紅 -kurenai- 武神の住む地   作:ヨツバ

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今回からは新章です!!
まあ、オリジナルルートな感じですね。


名家の集まり
名家からの依頼


181

 

 

ある日の出来事。川神学園にて休み時間をFクラスでゆったりしていると扉が開かれる。「ホッホッホ」とどこか雅な声とともにクラスに入ってきたのは三大名家の1つである不死川心であった。

 

「なんだ不死川じゃねえか」

「山猿は黙っておるのじゃ。此方が用があるのはーー」

 

入ってきてそうそう福本育郎を山猿扱い。これは心の持つ選民主義による影響だ。自分のように名家や名のある一族以外は雑な扱いをする。このような性格になったのは家柄の影響だから仕方ない。

実際の所、心は悪い人間ではない。根は善人なのだ。しかし選民主義のおかげで友人がいないし、一部の人間からは嫌われているのだ。言ってしまえが残念な女の子である。

一方、育郎は「あいつが今度山猿って言ったら妄想の中でしゃぶらせてやる!!」と変な意味でたくましい。

 

「あ、真九郎くん!!」

 

心が真九郎を見つけた瞬間にムっとしていた彼女の顔が優しくなる。心と真九郎は友人関係であり、心にとって唯一の友達なのだ。

真九郎は名家ではないが友人であるため、邪見にはされない。寧ろ好意を抱いているのだ。

心としては友人より先の関係になれたらなっても良いとも思っているほどである。

 

「どうかしたの心さん?」

「実は頼みがあるのじゃ」

「頼みって?」

「実はのう…今度、不死川家主催でパーティーがあるのじゃ。そこで真九郎くんに護衛を頼みたいのじゃ」

 

不死川家主催のパーティー。名のある一族や名家がこぞって集まる雅なパーティーである。

莫大な財産や権力を持つ者の集まりなので何があるか分からないからこそ護衛が必要なのだ。

護衛の依頼なんて珍しくも無い。真九郎自身もよく依頼される内容だ。

 

「今回のパーティーは多くの名家が集まってのう。北の方から西の方まで。来るか分からぬが九鳳院も招待しておる」

 

不死川家は三大名家ということであり、名のある家柄とは繋がりが多くある。その中に表御三家の九鳳院も知り合いなのだ。

心からのイメージからでは想像できないが本当に彼女は日本でも有数のお嬢様なのだ。

 

「なるほど。まさに揉め事処理屋の仕事だね」

「うむ。依頼料も弾むぞ」

 

悪い依頼ではない。それに相手は不死川家の心なら信頼できる。

真九郎はもちろん依頼を引き受ける。

 

「本当か真九郎くん!!」

「うん。こちらこそよろしくお願いします」

 

紅真九郎。不死川心から揉め事の依頼をされる。

依頼内容は不死川家主催のパーティーにて心の護衛。そして要人を迎えに行くのでその方たちも護衛対象にもなる。

 

「なるほど。迎えの要人たちもなんだね」

「うむ。だがそれは途中まで。相手方もどうせ自分の護衛を持っておるからな」

 

最優先はあたりまえだが心の護衛なのだ。相手方を護衛するというのは不死川家まで無事に送るという仕事なのだ。

 

「真九郎くんがいるから紫もくるじゃろうて」

 

紫が本当に来るかは分からない。彼女の我がままを言うのなら真九郎がいるのなら来るだろう。しかし九鳳院としての紫なら難しいものだ。

九鳳院を背負っている紫なら我儘を言っていられないからだ。

 

「真九郎くんの仕事じゃが此方を護衛するのと。パーティー開催前の要人たちの迎えだけじゃ。それまでは自由でかまわんぞ」

「ふむふむ」

「まあ全ての要人を迎えにいくわけではない。特にこの要人だけは…という者だけじゃ」

「あ、そうなの」

「うむ。さっきも言ったが九鳳院が来れば迎えをする。そしてもう1つの名家が西の権力者と言われておる者じゃ」

 

西の名家と言えばあの名家を思い出す。

 

「不死川家も負けてるつもりはないが西の名家もなかなかなのじゃ。それに西ではその名家は表も裏も実権を握っておるとんでもない者たちじゃしな」

「ふーん。なんて言う名家なの?」

「西四門家が1家。朱雀神じゃ」

「え?」

 

