悪魔城ドラキュラ1999 小ネタ集   作:41

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このSSは…………

過剰なドラキュラ成分
本編SS(悪魔城ドラキュラ Dimension of 1999)を読まないと解りにくいキャラ描写
多少のキャラ崩壊
飯テロ
茶番

が含まれます。
以上の事柄が嫌いな方は至急ホームへお戻りください。
 


孤城のグルメ

 

――西暦1999年、魔王ドラキュラが復活した。

 

闇の者達を狩るヴァンパイア・ハンターの末裔「ユリウス・ベルモンド」は

悪しきドラキュラ伯爵の野望を食い止めるため

 

同じくハンター一族の末裔である「ハルカ・ヴェルナンデス」

ドラキュラの息子でありながら人に味方するダンピール「アルカード」

なんか成り行きで一緒に闘う事になった軍人「ラング・ダナスティ」

 

ら三人と供にドラキュラの居城「悪魔城」へと乗り込んだ。しかし4人の行く手には想像を絶する苦難が待ち構えていたのであった…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……腹へったなあ」

 

 結界を張った城の小部屋で束の間の休息をとっていると、唐突にユリウスがそんな事を言い出した。

 

この城に来てから緊張の連続で、腹の具合など考える余裕も無かったが、確かにいざ言われると

小腹がすいたような気もする。ハルカやアルカードも同じなのか壁によりかかっていた体を起こしユリウスの方を見る。

 

とはいえここは悪魔城のど真ん中。そんな都合よく食べ物が見つかるはずも無い……そう思って

いたのだが……

 

 

「ちょっと待ってろ」

 

おもむろにユリウスが立ち上がり、部屋から出て行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま」

 

 数分後、ユリウスが帰って来た。何故か小脇にジューシーな骨付き肉を携えて……

 

 

 ユリウスは手持ちのナイフで器用に肉を切り分けると、皆にそれを配り始める。手に取った肉は温かい……というか今オーブンから出したばかりかと思うほど熱い。ユリウスが部屋を出てから

5分も経っていない。肉を調達できたとしても調理している暇など無いはずだ。

 

『どこから持って来たんだ……コレ……』

 

 手元の肉をまじまじと見つめながらユリウスに尋ねる。

 

「ふふふ……まあ餅は餅屋って奴さ、安心しろ、毒は入ってないよ。あ、塩いるか?」

 

 含み笑いではぐらかされてしまった。そして当のユリウスは塩をふりふり早くも肉にかぶり

ついている。気付けば既に他の二人も躊躇無く肉に口をつけている。食べていないのは

俺だけだ。

 

 簡単なお祈りを済ませた後、恐る恐る匂いを嗅ぐ。「!」 何とも香ばしい良い香りが鼻腔を

くすぐる。体が激しい闘いで失ったカロリーを求めている!……もはや我慢など出来なかった。

気付けば俺はこの得体の知れない謎肉におもいきり齧り付いていた。

 

 

『……うまいッッ!!』

 

 

一口噛み締めた瞬間、信じられないほどの美味みが舌先から脳髄を直撃した。牛!?いや豚、羊?

今まで食べたどんな獣の肉とも微妙に違う……しかし間違いなくどの肉よりも美味い!

 

 やや硬く燻されパリッとした外側と、ふっくらとした肉汁溢れる内側……その相反した食感が

絶妙なアクセントとなり、肉の味をより一層ひきたたせる!味付けは塩のみでシンプルに過ぎたがその野生的な感じがまた良い。もう咀嚼を止められない。十日ぶりに獲物にありついた原始人の

如く、俺は無我夢中で肉に齧り付いていた。

 

 

「ははは、ん?この肉思いのほかレアだな……ハルカ、火」

 

「……私の事ライターか何かと勘違いしてない?まあいいけど」

 

 

 ブーたれながらもハルカは肉を炙るのに丁度いいぐらいの炎を杖から出した。遠赤外線効果か、炙られた肉はパチパチと良い感じの音をたてながら、肉汁と香りを辺りに振りまく。

 

 

「こんなもんかな……  ……うん!良い感じだ!やっぱり肉はウェルダンにかぎる!」

 

 再びユリウスが勢い良く肉を食べ始めた。お腹が満たされたからか、城を進むうちに知らず知らずに殺伐としていた空気が、幾分緩和されたような気がした。――だが争いの火種は何の前触れも無く巻き起こる。

 

 

 

「まー確かに美味しいけどさぁ、でも何で肉なの?もっとちゃんとした料理が食べたいな。

サラダとか、スープとか、ヘルシーなの。これだから男ってダメだよね」

 

