天災?いいえ、間に合ってます。   作:104度

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モチベーションが低い………ヒロインたちが可愛いネット小説を探さなければ!!

やるべきこととやりたいことが多すぎて死にそう……光陰レーザーの如し。
進みが遅いですね、これ。もう少し早い展開のほうがいいのかな…?

誤字を見つけましたら報告をお願いします。


昔から変わらない三人

 

 

 IS学園に入学したその日、一夏くんは朝からずっと好奇の目に晒されて疲れていたためか、寮のベッドにダイブするなりすぐに寝息をたて始めた。

 僕はというと、千冬のいるであろう寮長室にやって来ていた。今日の午前中に束と一緒に叱られて、何故か僕だけ続きをするからと呼ばれたんだけど、それは嘘だと思う……というか、部屋に入りたくない。だって、あの千冬だよ?束並みに私生活がアレなんだよ?おかげで一年に何度千冬の部屋を大掃除することになったか……

 そんなことを考えながら部屋の前に立っていると、後ろから馴染みのある声が掛かった。

 

「もう来たのか。今すぐ開けるから少し待っていてくれ。」

 

 声の主はもちろん千冬。今日の授業のときみたいな凛々しい雰囲気が、プライベートな空間に入った途端に霧散してしまうが、それは昔から散々見てきているから、今更気になることはない。むしろ、そうでなければ千冬じゃないと言える。それはそれで千冬に失礼だけど。

 千冬が扉を開けた瞬間、僕は自分の想像が残念ながら的中してしまったことを直感した。そして、その先に待っている苦労を考えると、ほんの少しだけ精神的に疲れてしまった。

 僕を招き入れた千冬はというと、足場のほとんど残っていない床を器用に進み、ベッドに座って僕を怪訝そうな目で見ていた。

 

「うん…?どうしたんだ?」

 

 呑気にそうのたまう千冬。

 

「どうしたんだ?じゃないよ……今からこの部屋を掃除するから手伝っ……いや、やっぱりいいや。うん。そのままベッドに居て。」

 

 千冬に掃除をやらせてはいけない。好奇心で行動している幼い子供のように、何をしでかすかわからないのだ。

 

「さりげなく馬鹿にされた気がするが………」

 

 そして、やはり、というべきか、そんな僕の内心を察する千冬。女の勘は鋭い、とよく言われはするけれどもこの鋭さは尋常じゃないと思う。

 

「気のせいだよ。気のせい。」

 

 いつも通り流すしかない。

 

「むぅ……」

 

 珍しく可愛らしい声で千冬がうめくが無視をして作業を始める。それにしても……長い戦いになりそうだ。千冬ですら苦手とするかの黒光りする生命体が、どうも家族単位で潜んでいそうなのだ。駆除するときにその黒光りする某のメスを叩き潰してしまうと、腹から子供が蜘蛛の子と同じように出てきてしまうため、そこまで荒く扱えないし、かといって手元にソレの駆除専用のスプレーがある訳でもないし……。はぁ………今日はいつ寝られるだろうか。

 

 

***

 

 

 千冬の下着やゴミ、放置された食器、皺だらけの服等々、そして例の黒いアレと格闘すること三時間と少し、ようやく千冬の部屋が綺麗になった。

 昔と同じように、千冬は僕が掃除している間は薄着のままだらけていた。それを指摘したが、長い付き合いだから最早僕への羞恥心はないと返されてしまった。束と同じじゃないか。

 ……それはいいんだ。ただ、今回は部屋に潜んでいたアレの数があまりにも多すぎて、掃除中に千冬が気絶してしまった。一匹や二匹程度なら見え見えの虚勢を張って青い顔のまま強がるのだが。

 さて、千冬の部屋の掃除も終わったし、どうして僕が呼ばれたんだろう………あ、千冬気絶してるじゃん。

 時計は既に23時15分を示しており、もう遅い。このまま自分の部屋に戻ってもいいのだが、意識を飛ばしたままの千冬を放っておく訳にもいかないため、今日はこの部屋で夜を過ごすことにしよう。

 ベッドの上の千冬を抱き上げ、体に負荷のかかりづらい姿勢にして布団をかける。そして僕は……………あれ?この部屋で寝られそうな場所がベッドしかない。床は朝起きたら体が痛くなるから嫌だし………。

 結局、千冬と同じ布団に潜り込んで寝ることにした。おやすみなさい。

 

 

***

 

 

 突然だが、空は朝に弱い。低血圧だとか、そういった健康面の理由ではなく、ただ単に朝が苦手なだけだ。寝起きはもちろんのこと、顔を洗って意識が覚醒するまでの寝惚けている間は基本的に意識がなく、何をしたのか全く覚えていないのだという。

 本人はそれで良いだろうが、私は良くないのだ。空の前に下着のみを身につけた状態でいることにはもはや抵抗はないが、それとはまた違う。こう……物理的な接触に未だに慣れないため、手を繋いだり、抱き合ったりということが苦手なのだ。……それを、あいつは寝惚けている間にしてくる。平気で同じ布団に入ってくる上、朝起きたときには抱き枕にされていたり、上から押し倒されたような姿勢になったりと、色々と危ない。主に私の精神が。(理性ではない)

