そう、全てにおいて。
この世の中には偶然は存在しない、というのが俺の信条だった。
俺の身に今まで降りかかってきた出来事は全て必然である。
ん?何か何処かで聞いた事あるって?髪が長い妖艶な女の人がそんな事を言っていた気がするって?気のせいだろ。
まあ、つまりだ。
俺がこの、決してお世辞でも良いとは言えなかった家庭環境で生まれ育った割には腐った人間にもならず生きて元気でいるのも。
人よりちょこっと歌が上手くて、それで何となーく食っていけてたのも。
今、目の前に黒ずくめの男達が政府の極秘機密を扱っている人間で、何となく話は掻い摘んでしか把握していないが、取り敢えず俺へ審神者っていう役職について、此処とは違う世界に行って、豪華絢爛なイケメン男達とよく分からない敵を倒す仕事をして欲しいと頼んでる事も。
此れは全部、"必然"であって、"運命"というものだと思う訳だ。
・・・ロマンチストか厨二臭い?言ってやるなよ、そこは最後まで聞いてくれ。
ま、結局、その必然やら運命やらも俺が取捨選択することによって全然未来の色が変わってくる訳だよ。
どうせ選ぶなら面白そうだったり、後々の人生に少しでも徳になったり・・・自分のよりよい方を選ぶだろう?
俺は言って何だがこの世の中にそんなに心残りが無かったからなあ。二つ返事でおっけーした訳よ。え?何をって?話聞いてなかったのかよ、審神者になる事をだよ。
ただ。
「その選択を後悔するか否か、っつったらまた話は別だよなぁ・・・・・・・」
白んだ光が開けて、茶色の門構の扉が開く。
そこに広がっていたのは、この世とは思えないほど淀みきっていて、凄惨な日本家屋―――本丸と呼ばれる所の姿だった。
何も研修すら受けてないバイト生にいきなり閉店手前の店舗の店長の復興させろって言っている様なもんじゃねえのこれ。こんなにヤバイって聞いてねえんだけど。俺の人生は一度きりだからコンテニューからの強くてニューゲームは無理だぞオイ。
あの簡単そうに言ってのけた黒スーツの肥えた男に心の底からあの豚が、と舌打ちをしながら、きょろりと目の前の景色を眺めて、目を閉じて、また目を開けて見回してから一つだけ溜息を吐いた。
「・・・取り敢えず掃除とか整備が大変そうだな。」
さも嫌そうにげんなりした表情を浮かべながら、その黒く澄んだ瞳は何処かしら嬉しそうに輝いている。
俺―――美鶴大和が、その一度きりの人生をコンテニューからの強くてニューゲーム所か只のチート人生にしてしまうまで。
・・・・・あと3ヶ月。
‐花壁‐
「初めまして審神者様。私めはこんのすけと申します。この本丸と政府を結ぶ連絡係であり、審神者様を手助け致しまする式神で御座います。どうぞ宜しくお願い致します。」
「うん分かった有難うところで何故こんのすけはそんなに血塗れでふらふらで生気が無いのかな!?」
門構を通ってから本丸内へ入っていいのか躊躇していた大和の目の前に現れたのは、これまた今にも死にそうな姿をした黄色く、白に染められた穂先の尻尾を持つ、ぼろぼろになった子狐だった。
それは大和を見た瞬間、深く濃い絶望に濁ませた色と淡く物悲しげな色を混ぜた丸い瞳を向けながら、付いて来る様に声を掛けてきた。
中にそのまま入るのかと思いきや、縁側がある方ではない、つまり裏側からのルートを案内し、少し離れた建物・・・大和の記憶違いで無ければ離れと呼ばれるであろう場所へ案内される。
離れといってもそれはそれは大和が現世で住んでいたアパートの部屋の比較にならないレベルの部屋へ案内されると、こんのすけはさもそれが決められた規則であるかの様に。まるで何かを読んでいるかの様に、先程の自己紹介をしてきたのだ。
