そしてやっとゲストキャラの正体が分かります。
279
真九郎たちはまだ幽斎の車を追いかけていた。この段階で仲間が幽斎の手によって分断されている。
幽斎は頭のキレる奴だ。きっとこちらの状況を読んで行動しているのだろう。裏オークションの開催地までまだ距離がある。
ならばまだ向こうに此方を足止めしてくる護衛がいるだろう。
「最上幽斎…この私の運転技術でもなかなか追いつきません。幽斎めはここまで技術を持っていたのか」
カーレースは未だに続く。だがすぐさま変化は現れた。真上から殺気を感じたのだ。
すぐさま窓から顔を出すと夜空から燃え上がる何かが降ってきたのだ。
「ヤバッ…!?」
すぐさま弁慶が打ち返そうとしたが燃え上がる何かは人であった。
「はああ!!」
「こいつ!!」
弁慶は打ち返せずに車に燃えた人が衝突した。その威力によって車は大破。
だが全員がなんとか無事であった。すぐに全員が車から脱出したのだ。受け身も成功して身体のどこも痛めていない。
「くそっ…何だよ燃えた人って?」
「それが私だ」
赤い髪が目立つ中華服を着た女性であった。すぐにどの者か分かる。
彼女は間違いなく梁山泊の者だろう。
「武松だ」
「弁慶」
すぐさま弁慶は構える。彼女は自分が倒すべきだと理解したのだ。
「ここから先は通させない」
「貴女1人で止めれますかな?」
クラウディオが糸を周囲に張る。すぐに倒して幽斎を追わねばならないのだ。
追う方法はまだ残っている。九鬼家の特別製の車に乗せてあったものだ。それもまた九鬼家特別製のバイク。
糸でバイクを引っ張って寄せる。でもこれに乗れるのは2人だけ。
「悪いが足止めは私だけではない」
闇からぬるっと出てきたのは真九郎たちが知っている顔ぶれであった。1人は裏闘技場で出会った顔。もう1人は醜悪なキリングフロアで出会った顔。
「ゲルギエフ」
「久しぶりだな小僧。裏闘技場にもいたようだがな」
「これはこれは裏社会の人たちですか」
クラウディオはより臨戦態勢を取る。特にゲルギエフは義経たちに相手をさせられない。
クラウディオの目をもって奴はただの殺戮マシーンのような男だと断定。学生たちには相手にさせるわけにはいかない。
「あの野郎」
ギリィっと拳を握る忠勝は裏闘技場で巨人を刺したオーナーを見る。宇佐美巨人の仇。
「真九郎様。最上幽斎を追ってください。ここは私が対処します」
悪宇商会の条約で悪宇商会の者とは戦えない。それはゲルギエフも同じだ。だから真九郎は追いかけるしかないのだ。
バイクを立て直して乗る。もう1人乗れるが、それはもう決まっている。
「義経も行かせてくれ。義仲さんを止めるんだ」
「分かった義経さん。後ろに」
「うん!!」
義経は真九郎の後ろに乗る。アクセルを踏んでバイクを走らせた。
「させるか」
「こっちこそさせるかよ」
武松が足止めしようとした時に与一が弓矢を撃つ。
その一矢に武松は足を止めてしまった。それだけでもう真九郎たちに追いつけない。
「公孫勝の準備は間に合わなかったか…仕方無い」
武松は両拳から炎を出す。彼女は特異な力を持っている。
それは人体発火現象だ。これは今なお解明されていないが武松は何故かその特異を制御している。
「あいつは私が倒す。与一援護して」
「分かってるよ」
武松を相手するは弁慶と与一。
「向こうは弁慶様にお任せしましょう。私は貴方を」
キリリっと糸を引く。
「ふん。老害め」
「戦闘屋」
ゲルギエフはクラウディオが倒す。
「クラウディオさん。私たちも援護します」
冬馬たちも何かできることはしたいという表れだ。
「てめえの相手は俺だ」
「ふん。ガキ如きが私の相手ができるとでも?」
「そのガキを甘く見ないでよね!!」
「その通りだ。我が正義は負けぬ!!」
裏闘技場の元オーナーは忠勝に一子、クリスが相手をすることになった。
(…早く来てくれ)
