『美少女ハンター凍土で大奮闘です!』改め『ティガレックス討伐譚:吹雪の前触れ』 作:fuki
とまあそんな自分のミスや会話も、きっちり書き起こしちゃってたり。
そもそもこの一連の文章は、師匠であるジュンさんへの報告書として書き始めたものなのだ。自分を美化したり都合よく改竄したりしてもばれて怒られるし、そもそも正直に書いた方があたしのためにもなるからいいんだよね。
この辺りで、あたしのことも少し書こうと思う。
今回のクエストとは全然関係ないから、読み飛ばしても構いません。
フルネームはザイゼン・エリ。漢字で書くと財前 江里。年齢は今年二一歳。今年で四年生になる“モンスターハンター”だ。ランクは上位。『下位→上位→G級』の上位ね。
産まれは“ユクモ”っていう山間の村落。“ハンター”だった姉とその先輩であるジュンさん(ちなみに漢字は天満 純)の遊び半分の訓練と、村で親しまれていた“ハンター”を題材とした昔話や武勇伝の影響で、物心付いた頃から“モンスターハンター”に憧れ、夢見ていた。
一一歳の時にポッケ村で“モンスター”の頻出が始まって、ユクモ村の“ハンター”がこぞって“モンスターハンター”としてポッケ村のギルドに移籍したことにより、数が減ったユクモの“ハンター見習い”枠にあたしが入って。
一五歳の時にポッケ村が落ち着いて、大量の“モンスターハンター”がユクモ村に戻ってきたんだけど、彼らが語る英雄的冒険譚に村のガキンチョが感化されて“ハンター見習い”の数が増え、あたしはスライドするように“ハンター”に。
そして一七歳の時にたまたまドスファンゴを捕獲しちゃって、なしくずし的に“モンスターハンター”になって、その二年後、港町タンジアのギルドに移籍したジュンさんを追ってユクモ村を出て、今に至るってわけ。
ほとんど外的要因っていうか、棚ボタで出世してるんだよね、あたし。
“上位ハンター”への昇格も特定のクエストをこなしたんじゃなくて、気付いたら集まってた勲章をギルドポイントに換算した結果だし。
あと、なにか書くことあるかな? 改めてこういうこと書いたの初めてだから、分からないなあ。
そうそう、移籍の時にもギルドに希望として出したんだけど、あたしは飛竜種を狩ったことがないのだ。
“上位ハンター”のグレードアップしたギルドカード持ってるのに、飛竜種討伐経験ゼロって、どういうこと?
かっこ悪すぎるよね。
憧れのハンターなんて程遠い。
まあ二〇歳ちょっとの小娘が飛竜種なんて相手にするのはおこがましい、ってギルドマスターの言うことも分かるんだけどさ。
三五歳のバニィさんがやっとチームリーダーとして名を上げ始めたころだし、二九歳のマーキさんは“上位ハンター”としては駆け出しだしね。あ、ジュンさんの年齢は知りません。
でもあたしの姉は、右手一本で片手剣を扱い、一二歳の時にはもう飛竜種である“雌火竜”リオレイアを討伐してたんだから、妹のあたしにだってそれくらいできないわけはないと思うんだ。
だからタンジアのハンターズギルドとしても狩猟経験ゼロのティガレックスの調査討伐クエストが発注された時には、真っ先に手をあげたのだった。
二つのゼロを一にするのはあたし以外にいない、って。
この時のために、あたしは飛竜を狩ってなかったんだ、って。
いや、うーん、筆が乗って書いちゃったけど、そこまで運命めいたものを感じてたわけでもないかな?
まあとにかく、そんなあたしの猛プッシュのお陰で――と言いたいところだけど、実際は地元でティガレックスと遭遇していたジュンさんの推薦と、万一遭遇したら小説でティガレックスの知名度をタンジアに広げてほしいってギルドのゆるい期待があって、補欠気味になんとかチームにねじ込ませてもらったわけなのだ。
ようするに、そんなに期待されてないわけ。二〇歳そこそこの小娘だしね。
でも、そんな周囲の逆境にもめげず、クエストでも凍土に二週間も張り付いて、あたしたちのチームは痕跡を見つけた実績を作ったのだ。
もうティガレックスを逃がせる道理なんてない。
追い詰め、謎を暴き、あたしの最初の飛竜種討伐クエストにするのだ!
……ああ、なんだかんだ、結構長く書いちゃった。