紅 -kurenai- 武神の住む地   作:ヨツバ

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ついに最終回です。
この物語も本当に長かったです。なので最後まで読んでいってくださいね。


交換留学終了

296

 

 

その後の話をしよう。今回の大事件での後日談をだ。

話すことはとても多い。詳しく話していきたいが、事細かく話すと一日じゃ話しきれない。だから大事な部分だけを話していこうと思う。

 

まずは臓器売買組織についてだ。

傘下であった売春組織とユートピア販売組織は風間ファミリーと冬馬グループのおかげで壊滅した。

 

大本であった臓器売買組織は草加聖司の行方不明と伴って完全壊滅した。川神市に潜んでいた魍魎のような裏組織は鉄心や九鬼財閥の尽力によって消え去ったのだ。

またやっと川神市はいつもの日常に戻ったということである。

臓器売買組織の壊滅には彼らだけの尽力ではない。柔沢紅香と星噛絶奈の力もあったのである。

 

星噛絶奈は彼等の問題とは関係なく本家の依頼を達成した。星噛製の旧人工臓器の回収だ。

その回収は問題なく達成。絶奈本人としては「やっと面倒な仕事が終わった」と呟きながら酒を飲み始めたとルーシーは語ったとかなんとか。

 

裏オークションに集まった裏世界の要人たちは柔沢紅香によって捕縛された。彼女は本当に何でもこなしてしまう超人である。

だから本当に「凄い」と心の底から言える。全く持って彼女の底が見えない。だけどこの結果を見て紅香はこう言うのだ。「いつものことだ」と。

 

今回の戦いでは重傷者や軽症者もいる。

こう言うのもおかしいかもしれないが紅真九郎は大きな事件解決後はいつもボロボロの身体になる。そして源忠勝や風間翔一に島津岳人も今回の事件の中で重傷者だ。

全員仲良く病院に入院で快調に向けて療養している。なんせ九鬼財閥や葵紋病院が総力をかけて最高の治療を施したのだから。

きっと彼らの元気ならすぐにでも退院できるだろう。

 

「ベットの上は暇だなー。早く身体を動かしたいぜ。なんつーか風のように走りたい」

「そう思ってんなら大人しく寝てろ」

「はああ…入院中は美人のナースがいろいろしてくれるって噂は都市伝説か」

「島津も大人しく寝てろ」

「あはは…」

 

あの戦いの中で川神百代とレイニィ・ヴァレンタインの対決後は特に遺恨は残らなかった。何でもレイニィは今度こそ倒すとリベンジに燃えて仲間たちと帰国したそうだ。

本当ならば彼女たちの戦いはきっと事件とは関係が無かったはずだろう。でも偶然にも事件に組み込まれてしまった。ただ、それだけなのだ。

 

「今度こそ勝つ…モモヨ」

「またな」

 

そういえば梁山泊の傭兵団もいたが、彼女たちも本部に帰ったことだろう。どうなったかは知らない。

たぶん依頼不達成ということで本部の山の草刈りでもしているのかもしれない。

彼女たちとは世界線が違ければ一緒に川神学園で学園生活をしていたかもしれない。

 

非日常は日常に戻っていく。

大和たちと冬馬たちはまたいつもの学園生活に。板垣姉弟たちもいつもの暮らしに戻る。

夕乃や銀子もいつも通りだ。そして義経たちも。

 

さて、最も知りたいことである最上幽斎と最上旭について。

彼らの処遇がどうなったかは未だに分からない。知っているのは九鬼の上層部でも一部だけだ。

旭は川神学園から消えた。消えたというより休学扱いになっているだけだ。

義経として旭がどうなったか早く知りたいが、ヒュームたちが幽斎と旭を引き取ってから彼女を見ていない。

九鬼財閥のことだから悪いようにはしていないはずだ。だけど今回で犯した事件が事件だ。

流石に彼らをどうするかの処遇で揉めているのだろう。だけどその事は真九郎でも義経でも鉄心でも百代でもどうすることはできない。

これに関しては待つしかないのだ。

 