 昨日無様にも私は空の前で気絶してしまったが、なぜ空はこの部屋にいるままなのだろうか。まさか私を心配して……?いやいやいや。そのような都合のいいことが……あったらいいが…。

 ……と、とりあえず今はこの状況をなんとか打開しないと。今私は空に抱き枕にされている。しかも両腕だけでなく両脚も絡ませるタイプのものだ。いままでに一度しかないほど珍しい。正直このままでもいいとすら思える。しかしこのままでは職員の勤務時間に遅れてしまう。だが、そのような理由でこの至福のひと時を自ら拒んでしまって良いのか。いや、良くないだろう。けれども、遅刻をしたらしたで他の教員から何かグチグチと言われることは目に見えている。どうすれば………

 

 一人赤い顔のまま空の腕のなかでブツブツと葛藤している千冬は、自分の部屋に来たもう一人の人間の存在を見落としていた。

 

「千冬先輩………?…鍵は開いていますね。不用心だと注意したのに……。千冬先輩?起きてますか?………………返事がない、と。珍しいですね、寝坊ですか。千冬先輩、入りますよー?」

 

 部屋に入った真耶が見たものは、女性の千冬にしては妙に大きい布団と、明らかに千冬でない人の頭がだった。不審者かっ!?……と真耶は一瞬考えたが、もしそうならば千冬が撃退どころか撃滅してしまうではないかと思い至った。そして、千冬のベッドに近付いた。

 

「……………え、空先輩!?」

 

「…………………っ!!?」

 

 間近で真耶が声を発したことでようやく我に返った千冬は、声にならない悲鳴をあげながら空を遠ざけようとしたが、さらにきつく抱き締められてしまった。その顔は林檎よりも赤く染まり、凛々しさの欠片もなく緩んでいた。すごく可愛い。(by カメラの向こうの兎&真耶)

 

「むぅ~…千冬先輩だけずるいですっ。」

 

「い、いや、これには理由があってだな……。」

 

 珍しく千冬が狼狽する。

 

「理由なんて知りませんっ。本当なら私もそうして貰いたいですが、生憎と私は仕事に行かなくてはいけないので。」

 

「ちょっ………待ってくれ!」

 

「………………ふぁぁ~…。ぅん………?」

 

 二人の会話で空が起きてしまった。空は自分の腕の中にいる千冬を見て一言。

 

「おはよう、千冬。今日も可愛いね。」

 

 この台詞である。普段の空ならば滅多に言わないであろう気障な言葉だ。

 

「なっ……!?………あ、えと、その…あ、ありがと…う………。」

 

 そしてこの反応である。普段なら素っ気なく返す千冬だったが、色々と混乱していたためか妙に素直だ。

 

「あぁもう可愛いなぁ。」

 

 そう言ってさらに抱き付く。そんな空に真耶は不平を溢す。

 

「私にはないんですか……?」

 

「うぅん……?……真耶じゃん。おはよう。」

 

 そう言いながら空は、千冬を抱きながら器用に体ごと向きを変える。

 

「真耶も可愛いよー?その服も似合ってるし。」

 

「ふ、ふんっ。どうせお世辞でしょう?」

 

「そんなわけないよ。」

 

 おもむろに空がベッドから出て真耶に近寄る。意識が覚醒してから長らく抱きつかれていた千冬は、空から逃げるように部屋の脱衣所に向かい着替え始めた。よっぽど恥ずかしかったのだろう。

 

「真耶って昔からそうだけど、肌とか綺麗だし髪も艶々だよねぇ。よく手入れされてるのがわかるよ。」

 

 そして真耶の頬や髪を触りだす空。知り合いでなかったらただの犯罪者である。

 

「ひゃっ…な、なにを……」

 

「いい匂いもするし、女の子って感じがして可愛いし…」

 

「そっそれは………きゃぁっ!」

 

 千冬や束の有様を知っているため真耶は言い返せなかった。そこに突然空が寄りかかってきた。当然体格の大きい空を真耶が押し返すこともできず、二人とも倒れてしまった。

 

「あ、あの、空先輩……?」

 

「……すぅー……すぅー……」

 

「………はぁ。」

 

 まさかの二度寝である。これに関しては、あの柔和な真耶でさえため息をつくほど。

 この後、脱衣所から出てきた千冬と真耶の二人で空を起こし、三人で職員室に向かった。空は二人の顔が若干赤みがかっているのを見て首をひねっていた。

 





「全く、あいつは昔から……」
「まぁまぁ。今回は先輩の役得だったからいいじゃないですか。」
「むっ……」
「ところで……」
「なんだ?」
「昔から……と言いましたね?」
「…………」フイッ
「目を逸らさないでください。……何回ですか?」
「は?」
「だから、今日と同じことは何回ありましたか?」
「……………いる」
「…はい?」
「だから……五十回は…超えている………」
「………はぁ!!?」

「………ねぇ、一夏。」
「ど、どうしたんだよ鈴。」
「今のあの二人の話…ホント?」
「あ、ああ、本当だが…」
「(羨ましい……とてつもなく羨ましい…やっぱり胸か?胸の差なのか?)」
「(鈴から非常に強い殺気が!!)」
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