天災?いいえ、間に合ってます。   作:104度

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お待たせしました。
誤字脱字はご報告ください。

そろそろ束とイチャコラさせたいね
それはまた次回に


こんな国なくなっちゃえって思うこともあるよね

 

「………はぁ」

 

 いつも通りだった教員室、いつも通りだった光景。十割を女性が占めていた教師陣に一人男性教師が混じっている。

 女のみだったこの空間に異彩を放つあの人が来てからもうひと月も経ったのか。こんな女性ばかりの職場にただ一人の男性がいるというのはまさに紅一点というべきか、もしくは黒一点だとか白一点と言うべきか。まあ、そんな言葉はないし、今では女性優位の社会になってしまったのだから紅一点でも間違いないのかもしれない。

 

 そんなくだらないことを考える榊原 菜月は、落ち込んでいた。

 

 女性優位の社会、悪く言えば女尊男卑の世の中、以前のように男性から女性にアプローチをかけることは減ってしまった。女性しかISを扱えないというだけで増長する一部のグループのせいで女という生き物そのものへのイメージが変わってしまったのだろう。それが原因となって男性の女性を見る目が変わり、男性に対して高圧的な態度を取る輩も増えた。

 

 その余波を受けてか、IS学園の教師という肩書の悪印象のせいか、ここに勤める女性教師たちには男が寄り付かない。勿論、既に彼氏がいる人もいるし既婚の人も居る。が、それはあくまでほんの一握りの存在だ。残りの大多数は未婚の独身。業務に疲れても帰った自分を迎えるのは暗い部屋と静寂のみ。本当に気の毒である。斯く言う榊原もその一員なのだが。

 

「(どこかにいい出会い、落ちてないかな…)」

 

 ついこの前も碌でもない男を好きになって痛い目を見た。その前も、更にその前も、更に更にその前も……。どの男も身内からの評価が悪い上に、同性の弟から見ても良くないというのだから仕方がない。男運だけでなく、人を見る目もないのかもしれない。おかげで実家からはお見合いの話を引っ切り無しに勧められる。

 でも、彼は今までの男とは違った。

 

「あれ、榊原さん?随分と落ち込んでいるようですけど、何かありましたか?」

 

 ほら、これだよ。自分のこととなると鈍くなるというのに、他人のことはしっかり見ていて色々なところで気が回る。

 

「いつもの通りですよ………どうせ私なんか…」

 

 星野先生は私がいつもこういう目に遭っていること、そしてその度に一人で自棄酒を飲んでいることを何故か知っている。このことを同僚に愚痴ることはあるけれども、彼女は他人に言いふらすような性格ではないはず。それならばどこでこのことを知ったのだろうか。

 

「そんなに気を落とさないでください。異性を見る目がないとよく言いますが、裏を返せばそれはそのような男に対しても情が移るほど情が深いってことなんですよ。榊原さんだって美人なんですから自信を持ってください。」

 

 しかもこうやって直球にいいところを褒めてくる。本人は自覚していないようだけどこれは少し気恥ずかしい。

 

「それに、一人で溜めこむといいことないですよ?もしよければ僕が愚痴に付き合いましょうか?」

 

 口説こうとかいう下心がないのは彼の目を見ればわかるし、本気で自分を心配してくれているのもわかる。わかるのだが……こういうのはやめてほしい。

 

「(じゃないと、勘違いしちゃうじゃない……)」

 

 彼の周りには織斑先生や山田先生、そしてあの篠ノ之博士がいる。しかも学生だった頃からの付き合いで長い間一緒にいる上に、互いを名前で呼び合う仲だというのだから、その輪の外にいる私たち部外者が手を出すことができない。それ以前に、誰も手を出そうとしない。だって、勝ち目なんて皆無に等しいのだから。

 

「……?」

 

 黙りこむ榊原を不思議に思った空が首をかしげる。

 流石に何も答えないというのは宜しくないが、だからといって提案を飲んだら織斑先生からの印象が悪くなるかもしれない。だが、この誘いに乗りたいのもまた事実で。

 

「……明日の土曜日で、いいですか?」

 

 言っちゃった。

 言ってしまった。

 

「大丈夫です。夕食後に伺うので待っていてください。」

 

