『美少女ハンター凍土で大奮闘です!』改め『ティガレックス討伐譚:吹雪の前触れ』   作:fuki

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● in fighting trim part2

「なあ、お前ら食わないのか?」

 マーキさんはティガ肉の刺さった三つの串を手に、トン殿たちに話しかけている。へえ、ちゃんとみんなの分も準備してたんだ。意外なようだけど、やっぱり基本はいい人なんだよね。

「ボクらはいいよー」

「それを食べる権利は、我々にはない。貴様らが食うがよかろう」

「ぬう、そうかあ」

 トン殿と片手剣ハンターが辞退すると、マーキさんは串を手にあたしたちの方に戻ってきた。

「三本あまっちまった。しょうがねえ、ここはオレが全部――」

「――バニィ、エリ、私の三人で食べよう」

 音もなく近付いた迅竜のポンチョから、にゅっと腕が伸びてマーキさんは串を奪われてしまう。

「あっ! おい、なにすんだよ姐さん!」

「あの三人がティガの肉を食べないことは分かっていたはずだ。その上で七切れに別けたということはつまり、最初から自分で半分以上食べるつもりだったんだろう?」

「え、あ、いや、ああ、なに言ってんだよ姐さん、あはは、このオレがそんなことするわけないだろ?」

 うわあ。「基本はいい人」とか言ったあたしがバカみたい。

「それに君は携帯食料を二食も食べたんだ、私たちが食べるのが道理だろう」

「ぐ、ぐおお……」

「小細工はするべきじゃなかったね。じゃ、ボクらで食べちゃおう」

 今度はさっきよりもすんなり喉を通り、お腹が膨れる。

「ああ、オレの肉が……」

「君の肉は、君が死んだ時にちゃんと食べてやる。心配するな」

「そういう意味じゃねえってー!」

 バニィさんが破顔し、ジュンさんが口元を上げ、マーキさんが頭を抱え、あたしが鼻息を漏らし――

 ――鐘が小さく響いた。

 トン殿たちを含めた全員が、“エリア7”への穴のそばにある仮設の鐘楼が鐘楼を見た。

 調査クエストが始まって、一箇月と二週間と二日目の、一三時の鐘。

 亀裂の休憩ポイントで飲んだホットドリンクの効果は、残り三時間半程度。

 たぶん、それが過ぎる前には、このクエストは終わる。

 そう、終わるんだ。

 今度こそ。

 あたしたちは誰が最初でもなく、羽織っていた毛皮を脱ぐ。

 残響が遠ざかるのを待って、バニィさんがあたしたちに手を見せる。

 『東方』『外』『二五〇メートル』『クエスト目標』『狩猟準備』『散開して移動』『速やかに』、そして『T』。

 一つ一つ、全員が確認できる程度に落ち着いて、だけど冗長にならないように示す。

 最後の打ち合わせが終わると、あたしたちは打って変わって無言で雪原を突っ切り、そのまま氷床へと脚を踏み出す。

 直後、咆哮が響いた。

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