紅 -kurenai- 武神の住む地   作:ヨツバ

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短いですが投稿です。


売春組織

219

 

 

今回も前回と同じように囮作戦で売春組織のアジトを突き止める。そして同じように大和たちはすぐさまアジト内にいる構成員を全て叩き潰した。人数は多かったが所詮は素人で百代たちの敵ではなかった。

 

「コイツら強いぞ!?」

「ヤベ、逃げるぞ!!」

「ひええええ!?」

 

全員がお縄だ。こいつらを警察に引き渡す前に巨人は川神学園生が売春組織に関わっていないかまた調べる。

 

「どう先生?」

「今回も関わってねえみてえだ。だけど…」

「だけど?」

「こいつら、まだ終わりじゃねえぞ。どうやらいくつかのグループに分かれて動いてるみたいだ」

 

今回の売春組織は前回と少し違う。グループを1つ潰しただけでは痛いと思っていないのかもしれない。なんせ他のグループが今まさに動いている状況なのだから。

 

「まだ悪は残っているのか?」

「みたいね。もうなんなのよう」

「こいつは不安だな。もしかしたら他のグループには川神学園生がいるかもしれねえ。オジサン少し嫌になっちゃうなあ」

 

巨人は顔に手を当てて悩みこむ。前回と少し厄介になっている組織なんて面倒なものだ。こういう努力はこっちからしてみれば、しないでもらいたい。

 

「厄介だが他のグループがいるなら潰すまでだろ。何か情報があるか?」

「オジサンが調べてみるよ」

 

アジトの1つなら何かしら情報があるはずだ。無ければ捕まえた構成員から聞けばよいだけだ。聞く方法はいくらでもある。相手が渋るようなら体に直接聞けばよい。

 

「なるほどな」

 

物理的に聞き出すと売春組織は5つのグループに分かれて行動しているようだ。その5つ中でまとめ役のグループがあり、残り4つのグループに指示を出している。恐らく売春組織立ち上げの大元になったグループだ。ならばそのリーダーグループを潰せば、この売春組織は壊滅するだろう。

 

「1つは今潰したから残りは4つか」

「で、そのうちのリーダーグループを潰せば良いんだね。アジトとか分かったの?」

「いや、こいつらは他のグループのアジトを知らねえみてえだ。恐らく今の状況を想定してのことだろう。だが誰かしら指示を受ける野郎がいるはずだ。そいつなら何か知ってるだろう」

「そいつがこのグループのリーダーだろな」

 

岳人が知らない男を連れてきた。アジトの隅に隠れていたようだ。隠れていてもどうせ気を察知されて見つかるのだから意味はないだろう。

 

「でかしたぞ島津」

「ヒイイイエ!?」

 

隠れていた男は見つかって顔が青くなっていた。売春組織をやっといて見つかれば弱い立場になって許しをこう。被害者側からしてみればゆるせないだろう。

 

「さて、他のグループについて聞かせてもらおうか。嫌なら話さなくても良いぜ。なら体に直接聞くからな」

 

巨人は拳を固く握る。その行為だけ男の末路は分かる。

 

「ひえええ、言うから止めてくれ!?」

「じゃあ早く言え」

「わ、分かった…ほ、他のグループは」

 

ガシャアンッ!?

窓がいきなり割れた。

 

「敵襲か!?」

「全員大丈夫か!?」

「ぎゅぎゃああ!?」

「何だ!?」

 

男の口に石がぶつかっていたのだ。歯が折れ、顎が砕けている。ねっとりとした血がダラダラと垂れていた。

 

「あがあがぁぁ!?」

 

もう男はまともに口を開けない。この状況を巨人はすぐに理解した。

 

「ちっ、口封じか!?」

 

窓から見えるビルの屋上に人影が見えた。

 

「姉さん!!」

「分かってる!!」

 

百代が窓から飛び出し、ビルの屋上にむかうがもう既に誰もいない。気を察知してみるがいくつか他の一般人も混じってしまうので分からない。

 

「こいつは今回なかなか手強いかもな」

 

情報が流れないように口封じの徹底。今回の売春組織はどうやら本当に一筋縄にいかないようだ。

 

 

220

 

 