 

 何の気なしに飛び出たハルカのぼやきに、料理の提供者であるユリウスの顔色が変わる。

 

 

「何ぃー?味オンチのイギリス人の舌でも解るように、敢・え・て・シンプルな食い物取ってきてやったんだぞ?むしろ感謝して欲しいなあ?」

 

 

 ユリウスの的確な嫌味を含んだカウンターに、今度はハルカのスイッチが入った。

 

 

「オホホホホホホ♪ それはわざわざお気遣いご苦労様。てっきりテキサスの田舎者だから

バーベキューとジャンクフードしか料理を知らないのかと思ってたわ。ほほほ」

 

 

 皮肉を言わせたら世界一のイギリス人である。見る見るうちにユリウスの顔が引きつっていくのが解る。売り言葉に買い言葉、攻め手に受け手といった具合に、言葉のドッジボールはヒートアップして行く。一方アルカードは……

 

 

「…………(もぐもぐ)」

 

『(……無言で食べてる……)』

 

 

 

 

「フンッ!」

 

 しばしの言い合いののち、ハルカが解りやすい膨れっ面で部屋を出て行ってしまった。

 

 

『お……おい、いいのか一人で行かせて』

 

「ハッ、好きにさせとけ!ちっとやそっとで死ぬような奴じゃねーよ!」

 

 

 ほんの数分前まで和気あいあいとしていたのに……どうしてこうなった……

そして一方アルカードは……

 

「…………(ふきふき)」

 

『(……もう食べ終わってる……)』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま!」

 

 数分後元気良くハルカが帰って来た。

 

「フフフ……よくも味オンチだの何だの言ってくれたわね?でもそれもこれまでよ、来なさい!」

 

 ハルカが勢い良く指を弾くと、なんとボーイの格好をしたスケルトンが、銀のクロッシュ

(フランス料理なんかで料理を運ぶ時に使うドーム状の蓋)を台車にのせ部屋に入ってきた。

いきなり結界を素通りしてきた魔物に、当然ユリウスが警戒する。

 

 

「おま……っ! 敵誘導してどうすんだ!?」

 

「大丈夫だよ、なんかこのスケルトン敵意は無いみたいだし。それより私の持ってきた料理を見て驚くがいいわ!降参するなら今のうちよ!」

 

「ふん!飯マズのイギリス人が誇れる料理っつったら元植民地だった国の料理に決まってる。

何が入ってるかなんて開けなくても解るさ!」

 

 

「………………ニヤリ」

 

 ハルカの翡翠色の瞳が怪しく光る……次の瞬間、少女は自信満々に銀のクロッシュを開けた!

 

 

「な……!?こ、これは……カレーじゃない!?」

 

『ローストビーフだとッ!?一体どこで!?』

 

 

 銀のトレーに盛り付けられていたのは肉汁滴る最高級ローストビーフだった。しかもその淵を

彩る飾り切りされた野菜にも一切の手抜きがない。最高級三ツ星ホテルでも滅多にお目にかかれない程の美しい出来栄えだった。

 

 

「フッまあ繊細な味覚と嗅覚を持つわたしにかかればこんなものよ。さ、我が大英帝国が誇る

最高峰の肉料理、とくと御賞味あれ!」

 

 

 スケルトンのボーイが流れるような動作でローストビーフを小皿に切り分ける。正直食べて

大丈夫なのかと半信半疑だったが、ハルカに薦められるがまま適度な厚さにスライスされた肉を

頬張った。……! ……これはッッ!

 

 

『う、美味い!こんな美味いローストビーフを食べたのは生まれて初めてだ!!』

 

 

さっきの謎肉も美味かったが、こちらは人の手が加えられ完成された”料理”といった感じがする。火の入り具合、ソースの塩加減、ハーブの利かせ方。そのどれもがつけいる隙が無い。まさに

 

「EXCELLENT」

 

な肉料理だ!でもハルカ、お前さっき「何で肉なの?」とか言ってなかったっけ。

 

 

「どーお?同じ肉料理でもただ肉を焼いただけのさっきの”アレ”とは雲泥の差よね?

