紅 -kurenai- 武神の住む地   作:ヨツバ

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こんにちわ。
連続更新です!!

今回から真九朗は弁慶ルートの物語に関わります。
どうやって関わり合うかは頑張って書いていこうと思います!!

では始まります!!


源氏物語
だらけ部


041

 

 

大和に弁慶、巨人は空室でだらけていた。彼らは非公式の『だらけ部』に所属しているメンバーだ。

所属できる資格はただ1つ。だらける才能があるかどうか。それだけである。だらけるのに才能なんて必要無いが。

 

「あー・・・だらけるのって最高」

「弁慶はいつもだらけてる気がする」

「そんなこと無いよ先生。私はこれでも真面目だよ~」

 

だらける雰囲気で会話するが、そこにツマミである生うにを差し出す。

 

「おいおい。生うに持ってくる学生がどこにいんだよ」

「不死川心とか?」

「ああ・・・。寂しいやつか。今度オジサンが相談してあげるか」

 

生うにをツマミに川神水を飲む。そして会話はダラダラしながら続ける。内容は弁慶や義経の幼い頃の話だ。

話を聞いていて昔から川神水を飲んでいる子だったらしい。するとトットットットと足音が聞こえた。予想するに2人分。

大和たちは無視して寝たふりをするのであった。そして扉が開かれる。

 

「やっぱりここにいやがったなオヤジ!!」

「げ、源さん!!違うんだ。これは寝たふりしてたわけじゃないんだ!!」

「何言ってんだ直江?」

「ここにいたんだね直江くん」

「あれ、紅くんまで?」

 

ここで忠勝の有り難い説教が始まる。全て正論で優しく説教するので大和たちは否定もできない。

忠勝の言い分は代行業の仕事に影響が響いているからだ。巨人がサボっているのを注意している。今は稼ぎ時だから今のうちにどう捌くか決めなければならない。

大和にはだらけて生活に支障が出ないように注意する。弁慶には義経が頑張っているから迷惑かけないようにしろとのこと。全て否定できない。3人は「はい」と返事するしかない。

 

「ったく活気がねえな。これでも食って元気だせ」

 

差し入れを出してくれる。やはり忠勝は優しい。

 

「じゃあな。溜まってる仕事は俺らで捌いとくからオヤジもサボるなよ」

「はい・・・」

 

真面目な息子で嬉しいが少しはサボりたい本音もあるのであった。

 

「で、俺だけど」

「紅くんはどうしたの?」

「ほら、直江くんが前にツマミを作ってくれって言ったでしょ。それがこれ」

 

パカリと箱を開けると中にはチクワ。ただしただのチクワでは無い。中身にタラコやらキュウリや入れてあるアレンジチクワだ。

環にも酒のツマミを作ったこともあったので作れるには作れるのだ。一応、他にもナムルもある。

 

「おおー。ありがとう紅くん!!」

「こ、これは・・・チクワソムリエとして見過ごせない!!」

「じゃあどうぞ弁慶さん」

 

弁慶を筆頭に大和と巨人もご相伴に預かる。モグモグと食べる。

 

「う、美味い!!」

 

全員が美味いと言ってくれて真九朗は笑顔になる。やはり自分が作った物を美味しいと言ってくれると嬉しいものだ。

 

「うん美味い。紅くんって料理上手なんだ。毎日ツマミを作って欲しいな~」

「まあ、時間がある時なら良いよ」

「え、本当。冗談で言ったのに」

「良いよ。でもさっき言った通り時間がある時ね」

「へえ・・・」

 

夕乃の英才教育の賜物で女性からの頼みはすぐに受ける。これは彼の良い所でもあるし悪い所だ。

女性だからと言って全て引き受けるのは考えものだ。銀子にもよく注意される。でも脳髄まで刻み込まれた英才教育はどうしようもない。

 

「紅くんって良い男だね。川神水飲む?」

「今は遠慮しとくよ」

「そっか。ねえ真九朗って呼んでいいかな?」

「良いよ弁慶さん」

 

全て二つ返事で了承。

 

「へえ。主が気に入っているのが何となく分かった気がする」

「主って義経さんのこと?」

「そうだよ~」

 

義経に気に入られているとは不思議だ。理由を聞くと梅屋での強盗事件の一件で気に入ったらしい。

危険にも関わらずナイフを掴み取った真九朗の勇士にとても気に入ったとのこと。川神だと案外誰でも実行しそうな感じだが義経の中では彼が初めてであった。

 

