ぎゃぁぁぁぁぁーーーーーー!!』

 

「今のは…」

 

「椛…だと思うのだ…」

 

こうして2人はいつものように門を守っている。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「恭介…貴方も懲りないわね…」

 

「いてて、アトラス先輩は相変わらず下ネタ耐性低いな…」

 

「ま、これに懲りたらあんまりエロいことばっかしないでよね」

 

「安心しろ、俺はこの紅魔館の住人全員をエロい目で見ている、もちろんレミリア嬢の事もだ」

 

「何処に安心する要素があるのやら…」

 

レミリアは恭介に用事があったらしくミスティアと咲夜に半裸の椛を回収させ、恭介を引き抜くと割と平気そうにしていた。

以前から気になっている事を恭介に聞いてみるために、テーブルを挟んで椅子に座った。

 

「あの試験のときさ、私は側にいなかったから見てないけど、どうやってアトラスに勝ったの?」

 

「教えて欲しい?」

 

「教えないともっとヒドイ服にするわよ…」

 

「それは勘弁」

 

「じゃあ話してよ」

 

「はいはい、了解しましたよ、お嬢様」

 

はぁ…と一つため息を吐くと聞きたかった事を告げた。

 

「妙に気になっちゃったから聞くんだけどさ、あんた……あのアトラスにどうやって勝ったの?」

 

「ん〜…まぁ単純な話なんだけどさ、アトラス先輩って能力使っても使わなくても攻撃を紙一重で躱す癖があったんだよ。

んで、俺はピーンと来たわけよ」

 

「どうピーンと来たの?アトラスからも軽く話を聞いたけど、顎を打ったんだって?

私でも本気のアトラスを捉えるのは難しいのよ?」

 

「マジで?あの人そこまで規格外だったの?」

 

「『完全体』のアトラスと戦ったら私でもヤバいんじゃない?

アトラスが『完全体』になる訳ないけど」

 

「うわぁ…マジ、なんであの人を俺にぶつけたんだよ……ま、まぁいいや…

アトラス先輩の武術ってさ、多分だけど美鈴から読み取ったのとかだろ?

動きの殆どが太極拳だとか少林拳とかが多かったんだよ」

 

「つまり?」

 

「アトラス先輩の知らない攻撃を出せば当たるだろう、的な?」

 

「でも、アトラスの動体視力を超える攻撃なんかあるの?」

 

「ないよ?」

 

あっけらかんと答える恭介にちょっとイラッとしたのは内緒。

しかし実際問題、アトラスの動体視力は人間を超えるどころか、能力も相まってレミリアですら本気をださないと難しい。

それだけアトラス・トワイライトという存在はそのレベルで規格外だという証拠だ。

 

「そこで思い付いたのが現代格闘技のボクシング、そしてショートアッパーだ」

 

「ボクシング?ショートアッパー?」

 

「あぁ、やっぱり知らないのな

 

腕を組んで???となっているレミリア、だが知らなくてもしょうがないだろう。

今よりも幻想郷は遥か昔に作られた、というより隔離された場所。

恭介はその事を知らなかったのだが、一世一代の大博打に勝った。

 

「ボクシングってのは簡単に言うと拳だけを使った格闘技だな。

ショートアッパーはボクシングにある技の一つで…説明が面倒くさいな。

レミリア嬢、今からやるからガードしてくれ」

 

「いいわよ」

 

椅子から立ち上がり、一人分程の距離まで近づいてから、恭介はレミリアの顔の側面に向かって左のフックを放つ、もちろん本気ではないが、相手がレミリアと言うことで速度はそれなりになっている。

 

「?これがショートアッパー?」

 

それを左手で受け止めるレミリア、説明のためにやった事なので別に怒ったりはしない。

拳を受け止めた体制のままでいると…

 

「いや、こっちが本命だ」

 

「あぁ〜、なるほどね、こりゃ初見では避け辛いわね」

 

レミリアの顎に寸止めされている拳を退けると2人は椅子に座った。

 

「これくらいの距離で顔面狙いの左フックを左手でガードすると、腕が邪魔になって下が見えなくなるだろ?

そこを狙って顎を叩けば視野も狭くなるし、避けようにも腕が邪魔で避け難くなるんだ。

アトラス先輩にやったのはこれとほぼ同じような使い方をしたショートアッパーだったって訳だ、直撃させるつもりだったんだけどな」

 

「ふむ……でもアトラスはその一撃だけだって言ってたわよ?

最初に言ってた…フックだっけ?そんなの打ってないんじゃないの?」

 

ん〜……と説明し辛そうに言い淀む恭介を怪訝に思ったのか、テーブルに手を付いて恭介に顔を近づけた。

 

「何よ、言いにくそうね…」

 

「………怒らない?」

 

「怒らない」

 

観念した恭介は、レミリアの肩を押して椅子に座らせた。

 

「その…なんだ……アトラス先輩って……大きいだろ?」

 

「ん、何が言いたいかは分かった。

つまりはこうか、空中で不安定な体制+首を掴まれてるから距離も近い、それに加えて

アトラスは『大きい胸』が邪魔で普通よりも下が見え難いからこそ、不意打ち気味のショートアッパーに完璧な対応を出来なかったって事でしょ?

あと、胸のサイズは気にしてない…とは言わないけど、そんなに目くじら立てないわよ」

 

「あ、そうなの?」

 

「そうなの。で、答え合わせは?」

 

「大正解」

 

「商品は?」

 

「午後のティータイムにお菓子でも?」

 

「豪華景品でよかったわ」

 

恭介は現在、レミリアに敬語を使わずに話している。

別にレミリアの事が嫌いだとか尊敬していないとかそう言う話ではなく、ただ単にレミリアが許可しただけの話である。

 

「にしても…この服はなんとかならないもんかね、服自体は好きだけど、自分で着るのはかなり勇気が要ったぞ」

 

「に、似合ってるわよ?」

 

「あのなぁ…別に俺、女顔でもないから

絶対に気持ち悪いだけだろ。

レミリア嬢の顔、引きつってるし」

 

「ボクシング講座のときに噴き出さなかった私を褒めて欲しいくらいよ」

 

「んな事言われてもパン一で過ごされるよりもマシだろう!

そんな事になったらさっきの講座もパン一で女の子に迫る変態にっ……あっ、いつもの俺と大して変わんねぇ」

 

「もうっ、意識しないようにしてるのに!

それに仕方ないでしょ、ウチの館って女しかいないじゃない!ズボンもあるにはあるけど、恭介がデカすぎるのよ!」

 

「それはそうなんだけどさ…あ〜ぁ、早く代わりの服見つかんないかな…」

 

「そのうち咲夜に買いに行かせるから安心

しなさい」

 

「ま、焦ってもしょうがないか…」

 

「そゆこと」

 

 

神城 俊・18歳、職業………メイド

 

 




分かり難いかな?個人的には大丈夫だと思うけど…

ミスティアはメイド、ルーミアは門番、椛は見張り役……主人公の恭介もメイドです。

アトラスさん…自分で作っておいて何だけど、理不尽だなぁ…まぁ、気に入ってるから後悔してない。

恭介はもう一回アトラスと戦ったらまず間違いなく勝負になりませんね、瞬殺&ノーダメでアトラスの圧勝です。
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