紅 -kurenai- 武神の住む地   作:ヨツバ
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麻薬グループ

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親不孝通り。ここは川神の中でも治安が最も悪い場所。川神学園生でも近寄ることはそうそうない。

ここはよくいろいろと『よくないもの』が集まる。だからこそ竜平と天使は早速冬馬に頼まれたユートピア撲滅のため闊歩していた。

ここなら何かしら情報があるだろう。もしくは現物があるかもしれない。

 

「ん、あいつらは」

「どうしたリュウ?」

「前の部下がちょうど何かやってる。つーかルディもいるじゃねえか。それにありゃあユートピアだ」

「早速情報ゲットじゃねーか」

 

2人はユートピアを売りつけようとしている奴らの元に向かう。

 

「よお久しぶりだなてめーら」

「っ、竜さん!?」

「おいお前らさっさと行け」

ユートピア売りつけようとしてた客をどっかに追いやって竜平は前の部下を囲む。

「よお、面白いもんを売りつけてたじゃねーか。どうしたそれ?」

「ああ、コレっすか。ユートピアっすよ。おれ今売人やってて売ってるんすよね」

 

まさか前の部下が売人をやっていると思わなかった。いや、案外やりそうな奴はいくらでもいた。

天使が言った通り早速ユートピアの情報を手に入れられそうだ。

 

「ちょいと俺様にも噛ませろよ」

「お、マジすか竜さん!!」

「ああ、だからその薬を配ってる大元の場所を教えろよ」

 

ニヤリと笑う。これは簡単に情報を手に入れられそうだ。だが現実は、そう簡単にいかない。

 

「いや、流石に竜さんでもいきなり教えられないっす」

「ああ?」

「勘弁してくださいっすよ~上から情報漏えいは相当厳しく締まってるんすから」

「んだよ吐いちまえよー。ゲロった方がラクラク!!」

 

天使まで情報を吐くように煽っている。だけど前の部下は口を開かない。

どうやら本当に情報を吐かないつもりだ。ヘラヘラしているがこいつはキッチリするところはしている。なので売人として上から少しは信頼されているだろう。

だからこそある程度の情報を持っている。

 

「そうか…言わねえか」

 

竜平は瞬時に首を絞める。

 

「言え。じゃなきゃ首をへし折るぞ。悪いが冗談じゃねえぞ」

「ぐげ!?」

 

ギリギリと腕に力を入れる。竜平に躊躇いは無い。言わないと本当に首をへし折るつもりだ。

 

「ぐぎぎぎ…ルディ!!」

「ウガアアアアアアア!!」

 

今まで黙っていたルディが野獣のように竜平へ襲いかかる。黙っていたというより命令を待っていた感じだ。

 

「おいおいどうしたルディ?」

「ウグウ、ユートピア、マモル。ジョウホウロウエイユルサナイ」

「ゲホゲホ、コイツはもうユートピアを服用しまくってるんすよ。んで、ユートピアのことを嗅ぎまわる奴を襲うようになっちまってるんすよ」

「チッ、ユートピアをキメちまってるのか」

「おいおいもう獣じゃねーか」

「オンナァ!!」

「うおおおっ何だ何だ!?」

 

ルディは天使にロックオン。性獣なんて二つ名があるほどなので女性には目は無い。もう理性なんてほとんどないので強姦なんて当たり前にやってのけるだろう。

実際にもうやっているかもしれない。すぐさま天使は貞操の危機を感じてゴルフクラブでルディの頭を叩きのめした。

 

「キメーんだよ!!」

 

脳天フルスイングしたのだがルディはヨロヨロの立ち上がる。間違いなく効いているのだがユートピアのせいで痛みを感じていないのだ。

身体は危険を訴えているが痛覚は無くなっているのだ。

 

「おいルディ。女は後にしろよ」

 

