ちょっと急ぎで仕上げたのでいろいろとダメな気がします。
やっぱり妄想できても文字にするのが難しいですね。
ひと月って意外と大変。他の作者さんを尊敬します。
後で読み直すと恥ずかしくて悶える。
あと東方の小説書きたい。時間ないけど。読みたい人も居ないだろうけど。
そうそう、最近思うこと。
束さんマジ可愛い。
ゴールデンウイーク。
皆も知っての通り、五月三日の憲法記念日から五日のこどもの日までの国民の休日をひとまとめにそう呼ぶ。
この期間は外出する人々や旅行をする家族などが劇的に増え、都市部に限らず地方も人で溢れかえることがある。年によっては綺麗に土日と繋がることがあり、四連休もしくは五連休となるため帰省する人が出始める。
僕もその内の一人だ。
別に長い間戻っていなかったなどというわけではないが、顔を出すことぐらいするべきだろう。
でも篠ノ之家に帰る前にまだやることがあって。
「ひと月家を空けただけでこんなに汚くなるなんて全く予想できなかったぞ。」
「埃の量も類を見ないくらいに多いし…」
「………なぁ空兄、これいつ終わると思う?」
「……………昼ご飯は、抜きになるだろうね。」
「げぇ…弾に連絡しておかないと……」
そう。織斑家の掃除である。
滅多に埃を被らないものを一夏くんと手分けして丁寧に水拭きし、やはり湧いていた彼のブラックなインセクトたちを駆除し処理し、気付けば午後の四時になっていた。
どうせすぐに終わるだろうと高を括っていた結果がこれだ。こんなにも時間がかかると分かっていたのならもっと早くに学園を出たというのに。………まぁ、過ぎたことを嘆いても仕方がないか。
今日はもう他の人の家、五反田さんのところの食堂や凰さんの食事処、篠ノ之家に行くのはまた明日にしようかと考える。前もってお邪魔するという連絡を僕はしていないため、いきなり行ってもなぁ…という感じはするし、箒ちゃんや鈴ちゃんも一度戻っているみたいだし、どうせ訪ねるのなら纏まった時間で話とかしたいし。何より、ケーキやらクッキーやらお菓子を作って持っていこうとしていたから時間がない。というかそもそもお菓子の材料を買っていない。
………とりあえず夕飯を早めに摂ってお菓子作りに専念しようか。
「それでいいよね。」
「え、は?」
…ってこれじゃ伝わらないよ、全く。
「ごめんごめん。食材を買いに行って夕食食べてからお菓子を作ろうって考えたんだけど、どう?」
「おう、いいぜ。それで、何を作る気なんだ?」
「そうだね………シュークリームとかエクレアとかは?」
「うーん、材料費が安いからいいと思うけど、カスタードプリンなんてのもどうだ?鈴の母親とか、蘭あたりは喜んでくれそうだけど。」
「それもいいね。それじゃあそこら辺を意識して材料を集めようか。準備はできてる?」
「ばっちりだ。エコバッグもちゃんと持ったぞ。」
「なら行こうか。」
***
「はぁ~………」
盛大に溜め息を吐く。
「はぁぁぁぁぁ~……」
「ねぇねぇ、鈴、どうしちゃったのかな?」
「………………。」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~……」
鈴の自宅である食事処に訪れたシャルロットと箒は、先程から虚空を見つめながら溜め息を吐く鈴に戸惑っていた。
箒の方は薄々気付いているようだが、シャルロットの方はさっぱりなようで、小さく首をかしげている。
今は放っておくべきか?、と考えた箒は、そんなシャルロットにその理由を耳打ちで伝えた。
「あー、なるほどねぇ……」
シャルロットはすっかり納得し、うんうん、と頷いた。