 学園の生徒たちの住む寮は二人部屋であるのだが、教師の住む部屋は全て一人部屋となっている。その理由には、他には漏らせない機密を扱う者がいるということや生活の中で互いに干渉し合わないように、ということなどがあげられる。

 

「(…………え?星野先生が、私の部屋に来るの……?)」

 

 しかし、待っていてくれと言うなり自分の座席に戻っていった空は少々特殊で、世界的にかなり稀有な男性操縦者である一夏の護衛を請け負っているため彼と同室となっている。…ということになってはいるのだが、実際は単に異性と同居することがあまり良いとされていないことが理由だ。彼には強力な後ろ盾があるし、緊急時には教員総出で対処することとなっているのだから、よほどのことがない限り彼に危険が及ぶことはないだろう。

 

「(え、まって、え…?)」

 

 そういうこともあって織斑くんがいる星野先生の部屋では、とてもじゃないがお酒なんて飲めないのは理解できる。だが、どうしてよりにもよって私の部屋になるのか。話程度ならば食堂でもできるし、時間帯も遅くだろうから誰かに見られることもないはずだ。なのになんで……いや、悩むより先に部屋を片付かる方が先か。

 

「あれぇ?なっちゃんどったの?」

 

 色々と考えていると、突然頭上から声が掛かった。この軽い感じは……同僚の彼女か。この声を聞くと悩んでいる自分が馬鹿らしく思えてくる。

 

「別に何も……」

 

「何もなかったらそんな顔しないよ。何々、星野くんのこと?」

 

「ぶふぅっ…!!……ど、どうして知って…」

 

「最初からずっと見てたんだよん。いやぁ、物凄い顔してたよ。こう、なんというか、禁断の果実を前に食べるか食べないか葛藤してる感じ?」

 

「…私に訊かれてもわからないわよ。というかそれよりも、どうして彼があのことを知っていたのかしら。貴女たちにしか話してないはずなんだけど。」

 

 すると、同僚の彼女がゆっくりと目線を逸らした。ついさっきまでにやついていた口元は引き攣っている。この仕草は、彼女が何か不都合なことに直面した際にするもので実にわかりやすい…………って、

 

「はぁ!?貴女、他人には話さないでって言ったじゃない!」

 

「まぁ……その…えへへ。」

 

「えへへじゃないわよ!」

 

「どうどう……でもさ、なっちゃんの役得じゃん。星野くんが部屋に来てくれるなら親密度を上げて、ゆくゆくはそういうことにも手を出して…とかできそうじゃん?」

 

「貴女はゲームのし過ぎよ。そんなこと起こるわけないじゃない。あの人たちの間に割って入るなんてできないんだから。」

 

 ふと榊原が見た先では、空が千冬と話をしている様子が見て取れる。同僚の提案で二人は空たちの会話に耳を澄ますことにした。

 

『今日も疲れたなぁ…』

 

『………一夏がすまないな。』

 

『大丈夫だよ。小学生の頃からそうだったし、教え甲斐があるってものだよ。』

 

『やはりそうか………だが、そう言ってもらえると助かる。』

 

 ぐでーんと背凭れに体を預ける空に体を向けながら、千冬は湯気の立つコーヒーを手に取って口に含む。

 

『ところでさ……真耶に仕事とか押し付けてない?』

 

『ブフウッ!!』

 

『あっつ!!』

 

『ああ、すまない!大丈夫か?』

 

 空の言ったことが図星だったらしく、千冬が飲みかけたコーヒーを噴き出した。

 

 

「織斑先生でもあんなことをしちゃうのね。」

 

「私たちより年下だし、まだまだ若いって感じがするよね。」

 

「そうね……普段の凛とした雰囲気と違って可愛く見えるわ。。」

 

「ふっふっふ……なっちゃんもギャップ萌えがわかるようになったようで私は嬉しいよ。」

 

「………まぁ、否定はしないわ。それより、あのドイツからの転校生が来てから性格もやや丸くなったみたいだけど、何かあったのかしら。」

 

「あ、やっぱりそう思っちゃう?私も不思議に思ってたんだけどねぇ、なんかお母さんっぽくなった感じがするんだよ。母性が表に出てきて………………ゑ?」

 

「多分貴女の想像してることはないわよ。」

 

