天災?いいえ、間に合ってます。   作:104度

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ようやく暇な時間ができました。七月中に投稿できて嬉しいです。
気付いたらUAとかお気に入りが増えててびっくりです。ありがとうございます。

電車の中で頭に浮かんだ設定をぶち込んでおります。
正直自分でもイミワカンナイ。


ISコアはみんな乙女

 

 

 一時限目が終わって休み時間。一夏くんはもちろん僕も女子たちに囲まれていた。廊下には他のクラスや学年の娘たちまで集まって初詣の神社並みに混んでいる。

 束が潜水艦に帰り、千冬と真耶が職員室に戻ったことでクラスの皆から質問責めにされている。「ホントにISって星野先生が造ったんですか?」だとか「ISの乗り方を教えてください!」だとか「織斑先生や山田先生とはどんな関係なんですか!?私、気になります!」だとか色々と。

 矢継ぎ早に繰り出される質問の対応に手を焼いているとようやく助け船が出た。

 

「あんたたち、いい加減にしなさいよ。一夏と空が困ってるじゃない。」

 

「え~別にいいじゃ~ん。りんりんのいじわるぅ~」

 

「良くない…っていうかりんりん言うな!」

 

「えぇ~かわいいと思ったんだけどなぁ~」

 

「布仏ちゃん、それだけは止めて欲しいな。」

 

「なんでですか~?」

 

「昔に色々あってね。深くは訊かないであげて。」

 

「は~い」

 

「ちょ、空、それはもう大丈夫だって言ったでしょ!?」

 

「でも嫌なんでしょ?」

 

「そ、そんなことないわよ!」

 

「…拗ねないでよ。ほら。」

 

 何故か機嫌が悪くなった鈴ちゃんの頭を優しく撫でる。彼女は昔からこれが好きみたいで、不機嫌なときとか何かあったときはこうやって頭を撫でてあげながら話を聞いている。こういうことを自分からねだってくることはないが、手はかかるけど可愛らしい妹が出来たようで僕としては楽しい。もう一人妹みたいな娘もいるけど今はなにをしているんだろう……

 

「おい、鈴。」

 

「なぁによ~?」

 

「だらしないぞ、顔が。」

 

「なっ…!」

 

「ほら見ろ、他の女子も羨ましそうに見ているぞ?」

 

「な…な……!」

 

「自分から止めに入ったが結局は自分が空兄さんに構ってもらっているではないか。」

 

『そうだそうだー!』

 

「な…な………なぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

「あ。りんちゃん逃げちゃった。」

 

 束のようにニヤニヤした箒ちゃんが何か言ったら鈴ちゃんが逃げてしまった。突然のことで固まってしまった僕は右手を何もない場所に伸ばしたままのマヌケな姿勢を維持していた。うん。虚しい。…とそこへ新しい感触が手に伝わる。何かと右手を見てみるとツインテールにしたピンクの髪の毛が見えた。

 

「空さ~ん、私にもやって~。」

 

 布仏ちゃんだった。…っていつの間にか名前で呼ばれてるし。

 

「え……ああ、うん、いいよ。」

 

———なでなで

 

「ふぁ~………これきもちい~…」

 

「あはは…それは良かった。」

 

『じーー……』

 

 ………周りの視線が痛い。というか怖い。「もちろん私たちにもやってくれるよね?」みたいな雰囲気になっている。それに、軽く機嫌を損ねた千冬みたいな威圧感も感じる。

 話を逸らしてくれないかなぁと一夏くんを見るが、彼は彼で箒ちゃんを撫でていて僕と同じような状況に陥っていた。……あ、一夏くんと目が合った。何々……

 

(空兄!この空気なんとかしてくれよ!)

 

(いや、それよりもまずなんで箒ちゃんの頭を撫でてるのさ。)

 

(……空兄さんがやっているから一夏もやるべきだ。まずは私に。……って言われたんだよ。)

 

(………ごめん。)

 

(そう思うならなんとかしてくれ!)