そうだよね、お兄ちゃんは鈍いもんね。そりゃあ苦労しちゃうよ。まあ、ボクも確かにお兄ちゃんが好きだけど、そういう好きじゃないからな~。でもお兄ちゃんに惚れるのはわからくもないよ。だって、あんなに優しいし、ボクのことを真剣に考えてくれるし、あ、あと………
………と、あらぬ方向へと思考は曲がっていったのだが。顔はとてもにやけていた、と言っておこう。
この場にいる二人の意識がどこかに飛んでいることに気付いた箒は、話しかけるのを諦めて、運ばれた料理を黙々と味わうことにした。悲しいかな、ここ数日よく起こることである。
「……え、何この雰囲気。」
「空兄、また何かやったのか?」
中らずと雖も遠からず。七、八割は空が原因である。
「いや、何もしてない、はず。」
「………はっ!お兄ちゃんの声!…とりゃっ!」
顎に手を当てて心当たりを探っていた空の背中に向かって、席から立ちあがったシャルロットが飛び乗った。若干ふらつきながらも空はシャルロットを受け止め、おんぶの形で安定した。……何故空の声で覚醒できたのかはさておき。
「おっと……シャルか。どうしてここにいるの?」
「IS学園に残ってても良かったんだけど、暇だからね。お兄ちゃんに貰った課題も昨日に終わらせちゃったし、友達の家でお泊りってのもやってみたかったんだよ。」
「そうなんだ。なら、目一杯楽しんでね。………ていうかあの課題って二日かかるぐらいには問題数を多くした気がするんだけど。」
「だってほとんど基礎のところしか聞いてこないから簡単なんだもん。」
「やっぱり。でも偉いね。」
「頭撫でてもいいんだよ?」
「はいはい。」
空は、背中側から肩越しに頭を差し出してくるシャルロットを撫でている。それを横目で見ながら、一夏は深く溜息を吐いた。「これだから優等生は……俺なんてまだ五問も解けていないというのに…!!」と心の中で悔し涙を流した。直後に「お前が授業で考えるのを放棄するからだ」という事実を箒に突き付けられてさらに落ち込むのだが、「良ければその…わ、私が手伝ってやるが……」という救いの言葉で元気を取り戻した。
その間、鈴はずっと上の空のままであった。何度か空が声をかけてはみたものの反応が返ってこなかったため、朝食を摂り終わった男二人は、箒とシャルロットに鈴を任せて五反田家に向けて店を出てしまった。
***
「それで、どうなんだ?」
「どうだって何がだよ。」
弾の部屋、一夏と弾がコントローラーを握ってゲームで対戦していた。
「とぼけんなよ。どうせお前のことだから、色々とスルーしてるんだろうが、周りが女子っていいもんだろ?」
「そんなわけないだろ。考えてみろよ、どこに居てもどこに行っても周りは全員女子。寮に戻っても廊下には女子ばかりで正直目の毒だし、アレが辛い。」
「アレか………確かに。もしばれたら死ぬもんな、社会的に。」
「でも、同室が空兄で本当に助かったよ。……あ、勝った。」
「な、なにぃぃぃぃぃ!!この俺が、負けただとぉぉぉぉぉぉ!!」
二人の前のテレビ画面には、でかでかと"You Lose"の文字がこれ見よがしに表示され、敗者を煽るようなエフェクトでさらに弾の機嫌は悪くなっていく。
所詮ゲームだからそんなに気にするなと一夏が宥めようとするも、嫌味かこの野郎!と火に油を注ぐ結果になってしまった。
一夏がほとんど触っていないゲームをやりこんだのに勝てなかったのだ。拗ねても仕方がないだろう。
「にしてもこのゲーム、初めて見たぞ。どこが出してるんだ?」
ISをモチーフにした空中での格闘ゲーム、それも個々の機体の性能や装備の扱いの説明が詳しく、本来ならば機密となっているであろう情報まで記載されている。
よくよく見ればコントローラーも見たことのない形をしており、テレビに接続されているハードも見覚えのないものであった。