 千冬が仕事を押し付けていることに二人は敢えてツッコむことはない。触らぬ神に祟りなし。面倒ごとに自分から巻き込まれに行くような人はいない。

 身体にかかったコーヒーを拭き終えると空たちが会話を再開したので、二人はまた聞き耳を立てた。

 

『火傷を負ってはいないか?』

 

『あはは…大丈夫だよ。コーヒーがかかったのも運良く上着だけだったしね。』

 

『そ、そうか……』

 

『ただ…染み抜きが大変そうだなぁ……』

 

『うん…?染みは洗剤ですぐ落ちるものではないのか?』

 

 織斑先生が不思議そうに訊くが、今まで染みを作ったことがないのだろうか。できたばかりの染みは比較的落としやすく、最近では汚れがより取れやすい洗剤も出回っているが、それでも普段の洗濯よりかは面倒で時間がかかるのだ。

 

『……………はぁ。』

 

『なんだその溜め息は。』

 

『千冬だからそんなことが言えるんだよ。』

 

『む……』

 

『そんな便利な洗剤があるなら染み抜きなんてものはいらな……………いや、待てよ。だったら作っちゃえばいいんだ。そうだよ、ないなら作ればいいんだよ!ありがとう、千冬。』

 

『お、おう、気にするな…………相変わらずお前の技術力には驚かされるばかりだな。』

 

 妙案が浮かんだ空はPCを開くと、物凄い勢いでキーボードを叩いていく。榊原のいる席からではその画面は見えないが、よくわからない式やら図やらで埋め尽くされていることだろう。部室棟の管理を任され一般教科を教えることがほとんどない身としては少し内容を想像するだけで頭がパンクしそうになりそうだ。

 

 横でいきなり云々唸り始めた同僚が突然真剣な顔をしてこちらを向いた。

 

「………ねぇ。」

 

「何よ?」

 

「星野くんって一体何者?」

 

「………なんでしょうね。」

 

 そういえば彼についてほとんど知らない。ここに教員として来たと思ったらすぐIS整備科の主戦力として駆り出され、時折「ないなら作ればいい」と言ってとんでもないものを作りだしていたりと、ただの男性操縦者ではないことは確かなのだがその素性を知る者は織斑先生と山田先生以外にいない。IS学園に集まる教員はただでさえ一般人より優秀だというのに、そのなかでもひと際突出しているのだ。

 

 ここで教員室の扉が開いた。星野先生に向けていた視線をそちらに戻すと、ついこの間来たばかりの転校生がいた。彼女は失礼する、と一言言うと一直線に星野先生の元へと向かった。

 あれは確かドイツ代表候補生のラウラ・ボーヴィッヒだったはず。織斑先生と親しげに話している姿を見かけたことがあるが、二人は知り合いなのだろうか。

 

『おや、ラウラじゃないか。どうした?』

 

『星野先生に用事があって来ました。』

 

『……今は放課後だ。そう畏まらんでいい。』

 

『了か…わかった。ところでママよ、パパは何をしているのだ?』

 

 そう言いながら空のPCを覗き込むラウラだったが、何をやっているのかさっぱりわからなかったらしい。すぐに興味を失くすと、未だにラウラに気付かない空をゆすり始めた。

 その様子は親に構ってほしい子供を彷彿とさせるもので、微笑ましい光景だったのだが当の二人はというと…

 

「……え?…え?ぱ……パパ?どういうことなの?」

 

「それにままって………ママ!?…え!?」

 

 ラウラの口から飛び出したフレーズで思考が停止していた。

 その間に、ラウラに気付いた空が用件を聞いて教員室を出たが二人は気付かなかった。

 

 

『やっほー!………あれ、いない。』

 

『もう少し静かにしろ。あいつならついさっき整備室に向かったぞ。』

 

『あ、そなの。らーちゃんのISの整備ね。なら私はここで待ってよ~』

 

『………お前、ラウラを立たせたままにするつもりか。』

 

『わぁお、立派な親馬鹿になっちゃったね。うんうん、わかるよその気持ち。』

 

『あ゛?』

 

『待って待ってその顔怖いって。だったららーちゃんをちーちゃんの上に座らせればいいんだよ。私もよくやってるし、後ろからぎゅーってできるから癒されるんだよねぇ…』

 

『ふむ。悪くないな。』

 

『え、なっ……は、恥ずかしいのだが…』

 