 

(そう言われても……)

 

 二人揃って黙ったまま手を動かしていると授業のチャイムが鳴った。ナイスなタイミングだ。これで助かる。………と思ってたけどそれは間違いだった。

 

「おい空。一体何をしている?」

 

「何をしているんですか、空先輩?」

 

 満面の笑みと共に放出されている二人の負のオーラに中てられて、クラスの女子たちは「私は何も知りません」といった表情で各々の席へさっさと戻ってしまった。ちゃっかり箒ちゃんも戻っているし、どこかに行ってしまった鈴ちゃんも既に席に着いていた。一夏くんも気まずそうに視線を逸らすだけでこの状況がどうにかなる様子もない。それに今の二人には何を言っても無駄だ。前にも何回かこうなったことがあったし、こうなる度に必ず何かを要求される。何をやらかしたのか僕にはわからないというのに………

 

 

 ***

 

 

 学校が始まって初日の授業が終わり、生徒たちが寮へと帰る頃、僕と一夏くん、箒ちゃん、鈴ちゃんは教室に残っていた。久しぶり…という訳でもないが楽しく談笑している。

 

「にしても驚いたわよ。テレビをつけたらあんたが映ってるわ、それに空のこともニュースで取り上げてるわでこっちは混乱したわよ。というかなんであんたがISなんて使えるのよ。」

 

「俺に聞かれても分からないんだけど………っていうかここにISの専門家がいるじゃないか。」

 

「専門家ねぇ…確かにそうだけどさ。実は僕には理由が分からないんだよね。」

 

「あの空兄さんが分からないのか……?」

 

「うーん………ISコアは束が自棄になって適当に資材を放り込んだらできたものだし、できたコアを解析しようとしても束本人ですら解析できないほど複雑だし、そもそもそのコアに女の子の人格が宿っているっていう時点で色々とおかしいし………」

 

「ISに女の子の人格…?」

 

「そうなんだよ。これは僕も調べてて驚いたんだけど、このコアが乗せる人を選んでるみたいなんだ。」

 

「はぁ!?じゃ、じゃあ、ISに女性しか乗れないのって……」

 

「多分そのコアの仕業だと思う。こればかりは僕じゃどうしようもできないよ。」

 

「へ~………で、結局どういうことなんだ?」

 

「一夏……」

 

「あんたって奴は……」

 

「へ…鈴も箒もいきなりどうしたんだ……?」

 

「一夏くん……」

 

「な、なんだよ…」

 

「もっとISについて勉強しようね。僕が、端から端まで、きっちりと、何一つ漏らさず、教えてあげるから。」

 

「いや…その……それはちょっと遠慮したいな…って」

 

「それは許さん。今日オルコットも言っていたではないか。世界で唯一、今では二人になった男性IS操縦者がそのような体たらくでどうするのだ。みっともない。」

 

「そうよ。機体の操縦に関しては私たちが教えてあげるから頑張りなさい。」

 

「逃げ場はないよ、一夏くん。」

 

「………………はい。」

 

 一夏くんのみっちり勉強コースが決まり、彼がズドーンと深く項垂れていたところへ、真耶がやってきた。何の用だろうか。

 

「織斑くんに空先輩、ちょうどよかったです。はい、これ。二人の寮の部屋の鍵です。」

 

「わざわざありがとう。言ってくれれば僕から取りに行ったんだけど…」

 

「いえ、それは流石に悪いですから。……あ、それと一つ注意することがあります。この学園には大浴場があるのですが、残念ながら二人は利用できません。」

 

「だよね…二人の為に大浴場を空ける、なんてことできないし。」

 

「あはは……」

 

「それじゃあ寮に行きましょうか。二人とも場所が分からないだろうし、私たちが案内してあげるわ。」

 

「それもそうだな。一夏も空兄さんもついて来てくれ。」

 

 真耶はまだ仕事が残っているからと職員室に戻っていき、僕らはIS学園を軽く案内してもらった。鈴ちゃんと箒ちゃんが同じ部屋で、僕と一夏くんが同じ部屋だ。僕らの部屋の近くには寮長の千冬の部屋があり、真耶はまた別の部屋を使っているらしい。そういえば僕の仕事はどうなるのだろうか。後で千冬のところに行かなきゃいけないからそのときにでも訊いてみようかな。

 

 

 ***

 

 

 あたしと箒は空と一夏の二人を寮の部屋に案内した後、自分たちの部屋に戻って来た。その間、私たちの間には会話がなかった。……あ、いや、別に変なことを考えてたわけじゃないのよ。確かに空の部屋番号は覚えたし遊びに行こうとは思ってるけど…。