己の舌の稚拙さを認める気になったかしら?……ねーえユリウス?」

 

 ハルカがわざとらしい猫撫で声でユリウスを流し見る。ウェルダンが好みらしいユリウスだったが、さすがにこのローストビーフの味は認めざるを得ないだろう。

 

 

「ぐぬぬ……汚ねーぞハルカ!後出しでそんな高級料理持ってきやがって!ちょっと待ってろ!」

 

 

「…………(もぐもぐ)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 一分後、ユリウスが息を切らしながら駆け戻ってきた。

 

「どうだ!肉厚のパテ、ふわふわのパンズ!ジャンクフードの王様ハンバーガー!!」

 

 うん、これこれ、これですよ。こーいうのでいいんだ。やはり食べ慣れた味は落ち着く。

だがこんな物どこから持ってきたユリウス?包装紙がウェ○ディーズじゃないか。何だ?

城の中に支店があるのか?だとしたら凄いなウェ○ディーズ。

 

 

「はんっ、所詮ジャンクフード大国の人間ね、見なさい!ジャパニーズSUSHI!」

 

 懐かしい。父の仕事の都合で一時期ヨコスカで過ごした日々を思い出す。母さんはスシ苦手だったけど俺はオムレツとシュリンプが好きだったな。というか完全に生物だよなコレ、衛生的に

大丈夫なんだろうか?まさかそこのスケルトンが握ったんじゃ……

 

 

 

「だから汚ねーぞお前!これイギリス関係ねーじゃねーか!」

 

「ざーんねーんでーしたッ!わたし英日ハーフだから和食もアリだもんね――っ!」

 

 

 その後も二人のボルテージは否応無く上がっていき、持ち込む料理も益々混迷の度合いを深めていく。

 

 

「なんかよく知らねーけど緑色のソーダにアイスクリームとチェリーが乗った飲み物!」

 

『甘い!』

 

「世界三大珍味、キャビアよ!」

 

『しょっぱい!』

 

 

「…………(もぐもぐ、ちゅー、)」

 

 

 ラーメン、カレー、ホットドッグ。ドーナツ、プリン、シーザーサラダ。リコリス、チキン、

ベニテングダケ……二人はあらゆる食材、料理をどこからか手に入れ、どちらの料理が上か勝負

し続ける。そのいつどちらかが果てるともしれない不毛な戦いは、このまま永遠に続くかと

思われた…………だがしかし

 

 

 

「いい加減にしろお前たち」

 

 

 品数が合計50を超える頃、それまで沈黙を貫いていたアルカードが突然重い口を開いた。

その威厳と迫力に満ちた声に、途端二人の体が金縛りにでもあったかのように固まる。

 

 

「ドラキュラとの決戦が近づき、不安になる気持ちも解るが、こんなくだらない事で諍いを起こしてどうする。それこそ混沌を好むドラキュラの思う壺ではないか。我々は料理対決をするためにここまで来たわけではない」

 

「我々の目的はあくまでドラキュラを倒しこの悪魔城を封印する事。体力が回復しだい先に進むぞ。三人とも気を引き締めておけ、いいな? ………………ゲプ」

 

 

(……いまゲップした?)

 

 

 アルカードの諭すような正論に、今までの喧騒は何処へやら。二人とも押し黙ってまるで借りてきた猫のように小さくなっている。そのあまりの恐縮振りに少々お灸が効きすぎたと思ったのか、有角がマントの中から紙袋をひとつ取り出し、二人に差し出した。

 

 

「……これでも食べて気を落ち着かせろ」

 

 そう言ってアルカードが差し出した紙袋の中には、大量のピーナッツが詰まっていた。

 

『(何故ピーナッツ……)お、おう……』

 

 ここで何故ピーナッツなのかはさっぱり解らなかったが、各々紙袋の中からピーナッツをつまみ、口に運ぼうとする……だが、

 

 

「……何をしている」

 

 

 ピーナッツが口に入る間際、物凄い形相でアルカードに腕を掴まれる。アルカードのこんな顔は会ってから今まで見た事が無い。

 

 

『え!?いや、だからピーナッツを食べようと……』

 

「…………見ていろ」

 

 

 アルカードは”やれやれ”といった感じに溜息をつくと、おもむろに紙袋からピーナッツを一粒取り出し、空に向けて指で弾いた。

 

”ピイィンッ”

 

 アルカードの親指に弾かれたピーナッツは、美しい弧を描きながら天高く舞い上がる、その間にアルカードはまるでダンスでも踊るかのような優雅なステップで半歩だけ前に出た。そしてその鼻先から首筋までの美しい輪郭をこちらに見せ付けるように、勢いよく天を仰ぐ。

 

『………………!!』

 

 重力によって上昇を停止したピーナッツは、ゆっくりと残像を引きながら、まるで導かれるかのように待ち受けていたアルカードの口元へと吸い込まれてゆく。アルカードは半歩進んでから一切体を動かしてはいない。だがピーナッツは寸分違わずその濡れた唇へと入っていった。

