『美少女ハンター凍土で大奮闘です!』改め『ティガレックス討伐譚:吹雪の前触れ』   作:fuki

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○ call back part2

「自分以外には誰もできないことが必ずある。それをやり通すまで死ぬな」

 ティガに抱かれて思い出した言葉は、姉に抱かれる感触と共にあった。

 ここまでの“言葉”を思い浮かべれば意外じゃないと思うけど、あたしはどちらかというと、姉に敬遠の念を抱いていた。

 すぐそばにいるのに、遠くから語りかけてくるような言葉遣いで、一緒にいる時も顔を見ること自体が希だったし、触れ合うこともほとんどなかった。

 だから、姉が遺してくれた言葉と、クエストに赴く時と帰ってきた時に頭を撫でてくれたこと、それくらいしか思い出せなかった。

「……なんてね。偉そうなこと言ってるあたし自身、やっと見つけられたんだ」

 でも、姉がそう溜息混じりに呟いた時、あたしは抱き締められてたと思う。

 長い時間じゃないけど、でも確かに。

「あなたを一人前の“ハンター”に育てるぞ、って思ってた。それがあたしにしかできないことだって。でも、あとのことはジュン先輩にお願いしちゃったんだ。あの子を護ってくれって」

 その腕は震えてて、それで気付いたんだ。姉が教えてくれる言葉が冷血で、いつも少ししか触れてくれなかったのは、姉自身が冷たい人間だからじゃなくて。

 怖かったんじゃないかって。

 狩りでいつ命を落とすか分からない恐怖心を、無事に生きて帰れた安堵感を、あたしに与えるわけにはいかなかったからじゃないかって。

「逃げるわけにはいかないの。ポッケ村もあっちの大陸も、あたしと縁も所縁もないところだけど、でも、行かないわけにはいかない。“古龍”だとか“黒き神”なんてレッテルは、引っ剥がさないといけないのよ。後に続く、たくさんのハンターのために」

 そうあたしの耳元に呟いた言葉は、弱々しかったけど、でも力強かった。

 この時にはもう、姉は父母の代わりをやめる覚悟をしてたんだと思う。その代わり――

「あたしはあいつを、飛竜種の“アカムトルム”にする。それがユクモ村唯一の“G級ハンター”であるあたしの、あたしにしかできないこと」

 ――あたしが目指す“ハンター”としての、本当の財前三枝子を、見せようとしたんじゃないかな。

「だから、エリも見つけて。エリにしかできないことを、やり通して。それまで……死なないでね」

 あたしはなんて答えたんだろう。

 顔も言葉も覚えてないけど、でも、最後に見たお姉ちゃんは、ちゃんと笑ってたと思う。

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