まだまだ奪還作戦は始まったばかりだ。
280
バイクで幽斎たちを追う。このバイクも特別製のおかげで一旦離された距離がグングンと縮まる。
「義経さん。もっと捕まっててください。もっとスピード出します!!」
「うん!!」
真九郎の腰に義経の腕が回ってより力強く捕まる。こんな時だがついドキドキしてしまう義経。
でも今はそんな気持ちになっては不健全であろうか。だから気持ちを一旦切り替える。
「義仲さん…思い返してくれるかな?」
「分からない。でも旭先輩がどう思ってもやることは変わらないさ」
「そうだね。絶対に義仲さんを助けるんだ」
やることは変わらない。必ず旭を救う。
それが本人が望んでいなくとも。これはただのこちら側の勝手であるのだから。
そもそもどうして旭はこんな計画を了承したのかが分からなかったのだ。残念ながらその答えは義経には分からない。
だが真九郎は答えが分かっている。それは旭がそういう人間だからだ。
何を言っても自分の考えを曲げない人間。自分のやっていることに間違いが無いと思っている人間。絶対に後悔、改めない人間だ。
特に幽斎はまさにそんな人間だ。
(でも旭先輩は…)
真九郎は彼女に対して思うことがある。彼女は本当に心の底から平気だと思っているのかだ。
なんせ死が怖くないはずがないんだ。
「見えた!!」
「本当か!!」
「でも裏オークション開催地も見えてきた」
残念ながらもうカーレースは終わりだ。なんせ真九郎の言った通り裏オークションの開催地についてしまったから。
幽斎が車を止める。真九郎もまたバイクを止めた。
そしてお互いに乗っている物から降りる。
「いやあ、開催地に到着したみたいだね」
「そうですね最上幽斎さん」
だが真九郎は焦っていない。裏オークションに到着したからと言って旭がすぐに競売にかけられるわけではないのだ。
まだ間に合う。まだ旭を奪えることができる。
「ふふふ。あれだけ多かった仲間も今は真九郎くんと義経だけだね。もっともこっちももう護衛はいないんだけどね」
幽斎が用意した護衛はもういない。ならば今すぐここで奪えば問題ないはずだ。
真九郎と義経は構えるが後ろから気配を察知。後ろには幽斎の屋敷にいたはずの梁山泊の林冲が追いついていた。
「お前は!?」
「やっと追いついた。最上殿、私がここで彼らを足止めします」
「うん。任せたよ」
林冲が武器を振るう。それに対して義経は叫んだ。
「風間くんたちは!?」
「殺していないさ。ただ今日はもう動けないだろうな」
林冲だけ見ると残り2人の梁山泊はいない。気配を察知してみると2人が隠れている様子はない。本当に林冲だけが来ただけである。
「どうやら世界は私たちを選んでいてくれるようだ。でも油断はしないさ。世界とは移り変わりが激しいものだからね」
そう言った瞬間に携帯電話が鳴った。
「おや、お客様からだ。急ごう旭」
「はい、お父様」
幽斎と旭はホテルへと入っていく。
「待て!!」
「そうはさせない」
林冲がホテル入り口の前に立つ。
「そこをどいてくれ!!」
義経は叫ぶ。
281
幽斎たちが裏オークションに到着する前。
ここには裏世界の多くの大物たちが集まっている。いや、裏世界だけではないだろう。表世界の大物たちだって集まっている。
裏オークションとはそういうものだ。腹のうちに何を抱えている者は分からないものだ。
そしてこの会場には既に柔沢紅香が潜入していた。隣には犬塚弥生がいる。
「ほー。これが出品される商品たちか。いろいろあるな」
ペラリペラリとリストを見ていく。その商品リストを価値が分かる者が見れば目玉が飛び出すほど驚愕するだろう。
「いろいろあるな。市場に絶対に回らない宝石類やオーパーツ類に行方不明になっていた絵画の数々…」
そして違うリストも見る。
「…良い趣味してるな。今は亡き最高の女優の毛髪に芸術的だと評価されてた刺青人皮。希少種や絶滅種の動物たち」