旭を救うことはできた。だから彼女には新たな人生を生きてもらいたいのだ。

そのために義経は旭の手を掴んで助けるつもりだ。

 

「義仲さん」

「ちゃんとまた私らの前に現れてくれるよ主」

「そうだぜ」

「…そうだね。帰ってくるのいつまでも待つよ」

 

また出会えることいつまでも信じて。

 

 

297

 

 

忘れがちかもしれないが紅真九郎たちは交換留学生だ。

ならば期間が来れば元の星領学園に戻るのは道理だ。たった3カ月の交換留学なのだから気が付けばもう終わり。

体感では3カ月以上も川神学園に交換留学していた気がしなくもないが、そこはツッコまないようにしている。

だってツッコんだら負けな気がする。少し話が逸れてしまった。

交換留学が終える前日に大和たちは真九郎たちのお別れ会を内緒で準備していた。

結果はのサプライズは成功。ちょっと苦笑いをしてしまったが大和たちの気持ちは嬉しかった。こういうのも悪くないということだ。

 

「ありがとう直江くん」

「ありがとう」

「ありがとうございますね」

 

真九郎、銀子、夕乃はそれぞれお世話になった人たちへ挨拶周りだ。

 

「紅先輩!!」

「あ、由紀江ちゃんに…あと伊予ちゃん」

「あの、友達を助けてくれてありがとうございます。あの後、順調に回復に向かってるんです!!」

「そっか良かったよ」

 

川神学園では多くの人と知り合いになった。

中にはもともと知り合いもいた。

 

「真九郎くん!!」

「心さん。川神学園ではお世話になりました」

「いいのじゃいいじゃ。それにしても…本当に帰ってしまうのか」

「まあ、交換留学だし」

「うう…また会えるかの?」

「勿論だよ」

 

出会いがあれば別れもある。当たり前だ。

今回は別れだが、次はきっと再会だろう。もう会えないなんてことはないのだから。

 

「真九郎!!」

「我が友よ!!」

「紋ちゃん。それに英雄くんまで」

「もっと派手にしてやろうとしたのだが…直江はこれくらいで十分だとぬかすものだからな」

「あはは…これくらいで十分だよ」

 

これ以上派手になったらどうなるのだろうか。ただの交換留学終了のお別れ会はこれくらいで十分だ。

 

「真九郎よ。また会いに来てくれるか?」

「うん。そりゃ勿論だよ紋ちゃん」

「なあ………もし九鬼財閥に就職する気になったら我の従者になってくれないか?」

「紋ちゃんの?」

「う、うむ」

 

紋白は今まで言いたかったことを真九郎に言った。彼の能力的に九鬼財閥に入ってほしいと言うのはあった。

でも今回ばかりは紋白自身のために言ったのだ。

 

「そうだね…良いよ。でも」

「待て、その先は言わなくても分かる」

「そっか」

「待ってるぞ真九郎」

 

このお別れ会では約束もする。その約束が果たされるかは分からないけれども。

 

「真九郎くん!!」

「やあやあ真九郎ー」

「よお。同じ特異点」

「真九郎くん…」

 

今度はクローン組だ。

今回の交換留学で案外、彼らと一緒にいたのが長いかもしれない。

クローン奪還事件や覇王暴走事件、そして今回の事件。確かに多いかもしれない。

 

「また会おうぜ同士」

「与一くん。そうだね」

「なあ真九郎…いや、何でもない。また会おうね」

「勿論だよ弁慶さん」

「またね真九郎くん。私ね…諦めないから」

「はい…えと、何を?」

「おい真九郎!!」

「あ、急に項羽さんに」

 

清楚から項羽にチェンジ。この光景ももう慣れたものだ。

 

「俺から離れるのか。裏切るのか?」

「裏切るって…そんなんじゃないですから」

「なら、また戻ってくるな。絶対だな!!」

「約束します」

 

それにしてもこの学園で約束がいろいろと増えてしまったものだ。

 