まさかの知り合いの名家であった。

 

 

182

 

 

京都。

よく修学旅行の場所に指定されるし、「そうだ。京都に行こう!!」なんて言葉も出てくるくらい有名だ。そして歴史的にも日本を象徴する場所でもある。

日本を実感する場所なら京都だろう。それに京都は様々な歴史や伝説もあって不思議な所でもある。神秘的で謎な場所が京都である。

そんな京都にて散歩をする幼女ではなく幼い男の子がいる。

 

「今日も良い天気で散歩日和ですね碓氷様」

「はい。毎日がこう良い天気だと素晴らしいかもしれませんね。そういえば今月の予定は何ですか?」

「はい。今月は不死川家よりパーティーの招待があります。出席してもしなくても構わないでしょう」

「いえ、出席します。これからの朱雀陣はより良く変えていかないといけません。そうなると多くの者たちとのつながりは大切です」

「分かりました。では出席するようにと連絡します。準備もこちらで用意いたします」

「お願いいたしますよ」

「仰せのままに朱雀神碓氷様」

 

この幼い男の子は京都を牛耳る西四門家の一角である朱雀陣の後継者である。

そもそも西四門家とは京都を守護する特別な家系だ。表世界も裏世界も両方から支配する4つの家系。

この4つの家系によって守られている京都は唯一表御三家、裏十三家が力を及ぼせない地。あの九鬼財閥でさえ京都では深く根付かせることはできない。

その4家というのが青龍神、白虎神、玄武神、朱雀神だ。表の財力に加え、裏では家系ごとに特別な力を持つ。

表御三家と裏十三家を一緒くたにした家系と思えば分かりやすいかもしれない。

 

「ところであの件はどうなっていますか?」

「例のですか…正直難しいでしょうな。今では彼はとても大人しいですが、しかし…」

「僕は彼を信じてます。いつかまた一緒に並んで歩けると思うんです」

「…そうですか。ならば私ももう少し力になります」

「ありがとうございます」

 

碓氷は空を見上げる。また『彼』と一緒に京都を散歩したいと思うのであった。

 

「それにしても東か。また真九郎さんたちに会えるかな?」

 

 

182

 

 

政界とはよく分からないものだ。日本を動かしている場所であり、頭脳部分でもある。

それが一般人からの考えだ。実際のところ政治なんて何をしているかは分からない。学生からしてみれば全くもって未知の世界である。だから分かる者が、専門家が頑張れば良い。

分からない者があーだこーだ言ったところで何かが変わるわけではないのだ。まるで人任せのようかもしれないが分からない者にはどうにもできない。

だからこそ政界は選ばれた者にしかいられないのだ。そして政界は色々と深い世界でもある。

まるでドラマのように裏表が多くあるのである。闇が深いとも言う。

 

「ふむ、総理め…また新たな政策を出したな。業腹だが良い政策だ」

「くそっ…気に食わない!!」

「そう怒るな。だがこの政策はお前も認める程のものだろう?」

「チッ…」

「言動にも気を付けるべきだぞ。総理を目指すならばな」

「分かっている」

 

どんな人間にも裏表がある。そればかりは仕方ないことだ。

 

「何か今の総理を引きづり降ろす方法ないものか」

「あるにはある。成功するかは分からないがな」

「聞かせてくれ。その案を聞こうじゃないか」

「良いぞ。しかし失敗すれば代償もでかいからな」

「総理になるためだ。どんな賭けにも乗るさ」

 

政界には善人ばかりではない。そもそも世界には善人だけじゃなくて悪人もいる。ならば悪人というか悪い考えをする人物も政界にいてもおかしくないだろう。

 

「その案とはどんな人間も暴いてしまう方法さ。人間1つや2つくらい隠しておきたいものがある。それを見つけることが簡単にできる」

「それは素晴らしいな」

 

世界のどこかじゃなくても日本でも何か嫌なことが起こり始まるものだ。

 




読んでくれてありがとうございました。
新章もいろいろとあります!!

そして今回からついに西四門家の朱雀神の登場!!
いろいろと物語がでますね碓氷と紫といろいろと!!

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