俺ガイル✖️物語シリーズ   作:ライとも

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はい!第弐話です!そろそろテスト期間ですよ…
勉強\(^o^)/

そんなことは炎で燃やして、どうぞ!


はちまんヴァンプ 弐

「我が名は、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード……鉄血にして熱血にして冷血な吸血鬼じゃ」

 

吸血鬼……。この『彼女』があの噂の吸血鬼。この町の夜に現れる、眩しいほどの金髪を持ち、影がない吸血鬼。この『彼女』が、羽川いわく人よりも上位な存在。

だが今は、ボロボロの衣服を着て、さらには四肢を失った状態で、それでも高飛車に構えて──名を名乗った。

開いた唇の内には──鋭い2本の牙が見える。鋭い──今の見た目とは対照的な牙が。

 

「うぬの血を、我が肉として呑み込んでやろう。じゃから──うぬの血を寄越せ」

 

「……吸血鬼、てのは」

 

俺は息を呑みながら、言う。

 

「不死身のはずじゃ──ねぇのかよ」

 

「血を失い過ぎた。もはや再生も変形もできぬ。このままでは──死んでしまう」

 

「…………………」

 

「貴様のような目の腐った、そして取るに足らん人間ごときが──我が血肉となれることを光栄に思え」

 

これは緊張なのだろうか…それとも武者震いというやつなのだろうか…足、いや、身体の震えが止まらない。

一体、何が起きているんだ?俺は一体、何に巻き込まれているんだ?どうして、俺の前にいきなり吸血鬼が現れて──その吸血鬼がいきなり死にかけているんだ?

空想の世界の話で存在しないはずの吸血鬼が存在していて。不死身なはずの吸血鬼が死にかけている。

なんだ、この現実、いや、この世界?

 

「お……おい」

 

と。

動揺し、キョドりまくりのまま、口も利けずにいる俺に、『彼女』は眉を顰めた。もしかしたら、それは苦痛で顰めたのかもしれない。だって、『彼女』は四肢を全て失っているのだから。

 

「な、何じゃ。儂を助けることができるのじゃぞ。こんなにも、光栄な事が他にあると思うのか。うぬは何もする必要は無い──儂に首を差し出す。それだけでいい。」

 

「……血、血って……輸血とかじゃ駄目なのか?」

 

うむ。我ながら意味不明だ。それに、『彼女』……キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードは、返事をしなかった。というかもう、返事をする気力すらないのかもしれない。

 

「ど、どのくらい、いるんだよ」

 

この質問は、具体的だったから『彼女』は答えた。

 

「………とりあえず、うぬ1人分貰えれば急場は凌ぐことが出来るじゃろ」

 

「そうか、俺1人分……って!」

 

それじゃあ俺が死ぬじゃねぇか!と。突っ込もうとしたが、その言葉を呑み込んだ。

こいつの、俺を見る眼。冷たい、冷ややかな眼。

それは──《食料》を見る眼であり、その食料である俺を食べる事で生き残ろうとしている。きっと、端から助けを求めていたんじゃないんだ。俺を捕食して、生きようとしているだけだったのだ。

 

「……………」

 

そうだ。何で──何で俺はこの女を《助ける》ことを前提として思考を進めているのだろうか…

馬鹿げている。相手は吸血鬼、俺は人間だ。どうして手足を失った化物がこんなところで死にかけているのか全く知らないが──どうせろくでもない理由に決まっている。俺らしくもない。こんな事に巻き込まれてどうする。君子危うきに近寄らず、のはずだ。

こいつは化物。つまり、人外。人よりも上位の存在。

 

「どうした……血を。血を寄越せ。早く……早く寄越すのじゃ。とろとろするな、のろまが」

 

「……………」

 

何の疑問も持たないのか。まぁそうだろうな。この吸血鬼は、俺が血を寄越す事を当然の様に言う吸血鬼に、俺は、ざっ、と。1歩後ろに下がった。相手が例え吸血鬼でも、四肢が無い状態で、気力が無くなってきている状態で逃げきれないわけがない。そして。俺は、もう片方の足も、後ろに下げ──

 

「う……嘘じゃろう?」

 

その途端。さっきまでの冷たい眼が、声が、弱々しいものになった。

 

「助けて……くれんのか?」

 

「……………」

 