というか思わずノンブレスで突っ込んじゃったけどこの部屋何でこんなに鉄臭いの?っていうか部屋に散らばる赤い染みって絶対血だよね。何なの此処。俺初っ端から死体見つけたりすんの?何処のホラーゲーム?凄え嫌なんだけど。
大和の不安げな突っ込みに視線を揺らめかせ俯いたこんのすけは、やがて何かを躊躇いがちに呟いた。
「・・・審神者様は、政府からの説明は何処まで?」
「・・・え?あー、此処が俺が元いた場所とは違う所で、俺は此処で俺の潜在能力・・・?あ、霊力?を使って神を刀に降ろして人型化した奴等を使役して、歴史を変えようとしている悪い輩を討伐する仕事をしろ、とは。」
「では・・・此処が何だったか、は、御存知無いということですか?」
「あー、まあ、確かに聞かなかったな。ついでに言うと研修らしきものも受けてねえよ。こういうのって多分受けるもんだろ?俺には時間が無いとか何とかでそのまま此処にぶっこまれたんだけども。」
「・・・・・・・・そうですか。」
その返答にまたぶつぶつと何かを考えるように呟くこんのすけ。訝しげに大和がそれを見守っていると、唐突にこんのすけの顔が上げられて大和と視線がぶつかった。
その目には今にも溢れ出しそうな涙と、憎悪と、哀しみが満ち溢れていた。
「・・・申し訳御座いませんが、審神者様にはお引取り願います。」
「・・・・・・・・・は?」
「政府からは私めは伝えておきます。すぐに迎えは来ると思われますので、きちんと政府から研修を受けてから、別の本丸へとご就任なさってくださいませ。出来れば、・・・・新しく建てられた、何も無い本丸へ。」
「いやいやいやちょっと待てよ。どういうことだよ。俺の意思は無しで勝手に決めんなよ。」
「大変審神者様には申し訳ありませんが。・・・・・・・新米の、研修も受けていない、何も知らない貴方様が、此処の主になれるとは到底思えないのです。」
「・・・・・・・・・・・・・・・それはどういうことだ?戦力外通告すんならきちんと説明だけはしていけ。」
「貴方様の耳に入れるまでも無いお話です故。・・・此の本丸の事は忘れて・・・」
「・・・じゃああの、殺気に満ち溢れながらも助けて欲しそうにしている赤いの目の子供を置いて平和ボケしろっつってんのか?」
こんのすけが弾かれた様に大和の視線の先を追い掛けると、少しだけ開いた襖の向こう、真白な肌とそれに相反するかの様に煌々と輝く緋色の瞳が此方を見詰めていた。
「い、今剣様・・・」
「今剣、って言うのか。ほら、そんなところから見ていたらただのホラーだろ。殺すなり何なりするにも入ってこないと始まらないし、入ってこいよ。」
大和のその言葉に一度戸惑うように伏せられた眼が意を決したかのように鋭くなる。
刹那、勢いよく開かれた扉から、片手に小ぶりの刀、いつか大和が知り合いから見せてもらった短刀と呼ばれるものに似つかわしい刀を持ちながら大和に向けて、白く儚げな長い髪と肌を持つ、一見女にも見えがちな子供が突進してきた。
しかし、あの煌々と輝く緋色の瞳。
そこには殺意ではなく、哀しみしか浮かんでいなかった。
何故、此処の人は皆、哀しみに満ち溢れた瞳をしているのだろうか。
・・・まるで、あの頃の俺の様じゃないか。
といってもまだ此処に来て二人目の出会いしかないのだが。
突っ込んでくるそのタイムラグの間にぼんやりとそう思いながら、目の前に飛び出してくる刃物。
ゆっくりと腕を上げると、大和はその刀を持った拳の手首に軽く手刀を落とす。
するといとも簡単に、左程強くもない力の筈なのに、その刃物はぽろりと零れる様に落ちていった。
「!?」
「多分お前、刀剣男子だな?確かあの肥えたぶt・・・じゃなくて政府の話なら、審神者が鍛刀するか出陣で拾ってこない限り現れねえって話だったけど・・・まあいいや。・・・お前さ。」
