今回はあの盗賊との戦い前の話ですね。
物語はスムーズに進みますよ!!
では、始まります。
土くれのフーケがまた参上した。今やトリステインでは専らの噂だ。
どんな宝でも盗む盗賊で狙われた貴族たちは数えきれない。そして今度はトリステイン学院が狙われるのは誰も予想しなかっただろう。
・・・・・・・・・
「ねえ、キアランは何かできる?」
「急にどうしたの?」
「品評会があるのよ」
品評会とは生徒が召喚した使い魔をお披露目する行事だ。だからルイズは召喚したキアランをお披露目に出さないといけない。
その中で何か特技でも見せなければならない。2年生は絶対に参加なので仕方なしだ。
「そうだ。キアランは魔法と剣が使えるし、それをお披露目すれば良いんじゃないかしら」
「まあ・・・それで良いなら」
「決定ね!!」
まさか自分がお披露目されるとは思わなかった。どれくらいの規模か分からないが普通に魔法を放つのと剣を振るうのは味気ないだろう。
ルイズのためにもみっともない姿を出すわけにはいかない。何をどうやってお披露目するかを外に出て気分転換がてら散歩する。
「どうしよっかデルフ?」
「うーん。任せるぜ相棒」
「デルフは何か能力あるの?」
「忘れた」
剣でも忘れることもあるらしい。
「キアランさん。何してるんですか?」
「シエスタ」
「もしかして品評会の練習ですか?」
「うん。そうだよ」
「やっぱり。それに今年はアンリエッタ様がいらしますし」
「アンリエッタ様?」
アンリエッタとはこの国の姫のことだ。国民の象徴である。姫と聞いて思うのはアルフィタリアの姫であるフィオナを思い出す。
姫が訪れるため、生徒たちも練習を頑張っている。王宮からの贈り物もあるのでそちら目当てもある。
「へー、そうなんだ」
「はい。なのでキアランさんも頑張ってくださいね!!」
シエスタはキアランの手を握り、応援をする。これにはキアランも笑顔で「ありがとう」と言う。やはり、これは頑張らないといけないと思うのであった。
ベタかもしれないが取りあえず魔法と剣を組み合わせた方法をとろうと考えたのであった。
「頑張ろうねデルフ」
「おう。それにしてモテモテだな相棒」
「そうかな?」
自分が案外女性から好意を寄せられるのに気付かない。そんなこんなで品評会の日はすぐに訪れる。
・・・・・・・・・
「アンリエッタ姫殿下のおなーりー!!」
生徒たちが大勢並び、多くの兵士たちを引き連れて豪華な馬車が訪れた。
馬車の中からは美しく可愛らしい姫が優雅に降りてきた。その美貌に生徒たちは様々な感想を抱く。さすが国の象徴と言えるだろう。
「彼女がこの国のお姫様かあ。フィオナ姫とは違ったお姫様だ」
「キアラン。静かに」
「はい」
ルイズの顔はどこか嬉しそうで懐かしいそうである。まるで旧友を見たかのような顔だ。
今日はアンリエッタが訪れただけで1日が終わる。そして夜になる。キアランはルイズの部屋にて明日の品評会の打ち合わせをしていた。
「じゃあ剣で斬る用の人形でも用意すれば良いのね」
「うん。定番かもしれないけど剣の腕を見せれば良いと思って」
「確かにそれが無難ね」
コンコン。急に扉をノックする音が聞こえた。「こんな時間に誰かしら?」と疑問のルイズ。
キアランが扉を開けるとマントで覆った女性が急に入ってくる。
「誰あなた?」
「久しぶりね。ルイズ・フランソワーズ!!」
彼女の正体は今日訪れた姫であるアンリエッタその人であった。
「ルイズ。お久しぶりね」
「姫様!!」
「知り合いなの?」
話を聞くとどうやらアンリエッタとルイズの関係は幼馴染のようである。
「貴方がルイズの使い魔さんね。噂で少し聞いたのよ。だから会ってみたかったの」
「キアランです。よろしくお願い致します」
国の姫相手なら無礼な真似をするわけにはいかない。キアランなりに礼儀正しく自己紹介をする。
今夜はルイズとアンリエッタの会話に花を咲かせるようだ。そして姫であるアンリエッタからの応援もされてしまった。これはより頑張らないといけないようだ。