チャイルドパレス。

ここに冬馬と準がある人物たちを待っていた。その人物たちとは板垣姉妹だ。

冬馬たちと板垣姉妹は知り合いである。世界線が違ければ彼等はある事件を起こしていただろう。

 

「へへ。久しぶりだなマロード」

「竜平。その名はもう捨てました。僕の名前は葵冬馬ですよ」

「アタシたちを久しぶりに連絡取ったのは何だい?」

「亜巳さんは相変わらず綺麗ですね。辰子さんも素敵で、天使さんも可愛い」

「あんたの口も相変わらずだねえ」

 

冬馬のセリフに亜巳は呆れる。だが仕方がないのだ。彼はそういう人間なのだから。

 

「それにしてもどうした。まさかあの続きでもするつもりかよ。俺は一向にかまわねえぜ」

「そうじゃありませんよ。僕はもう堕ちる気はありませんから」

「なんでえ、つまんねえの」

「楽しみたいなら今度ベットで楽しませてあげますよ竜平」

「お、おう」

「なに照れてんだリュウ。キモイ」

 

ところで彼等の師匠である釈迦堂刑部がいないが、どうやら梅屋の仕事で来れていないらしい。仕事があるなら仕方がないし、これから言うことは後で伝えれば良い。

さて、ここからが本題だ。何も世間話をしに来たわけでは無いのだから。

 

「若、そろそろ本題に入ろうぜ」

「そうですね。では本題です。ユートピアについて貴方たちは関わっていますか?」

「ユートピアって…あんたが渡した合法ドラッグじゃないか。でも九鬼に潰されたんじゃなかい?」

「その反応だと…関わっていないようですね」

 

最近、川神でユートピアが少しづつだけど蔓延し始めている。しかもユートピア売買人まで出現している始末なのだ。

これはおかしいと気付き、冬馬たちは独自に調べている。どこのどいつがユートピアをまた表に引っ張り出してきたのか。

 

「なんるほどなー。でもユートピアなんて出回ってたか?」

「天は知らねえかもしれねえが俺は少し知ってるぜ」

「本当ですか」

「ああ。親不孝通りでちょくちょく聞く。手下どもも恐らく服用してる奴がいるかもな」

 

竜平の部下は今も何十人かいる。九鬼のクリーン化によって竜平の不良軍団はほとんど壊滅したが、それでもほそぼそと生き残っているのだ。

その中にユートピアを服用している奴がいるらしいのだ。

 

「これは良い情報だな若」

「ええ。では更に本題です。僕たちに力を貸してほしいのです。ユートピアの回収もしくは消去の」

「ユートピアの?」

「はい。もちろん報酬は良い値で払います。ユートピアは川神から消えました。ならもう掘り返さなくてよいものなのですよ」

 

冬馬たちの目的は何故か流通し始めたユートピアの撲滅。そして手を出した犯人の捕縛。これは葵紋病院の負の遺産の後始末だ。

この目的に板垣姉妹の力を借りるために連絡を取ったのだ。

 

「力を貸してくれますか?」

「暇だからな。俺は良いぜ」

「オレもオレもー!!」

「わたしはみんなに合わせるよお」

「今生活が少しカツカツだからねえ。良いよ。その依頼を請け負うよ。でもまずは前払いで貰おうか」

「良いですよ。良い働きを期待してます」

 

冬馬たちはユートピア撲滅のために板垣家の力を借りることに成功した。

 

 

221

 

 

「頼みがあるんだ銀子」

「何かしら?」

「人探し」

 

行方不明の少女がいる。その行方をさがすのだ。由紀江の友人からの依頼で、人探しは揉め事処理屋の仕事でいくらでもある。

 

「黛さんからの紹介。なるほどね」

「ああ。この子なんだけど」

 

そう言って銀子に写真を渡す。行方不明の彼女がよくいく場所や知り合いの情報資料も渡す。

 

「できるか?」

「できるわよ」

 

銀子にかかれば造作もない。きっと真九郎の欲しい情報をてに入れるだろう。だからこそ銀子には絶大の信頼を寄せるのだ。

 

「あともう1つ調べて欲しいことがあるんだ」

「なに?」

「川神裏オークション」




読んでくれてありがというございました。
次回もゆっくりとお待ちください。

各陣営は少しづつ事件を追っていきます。

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