「主はよく家で真九朗の話をしているよ。なんか気に入ったみたい」

「そ、そうなんだ」

「うん。それに紋白だって気に入ってるし。今度遊びにおいでよ。絶対に歓迎されるよ」

「まあ、紋白ちゃんにもいつでも遊びに来てくれって言われてるし、近いうちに遊びに行くよ」

 

知らない所で評価が上がっていてどうリアクションすればよいか分からないが謙虚な感じで通した。

 

 

042

 

 

次の日。

真九朗は代行業の手伝いをしていた。なんでも仕事の依頼が多すぎて助っ人が欲しいとのことだ。

それに代行業のメンバーの1人がヒクイドリの捕獲時に負傷したらしい。これを聞いて驚きだ。

 

「何故ヒクイドリ・・・」

「川神には怖い者知らずがいるんだよ」

 

揉め事処理屋としての依頼では無いがこれも1つのパイプ作りだろう。もしかしたら代行業にも解決出来ない仕事が来たとして揉め事処理屋に流してくれるかもしれない。

そんな予想を立てて、今のうちに代行業の忠勝たちと連携をとっておいても良しだからだ。

 

「今日のノルマ分はこなせたかな」

「いや、それ以上だ。助かったぜ紅」

「さすが真九朗くん!!」

 

今、真九朗は忠勝と義経で代行業の仕事をノルマ以上にこなしていた。依頼はペット探しやストーカー退治、草むしりと様々だ。

案外揉め事処理屋と同じようなことをしているので難しいことは無かった。正直久しぶりに多くの仕事をこなしたのに実感がある。

 

(仕事の依頼がなかなか無いからな・・・)

 

忠勝が仕事している代行業の依頼の多さに若干羨ましくなってしまうのであった。

 

「さて、今日はありがとな。お礼は弾むぜ」

「うん。ありがとう」

「なら義経は弁慶の手伝い先に行くよ。メールで頑張っているって来たんだ。これは見に行かねば!!」

「過保護だな。これは与一も過保護だって呟くはずだ」

 

奢りのジュースを貰って忠勝と別れる。真九朗は義経と共に弁慶のバイト先へと向かうのであった。

 

「一緒に来てもらってすまない真九朗くん」

「いいよこれくらい。夜は危ないからさ」

「義経は強いから大丈夫だぞ」

「ははは。かもね」

 

夜の海辺を歩く男女。見ようによってはカップルだ。2人とも案外鈍感なので気付かないが。

もしこの光景を夕乃が見たら問い詰められるだろう。しかし居ないので助かった真九朗である。

 

「それにしても真九朗くんは仕事慣れしているんだな。どの依頼も頑張ってこなしていたな」

「揉め事処理屋でも様々な仕事をするからね。代行業の仕事も普段通りにできたよ。それに一番頑張っていたのは義経ちゃんだよ」

「そ、そうかな?」

「そうだよ。義経ちゃんは学校でもバイトでも頑張っている。凄いよ」

「えへへ。そうかな」

 

テレテレしてしまう義経。褒められれば照れてしまうのは仕方ないだろう。

誰だって褒められれば嬉しいものだ。

 

「でも、頑張りすぎはダメだよ。無理しないこと」

「うん。分かっている」

 

無理をしすぎない。その言葉は真九朗にも当てはまるがここは気にしないことにする。

 

(それにしても真九朗くんってどこかお兄ちゃんみたいだなあ)

 

どこか兄に憧れる目で見る義経に真九朗は疑問符。それに気づくのはもう少し先である。

 

「そろそろ弁慶がバイトをしているBarに到着だな・・・ってあれは弁慶!?」

 

目の前には弁慶が白いコートを着た奴らと戦っていた。これは助けなければっと思って動こうとしたが必要無さそうだ。

彼女はたった1人で白いコートの奴らをぶちのめしていた。「強い」と一言呟いてしまう。手に持っている獲物はモップのようだが、それでも錫杖のように振り回して戦っている。

それから数分で敵を全て倒し切った。「お見事!!」と2人で呟いてしまう。

 

「さすが弁慶だ!!」

「強いですね弁慶さん」

「あれ、主に真九朗じゃないか」

「本当だ。義経さんに紅くんまで」

「直江くんまで。大丈夫だった?」

 

結果は見ての通り全然大丈夫である。そしてパチパチと誰かが拍手をしながら近づいてきた。

 

「よう悪いな試すような真似して。俺はぁ鍋島だ。天神館の館長だ」

 