まずは情報を聞き出そうとした竜平を叩き潰すのが先決なのだ。今のルディは身体が限界まで耐えられるようになっている。

いかに竜平が暴力的な力を持っていても耐久戦でどうにかなるはずだ。

 

「竜さんには悪いけど情報を嗅ぎまわる奴は容赦なく潰すんでね……死ねや」

「ウガアアアアアアオオオウ!!」

「ほお、俺様を潰すか。んじゃあその間違った考えを逆に捻り潰してやる!!」

 

野獣のように襲いかかるルディの顔面に竜平は硬くに握り締めた拳を叩きこんだ。

ぐしゃりとルディの顔面が潰され、拳にねっとりとした血が付着した。

痛みを無くしたとしても顔面を潰されれば痙攣して倒れるだろう。実際にルディはユートピアを服用していても床に倒れた。

ピクピクとして痙攣しながらもう動かない。

 

「ひえっ!?」

「さて、どうする。さっさと言わないとルディみたいになるぜ。それとも俺の猛りを鎮めるか?」

「リュウ。ここで掘るんじゃねえぞ。掘るなら裏で掘れや」

「ひええ!?」

 

竜平が近づくと真上から殺気を感じた。すぐさま回避をして落ちてきた者を確認する。

 

「何をやっている?」

「ああ、バイオさん!!」

「ソイツが敵だな?」

「そうっす!!」

 

バイオと呼ばれた謎の男。どうやら外国人のようだが普通の人間ではなさそうだ。

身体は鍛えられており、スポーツのために鍛えられたというよりは戦士のために鍛えられた身体だ。

それに身に着けている物がいろいろと物騒だ。まるで傭兵のようだ。

 

「てめえ何者だよ?」

「ただの用心棒だ。それ以上それ以下でもない」

 

カチャっとバイオニック的な籠手を装着した。そしていきなり殴りかかってくる。

 

「うぐ!?」

 

両腕で防いだが相手の籠手からいきなり衝撃波が生じて吹き飛ぶ竜平。

 

「リュウ!?」

「痛、大丈夫だ。こんの野郎が!!」

「ふむ。流石はカワカミだな。頑丈なのがいる。だからこそ良い実験ができそうだ」

「あん?」

「てめーぶっ殺す!!」

 

今度は天使がフルスイングでゴルフクラブを叩き出すがガードした。相手も頑丈のようで防がれる。

 

「むう。まだ小さいくせになかなか暴力的だな。流石カワカミ。2人まとめてかかってこい」

 

バイオと呼ばれる男の正体はある国によって極秘に研究されているバイオニックソルジャーだ。

彼は自分の成果をまとめるために武人の地である川神で名前を隠して用心棒として強者たちと戦っているのだ。用心棒をする相手がどんな奴らだろうと気にしない。

自分の完成された肉体や武器を試せれば良いのだから。全ては国のため、対川神のためだ。

 

「研究の成果を見せてやろう」

 

バイオの肉体に組み込まれたのは衝撃波を生み出す装置だ。その装置を元に腕から衝撃波を出す。

拳からの攻撃から衝撃波。その威力は相当なもので竜平ですら簡単に殴り飛ばすのだ。

 

「やるじゃねえか。だが猛ってきた潰してやる!!」

「オレも舐められたままじゃ収まらねえ!!」

 

竜平と天使は挟むように立ち向かう。

 

「バイオニックオールウェイブ!!」

 

衝撃波は何も腕からだけではない。身体全体から発することができるのだ。

周囲に衝撃波が襲い掛かり、竜平たちを吹き飛ばす。その余波で近くにいた赤髪の女性が持ってきた酒瓶が割れた。

 

「ふ、流石我が研究成果だ」

「まだだ。てめえ!!」

 

再度拳を握って立ち上がる。そしてバイオに向かって走る。

 

「まだ来るか。だがそれでこそカワカミ」

 

バイオももう一度衝撃波を出そうとしたがここで乱入者が現れる。

 

