夏の夕暮れを越えて、アカツキノスイヘイセンヘ   作:あおい安室

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………先に言います。駄作。戦闘描写が絡むとやっぱりこうなった………はぁ。







誰も知ることのなかった思い

………ここは、どこ?

体中が激しく痛む。その痛みを押し殺し、あたりを見回す。

………海の底………ではない。

いや、まだ………といったところだろうか。

暗く冷たい海の中を、私は落ちていく。

この感覚は………二度目………いや、三度目なのだろうか。

 

 

………私は、誰なのだろうか。

思い返すことのできた今までの自分の記憶の中には様々な物がある。

その記憶は、物語っている。

仲間達とともに生き。私達、そして人類の敵、深海棲艦と戦ってきたことを。

そして、その記憶はある一点で途切れている。

自分の死………つまり轟沈。

 

 

だが………その記憶は続いていた。

気がつくと、私は海の上に立っていた。沈んだはずの自分が………なぜ?

その理由はあの時はわからなかった。ただ、うれしかった。私はまだ生きている。

私は、帰ることができる。仲間の待つ、鎮守府へ。

その思いを、抱き、私は鎮守府への航路をとった。

 

 

鎮守府は以前と変わらない人懐っこさで私を迎えてくれる。 そう、信じていたのだ。

 

 

鎮守府には私を迎え入れてくれる人も、場所もなかった。

簡単なことだ………私は、深海棲艦になっていたのだから。

 

 

そう気づいたのは多くの仲間と戦っている中で、鎮守府におけるリーダー格ともいえる艦娘の砲火を浴び、ふと海に目を向けたときだった。

 

白く染まった髪。赤く光る瞳。黒く染まった艤装。

紛れもなく、深海棲艦だった。

 

それを見た私の精神が崩れていくのに時間はかからなかった。動きの止まった私を仲間達は砲撃する。

再び傷ついてていく私は、二度目の轟沈を経験した。

 

 

………あははは………ねえ、神様とかこの世界にいるんですか?

だとしたら………どうして、私を静かにしておいてくれなかったんですか?

どうして、仲間に撃たれなければならないんですか?どうして………

 

暗い海の中、乾いた笑い声をあげる私はきっと涙を流していた。

 

「………?」

 

私は、海の底に沈んでいく中で赤黒い肉塊を見つけた。

それは今も生きているかのようにわずかに脈動している。こんなところになぜ………?新しい、深海棲艦なのか?

………いや、もはやどうでもいいことか………

その時だった。急に赤黒い肉塊は姿を変え、銀色の液体金属になった。私はそれになすすべもなく取り込まれた。

だが………不思議と、恐怖は感じなかった。

 

 

 

「………ここは………」

 

気がつくと、私は森の中にいた。いや、森のような何か、だ。

木と思われた物はいわゆる触手のような物でできていた。それはまるで脈を打つ心臓のようにうごめいている。

気持ちが悪い。ここがどこなのかはわからない。

だが私はここを抜け出さなければならない。そう決意した。

 

幸いなことにこの森の地面とも呼べる場所は海面のようになっていた。

深海棲艦となった私でも駆けることができるだろう。ただ………また、体が変貌していた。

 

海面に写っていたのは液体金属に体を覆われている艦娘の姿だった。

その姿は今も脈動し姿を変え続ける。共通しているのは両肩に飛行甲板を備えていることだけだ。

………私は、誰なのだろう。謎の姿を気にしつつも、航海を始める。

途中で白く光る球体を見かけた。

 

「………敵?艦載機は………ある。発艦、始め!」

 

金属でできた弓を構え、おぼろげな艦娘の記憶を辿り艦載機を発艦する。

そうしてはなった艦載機の姿には見覚えはない。

エンジンのような部位から前方にキャノピーのようなものがつきだしている白銀の戦闘機だった。

艦載機まで変質したのか、と思いながら道を切り開く。

 

 

『嘘………そんな!?ケルベロスに次元突破能力はなかったの!?』

 

謎の海を這い回る化け物や行く手を遮る大木を破壊しつつ航海を続けていると、急に頭の中に声が響いた。

誰の声だろう………女のようではあるが………?

次の瞬間。爆発音が響いた。爆発は周りで起きていないことを視界は確認していた。幻聴か?

 

『っ!!いや………やめてぇ!!私をバイドに………アァァァァァ!!!』

 

女性の悲痛な叫びが聞こえる………っ!!

急に私に見える景色が変わった。その景色には………燃える、いくつもの空母が………

 

あ、れ、は………ミッドウェ………っっ!!