「真九郎くん…義仲さんは」

「まだ情報は無いんだね」

「うん。九鬼家上層部にかけあっても教えてくれないんだ」

「そっか」

「でも待つって決めたんだ」

「…きっとまた会えるさ」

「うん。本当にありがとう真九郎くん!!」

 

義経は真九郎に感謝しかない。彼は自分がどうしようもないことを解決してくれた。

彼は彼女にとってヒーローになったのだ。義経は真九郎にいろいろな思いを募らせる。

 

「また会えるだろうか」

「それ、色んな人から言われるなあ。…会えるよ」

「うん!!」

 

最後に。

 

「直江くん」

「紅くんお疲れ。なんか色々と約束してたね」

「あはは。まあ、どの約束も果たすさ。もう二度と会えないなんてことはないし」

「そうだね。…紅くんに会ってからいろいろありすぎた。でも全て良い経験になったよ」

「そうかな…中には経験にしてほしくないのもあるけど」

 

本当に経験してほしくないものだ。特に裏社会に関しては。

 

「大丈夫。もう裏世界に関わるつもりはないさ。だって俺らはそっちの人間じゃないからさ」

「それが一番だよ」

「まあ、無茶はするけど」

「安心できないんだけど…!?」

 

お互いに苦笑。ここでのこういう学園生活はもう終わりだ。

またお互いにいつも通りの学園生活に戻る。最後くらいは笑顔で迎えよう。

紅真九郎の川神での物語はこれで閉幕だ。

 

 

298

 

 

「ふむ、色々とあったのだな」

「そうだよ紫。川神での生活は悪くなかったよ」

「そっか。まあ私も川神では楽しかったからな」

 

紫は真九郎にもたれ掛る。最近まったく会えなかった。しかも交換留学中はより会えなかった。

だから今はその我慢した分が爆発して真九郎に甘えまくっているのだ。

 

「真九郎も楽しかったか?」

「ああ。それは勿論」

 

またいつもの日常に戻った真九郎だが、時たまに川神でのことを思い出す。その度に楽しい記憶が頭に再生される。

そうなるとまた川神に訪れたくなる気持ちがあるのだ。もしまた行くなら紫や夕乃、銀子たちと一緒に行きたいものだ。

なんとなく優しく紫の頭を撫でる。紫がそうしてほしそうだと感じたからだ。

 

「なあ、真九郎。また今度みんなで川神に行こうな!!」

「そうだね」

 

いつになるかは分からない。でもきっとまた川神に訪れると決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

299

 

 

月日は流れ、いつもの日常に戻って真九郎は星領学園での一日を終える。そして五月雨荘に帰宅。

自分の部屋のドアノブに手をかけた瞬間に違和感を感じた。その違和感とは人の気配がするという意味だ。

 

(環さんでも闇絵さんでもない…誰だ?)

 

最初はいつも通り環かと思ったけどそんな雰囲気ではない。全く持って別の気配だ。

ここは不戦の約定がある安全圏内。大丈夫だと思うが油断はしないほうが良いだろう。すぐに気を引き占めて覚悟を決める。

まさかこの五月雨荘に、しかも自分の部屋に侵入してくる奴がいるとはどんな不届き者だろうか。

ガチャリと自分の部屋の扉を開けた。

 

「誰だ!?」

「あ、お邪魔してるよ真九郎くん」

「…………え?」

 

つい間抜けな声を出してしまった。だって予想外な事が今目の前で起きているのだから。

 

「何で旭さんが…?」

「こら、私の名前を呼ぶときはアキさんでしょ」

「いやいや、何で俺の部屋に旭さんがいるんですか!?」

 

アレ以来、幽斎と旭がどうなったか結局分からず仕舞いだった。だと言うのにその旭が目の前にいる異常事態。

 

「説明を求めます!!」

「じゃあコレ」

 

そう言って旭は真九郎に手紙を渡す。その手紙を急いで開いて内容を確認する。

読むとどうやらこの手紙は幽斎からのもののようだ。

 