「わーたーしーの…酒を吹き飛ばしたのはお前かー!!」

「え…ぐおおおおおお!?」

 

ゴシュアアとバイオは殴り飛ばされた。ありえない方向に殴り飛ばされたバイオはルディと同じように痙攣しながら倒れた。

 

「お前が私の酒を壊したのかー!!」

「誰だお前?」

 

星噛絶奈。酔っ払いながら竜平たちの手伝いを偶然にもしてしまった。

 

 

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プルルルルルルルルルルルルルルルル。

電話が鳴ったので通話ボタンを押して出る。相手は竜平からだ。

内容は早速ユートピアの報告だ。流石は板垣家でもう情報を持ってきてくれるとは助かる。これは報酬をあげないといけないだろう。

 

『早速ユートピアの取引先が分かったぜ』

「ありがとうございます。流石は竜平ですね。今度ベットで可愛がってあげます」

『お、おお』

『何照れてんだい。アタシに変わりな』

『あ、亜巳姉。まだ俺は』

 

竜平だと話が進みそうにないので亜巳に電話が変わる。

 

『早速だけど報告するよ。ユートピアはある場所で各売人に配られて、そこから客に売りつけている』

「その場所とは?」

『川神裏闘技場らしいさね。少し前に開催されて荒くれ共が結構集まっては何でもありの決闘をしているところだ』

 

川神裏闘技場。

ここ最近荒くれ共がよく集まる場所だ。青空闘技場を捻り曲げて延長させた闘技場である。

闘うことが好きな者。闘う者を見るのが好きな者。賭け事が好きな者。その場所でよくないことを企む者。

確かにその場所でユートピアを配っていてもおかしくはないだろう。麻薬取引グループからしてみれば絶好の場所。

 

「なるほど。そんな場所があったのですね」

『ああ、あったんだよ。アタシも竜も知らなかったけどねえ。そんな場所があるなんて』

「裏闘技場はどれくらいの頻度で開催されているので?」

『情報を聞いた奴からだとここ毎日やってるみたいだね。でも麻薬取引グループは計画的に集まって上からユートピアを配られている。だからその日を狙えば大元に会えるはずさね』

「そうですか。ならばその日を狙って裏闘技場に行くべきですね」

『けっこう危険だよ?』

 

裏闘技場は確かに危険だろう。一般人が近づいて良い場所では無い。それでも冬馬はユートピア撲滅のために行かなければならない。

 

『そうかい。じゃあ次の麻薬取引グループが集まる日を言うよ。竜の奴が身体で聞いたから確かな情報だ』

「掘ったんですね」

 

川神裏闘技場の情報を得た冬馬。

 

 

227

 

 

私と一緒について来たバイオニックソルジャーの1人がやられた。流石は川神だ。

 

ここには強者がたくさんいるようだ。それでこそ私という完璧体が試せるというもの。実際のところ川神の強者を私は叩き潰している。

 

ここ最近噂となっているファントム・サンとやらと戦ってみたいがなかなか出会えない。だがいい。今は川神裏闘技場で自分の力を存分に振るえる。

 

川神裏闘技場は表の強者も裏の強者も集まる。やはり素晴らしいぞ川神。この川神裏闘技場でより磨きをかけて武神と覇王に私の力を魅せてやる。

 

そういえばここ最近、川神裏闘技場に強い奴が入ってきた。匿名希望18歳赤髪サイボーグ。私と同じ女性であるがはっきり言って強い。

正直あの武神や覇王と同レベルかもしれない。ならば武神と覇王と戦う前に彼女と戦うのもよいかもしれない。もし戦えることが出来るなら前哨戦だ。




読んでくれてありがとうございました。
次回もゆっくりとお待ちください。

さて、冬馬たちは川神裏闘技場という情報を得ました。んでもって星噛絶奈もまた登場です!!

説明。
バイオニックソルジャーですが、マジ恋原作にも設定で出てましたが立ち絵も名前もありません。なので私の想像で執筆しました。







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