「っ、」
「人を殺すんだったらもう少し殺意と覚悟座らせておけよ。・・・あと、」
叩き落した掌を引っ込まれる前に左手で手首を優しく掴む。
そのままぐい、と手前に引っ張ると驚く顔もそのままに胸元へ抱き込んだ。
包むように両手を背中に回すと一定のリズムを刻みながらぽんぽん、と柔く叩いてやる。
「・・・何があったかはわからねえけど、多分お前もこんのすけも同じ事で苦しめられているんだろ?だから同じ瞳をしている。・・・俺に何が出来るかはまだわからない。だけど、お前やこんのすけがそういう目をしなくなるなら、出来る限りの事はする。だから、・・・苦しそうな顔をするのはもう止めろよ、今剣。」
囁く優しい声。降って来るように、それは、暖かく。
それまで呆然としていた今剣が、ぎゅっと、大和の胸元を掴む。
「・・・あなたは、さにわですか?」
「お?まあ、そうだなあ。」
「・・・いたいこととか、くるしいこととか、しませんか?」
「・・・うーん、それはわかんねえな。」
「!」
「でも、痛いとか、嫌だとか、苦しいとか。言ってくれたら勿論止める。お前がそれ以上嫌な思いをさせる事は無いぞ?但しちゃんと言ってくれなきゃわかんないけどな。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「今剣?」
「・・・なを、・・・・・けて。」
「・・・?」
「み、みんなを、たすけてください、あるじさま!」
突然荒げられた声とそれまで俯いていた顔が大和に向かって上げられる。
緋色のその瞳には大粒の涙が溢れ、頬に零れていた。
それを少し驚いた様子で見つめ、それからこくりと力強く、大きく頷くと、そのぽろぽろと零れる涙を指で拭い取ってやる。
いつの間にかその情景を見守っていたこんのすけも、大和の傍で声を押し殺して泣いていた。
「・・・今剣が、お前の言う皆が、俺を必要だって言ってくれるなら、絶対に助けてやるよ。・・・だから、安心しろ。な?」
「あるじさま、あるじさまっ・・・」
「おう。」
「たすけて、みんな、たすけてください・・・・・」
「・・・おう。」
片手で抱き締めた今剣の背中を、もう片手で擦り寄ってきたこんのすけの頭を撫でながら、大和の視線は鋭く、きつくなっていく。
差し伸べられる手を差し伸べない輩はただの屑だろう?
「ブラック本丸?」
「・・・ええ。所謂、というものになりますが、審神者様が来る前の此処の主・・・前任者様は、正直・・・酷い者でした。」
苦々しく表情を歪めるこんのすけ。その隣で思い出してしまっているのか怯えた様に視線を俯かせる今剣。
その表情だけでイラつくくらいの惨劇が繰り広げられていたのは明確だ。
その話を子細まで聞いてしまった大和は腹立たしそうに舌打ちをした。
ブラック本丸と言っても惨状は様々であります。
この本丸で前任者様がしていた事は・・・私達にとっては所謂地獄でした。
実はこの本丸は、鍛刀で出る刀は全ておりますが、検非違使が保持している「長曽根虎徹」様「浦島虎徹」様と、京都の三条大橋に出現すると言われています「明石国行」様がまだおりません。
前任者様はその三口を獲得する為に、太刀や大太刀、打刀、槍等の刀剣男子様達で編成させた部隊達に休息や食事を与えずにただひたすら送り出しておりました。勿体無い、その理由だけで刀装も付けさせて貰えなかったと聞きます。無論、そんな状況が長く続く筈もありません。皆様は段々疲弊していき、遂にはある刀剣男子様が破壊手前になり、慌てて帰城してきたこともありました。それを見た前任者は・・・その、・・・他の皆様方の居る目の前で、叩き折ったのです。その、破壊寸前の刀剣男子様を。まるで、逆らえばこうなるとでも、いう様に。