他のリストを見ているとある商品が目に入った。
「この人工臓器は……ん、それにこいつは今頃、真九郎が追いかけている途中かな?」
つい真九郎の顔を思い出す。あいつなら何とかするだろうという予想を思いながら。
「そろそろ競売が始まります」
「そうか。仲間たちの配置も済んでいるなら早速始めるか」
大仕事が始まる。
282
星噛絶奈は酒を煽りながら裏オークションの会場内を歩いていた。
目指す先は星噛製の人工臓器だ。それさえ回収すればこの面倒な仕事は終わりである。
終わったらまた酒を飲もうと考えている。こんな金にもならない仕事はもうこりごりだ。
「さって…この人工臓器を手に入れた組織はどうしようかしら」
どうやって手に入れたかはもう気にしないし関係無い。ただ昔の粗悪品扱いになった人工臓器を誰かが裏オークションで手に入れて、その人が後から文句を言ったらたまったものではない。
昔の物でも星噛製以外の人工臓器は届かない。でも昔の星噛製の人工臓器よりも今の人工臓器の方が完成度は高いに決まっている。
ならば昔の物はとうに処分しているのだ。だけど処分していた物が残っていた。それだけで面倒なのだ。
「こればっかりは星噛家の問題よねー」
確か手に入れたのは臓器売買組織だ。最近、ちょいと裏世界で上がってきた裏組織である。
まだまだ新参者の組織だから星噛絶奈にとっては脅威ではない。そもそも悪宇商会の者が雇われているから情報は筒抜けだ。
そんな相手に時間を割くほど暇ではないのだ。ただ今回はビジネスだ。恨みで相手の組織を潰す暇なんてない。
臓器売買組織が直接、星噛家から奪ったのならば面子を守るために潰すが。
「じゃあ、面倒だけど仕事しますか」
283
臓器売買組織のボスは裏オークジョンの会場にいた。窓から見える夜景に荒々しい海を見ながらワインを舌鼓み。
運良く星噛製の人工臓器を手に入れて競売にかける。旧式の物らしいが、それでも喉から手が出るほど欲しいという輩はいくらでもいる。
これを裏オークションに出すことが大切なのだ。そうすればその臓器売買組織はあの星噛製の人工臓器まで手に入れることができる組織だと格が上がる。
更には今夜、彼の組織にとても素晴らしいモノが手に入る。いや、手に入れてみせる。
きっと多大な額を使い込むかもしれれないがソレが手に入れば倍以上に、いやもっと金は帰ってくる。
なんせクローン技術が手に入るのだから。そうすればいくらでも良い臓器が手に入る。
偉人の臓器なんて欲しい人はいくらでもいる。きっとより儲かるだろう。
「絶対にあのクローンを手に入れろ。金はいくらでも出す」
そして新たに電話を掛ける。
「今どこにいる…そうかすぐに会場に届けろ。それだけでも金は払う。競売でも多大な額も払いましょう」
ピっと電話を切る。
このボスの名前は草加聖司。彼に関して語ることはあまり無い。彼が臓器売買組織のボスと言うことだけだ。
彼は正常な頭を持ちながら狂気を孕んでおり、サイコ野郎よりも危険な人間だ。
サイコパスとは精神病質。分かりやすく言うと良心が完全に欠如した人間と定義されている。草加聖司も当てはまるかもしれないが精神に異常をきたしているわけではない。
彼の考えは全て一定の理があるようにあるのだ。それがまた恐ろしいところである。被害者からしてみれば「ふざけるな」だが、それで救われた者もいるのが問題だ。
臓器を奪われ、死んだ者の肉親からしてみれば絶対に許せない。だがその奪われた臓器で救われた者もいる。何が何だか分からなくなる。
「クローンの臓器が手に入れば金がもっと手に入る。そうすればもっと人が救えると思いませんかね?」
草加聖司は一人で呟いた。だがただ呟いただけではない。部屋にいつの間にか侵入していた2人に呟いたのだ。
「それは一人の少女の命と引き換えにかのう?」
「やっと見つけたぞ臓器売買組織の首魁め」
