真・恋姫†無双・蜀漢の章 ~李厳伝~(凍結)   作:零式カフカ

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第七話『領地獲得』

義勇軍の将、劉備を平原の相に任命する。

 

あれから幾度かの戦を重ね、曹操軍はそのまま賊の本営であると予想されている鉅鹿へ。俺たちは負傷兵が増えた事、そして着いて来てくれてる兵の大半が幽州の人間であり、乱の収束後は出来る限りを里に帰してやりたいと言う考えもあったため、それを易くするため大掛かりな戦闘を避け幽州方面へと移動していた。

 

その最中、俺たちの下を訪れたのが朝廷の使者だった。んで、さっきの辞令と共に色々と状況を聞かせてくれた。黄巾首魁の張角、張宝、張梁を討ったのは曹操軍、鉅鹿攻めで特に戦功があったのが袁術配下の孫策、総大将呂布の副将の張遼、華雄などであると。

 

「ま、義勇軍の将が平原の相ってなぁ相当な出世だ。多分、だが曹操あたりが口添えしてくれたんだろうな」

「え!?そうなんですか?」

「あぁ、だからまぁ期待を裏切らんように平原を治める事だ」

 

どういう思惑で曹操が口添えしたかは分からない、曹操以外の可能性もあるかも知れないがそれにしても意図が読めない。何かの布石なのか、ただただ働きに対する公明正大な恩賞をと考えたのか。だがようやくだ、ようやく拠って立つ地を得た。兵を養うための地を得たのだ。

 

今回の乱、劉備軍三千。志願兵二千のうち百程が死に、五百近くが怪我を負った。生き残った者たちは郷里に帰らせた、戦いの辛さを、重みを知った者たちならば幽州を栄えさせ、また幽州に乱あれば戦う決意をしてくれるだろう。幽州と言えば白蓮は今回の乱での功績により幽州太守を拝命したそうだ、俺たちが平原に赴任して間も無く田楷が書状を携え言祝ぎに来てくれた。

 

元賊党が中心となっていた千人はその数を六百にまで減らしていた。志願兵たちを可能な限り生かして帰すためにもコイツらには最も苛烈に戦わせた。コイツらも、それを分かって戦ってくれた。これからも、そうする事になるだろう。これから先にあるであろう戦いは、兵にそれを強いる戦いとなってくる。俺も何れは今よりも多い軍を率いる事となり、その度に兵に死ぬ事を命じなければならなくなってくるだろう。

 

それは、俺の役目だ。

 

一刀や桃香には絶対そんなモノは背負わせない、愛紗にも鈴々にも星にも椿にも朱里にも雛里にも。

 

「平原、ってどういうところなんだ?」

「これと言った特徴は無いな、港も近く、街道も冀州の商業都市である鄴と隣り合っている事もあって整備されている」

 

ただしその中枢である平原城は護る事に適さない城だったと記憶している。その周囲には城砦を建てれば防衛の要所と出来る箇所が幾つか存在する、が・・・・今はそこまでする必要は全く無い。

 

「まぁ為政者の手腕が問われる、とも言っておこうか。これと言った特徴が無い、って事ぁ基盤とする産業が無いってぇ事だからな」

 

基盤とできる産業があればそこを発展させるのはよほどの愚者で無ければ問題ない、だが基盤となる産業が無ければそこを治める者の手腕が重要となる。他領との交易も、交渉材料が少ないのだから面倒な事この上ないのだ。

 

―――――――――

 

「さてと、じゃあ平原を治めるにあたっての役割分担と行こうか」

 

平原に赴任した俺らが最初に行ったのは役割を決める会議だ。それなりに人材が揃っているなら適当に割り振っても良いが俺らは小勢力、キッチリと役割分担をしつつ横のつながりを切らさずに仕事をしなけりゃ立ちいかなくなっちまう。と一刀と桃香に進言したらだ、官についた経験が唯一ある俺に取りまとめをぶん投げてきやがった。

 

「まずは内政、これは朱里と雛里に任せる。お前らなら大丈夫だとは思ってるが不明な点があればすぐに聞きに来い」

 

官としての経験がある、とは言えあくまで俺は軍人だ。内政に携わった事が無い、とは言わんがそれでも朱里、雛里に能力的に劣るだろう。であるならばだ、実務そのものは朱里、雛里に任せて俺は要所の補佐に回る、それが最適だろう。

 

「愛紗と鈴々、星の三人で領内の賊の掃討と募兵、調練を任せる。必要な物があればその都度朱里か雛里に申し出ろ」

 

