ゆっくり更新だけど、少し早く投稿できました。文字数も少ないけど頑張ります。
では、始まります。
ルイズは自分が召喚した使い魔を信じられないでいた。何せ人間だからだ。学園の歴史の中で人間が召喚されるなんて前例が無い。
ザワザワと周りの生徒が「平民を召喚したぞ」や「さすがゼロ」など聞こえてきた。ルイズはすぐさま教師であるコルベールに召喚のやり直しを要求をしたが却下される。
「召喚の儀は神聖なものだ。やり直しはできない」
「そ、そんな!?」
このまま「契約の儀」をするようにと促される。正直やり直しを何とかしたいが、このままだと進級ができなくなると言われれば何も言えない。
進級ができなくなるなんて反則の言葉だ。ルイズは渋々、仕方なく、不本意ながらむぞうさ髪の少年を使い魔とすることを決めたのだ。
一方、むぞうさ髪であるキアランは状況を掴めないでいた。先ほどまでル・ジェたちと故郷であるティパの村に帰還していたのに今はマントを羽織った少年少女たちに囲まれている。
こんな状況を理解しろと言われても無理な話である。1度冷静になろうと周囲を確認する。
「えっと・・あまり見ない服だけど種族はボクと同じクラヴァット族なのかな?」
キアランは周囲にいるルイズたちを見て自分と同じ種族だと予想をした。まず人間に近い姿からクラヴァット族かセルキー族と予想した。そして服装から自分と同じクラヴァット族と判断したのだ。
それにしてもここは何処か分からない。大陸中を旅したキアランでも分からないのだ。
「ティパ半島でもないし、メタルマイン丘陵でもない。本当にここは何処なんだろう?」
それもそうだろう。ここはハルケギニアと呼ばれる大陸であり、キアランの生まれた大陸とは別の大陸なのだ。
「どうしよう・・・本当に分からない」
「何ブツブツ言ってんのよアンタ」
「えっと、君は?」
「感謝しなさいよね。貴族からこんなことされるなんて一生無いんだから」
そう言うとルイズは詠唱を唱えてキアランに口付けをした。コントラクト・サーヴァントは成功した。
するとキアランの左手に痛みが走る。それはルーンが刻まれたのだ。今この瞬間、キアランは何も分からないの大陸で使い魔となってしまった。
「・・・ここが何処か教えてください」
切実な頼みであった。
・・・・・・・・・
場所が変わりキアランはルイズの部屋に移動していた。本当にわけが分からない。
ここは自分を召喚したという少女であるルイズの言うことを大人しく聞いておいた方が良いと判断した。
(それにしても召喚魔法か。シーベーグが聞いたら興奮するかも。いや、ユーク族全員が興味を示すよね)
魔法に長けてるユーク族なら召喚魔法を使う彼女たちに交渉してでも情報を得ようとするだろう。
「で、アンタ誰?」
「えっと・・・ボクはキアラン。ティパ半島のティパの村出身。職業は農家だよ。それにクリスタル・キャラバンだ」
包み隠さず自己紹介をする。ここで嘘をついても意味は無い。しかし返ってきた返事は求めるものではなかった。
「はぁ? ティパの村ってどこの田舎よ。それに農家ってまんま平民じゃない」
「ティパの村を知らないの? これでも有名な村なんだけど」
「知らないわ」
即答された。これではどうしようも無い。次にクリスタル・キャラバンについても質問したが知らないと言われる。
まさかクリスタル・キャラバンまで知らないとはさすがに驚きである。逆に信じられないくらいだ。
キアランの住む大陸から瘴気が消えてからまだ間もない。なのにクリスタル・キャラバンを知らないなんて有り得ないのだ。
「ここって何処かな?」
「ここはトリステイン魔法学院よ。本当に知らないなんて驚きよ」
ここはトリステイン魔法学院。メイジと言われる魔法使いが学ぶ場所。
そして大陸の名前はハルケギニアでトリステイン王国という領地だと言うのだ。
(ハルケニギアなんて大陸知らない・・・それにトリステイン王国も初耳だ)
王国と聞いて思い浮かべるのはアルフィタリアである。そしてお転婆なフィオナ王女も思い浮かべる。
「アンタが田舎者ってのは分かったわ。で、ここからが本題よ!!」
本題とは使い魔のことである。既にルーンを刻まれているので使い魔としてやっていくのは確定である。しかしキアランは何とかティパの村に帰りたいのだ。
何とか帰してもらえないかと交渉するが却下される。還す魔法なんて存在しないし、ルイズとしてはせっかく召喚した使い魔を逃がすつもりは無かった。
それに召喚されたのは人間とは言え、やっと成功した魔法だ。その成功は嬉しかった。やっと認められる魔法の証拠なのだ。
「どうしてもダメかな。ボクも帰らないといけないんだ」
「ダメ」
「うーん・・・。じゃ、じゃあさここはボクにとって知らない大陸だし、故郷であるティパ半島の情報を知るまで使い魔をするってのはどうかな?」
「そ、それなら・・・」
ルイズも何とか納得する。彼にも家族がいるのだから気持ちも分からないのでも無い。だから納得したのだ。
「じゃあ使い魔としての役割を話すわ」
「うん」