草加聖司の前には鉄心とヒュームがいた。
「世界最強と言われる老人たちの登場ですね」
部屋の明かりは暗く、2人からでは草加聖司の顔は良く見えない。だが確実に彼が部屋にいることだけは確認している。逃がすつもりはない。
「絶対にお前を捕まえる」
「川神市を食い物にした罪は償ってもらおうか」
「…罪を償う?」
彼は何を言っているんだというように首を傾ける。
「何を言っているんですかねお二人は…私は川神を食い物にしてませんよ。全てビジネスですよ」
「ビジネスじゃと?」
「はい。まさか私がそのまま人間から無理矢理臓器を奪ったとでも? 違いますよ。全てビジネスです」
心外だとばかりに溜息を吐く。その行為が久しぶりに鉄心の心をイラつかせる。
「川神で何十人のも命を奪っておきながらビジネスじゃと!?」
「はい。そもそも私は臓器を奪っているのではなくて買っているのですよ。そして買った臓器を欲しい人に売っている。それだけです」
彼は口を開いていく。胸糞悪い事実を。
「私に臓器を売ってくれているのは川神の人間ですよ」
「何だと?」
ヒュームの顔は厳しくなる。
「単純です。人は生きるために金が必要だから売れるモノを売ったに過ぎない。それを買ったのが私だったに過ぎないのです」
人はお金が無いと生活できない。それはこの世の理の1つ。今の世の中では当たり前のこと。
だから人間は仕事をしたり、モノを売ったりしたりしてお金を手に入れるのだ。
「私に臓器を売ってくれる川神の人間たちはお金に困っている人が多かった。単純な考えですよ。家族全員が死ぬか、人の臓器を売るか。それだけなんです」
たった臓器1つを売るだけで家族が生きられる。切羽詰まった当人からしてみればどっちを選ぶか決まっているだろう。
「ぬう…」
「私は買っただけ。私のどこに罪があるんですか?」
草加聖司が全て無罪だというわけではない。ビジネスなのだから彼もやることはやっている。
でも抜け道を通るやり方である。
彼は傘下に売春組織にユートピア販売組織と裏闘技場がいた。それらを利用したにすぎない。唆したというべきだ。
その3つはやはり金を使う。女を買うのに金を使うしユートピアという薬を買うのに金を使う、裏闘技場はまさにギャンブルだ。
ハマればハマるほど金は使いまくる。だが道を踏み外せば暴落する。金が無くなり払えなくなる、生活ができなくなる。そこがねらい目なのだ。
裏闘技場も売春組織もユートピア販売組織も金が払えなくなった奴からは金を払うように仕向ける。そこで臓器販売組織だ。
巨額な借金を払うために臓器を売るように唆す。あとはもう本人の問題だ。唆しただけで決めるのは本人。
あとは覚悟を決めた本人から臓器を買うだけ。無理矢理奪ったわけではない。金のために、ビジネスとして手に入れたのだ。
「私にどう罪を償えと? 私は買っただけだ。では、臓器を私に売った者たちは罪にはならないのか?」
草加聖司は当たり前のように言葉を噤む。それは本当に自分が正論だと言わんばかりに。
「何を言おうがお主はただの犯罪者じゃ」
「その通りだ鉄心。あいつが何を言おうとも奴は犯罪者だ」
鉄心もヒュームも草加聖司の戯言には耳を貸さない。何のためにここまで来たと思っているのか。
確かに川神の人間が同じ川神の人間を犠牲にしてまで金を手に入れていたという事実に心は痛めたが、人間の本性というのは鉄心やヒュームが最強であってもどうすることもできない。
だが臓器販売組織を壊滅させることはできる。目の前の男を捕まえればもう川神で臓器を取られる人間はいなくなるはずなのだ。
「全く…頭の固い老人たちだ。私は捕まる謂れはない。だから正当防衛だ」
部屋の壁から複数のロボットが出てくる。そのロボットはヒュームは知っていた。
それはクッキーシリーズたちだ。
「何故クッキーシリーズが…しかもマガツシリーズか」