『やあ、真九郎くん元気かな? 僕は元気だよ。あの後の僕の処遇だけど普通に九鬼財閥に追放だよ。当然の結果だよね』

 

『でも僕を自由にさせるつもりは毛頭無いらしくて今も監視されてるんだ。九鬼財閥から追放させたくせに九鬼財閥で監視っておかしい話だ』

 

『何でも僕は危険人物に指定されたらしくて警察と連携しているみたいなんだ。昔みたいに世界を自由に旅したいよ。まあこれも僕に課せられた試練だろう』

 

『さて、無駄話を書くつもりは無かった。きっと真九郎くんは旭が何で自分の部屋にいるか疑問だよね。それを説明しよう』

 

『真九郎くんには娘の旭を任したいんだ。本当なら彼女は死んでいた。そういう運命だった。だから生き残ってしまった娘はこの先どうすればいいか分からなくなっているんだ』

 

『簡単に言うと生きる理由が無くなっているんだよね。だから娘の旭に生きる理由を与えてほしいんだ』

 

『これは揉め事処理屋の仕事として君に正式に依頼だ。勿論これは九鬼財閥にも提案しているんだ。そして受け入れてくれた』

 

『本当に正式な依頼だよ。裏も何も無い。これは僕の本音でね。娘には幸せになってもらいたんだよ。暁光計画を立てた親のくせしてね』

 

『責めるつもりじゃないけどさ、真九郎くんにはその責任があると思うんだ。だって君は親の僕から娘を奪ったんだしね』

 

『僕はもう旭に会えない…だから娘を頼んだよ。揉め事処理屋の紅真九郎くん』

 

手紙読んだ真九郎は口が空いてしまう。どう返事をすれば良いか分からないのだ。

何だってこんなに唐突なのだろうか。こんなこと何も知らされていないのだ。まるで紅香が紫を連れてきた時のようである。

 

「そ、そんないきなり!?」

「真九郎くん」

「は、はい!?」

「言ったよね…お父様に私を奪うって、いただくって」

「え、いや…そう言いましたけど!?」

「それってある意味プロポーズだよね。実は私それドキドキしちゃったんだ」

「え、えと!?」

「責任とってくれるよね?」

「ええっ!?」

「私に生きる理由を教えてね」

 

頬を赤くして恋するような顔だ。こんな顔をする彼女は初めてである。

でもまさかこんな事になるとは思わなかった。どうすれば良いか分からない。だけどこんな時に限ってある意味状況は悪くなる。

何となく後ろを振りかえると何故か夕乃たちがいた。

 

「真九郎よ誰だそいつは!?」

「真九郎さん……説明を求めます。そして後日また稽古ですよ」

「最低」

「真九郎くんが女を部屋に連れ込んでるぅ!!」

「だから最初に言ったではないか少年。女難の相があると」

 

何もかもがヤバイ。どうすればよいのだ。

だがまだ状況は収まらない。今度は携帯電話が鳴りだしたのだ。取り合えず状況を変えたいので電話に出ると相手は義経であった。

 

『し、真九郎くん。義仲さんと同棲しているって聞いたんだけど!?』

『どういうことなのさ真九郎ぉ?』

『お前は俺のものだろう。どういうことだ!?』

 

何か義経以外の声も複数聞こえる。しかも内容が若干おかしい気がする。

状況はより悪化。何が何だか分からない。

 

「と、とりあえず落ち着いてください!!」

「あ、真九郎くん。下着どこにしまえばいいかな?」

「旭さんはそこで衣服とか貴重品とか広げないでください!!」

 

川神での物語は閉幕した。けれど紅真九郎の物語は終わらない。




最後まで読んでくださって本当にありがとうございました。
これで『紅 -kurenai- 武神の住む地』は完結致しました。約2年お付き合いしてくれて本当にありがとうございました。

最後の最後でオチをつけました。
紅真九郎は最後の最後まで女難の相があるということで。
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