転生。最近ライトノベルで人気のジャンルだと僕は記憶してる。
「いや、最近かどうかは怪しいか」
ポツリ呟き、見上げる天井は、僕の部屋のものだけど、僕が最も馴染みのあった自室のモノとは別もの。
「『引っ越しでもしたのか』か」
そうではない。実は人生も二度目なんです何て言えば、理解して貰えるだろうか?
「まぁ、無理だな」
正気を疑われるか、嘘だと斬り捨てられるのが関の山。だけど、僕には前世の記憶というモノがあった。
「もっとも、人に言えんか」
こんなことは。そして打ち明ける相手が居ないからか、僕は自室では独り言が多くなる。
「あいつだけ、だったな」
前世、僕は友達が多い方ではなかった。正確に言うと友達と呼べるのは一人だけ。言葉を交わす級友は幾人かいたこともあるが、進級や卒業で会う機会がなくなれば疎遠になっていったのだ。別に個人的な趣向がどうこうとかそんな理由じゃないと思う。恋愛シミュレーションゲームで胸が大きいからと攻略ヒロインを選んだら結果的に年上の先輩キャラや教師を選ぶことになり、そのせいで一時「年上好き野郎」とかからかわれ、不名誉なレッテルを貼られたこともあったが、あれで引かれたからとか思いたくない。
「むしろ、引かれたのは僕だ」
まぁ、トラックにだが。前世の記憶の最後が視界一杯に迫るトラックだったので、多分間違いはないと思う。
「しかし、な」
前世に未練はなかったかと聞かれたなら、パソコンの中身はどうなったかを僅かに制して気になるのはやっぱり唯一の友人だった彼のことだと思う。一応、言っておくが同性愛的な意味ではない。俺が急にいなくなって凹んでないと良いなとか、そういう方面での気になる、だ。
「唯一、だった……あいつは」
僕が年上好き疑惑をもたれた時、言葉を交わすクラスメイトで弄りに参加しなかったのは。その後、不満からロリ巨乳キャラ好きをアピールしたらロリコン疑惑が持ち上がったと言う黒歴史もあるが、あれは忘れたい。
「ふぅ」
なににしても、転生してしまった僕に彼のその後を知る術なんてない。良くやってたドラ○エの世界に憑依トリップでもして巨乳美女に囲まれウハウハだったりした日には、面白おかしく振り回されろって呪詛を送ってしまうかも知れないが、そんな僕にとってのパラダイスを彼が満喫してるはずもないし。
「……困ったものだ」
自分の願望を今は会うことすら出来ないともだちに投影するなんて。誰かに明かすことも出来ない秘密なんて抱えてるから、鬱屈してしまってるのかも知れない。今世の僕が一見寡黙キャラっぽく通ってるのも、この抱えた秘密と、いじめられっ子だった前世が原因だと思うけど。
「それはそれ、か」
気晴らしに外でも出歩いてくるのもいいかもしれない。外は出会いに溢れているのだから。こう、けしからん胸をした銀髪のお姉さんが猛烈なアタックをしてくること、は流石にないとしても、立派な胸をしたお姉さんとすれ違うくらいのラッキーならあるかもしれないのだ。
「よし」
今日は学校も始業式とオリエンテーションぐらいで早く終わったというのに、こんな所で惰眠を貪るのは勿体ない。前世で行動力のなさを悔いたのだから、今世はアクティブに動くべきだろう。何処に行くかはまだ決めていないが、そっちは歩きながら考えればいい。僕は部屋を出ると、その足で玄関に向かい、下駄箱の前で靴を取り出しつつ、口を開く。
「出るぞ」
お願いだから、お前はロボットアニメのパイロットかとか突っ込まないで欲しい。
「はぁい。夕飯の時間までには帰ってくるのよ」
「ああ」
これが、母親代わりでもある実姉とのいつものやりとりだったのだから。
このお話しの主人公は、強くて逃亡者の第217話で主人公がポツリと話してた彼だったりします。
そう言う訳で、プロローグではあっちの主人公に触れる流れになってたり。
ちなみに、せかいのあくいがアクティブなのは彼の意を汲んだから、なのかも。
次回、第二話「こんにちわ
まぁ、そうなるな。