ドレスはボロボロ、腕も脚も引きちぎられている化物。

しかし──俺は、そんな彼女を美しく思い、綺麗だと思った。初めて──いや、久しぶりに心の底から惹かれた。雪ノ下や、由比ヶ浜以来だ。もちろん小町と戸塚は例外だ。そんなことはさておき、そんな彼女から目を逸らせなかった。逸らしてはいけない気がした。だから、足が動かせなかった。

 

「い……嫌だよぉ…」

 

それまでの高慢ちきな言葉遣いは崩れ、彼女は、髪の色と同じ金色の瞳から──ボロボロと、大粒の涙を零し始めた。子供のように。泣きじゃくり始めた。

 

「嫌だ、嫌だ、嫌だよぉ……、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくないよぉ!助けて、助けて、助けて!お願い、お願いします、助けてくれたら、助けてくれたらなんでも言うこと聞きますからぁ!」

 

耳が痛くなるほどに、心が痛くなるほどに──彼女は叫ぶ。我を失ったかのように泣き叫ぶ。泣き喚く。泣き、泣きまくる。

 

「死ぬのやだ、死ぬのやだ、消えたくない、なくなりたくない!やだよぉ!誰か、誰か、誰か、誰かぁ───」

 

吸血鬼を助けるなんて。そんな奴いるわけがない。

だって死んじゃうんだぜ?人を、世界を嫌っていた俺が、人や、世界から目を背けていた俺が、吸血鬼を背負い込むのか?そんなことしたら…さらに目が腐ることになる。そして、雪ノ下と由比ヶ浜の願いを、1人で解決しようとしない、という約束を破ることになってしまう。

 

「うわああああん」

 

流す涙が──血の赤に変わり始めた。あくまで予想だけどもそれは死の前兆なのかもしれない。

 

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」

 

ついに、彼女から発せられる言葉は懇願のそれから謝罪のそれへと変わっていた。一体、何について謝っているのだろうか。一体、誰に謝っているのだろうか。きっと、今まで殺してきた、自分の血肉にした人たちだろうか。それとも、自分自身にだろうか。俺には分からない。けれど──────────

 

見ていられなかった。こんなにも美しい彼女が、何とも知れぬ誰とも知れぬ存在に、謝りまくっている姿を。

多分。彼女は、そんなことをしてはいけない存在だ。そんな無様な死に方を──するべき存在じゃあない。

 

 

 

だから俺は、決めた。決心した。例えそれが雪ノ下と由比ヶ浜との約束を破ることになったとしても。愛する小町と戸塚と2度と会えなくなることになったとしても。

この世界で友達になった羽川に会えなくなるとしても。この世界の妹達に朝、起こしてもらえなくなるとしても。

 

この彼女を───鉄血にして熱血にして冷血な吸血鬼、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードを助けると────

 

「諦めてんじゃねぇよ…馬鹿野郎」

 

俺はそう言い、彼女の前にかがみ込み、そして。

自らの首を、差し出した。

 

「あとは全部、お前がやるんだろうが」

 

「……え?」

 

彼女は目を見開く。よほど驚いたのか、顔いっぱいに驚きの表情が広がっていた。

 

「い、いいの?」

 

「いいわけねぇだろ、ちくしょう。でも、もう決めたんだよお前を助けるって。例えどんな結果になろうと助けるって───」

 

──そんな状態で死ぬのなら、彼女が、こんなにも美しくない死に方をするくらいなら、生きて、生きて、自分に相応しい死に方を死に様をする方がよっぽどいい。しかし、別に俺が死にたいわけじゃない。でも、こんな、小町が、戸塚が、平塚先生が、由比ヶ浜、雪ノ下がいない世界で生きていくのが辛い、そして何よりもすごく嫌だ。

そういうことだから、最後くらいかっこつけたって誰も文句は言わないだろ。

 

「もう1度ここに宣言する…。俺がお前を助けてやる──俺の血を吸え」

 

「………」

 

「全部やる。一滴残らず、絞りつくせ」

 

「……あ」

 

勝手な推測だが、彼女は、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードは、生まれて初めて自分以外の存在に対して礼を言った。

 

「…ありがとう」

 

ざくり、と。

鋭い痛みが首筋に走り、俺は彼女に咬まれたことを自覚する。すると、意識が、一気に消失する。

 

こうして俺の、阿暦々木 八幡もとい、比企谷 八幡の数10年という短い人生があっけなく終わりを迎えた───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────はずだった。




いよっしゃ!ついにここまで来た!まぁついにっていうほど投稿してないんですけどねw

今回は3000文字超えちゃいましたよ…うん。頑張った。
次回も頑張ります!では!
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