愛紗、鈴々、星の三人には部隊を率いる経験を可能な限り積んでもらう。これまでは俺が総指揮、朱里、雛里が策を考え、三人は椿の補佐を受けつつ指示通りに暴れて回るだけだった。だが先の事を考えるならば三人には一皮剥けて欲しい、特に愛紗と星には戦術を計算にいれた軍の動かし方と言うのを学んでもらいたい。黄巾の大部分は討ったとは言え本隊の残党、名を騙った賊党はまだまだ多い。その殲滅ぐらいは軍師に頼らずできるぐらいになって欲しい、と思うわけだ。

 

「一刀と桃香には治安維持のため俺や椿と巡回に出てもらう」

 

コッソリと拳を握る一刀と桃香、お前らアレだろ?巡回だけなら簡単~とか考えてんだろ?んな甘っちょろい事誰がしてやるかってんだ。

 

「ただしだ、巡回と休暇以外の時間全てを使ってお前らに書類作成の様式から兵法、武芸、その他もろもろ全部叩き込むからそのつもりで。あぁ、愛紗、星、鈴々、朱里、雛里。スマンがお前らももし時間が空いたら手ぇ貸してくれ、ぶっちゃけこの二人は何から何まで足らなさ過ぎる。高祖劉邦も自らの能力が足りない事を自覚したからこそ勇将、賢人を手元に置いたと言うがこの二人は高祖も裸足で逃げ出すぐらいに足りん」

「ちょっ!?お兄さん!それ言い過ぎじゃないかな!?」

「グサッと刺さった!竜胆の言葉が俺の心に刺さった!!」

「悔しかったらもっと頑張りやがれ」

 

名付けて『一刀・桃香超強化計画』、まぁんな大仰なモンじゃあない。要するにコイツラ足りねーモンばっかりだからちょっくら色々叩き込んでやろーぜ、って話だ。幸いにも、ここには一方面に限って言えば並以上、もしかすれば天下で五指にも入るんじゃないかと言う素質を持つ者が数人いる。そう言う奴らに鍛えられれば必要最低限のモノは備わる・・・・はず。

 

「まァ大方針としてぁこんなモンだ、だがまぁ状況によっては武官も内政に入ってもらうし軍師たちに戦場に出てもらう事もあらァ。だが・・・・んな事にゃあならん、と俺はお前らを信じる」

 

―――――――――

 

「アニキ、入ります」

「おぅ、入れ」

 

その日の夜、平原近辺の地形図と睨めっこしてた俺の部屋に来客がいた。っつっても俺が呼んだんだがな。

 

「まぁ座れや」

「ウッス」

 

コイツ、王平は幽州で集まった義勇兵の中で劉備軍への残留を希望し、俺の隊に配属されてた奴だ。元々は益州方面の出らしく、仕官先を探してここ一年ぐらい放浪してたそうだ。総合的には椿と互角ぐらい、武力と土壇場での対応力がコイツのウリだ。

 

「明日から俺の副官に上がれ、俺が動けねぇ時の隊を任せる」

 

椿も星も、俺の副官の枠に収めたままでいるわけにはいかなくなってきた。だが俺は巡回だけじゃなく、他のことにも気を回さなけりゃならねぇ。そんな時に俺の隊を任せる人物がいないといけねぇ、そこで選んだのがこの王平だ。

 

「俺で、良いんすか?」

「お前が良いんだよ、お前だから任せようと思ってる」

 

どんな状況にあっても味方を見捨てる真似を良しとしない、黄巾の乱の間も他所の隊ではぐれた奴ややられそうになった奴を逐一助けて回っていたのを俺は見ていた。百万の言葉よりもたった一つの行動の方が信頼出来る、そんな事もあるってわけだ。

 

「俺の真名、蒼馬(そうま)。お預けします」

「おぅ、預かる。だから俺の真名、竜胆を預かれ」

「はい」

 

さて、これから忙しくなるぞ。未だかつて無いぐらいに、な。




TIP集

・田楷
公孫賛軍の将。一時期、主人公の指揮下で戦っていた事から劉備軍に対する使者などに良く現れる。

・『一刀・桃香超強化計画』
スパルタ、なんて単語が生温く思えるような拷問級の鍛錬育成計画。このおかげで一刀、桃香は原作よりもやや強化されています。

・王平、蒼馬
これから長らく、主人公の副官として共に戦場を駆ける事になる人物。わりと主人公がルーズなので、隊の引き締め役を担う。
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