「ああ、それか?それがな、聞いてくれよ。中学の時は俺とお前でそこまで成績に差がなかっただろ?」
「そうだな。」
「それでな、もし中三の学年末試験でいい点数を取れたら、卒業祝いに欲しいものをプレゼントしてくれるって星野先生が言ってくれたんだよ。」
「………それで?」
「一生懸命勉強した結果見事に好成績を修めた俺は、先生からこいつらを貰ったってわけだ。」
「…………。」
「やっぱりあの成績の伸びはあの約束が原因だったんだね。」
食堂の方にいる弾の親に挨拶を済ませてきた空が弾の部屋に入って来た。
「げっ…」
「あ、いや、別に責めてるわけじゃないよ。ただ、人間ってご褒美があると力が出せるんだなぁって思っただけで。」
そう言いながら空は弾のベッドに腰掛け、再び対戦を始めた二人にもの言いたげな目を向けた。
「……そろそろご飯だから、いい加減やめたらどうかな。」
しかし二人は聞く耳を持たず、というか熱中しているため、その声は届かなかった。
見た感じ弾よりも一夏の方がゲームをやりたいようで、IS学園での生活ではこういう遊びがほとんどできない影響だろう。今度一夏にも造ってあげようかと考えながら空は部屋を出ようとした。
出ようとしたのだ。
「おに——」
———ゴンッ!!
「う"っ……痛い。滅茶苦茶痛い……。」
「……あれ?」
蹴ったドアが開かないことを不思議に思い、蘭はドアをゆっくり開けて中を覗いた。
そこには、ドアの側で額を抑えながら蹲る空と自分の兄、そして愛しの一夏先輩の姿が…
「ちょっ、空兄大丈夫か?」
「おいおい、開けるならノックをしろよ全く。」
「ご、ごめんなさい空さん…ってなんで一夏さんが!?」
「ん?おう、蘭か。久しぶりだな。」
一夏が顔を上げると同時にその身を隠すようにサッと移動した。
「そんな恰好してるとだらしない奴だと思われ…」
「(なんで教えてくれなかったのよ、バカ兄!!)」
「俺は別に気にしないぞ。うちの寮でもう慣れちゃってるしな。」
いやいやいや、私が気にするんですよ!っていうか慣れてるって何ですか!?…と思いはするものの、一夏に対してはおしとやかなイメージを与えておきたい蘭は何も言えなかった。
その後、食堂で食事を済ませた空は篠ノ之家に、一夏は自宅に戻っていった。
余談だが、二人の作ったお菓子は好評だった反面、女性陣の料理に関する自信が折られてしまったらしい。
***
五日あるゴールデンウィークの二日目、若干予定が狂ったもののようやく篠ノ之家に帰ることができた。本当は一日だけ泊まる予定だったが一日目があれだったので諦めることにした。というのも、教師だから生徒と違って休みの間もやらなきゃいけないことがあるため、明日からまた仕事がある。夏休みには臨海学校もあってさらに休日が減るだろうし……といっても何年か前からずっとこうなんだけど。
もうすぐ夕食の時間だから僕は料理の準備をしている。和音さんの仕事を取っちゃったようで少し申し訳ないけど、僕がやりたいからやらせてもらっている。
柳韻さんと和音さんから聞いたけど、束はまだ帰ってきてないらしい。束のことだからもうここに戻っているものだと思っていたんだけど。
そう考えていると、目の前に扉が現れた。束のどこでもドアだ。
それはいい。僕としてもあの二人に会えるのは嬉しい。けどさ、近すぎない?僕と扉の間の距離は10cmもないよ?どうなると思う?ねぇ。
「そr——」
———ゴンッ!!
「ぐっ……ぅぅぅ、いだい…」
このくだり昼にもやったんだけど!!
「………へ?」
「………お母さん?何しちゃってるんですか?」
「待ってくーちゃん、不可抗力!これ不可抗力だから!目が怖いよ!!」
「……一週間ピーマンが主食ですね。」
「それだけはやめてぇぇぇぇぇ!!」
………僕は?