西の武闘学園である天神館の館長の鍋島。どうやら噂のクローンの実力をい見たかったらしく、気で作り上げた人形をけしかけたらしい。

なんとも茶目っ気のあるオジサンである。けしかけられた弁慶側からしてみれば迷惑極まりない。

 

「悪かったな。そのお詫びと言っちゃなんだがそこBarで飲んでいくぜ」

(なんとも豪快なオジサンだ)

 

真九朗は通り魔のようなことをした学園長に冷や汗を垂らしてしまう。

いつから学園の長は相手を試すために人を襲うのだろう。世の中はどうやら真九朗の知らないところで歪んでしまったようだ。

大和たちからしてみれば日常の1つだが真九朗にとっては非日常。そもそもお互いに日常から外れた日常を送っているのでどっちも歪んでいるのかもしれないが。

 

(弁慶に義経・・・そしてこの小僧はうちの石田を追い詰めた奴だったな。確か直江大和と言って、策略に長ける)

 

鍋島は東西交流戦で活躍していた直江を覚えていた。何も武術だけが全てでは無い。戦略を立てていた大和も注目している。

 

(でもこの小僧は誰だ。交流戦の時に居たっけな?)

 

鍋島が知らないのは無理もない。真九朗は交換留学生なのだから仕方なし。

でも彼からは強い気を感じったのだ。微かに感じとったのは鬼のような気だ。

 

(人は見かけによらないって言うが・・・それでも見た目に反してって感じだな。何者だか)

 

そのまま皆で魚沼が経営するBarへと入っていく。もちろん真九朗たちはお酒を飲まない。

飲むのは20歳になってからだ。これは誰もが守るべきルールである。

 

「おや。強い気を感じると思ったらアンタたちか」

「これは鍋島様」

「鍋島か」

 

いつの間にかクラウディオとヒュームが飲んでいた。そこに加わる鍋島。強者が飲むグループが出来上がっていた。

なかなか近寄りにくいグループである。それでも弁慶はバイトとして頑張って酒を提供するのであった。

一方、真九朗たちは酒を飲まないため端の席に座ってミルクを注文していた。

 

「直江くんも弁慶さんもバイト中だから邪魔しないようにしないとね」

「真九朗くんの言う通りだ。義経もミルクを注文する!!」

「はい。注文受けました主~」

「こらこら。相手が知り合いだからってお客様だからね。ダラダラしちゃダメ」

 

ミルクを飲みながら弁慶と大和の仕事っぷりを見守るのであった。

 

「ところでお前たちはあの少年を知っているか?」

「ああ、紅真九朗様のことですね」

「ほう・・・あの少年は紅真九朗と言うのか」

「ふっ・・・やはりお前も気付くか」

 

壁越えである鍋島も武人だから強き者には興味を示すものだ。

 

「あの男は良いな。鍛錬させれば強くなるぞ」

「まだまだ荒いがな。しかし壁越え手前だ。鍛え上げれば壁越えは可能だろう」

(戦鬼になれば間違いなく壁越えですがね)

 

戦鬼なればっとクラウディオは思うのであった。クラウディオとヒュームは一度だけ真九朗の戦鬼を見たことがある。

あの強さは間違いなく壁越え。もしくはそれ以上だろう。まだまだ若い小僧があれだけの力を振るえばヒュームだって評価を変えるものだ。

 

(あの強さは間違いない。恐らく力だけなら武神と同等・・・もしくはそれ以上でしょうな)

 

カランと酒の入ったグラスが音を鳴らす。

 

「それに紅は恐らく川神学園で5本の指に入るだろうな」

「ヒュームがそこまで評価するとは珍しいな」

「そうなりますよ。なんせ『孤人要塞』と引き分け、『炎帝』に勝利すれば嫌でも評価しますとも」

 

『孤人要塞』と『炎帝』と言う単語を聞いて鍋島は目を見開く。「それは本当か?」という顔もしている。

そして静かに頷くクラウディオ。これには久しぶりに驚くのであった。

 

「マジか・・・こいつは大物じゃないか」

 

実はその会話をコッソリと聞いていた大和と弁慶。彼らも更に真九朗に興味を示すのであった。




読んでくれてありがとうございました。
今回から弁慶ルート。とりあえずどう物語を着陸させるか考えないといけないなあ。
これからもゆっくりと更新していくのお待ちくださいね。

次回はどうしようかな。
いきなり書店バトルか・・・水上体育祭か。悩むなあ

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