 

「ウアアァァァッ!!」

 

あの女性の叫びがトリガーとなり、脳裏に、悪夢が、惨劇がよみがえる。私がかつて、軍艦だった頃の………

叫び続けた私の意識は再び途切れそうになった。

………なんとか正気を保つことができた。

………私はこのまま進み続けていいのだろうか?それを自らに問いかけながら再び航海を続けた………

 

 

 

 

 

 

「アレハ………何?」

 

光?太陽?進み続けた私は木の中にオレンジ色に輝く球体を見つけた。

それを見た私は思わず太陽のようだと思った。その太陽には………黒点………『R-13A』があった。

………『R-13A』?何のことだろう?

普通に考えに出していたが………なんだ、それは?

 

『………マタ………ダレカ、キタノ?』

 

声が、また聞こえた。なんとなくだが………あの、『R-13A』から聞こえた気がした。

 

『オネガイ………カエッテヨ………モウ、イヤ………ワタシニ、ナカマヲコワサセナ………アァァァ!』

 

声の中の意思は、悲痛に私に悲しみを伝えている気がした。

仲間を壊させない?彼女も、私と同じ………深海棲艦なのか?

 

「………ン?モウ一ツ………太陽?」

 

太陽に近づいていると、その上の方にも淡く同じ光を放つ岩のような物があった。

それを見つめていると岩は爆発し、中から錨のような爪のついた球体が現れ………私めがけて飛んできた!

 

「ッ!!艦載機、頼ミマス!」

 

海面を高速で駆け、迫ってきた球体をかわし、艦載機を放つ。

艦載機は球体に攻撃を開始した。しかし球体にはダメージの通る様子がない。

それなら、あの黒点のある太陽を突く!

艦載機に攻撃指示を出し、私は球体の攻撃をかわすことに専念する。

その時だった。黒点のある太陽が急に強く脈動した。

そして………球体から、強いエネルギーが放たれた。世界が崩れるかのような、衝撃が走った。

その衝撃は、艦載機を全滅させ、私の体を焼き尽くしながら吹き飛ばす。

 

「ッ!!」

 

吹き飛ばされた私の体は、黒点のある太陽に激突した。

また体を焼かれるのかと思ったが、そんなことはなかった。ぐにょん、とジェル状の物体にぶつかったような感覚だった。太陽は私を中枢部へと引きずり込もうとしていた。

 

もはやこれまでか………いや、まだできることはある。

………そうだ、思い出した。私は………世界最強とも言われた一航戦。その艦娘だったのだ。その誇りにかけて………。

まだ取り込まれていない上半身で弓を振り絞り、最後の一機を放つ。

あの一機が………きっと。

 

 

 

『巨大戦艦の沈黙を確認!!よくやったDELTA1!………?DELTA1、応答せよ。何があった?』

 

「………なんだ?」

 

『なんだじゃないだろう!』

 

ヘルメットのスピーカーからはやかましいオペレーターがしゃべり続けているが、聞き流す。

私は今まで戦っていた巨大戦艦のコアを破壊したとき、先ほど聞こえた女性の叫び声を気にしていた。

その声に私は聞き覚えがあった。あの声は確か………思い出そうとしていたその時だった。目の前に、小さく次元の穴が開いた。そこから一機の小さなメルトクラフトが飛び出す。そのメルトクラフトからは………救難信号が放たれていた。

 

「………呼んでいるのか、私を?」

 

『おい!話を聞いていたのか、DELTA1!』

 

オペレーターの声を無視し、自分の愛機に備わっている波動砲のモードを戦闘用から次元跳躍用に変更しチャージを開始し、十分なエネルギーがたまったところで小さな穴に向けて放つ。

目の前の波動砲が広げた次元の穴に私は戸惑うことなく突入し、異次元へ向かった。

オペレーターは通信が聞こえなくなる最後までわめいていた。

 

『っ!司令部、緊急事態です!R-99コード『DELTA1』が独断行動を開始しました!パイロットはサタニックラプソディーにおける英雄機、『R-9A2』のパイロット………』

 

通信はここで一旦途絶えた。その数時間後、R-99はいったん基地に帰還した。かつて、英雄と呼ばれた機体を引き連れて。




operation『Last Dance』報告

コードDELTA1『R-99』帰還。同時にサタニックラプソディーの機体と思われる『R-13A』の回収も確認。
検体『R-13A』に付着していたバイドに覆われた人間と思われる物体もともに『Team R-type』に送ることとする。
なお、コードDELTA1は今回の命令無視により前線から外すこととする。
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