クッキーシリーズでもマガツは戦闘特化型だ。その性能は壁越えの達人にすら到達する。
時間軸が違えばクッキーシリーズでもISシリーズというのがある。そのISシリーズを全て集結させた力によってあのヒュームを吹き飛ばすという世界線がある。
だがISシリーズは戦闘特化ではない。ならば戦闘特化のマガツシリーズが集結させたクッキーロボならばより壁越えの者たちを相手できよう。
「倒すことはできないが時間稼ぎはできますね。まあ私もこの場から逃げ出すのは難しいですが…」
マガツクッキーは壁越えの達人並みの性能があるとはいえ、相手は鉄心とヒュームだ。簡単に逃げることはできない。
「このマガツはより改良してある。達人だからと言って油断していると痛い目を合いますよ」
複数のマガツクッキーシリーズが1つに合体する。まさに近未来のロボット、アニメや映画に出てくるようなロボット、クールなロボット。
まるで阿修羅像のようなロボットである。
「マガツクッキー阿修羅モードと言うらしいです。このモードは今回が初披露だそうです」
まるで攻撃色を思わせる赤いセンサーが光る。
「老害ども。お前たちの時代は終わりですよ」
読んでくれてありがとうございました。
次回もゆっくりとお待ちください。
幽斎がおこなった足止め作戦はいつの間にか真九郎たちの戦力分断作戦となりました。
結局のところ裏オークションまで来てしまいましたがまだ真九郎の負けではありません。まだ間に合います。
みんながみんな、自分たちの戦いに決着をつけます。その決着の付け方は…まあ、いろいろと。
そして、前に呟いていたゲストキャラというのは草加聖司でした。
知っている人は知っていますと思いますが、彼は『電波的な彼女』という小説に出てくるキャラです。
紅と同じ世界観にいるキャラですね。『紅』と『電波的な彼女』は同じ世界観で時系列が繋がっていますが、この物語に登場させるとちょっと矛盾があるかもしれません。
そこは気にしないでくださいね(ここ重要)
まさかほんの少し『電波的な彼女』ともクロスオーバーさせてしまいました。まあ、ジュウを登場させたくても彼はまだ子供だからなあ…。
草加聖司をゲストとして出したのは真九郎側の世界観の悪の在り方を最後にぬらりと出したかったからです。
『紅』や『電波的な彼女』の作品の悪側って生々しいんですよね。
巻ごとに登場する敵の悪意の剥き出し方がエグイ。なんせ悪意が強固で、歪んでいながらも誰もが曲げられない一本の芯があるからです。
多くの作品である王道としては主人公が説得したり、一騎打ちしたりすると敵側は改心したり仲間になったりする。でも『紅』や『電波的な彼女』の悪は改心しない。
『紅』の作品では星噛絶奈がその1人だと思います。悪のカリスマがあり、異能の力を持つ。それだけでも特別だ。
それでも悪として一本の芯がある。その例が…真九郎との死闘では引き分けになり、敵でありながらも彼の要求にはあらかた応えたる。だけど遺族や被害者への謝罪は断固として拒否するなどの悪宇商会の最高顧問のプライドはあるというのがあります。
だから、そこらの悪には無い特別な悪の有り方だと思います。
で、次に草加聖司ですが…彼は異能なんて無く、肉体的な力も普通。この物語では臓器売買組織のボスを当てはめてますが絶奈のような大物ではありません。
でも自分の力の使い方が他の悪人とは違うんですよね。なんというか、人間の悪性を濃縮した感じ。
自分としては『紅』よりも『電波的な彼女』の方が悪の描かれる狂気度が上だと思います。
星噛絶奈は力の強い悪でカリスマのある巨大な存在とすれば、草加聖司は弱いけど悪としての力の使い方に残酷性がある存在だと思います。
彼もまた特別な悪の在り方だと思いますね。だからこそ彼をゲストとしてマジ恋の世界観に登場させたのは、悪意を混ぜるためでした。
あとがきで、長々と書いてしまいました。