『それに恥ずかしがってる顔もさいっこうに美味しいんだよ!』

 

『!?』

 

 

「………生?榊原先生?どうかしましたか?」

 

「……や、山田先生?」

 

「い、いや、何もないよ。うん。だいじょぶだいじょぶ。」

 

「はぁ…そうですか。」

 

 怪訝な顔をする真耶に声をかけられてようやく我に返った二人は、空がいるであろう場所に目をやって頭を抱えた。

 なんか、色々と特徴的でよくテレビに取り上げられる人が星野先生の椅子に座っている。

 

「(だ・か・ら……全世界指名手配の貴女がこんなところに来ちゃダメでしょうがぁぁ!)」

 

「(わかる……なっちゃんの考えてることが手に取るようにわかる。そして次は…)」

 

「はぁ……あの人が頻繁にここに来るって知ったら、お偉いさんたちはどう思うでしょうね。」

 

「(って言うから)さぞ頭を痛めることになるでしょう。(と返すんだよ!)」

 

「………貴女、どうしたの?私の真似?」

 

「……あ。ごめん、何でもない。何でもないから今のは忘れて!」

 

 榊原の困惑した顔を見て改めて自分の言動を顧みた同僚は恥ずかしさのあまり顔を伏せてしまった。そんな彼女の様子が変に子供っぽくて榊原は思わず吹き出してしまう。これに彼女が過剰反応するが、榊原は気にせず弄り続けた。何だか童心に帰ったようなやりとりが楽しいのだ。いじられすぎて彼女が柄にもなく涙目になったとき、側の扉がドゴン!!と激しい音を立てて乱暴に開かれた。

 突然のことに教員室中の全員が固まり、その音の発生源が空であることに驚愕した。常に温和で優しいと評判の空が怒りを隠しもしていなかったのだ。榊原はもちろん他の教員も原因はわからない。ただ分かることと言えば、空を怒らせるだけのことが起きたということだけ。

 そして、誰も口を開けない雰囲気の中彼に声を掛けられたのはやはりあの三人だけだった。

 

『久々に怒ってるね……どしたの?』

 

『ドイツ政府』

 

『……おっけー大体わかった。私が調べておくからあいつらに直談判してみて。』

 

『真耶』

 

『わかりました。学園長に知らせてきますね。』

 

 空の言葉で束は何もない空間からPCを取り出し、真耶は空から受け取ったUSBを持って学園長室に向かった。

 

『………何が仕込まれていた?』

 

『VTシステムだ。』

 

『……何だと。チッ、あいつらめ。何か企んでいたと思えばこんなことだったか。許せん。』

 

 その単語に皆が動揺する。VTシステムと言えばかつてモンド・グロッソで二連覇を果たした千冬の戦闘データを基に機体性能を強制的に書き換えるもので、搭乗員の能力を無視して駆動しあまつさえその意識を乗っ取りかねない凶悪さを持つ。それ故にVTシステムの開発、使用は禁じられているはずだ。

 話ながら、どこかへと送った文面の返信を見て空は顔を顰めた。

 

『空、終わったよ。あれが組み込まれてるのはらーちゃんのものだけだったみたい。』

 

『そうか。』

 

『それで、あいつらはなんて?』

 

『惚けやがった。しかも、消耗品など壊れてしまっても構わないだろう、とも。』

 

『『……………潰す。』』

 

『ちょちょちょっ、なに物騒なこと言ってるんですか!?ダメですよそんなことしちゃ!?』

 

 いつの間にか戻っていた真耶が止めに入るが三人とも止まる気配がない。

 

『真耶、止めてくれるな。』

 

『そうだよまーちゃん。今の私はあの国を滅ぼさないと気が済まないんだよ!』

 

『今回ばかりは俺も我慢できねぇ。』

 

 何やら不穏な言葉が飛び交っているが、なんとなく察したラウラが四人の間に入った。今のままでは本当にドイツが消滅してしまいそうだ。この三人ならやりかねない。

 

『私なら平気だからやめてもらえないだろうか?あそこには私の副官や部下たちがいるんだ。』

 

『しかし…』

 

『それに、私の心は既にママに救われているし命の危険に関してはパパが未然に防いでくれた。それでいいじゃないか。私は大丈夫だから、あんな奴らのことなど無視してしまえばいいんだ。』

 