・・・確か、その時に折られてしまったのは、前任者の初期刀であった加州様であったと記憶しております。その後前任者様が鍛刀の際お作りになられた加州様が現在本丸にいらっしゃいます加州様となるのですが、その惨劇から加速するかの様に前任者様は刀剣男子様達を容赦無く折ろうとしたり、殴る蹴るの暴行を加え軽傷や中傷にさせたり・・・・・・時折重傷のまま外に放り出す事もありました。それも、そういう暴挙を行うのは大体短刀や打刀、太刀の中で比較的本丸へ来易い人々ばかりで・・・無論負った傷も資源の無駄という理由から治して貰えず、破壊一歩手前の刀剣男子様達は一つの部屋に集められ、寝食を許されずにただ前任者様に罵られ、精神を削られるだけの存在とされてしまいました。
その他、特に見目麗しい太刀の方々は前任者の周りの手伝いや寝食を強制的に共にさせられ、逆に此方は戦場には出させて貰えずに、・・・・・・・・・・・・その、夜伽の相手をさせられていた様です。それを拒否するものは目の前で短刀や脇差の方々を強姦したり暴行を加えて従えていたようで・・・・・その状況は、目が、当てられたものではありませんでした。・・・大体、それが一年半ほど、続けられました。
「一年半!?」
「ええ。政府の発見が遅れたのは、私めが前任者様に拘束され、政府に取る連絡を制限されていたこと。前任者様は政府に見つかる事を恐れて演練にはほぼ出なかった事が原因となってしまいまして・・・私は、政府との唯一の、繋がりであったはずなのに、刀剣男子様達を長い間苦しめているのを伝えられずに・・・」
「ちがいますよ!こんのすけは、たくさんあのひとに、なぐられて、けられて、ごみとか、むりやりたべさせられて・・・」
目を潤ませて必死にこんのすけの言葉を否定する。その今剣の掌すらもかたかたと震えていた。
此処まで恐怖を味わわせた前任者に軽い殺意を抱きつつ、そういえば、と思い出すようにこんのすけへ問い正す。
「そういや、他の刀剣男子ももしかして今剣みたいに前任者が原因で審神者に殺意を持ってる奴とかいんの?」
「それは・・・・・・・・・・・・・申し訳御座いませんが、全員かと、思われます・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・あるじさまが、きらいなわけではないんですよ。あのひとが、こわくて、にくくて。あのひとが、ぼくらには、すべてだったんです。・・・だから、ぼくらは、あのひとがきらいで、にくいだけで、・・・・あるじさまがきらいなわけではないんですよ。」
「・・・おう、なら安心したわ。・・・・・・皆に好かれるかはわかんねえが、せめて居心地が悪い本丸にはしたくねえな。きちんと戦に出れて、強くなれて、ゆっくり休息が取れて、他の刀剣達と仲良く笑える場所は用意してやりてえよな。それが俺が此処でやる事だし、今剣との約束を果たす事に繋がるだろう?」
「・・・・・・・・・はい!おねがいします、あるじさま」
「ばーか、お願いされなくてもやってやるよ。俺のこと信じてくれた今剣の願いだしな」
「・・・・はいっ、あ、そのかわりぼくはあるじさまをおまもりいたしますね!」
「ん?」
きらりと目を光らせた今剣が立って欲しいとお願いしつつ、首を傾げながらそれに従う大和の目の前。
一歩ほど空いたところに立つと、嬉しそうに微笑みながら突然片膝を付いて傅き始めた。
「・・・・・・・・え、」
「ぼくは、今剣!もともとはよしつねこうのまもりがたななんですよ!でも、きょうからはあなたの・・・あるじさまのまもりがたなとしてせいいっぱいがんばります!」
「・・・・・・・よし!今剣、宜しく頼むな?」
「はい!」
二人が顔を見合わせて嬉しそうな表情で微笑む。