 

――その一連の動作は、まるで美しいモノクロの活動写真のようにラングの眼には映った――

 

 

 

 

「(ぽりぽり)…………これがピーナッツを食べる際のマナーだ」

 

『(そんなマナー知らない……)お、おう……』

 

 

 ユリウス達を見れば、さっきまでの険悪な雰囲気はどこへやら、キャッキャッじゃれ合いながら仲良くピーナッツを食べている。

 

 

ユリウス「……パクッ、何だ意外と簡単じゃねーか」

 

ハルカ「……パクッ、軽い軽い、何個でも食べれるよ!」

 

スケルトンボーイ「……パクッ、…………フフフ(ドヤァ)」

 

『(……何でコイツ魔物なのに馴染んでるんだ……)』

 

 

 皆次々とピーナッツの投げ食いを成功させていく。気付けばやっていないのは自分だけだ。

有角の目が「次はお前の番だ」と言っている。

 

『(目がマジだ……)うう……』

 

 ただピーナッツを食べるだけ……だというのにピーナッツを持つ手が震え、汗が滲む。

落ち着け……落ち着けラング、ピーナッツを指に乗せ、弾いて飛ばし、落ちてきた所を口でキャッチする……ただそれだけだ。海兵隊の訓練や作戦に比べたらこの程度なんて事ないじゃないか……

 

「…………神よッ!」

 

”ピンッ!”

 

 目を閉じ、一心に神へ祈りながら指先へ力を込める!

力強く弾かれたピーナッツは大きく弧を描きながら宙を舞い…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

”コチンッ”「いてっ」

”コチンッ”「あいたっ」

 

”コロン……”

 

……結果として明後日の方向に飛んでいき……ユリウスとハルカの頭に当たった後床に落ちた。

 

 

スケルトンボーイ「……………………ハァ……」

 

『(スケルトンに溜息つかれた!?)』

 

 

 

「何やってんだよラング!あと一人で全員成功だったのに!」

 

「もー!ラングさんちょっと鈍くさすぎ!」

 

『いやいやちょっと待て!いつから ”ピーナッツチャレンジ” みたくなってんだ!?俺悪くないから!そもそもお前達がくだらない理由で喧嘩し始めたのが原因だから!つーか何でいつの間にか仲直りしてるんだよ!』

 

「そうだっけ?わたし達ケンカなんかしてたかなあ?」

 

「そもそも俺たち何してた?」

 

「誰の持ってきた料理が一番凄いか競争じゃなかったっけ?」

 

「そういやラングだけまだ料理出してないな」

 

「そういえば……一人だけ食べてばっかりでずるいよラングさん!」

 

「そうだ!お前も何か食い物出せ!」

 

 

 

 

 

ユリウス「出ーせ!出ーせ!」

 

ハルカ 「出ーせ!出ーせ!」

 

スケルトンボーイ「ダーセ!ダーセ!」

 

 

『(このスケルトンマジうぜえ……)』

 

 

 

アルカード「(お食事券あげてもいいけど面白いから黙っとこう……)」

 

 

 

 何でいつの間にか俺が悪いみたいな空気に……そもそもこいつらどうやって食べ物とって来てるんだよ。どうする……どうするラング!?このピンチをくぐり抜けるには一体どうしたら……ッ

……と、ここで俺は自分が ”ある” 食料を持っていた事を思い出す。

 

そうだ!あるじゃないか!我が軍が誇る人類の化学と英知の結晶が……!!

俺は勇んで腰のサイドポーチを開くと、1つのパッケージを取り出した。

 

 

 

 

 

 

「え……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「MRE……ッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スケルトンボーイ「……………………プッ」

 

『………………………………!!』

 

 

 

 

 

※MRE……Meal,Ready-to-Eat(合衆国軍が誇る携帯軍用食。”すぐに食べられる食物”の意)

      

      またの名を

 

      Materials Resembling Edibles ・・・「食べ物に似た何か」

      Meals, Rarely Edible ・・・・・・・「とても食べられたものじゃない食べ物」

      Meals Rejected by Ethiopians ・・・「飢餓のエチオピア人すら拒否した食べ物」

 

      Mr.E ・・・・・・・・・・・・・・・「”ミステリー”」

 

 

 




ドラキュラのSSを書く以上食事ネタはどうしてもやりたかった。後悔はしていない。
本家ゴローちゃんのver.もいつか書いて見たいなあ。
 
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