『らーちゃんがそう言うなら……』

 

『……だな。』

 

『…………冷静になってみるととんでもないことをしようとしてたね、僕たち。』

 

 ラウラによって平常心を取り戻した三人はお互いに顔を見合わせると口元を緩めた。しかし、話の展開や雰囲気の変わりように追いつけない教員たちは未だに動けずにいた。

 

『それにしても、空先輩って怒ると人が変わっちゃうんですね。一人称も俺になってましたし。初めて見ましたよ。』

 

『なんか、父親譲りなんだってさ。』

 

『おい、何故お前だけ知っている。』

 

『へ?えーと……な・い・しょ♡』

 

 真耶と千冬が新事実に驚くとともに自分たちの知らない一面を知っていた束に詰め寄る一方、空は巻き込まれまいと彼女たちを尻目に調整の終わったISをラウラに渡して洗剤の構成に戻った。その膝にはちゃっかりラウラが座っており、頭を空の胸にぐりぐりと押し当てている。若干困ったような顔をしながらも優しく撫でる姿は仲の良い父娘そのものだ。

 ほのぼのとした空間が展開される中、一国の存続が危ぶまれる緊迫した雰囲気がすぐさま霧散し、何事もなかったかのように振る舞う空たちに榊原たちはそれはもう困惑した。ラウラが千冬と空を親として呼んだときよりも深く思考停止に陥った。

 

 そして、二人が意識を取り戻した頃には既に束とラウラの姿はなくいつも通りの教員室に戻っていた。

 

「………私、夢でも見ていたのかしら。」

 

「いや、全部事実だからね?さっきはちょっと過激すぎたけど…でも明日の約束は本物だよ?」

 

「……そうよ!明日の為に部屋を片付けないといけないのよ!あとは生徒たちから部室の鍵を受け取るだけだから任せたわっ!」

 

「え、ちょ」

 

「それじゃ!」

 

「………行っちゃった。くぅ…私だって早く帰ってゲームしたいのにぃぃ!でも鍵を受け取るだけでしょ。なら楽で……は?時間一杯まで活動してる部が六つもあんの!?………ふふふ。そうか。なっちゃんがそう来るなら私は明日なっちゃんの部屋にお邪魔しようじゃないか!もちろん夜にな!はっはっはっは!!」

 

「あの……大丈夫ですか?」

 

「へぇ!?(見られてた!?さっきの痴態をよりにもよって星野くんに…!?なっちゃん恨むぞぉぉぉぉぉぉぉ!!)」

 

 




「まさかラウラに引き留められるとは思わなかったな」
「そうですよ。私もやめようって言ったんですけど…」
「だから悪かったと言っているだろう」
「ふん、どうでしょうね」
「私はどうすればいいのだ…」
「やっぱり自分の仕事は自分でやらないとダメなんじゃない?」
「なっ、お前覚えていたのか!?」
「忘れるわけないでしょ」
「そうですよ!幾らかなら私も請け負いますけど流石に多すぎます!限度ってものを知ってください」
「む、ぅ……何を頼んでも引き受けてくれるからつい……」
「あー…確かに断り切れない真耶も原因かも……」
「えぇ!?」
「あ、ここで開き直らないでね?」
「すすするわけないだろ!」
「………凄く動揺してますけどね」
「ん?束からメールだ」

『仕事の押し付けは良くないよちーちゃんヽ(`Д´)ノプンプン
 まーちゃんじゃなかったらパワハラで訴えられてるかもしれないんだよ?わかる?あ、わかんない?( *´艸`)プークスクス
 まぁ、相手がそんな度胸がある人だったらね(☼ Д ☼) クワッッ!!!
 だから、自分のことは自分でやらなきゃめっ☆なんだよ。
 勿論、私ができるようになった料理とか洗濯とかもだから!
 わ・た・しはできるけどね(・`ω・) ドヤァ
 それじゃあねぇ(∀`*ゞ)テヘッ』

「「……………」」
「……あいつはどうしてこうも神経を逆撫でするのが上手いんだろうな?」
「「……………」」
「………うん?続きか?」

『別にらーちゃんに言っちゃってもいいんだよ?バラしちゃってもいいんだよ?ぐうたらでずぼらなちーちゃんを見てどう思うだろうねぇ?』

「…………束ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」
「「(また始まった……)」」



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