練習の成果を見せる!と意気込んでいた束も料理に参戦したが、持ち前のドジっぽさを発揮してまた失敗してしまい、クロエちゃんに慰められていた。僕の方を物欲しそうな目で見ていたが、僕は手が離せないからと言ったら悔し涙を浮かべたまま膨れてしまった。可愛い。
ご飯を食べ終えた後はリビングで話をした。
始めは怪しんでいたけど、柳韻さんと和音さんはクロエちゃんを受け入れてくれた。それは良かったんだけど、僕と束の呼び名がお父さんとお母さんだから物凄い質問攻めに遭った。まぁ、最後にはちゃんと理解してくれたから良かったけれども。
「お父さん…ホントにこれ見るんですか……?」
座っている僕の投げ出した両足に収まったクロエちゃんが、こちらを見上げながら不安そうな声でそう言った。心なしか目が潤んでいるような……とても庇護欲が掻き立てられる。
そんな娘を安心させるようにしっかりと抱きしめた。
「大丈夫だよ。僕がいるから。」
「は、はい……」
いつもなら「くーちゃん可愛いぃぃぃ!!」とか言いながらクロエちゃんに抱きつきそうな束が静かだ。そんな束は僕の背中に抱きついている。色々と柔らかい。
「………。」
「うぅ~…。」
「束……。」
「そうだよ、こういうの苦手なんだよ!!」
「へぇー…。」
「な、なにさ。私にだって苦手な物ぐらいあるよ!」
抱きしめる力がさらに強くなった。
「はいはい。大丈夫だって。」
『ギャー!!タスケテー!イヤー!!』
「「ひっ…。」」
登場人物が異形の化け物に捕まり、咀嚼されるシーンで二人が怖がった。ていうか苦しい。束、苦しいから。
「まさかあの娘がこうなるとはな。」
「そうね。まるで本当の家族みたいね。もう結婚しちゃえばいいのに。」
「そうなってくれれば親としても嬉しいが…」
「そうもいかないでしょうね。千冬ちゃんや真耶ちゃんもいるわけだし。」
「気長に待つとするか。」
「あたしの好きは、何なのか…男女のソレなのかな……」
「お兄ちゃんを好きになったのって小学生の頃なんでしょ?ならそれって、憧れの好き、なんじゃないかな。」
「憧れ…」
「そうかもな。私もそうだったからその気持ちも分かるぞ。」
「まあボクは兄妹の『愛』だけどねぇ。ふふふ。」
「兄妹…」
「兄妹にしては親密すぎると思うがな。」
「そんなことないよ~。箒だって幼い頃はお兄ちゃんと一緒にお風呂入ってたりするでしょ?」
「そんなこともあったが…」
「ならボクも一緒に入ってもいいでしょ?」
「その年で、か?」
「もちろん。」
「………なんというか、ぶっ飛んでいるな、お前は。」
「ふふ、褒め言葉として受け取っておくよ。」
「褒めてないんだが……」
「うがぁぁぁぁぁ!!!」
「うおっ、どうした?」
「もう悩むのはやめた!!この好きがなんなのかはまだわからないわ。けど、憧れとか兄妹とかに近い気がするの。」
「そうか。それは良かっ」
「だから、あたしもシャルロットみたいに空に甘えるのよっ!!」
「…………」(引き攣った笑顔)
「…………」(満面の笑み)
「ま、それは置いておきましょう。それよりも、貴方のことを聞きたいわ。」
「それボクも気になってたんだよね。一夏とはどうなの?」
「な、何故いきなりそんな話になる!」
「ねーいいじゃないのー。何かないの?」
「そ、そうだな。実は明日と明後日に、その、でぇとの約束を…」
恋バナは思いのほか盛り上がり、三人が眠りについたのは日を跨いだ後だった。