使い魔と主人の目と耳になること。主人の欲する物を持ってくること。そして主人を守ることである。
それを聞いて最初の2つは難しいが、最後は可能である。これでもキアランは歴戦の猛者である。鉄巨人や邪悪な亡霊を倒した剣士なのだから護衛はできる。
それでもルイズは平民だと思って期待はしていない。後に彼の実力に驚くのまだ先である。
「じゃあ早速服を洗っておいてね」
「ええ!?」
男性の前で堂々と服を脱いで渡す状況にキアランは驚くしかなかった。
・・・・・・・・・
朝日が窓から射してルイズは目が覚める。可愛いあくびをしたら制服が横から渡される。
「おはようルイズ」
「・・・アンタ誰?」
「キアランだよ。昨日ルイズが呼び出したじゃないか」
「ああ、そっか」
モソモソとベットから抜け出して両手を広げる。制服を着させろという意思表示である。
そんな事が分かるはずも無く、そのまま数秒が経過する。
「早く着替えさせてよ」
「それってボクがやるの?」
「当たり前でしょ。使い魔なんだから」
使い魔の定義が分からなくなる。
さすがに着替えは自分でやった方が良いと抗議するが却下される。妹の着せ替えはしたことはあるが年が近い女性を着せ替えるのは初めてである。
彼女には羞恥心が無いのだろうかと思いながら着せ替えをするのであった。その時、キアランはドキドキしっぱなしである。
(助けてル・ジェ、クレア、シーベーグ)
大切な仲間を思い浮かべて煩悩を退散したのであった。
その後は部屋から出て食堂へと向う。何でも貴族しか入れないのだがルイズのおかげで入る許可が出たのだ。
そんなことは知らないキアランは朝食の豪勢さに驚く。それに料理の量の多さ。これをみんなが全て食べられるのかと疑問に思うのであった。
「はいルイズ」
「あら。気が利くじゃない」
椅子を引いてルイズを座らせる。温の民としての実力がちょっと発揮される。ルイズもこれには気分も良くなるのであった。
「ところでボクはどこで食べれば良いのかな? この椅子はたぶん貴族が座る席でしょ」
「そうよ。だからアンタは下」
指を床に向ける。目線を下げるとパンとスープが置いてあった。これには口をポカンとさせてしまう。この扱いは酷い。
ルイズも悪気があってでは無い。これは主人と使い魔の主従関係を分からせようとしたものである。もし反抗的なら罰を与える的な意味でだ。
しかしキアランは強く反抗もせずに、故郷に戻る情報を得るまで使い魔をやると自分から言ったのだ。まさか反抗しないとは思わなかったのである。
「まさか平民が召喚するとは思わなかったのよ。朝はこれで我慢して。昼からはちゃんと手配しとくから」
「うん。分かったよ」
(まさか文句1つ言わないなんて・・・少し申し訳ないかも)
ルイズたち生徒が始祖と女王陛下に祈りを祈りを捧げている間にキアランはパンを齧り、スープを啜るのであった。
(いなかパンとまんまるコーンのスープが食べたい)
朝食を終えたルイズとキアランは外に出る。周りは生徒たちが自分の使い魔とコミュニケーションをとっている。
「今日は授業は休み。使い魔のコミュニケーションをとるからよ」
「へえ。でもボクらは意思疎通はできてるよね」
「まあね」
「あらルイズ。本当に平民を使い魔として召喚したのね」
「ゲッ・・・キュルケ」
ルイズたちに近づく艶やかな赤髪の女性。彼女はキュルケ。ルイズとは犬猿の仲である。なにせ、何かとチョッカイ出してくる。
「違うわよ。こいつが勝手に応じただけなんだから!!」
(応じた覚えは無いんだけど・・・)
あの召喚魔法は強制だったと言いたいが空気を呼んだ。
「使い魔ならこの子のようなのが良いわよね」
キュルケは自分が召喚したサラマンダーを自慢する。ルイズは本当に悔しいのかワナワナと震えている。
逆にキアランは驚いた。サラマンダーに驚いているのではなくて魔物と共存しているのにだ。周囲を見ると普通の動物以外に魔物やドラゴンともコミュニケーションを取っている。
(ここでは魔物と共存できるんだ。魔法にも驚いたけど・・・共存にも驚いたな)
キアランのいた大陸では共存は有り得ないことだった。一度見つかれば襲われるのだから。
クリスタル・キャラバンとして旅をしてきた身として理解している。そして命をかけた戦いをしてきたのだ。
「このハルケギニア大陸は平和なんだ」
「何か言ったキアラン?」
「平和だねって」
ところで自己紹介がまだだったのでキアランはキュルケに挨拶をする。
「ボクはキアラン。ティパ半島のティパの村出身だ」
「アタシはキュルケ。よろしくね」
キュルケもル・ジェに負けないくらい豊満な胸をしている。妖艶と言う言葉が似合う女性だ。
「じゃあね。またお話しましょう」
「うん。またね」
キュルケと分かれてキアランはルイズに頼んで学院を案内してもらうのであった。
読んでくれてありがとうございます。
今回の話はルイズとキアランの顔合わせみたいなものです。
キアランはハルケギニアの魔法や魔物の共存にビックリです。
やはり文化が違いますね。きっとルイズたちもキアランたちの魔法を知ればビックリします。
では、次回ゆっくりとお待ちください。