 ……そんなことはいい、いや良くはないんだけど、今は本当に真面目なことを考えていた。さっき教室で空から聞いたISの、女性にしか扱えないという欠陥の原因について、箒ともども違和感を覚えたのだ。

 ISに人格が宿っている、しかもそれは全て女性。加えて、ISが生み出されたときは大部分を空が担当していた。あの篠ノ之博士が匙を投げるほど複雑な構造なら、ISのコアはもはや一人の人間と同じぐらいの知能を持っている可能性もある。そんな人間の女の子と遜色ないISコアにあの空が長い間関わっていたら…………いやいやいや。そんなくだらない理由ではないだろう。だって女尊男卑の風潮を世界に作り出した原因が———。

 ふと、隣のベッドに腰掛け右手で眉間をほぐしている箒を見る。すると私が顔を向けていることに気が付いたようで、目が合った。その表情には何とも言い難い戸惑いが浮かんでいる。………私と同じ結論に至ったようだ。

 

「ねぇ、箒。」

 

「……ああ。」

 

「私、頭がおかしくなっちゃったのかしら。」

 

「……どうだろうな。」

 

「あんた、姉と連絡が取れるんでしょ?電話で訊いてみなさいよ。」

 

「そうだな……そうしよう。」

 

 ベッドの上に放り出してあったスマホを手に取ると、箒は彼女の姉に電話をかけた。私にも聞こえるようにスピーカー機能はオンにしてある。

 

『はろはろー、愛しのお姉ちゃんの束さんだよー!』

 

「一つ聞きたいことがあるのだが……」

 

『ほほう……なんだいなんだいなんでも訊いちゃってよ!箒ちゃんのためなら束さん、どんなことでもやっちゃうよ!!かもんかもん!!』

 

「………ああ、うん、ありがとう。」

 

『はっ…ついに箒ちゃんまでスルースキルを習得してしまったのか……くっそう空め、後で寝れないぐらいちゅっちゅしてやるぅぅ!!』

 

「……………………篠ノ之 束さん、質問よろしいでしょうか?」

 

『ぐはぁ!!………お願い箒ちゃん、敬語はダメージがクリティカルでオーバーキルだからやめて…』

 

「はぁ……わかったから真面目に答えてくれ。」

 

『おっけーい、わかったよん。で、何を訊きたいのかな?』

 

「女性にしかISを動かせない理由について聞きたい。」

 

『あー……それかぁ。えーと………まず、ISコアについてなんだけど、人格が女の子なのはコアを作ってる束さんが女の子だからです……。』

 

「「………はぁ?」」

 

『うん、そういった反応が返ってくると思ってたよ。…で、空の作るコアも束さんが作ったものを核にしてるから、結局は女の子になってしまうのです。』

 

「「………」」

 

『で、ISの機体の製造過程でその女の子たちは皆空に惚れちゃうのです。』

 

「「……………いやいやいやいや、それはおかしい。」」

 

『と思うじゃん?実際そうなんだよねぇ……。束さんが学生の時もそうだったけど、箒ちゃんが中学生になるまで空ってかなり人気があったでしょ?それに、空って何かを作るときに必ず優しく語りかけながらする癖があるんだよ。一般人からしたら、頭のおかしい独り言にしか見えないけど、ISコアたちにとっては違うから……』

 

「「………なるほど。」」

 

『わかって貰えた?』

 

「………ああ。納得はできないが理解はした。ありがとう。」

 

『あはは……今の箒ちゃんの気持ちがはっきりとわかるよ。うん。束さんもそうだったし。……うん?くーちゃん、今行くからちょっと待っててー!もうご飯だから切るねー、はぶあぐっどないと!!』

 

———プツッ

 

………………………………。

 

 

「………私、もう寝るわ。」

 

「……私も、寝るとしよう。」

 






「……ねぇ、くーちゃん。」
「なんでしょうか?」
「この料理どうしたの?」
「お父様から束様の生活面を監視するよう言われておりますので。」
「だからってなんでこんなにピーマン入ってるのぉ!?」
「束様はピーマンが大変お好きだとお父様から…」
「そらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

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