それを横で見ながら、こんのすけはこの穢れ切ってしまった本丸を、直してくれると確信していた。
きっと。少しの希望しかないとしても。
それでも、この本丸の未来を託すには充分な程だと、そう信じて厭わなかった。
「さて、こんのすけ。」
「何でしょう、審神者様?」
「この本丸には何処に掃除用具がある?」
「掃除用具・・・でしょうか?」
「ここなあ・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
そう一つ呟くと、瞬間、目が怒りを浮かべてかっと見開かれる。
「門構から入って此処に付くまで見える光景が全部汚いんだよ!つーかこの部屋もめちゃめちゃ汚いんだよ!!!!ずっとずっとずーーーーーーーーーーーーっと思ってたけど此処本当に汚ねえ!こんなところにいたら俺の精神が可笑しくなるわ!」
「あ、あの・・・」
「はい!」
「申し訳ありませんが・・・この本丸には・・・掃除用具の類は一切存在しておりません・・・」
「ファッ!?」
「前任者様はずぼらな方でして、部屋が汚れていても構わないとする方でしたから・・・・・」
「頭可笑しいのか前任者!いや頭可笑しかったけどよ!」
「審神者様は政府から端末は渡されませんでしたか?」
「・・・・・・・お?あー・・・確か渡されたな。」
そういえば、と思い出したように尻ポケットから端末を取り出すと、「失礼します」と肩にこんのすけが飛び乗ってくる。
言われた通りに端末の電源をつけると、画面に桜の文様が浮かび上がってから、色々な項目が指で画面を触ると選べる機能になっているようだった。
「その項目を触ってから・・・そうです、現世にあるものなら何でも取り寄せる事が出来る機能になっています」
「何それ凄いわ」
「勿論それが必要だと判断された場合に、ですが」
「まあそりゃそうだよな・・・・」
若干残念そうに落ち込みつつ項目内から掃除用具一式を選択すると、本丸に発注の文字を選択してから画面を閉じ―――
「はやっ!?」
もう既に目の前には掃除用具一式が綺麗に揃えて並べられていた。
「えっ何これどう来たの今人居なかったよね生えてきたのどうやっt」
「これも全て審神者様が不自由しないようにと政府の配慮であります故!」
「お、おう・・・」
こんのすけの誇らしげな表情に若干引いたような表情浮かべつつも、送られて来た掃除用具を手に持ち一人と一匹を振り返ると一言。
「ほら、掃除しよう」
「えっ」
「えっ」
「えっ。手伝ってくれねえのか」
「・・・手伝い?」
「ぼくたちが、あるじさまの、おてつだい・・・?」
「おう。・・・嫌か?」
「い、いえ!」
「滅相も御座いません!・・・というか、私達だけ。ではなく、審神者様も・・・?」
「当たり前だろ?掃除は皆でやった方が早く終わるだろ?その後飯でも食って今後の事を相談しようぜ?」
「・・・・・はい!」
「あるじさまのおてつだい!がんばります!」
「おーおー、張り切って綺麗にするぞ!」
遠く、青い、抜ける様な空の下。
雲一つ無いこの空の下で、また一つの運命が変わっていこうとしている。
それが偶然だったのか、必然だったのか。
それはきっと誰にも知る由なぞ無かったのだろうが。
ただ此処に、明るい方へ回って行こうとする三つの歯車があり、それがやがて大きな力になっていく事。
そしてそのままでは何も変わることのなかった淀んだ未来への光になる事。
きっとその二人と一匹は、心の何処かで確固たる希望としてその運命を信じてやまないのであろう。
そうして、美鶴大和の、今迄の人生すらも覆すような未来が始まるのであった。
「―――主、主。何故、何故俺達を、俺を苦しめるのですか。・・・主。」
もう、主とも呼びたくも無い、存在よ。