そしてついに品評会が始まる。
生徒たちは己が使い魔たちと出て、お披露目をする。やはり色々と考えているようで様々な特技を見せた。
最後はルイズとキアランの番だ。ステージに2人が出る。最初に口にしたのはルイズだ。
「紹介いたします。私の使い魔であるキアランです。種類は・・・平民です」
「種類って・・・」
ツッコミをしたいが取りあえずスルー。平民発言に笑う者は多いが、これで終わりではない。
「キアランはクリスタルキャラバンでもあります!!」
『クリスタルキャラバン』と聞きなれない単語に観客たちはハテナマークを出す。トリステインでは知らないだろうが仕方ない。
「彼は冒険者で剣士です。なので剣の腕をお見せします!!」
斬る用の藁人形が運び出される。運ぶ者の中にはシエスタも居て、「頑張って」と小さく応援してくれた。
「行くよデルフ」
「おう。見せてやろうぜ相棒!!」
キアランが考えたのは剣と魔法のマジックパイル。デルフとファイアリングでファイアケ剣でも発動しようと考えたのだ。
ファイア剣の太刀筋を見せれば中々良い見せ場になるだろうと思う。観客たちは意外にも少し食いついたようである。
デルフに炎を纏わせる。いつでも準備は完了だ。藁人形に走り出してデルフを振ろうとした瞬間に地響きが起こった。
「何だ何だ!?」
「何が起こったんだ!?」
「地震なの!?」
生徒たちはオロオロしているがキアランは地響き起こった方向に顔を向けると巨大なゴーレムがいたのだ。
大きさだけならギーシュのゴーレムやヴェオ・ル水門のゴーレムより大きい。機動性に関しては遅いように見える。
「大きい。鉄巨人くらい・・・それよりあるかな」
巨大なゴーレムの登場で品評会どころでないのは誰もが分かることだ。デルフの柄を強く握りしめる。
小さくデルフに向かって「行くよ」と呟く。返事は「いいぜ」である。
「ルイズは避難してて!!」
「キアラン!?」
巨大なゴーレムまで走るキアラン。近づけばその大きさは更に実感できる。そしてゴーレムの肩に誰かが乗っているに気付く。
ここで噂の話を思い出す。確か最近トリステインで土くれのフーケと言う盗賊が名を馳せている。まさかゴーレムの肩に乗っている人が本人なのかもしれない。
フーケもキアランに気付いたのか視線を移してきて舌打ちをする。
「チッ・・・やっぱ気付くよね。ったくここまで頑丈とは予想外だ」
(女性の声・・・)
「キアラン!!」
「ルイズ、避難しなきゃ駄目じゃないか!?」
「それはアンタもでしょ!!」
ゴーレムの巨大な手がキアランたちを捕まえようと迫る。迫る手のそこまで速くない。ルイズを抱えて避ける。
「このお!!」
ルイズが魔法を放つ。ファイアボールを発動したつもりだが、急にゴーレムの腕が爆発した。成功かどうか分からないが攻撃には成功だ。
しかし、余波で宝物庫の壁にまで傷がついた。これを見たフーケはニヤリとする。
「行けゴーレム!!」
宝物庫の壁を破壊してフーケは中から何かを運び出した。
「逃がすか!!」
「邪魔よ使い魔の小僧!!」
またゴーレムの手が迫る。それを見たキアランは負けじと炎を纏わせた剣を勢いよく振るった。
「ファイア剣!!」
「何ぃ!?」
ファイア剣でゴーレムの手を斬り裂いた。全破壊とは言わないが、ある程度破壊した。
だが意味は無いだろう。魔法で形成したゴーレムなら気休め程度にしかならないだろう。それでもルイズを守ることはできる。
「まさかゴーレムの腕を斬り裂くとは思わなかったけど・・・アタシの目的は果たせたからね!!」
ゴーレムの腕を登るキアランを見てフーケは一瞬でゴーレムの腕を切り離した。そしてそのまま撤退していったのであった。
「・・・逃がしちゃったか」
土くれのフーケは宝物庫から『破壊の杖』を盗んだのであった。
読んでくれてありがとうございました。
次回もゆっくりとお待ちください。
次回は土くれのフーケ戦となります。
戦闘はどうしようかな!!
それにしてもアンリエッタもフィオナと同じでお転婆な気がする。