ゼスティリア やったけれども うろ覚え
アリーシャちゃんが主人公のお話が頭の中にぽっぽと浮かぶ。
メイドさんが出張るのなんの。でも真実に気づく事が1番いいと思うんだよ。
あの後メイドさん、大聖堂にて安眠グッズと天族お断りの札を買っていっていました。


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うろ覚えのあの声は

「そんなお前が反吐が出るほど嫌いだったよ、アリーシャ」

思わず 布団をはね上げる、ひどい汗だ。あの迫る青と赤の夢と嘲笑った声を毎日見ている。寝不足は公務に響くので無理矢理にでも寝なければ行けない。窓を開けて、今はいない導師に思いを馳せる。「いけない、このままではスレイにも笑われてしまうな。」頬を叩くと床に就く事もなく机の上に積もった書類の山を減らしに掛かった。

 

~~~~~~~~

「アリーシャさま!寝不足ですか?」

メイドは目ざとい、長年一緒にいるせいかどんな事でもお見通しである。

「え、あぁそうだが。」

「化粧で隠してもわかりますよ!まさか寝る前に書類を片付けているのですか?!」

「いや、まあ眠れなくて。」

「…最近アリーシャ様、寝不足ですよね?1日でもよろしいので休息を取った方が良いかと。」

「ありがとう、だが心配するほどでもないさ。それに勤めを果たさないと」

メイドは何か言いたげに口を噛んだ。

「行ってくるよ、家を頼む」

「っ、行ってらっしゃいませ。」

今回の公務の案件は

遺跡の調査の成果である古代語の辞書の校閲、

見えるようになった天族との近隣住民へのトラブルへの対応方法の模索、

和解した国々との交易、

天族と憑魔が見えるようになった人々への対応など沢山詰まっている、此処で折れるわけにはいかない。駆け出すように王宮へ向かう

 

またあの夢を見る。

師匠が目の前にいる。あの時と一緒だ。

周りから声が聞こえる。兵士から槍を向けられる。いつもと同じだ。真の仲間、ひくい霊応力、従師の代償、力が足りない、そのせいでそのせいで!役立たずのお前がやれる事を放置して何をしている?師匠を殺すことすらできないのか?いつもなら弱虫で泣き虫な私は最大限抵抗する。けど結果はいつも同じだった、私の槍は師匠を貫いていた。今回は…声も聞かぬまま師匠が見えた瞬間走り出しその首を凪いだ。師匠は驚いている様にも微笑んでいるようにも見える、目は虚ろだが。

よくやったじゃない、平坦な褒め言葉が響く。ま、仲間としては当然よね。最短記録だね。クスクス

お疲れ様

 

 

 

そぞろ涙目のアリーシャ!

 

 

布団を蹴飛ばしてトイレに向かう。嗚咽は止まらなかった。古代語事典は現実を突きつけていた、最後の最後まで仲間としては見ていなかった事を、彼が残した名前はとうに蔑称で上書きされていた事も。涙を堪えようと我慢する、だが溢れ出る。こんなんだからそぞろ涙目なんてつけられるのか、私が弱いから。吐き気は収まったが喉の乾きは止まらない。足を厨房に向けて静かに進む。

 

「アリーシャ様、眠れませんか?」

厨房へ向かうとメイドがカモミールティとクッキーを焼き上げて待っていた。

「こんな時間に何をしているんだ?」

「ふふふ、私も眠れなくて。午前3時のティータイムです。アリーシャ様もどうぞお飲みください。」

我が家のメイドは優秀だ。

「アリーシャ様、失礼を承知で申し上げます。どのような夢をご覧になったのですか?」

ハーブティーを持つ手が震える。

「言いたくない事は重々承知しております。ですがアリーシャ様が眠れない夜を過ごしているのを見過ごしてはおけません。」

瞼を上げる、真っ直ぐな瞳がこちらを見ていた。

「夢を見るんだ。」

「酷い悪夢だ」

「師匠を毎日殺す夢だ」

「私はやりたくない。でも抵抗する時間が長いほど役立たずだと、力不足だと、でしゃばりだと言われる」

「今日は違った」

「もう嫌だった」

「師匠を見つけた瞬間」

「あぁ、殺せば褒められる、認めてもらえると感じた」

「でも、でも…」

「結局認めてなんかもらえなかった。」

「彼が残したあの名前はもうない。」

「私はただ…」

 

私の慟哭を聞いている間メイドは寄り添って背中をさすってくれていた。

「ありがとうございます。アリーシャ様。」

「痛みを感じてこそ人間だと思いますよ。役立たずなんかではない。それを役立たずだと弱いから出来ない事だと抜かす人々は本当に人間でしょうか。」メイドはひとり呟く。

私は泣いていてそれどころではなかったけれども、背中にある手は暖かかった。

夜の帷は開ける、お茶会のお茶も冷めていく…。

「アリーシャ様、また深夜のお茶会致しましょうか。アリーシャ様には肉が足りません、おっとと違いますか。でも確かに1人ではないことを忘れないで下さいね。おやすみなさい…。」

 

 

ベッドの上にいた、その隣にはメイドが手を握られて眠りこけている。

いつの間にか眠っていたようだ、しかもメイドの手をがっちり握って。

少しだけ勇気が湧いてきた。なんでだろうか、足取りが軽い。

そしてまた慌ただしく書類を片付け国を回す仕事に入るのだ。一時の休息を添えて。

 


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