機動戦士ガンダム -血の色の宇宙-   作:D太郎

1 / 2
1話

宇宙世紀0095 L2中心周辺 暗礁宙域―

 

 

 

 

 

 

『間もなく目標ポイントに到達。中佐とシンヤはコックピットで待機を。艦のシステムを戦闘シークエンスに移行します』

 

ブリッジのハウルから通信が入り、シンヤは開きっぱなしだったコックピットのハッチを閉め、モビルスーツを起動させた。

 

 

「メインジェネレータ起動、火器管制システムチェック、戦術データリンク、学習プログラムオンライン...」

 

 

機体の状態を確認していると、突然通信が入りモニターに武人のような男の顔が映った。

 

『おいシンヤ、もうすぐポイントに到達する。作戦内容の最終確認だ』

 

この男はグラッド·コイルマン。地球連邦軍所属の中佐でシンヤが所属する特殊部隊『アッシュギアス』の隊長であり、またシンヤの後見人でもあった。

 

『今回の作戦は作戦宙域の調査だ。先日、地球連邦軍第21部隊所属の小隊『キルシュアス隊』が同宙域にて消息を絶った。そこで我々が調査活動を行い、原因究明に努める。

というのが表向きの建前だが、実際のところキルシュアス隊はここら近辺を荒らしている宇宙海賊に壊滅させられたのであり、そいつらを殲滅しろってのが参謀本部からのお達しなわけだな』

 

 

 

『それにしも妙ですよね。今回の任務』

 

ハウルも通信に加わってきた。ハウル・キンバリー、アッシュギアスの母艦『バシリスク』のブリッジを預かる戦況オペレーターでメカニックでもある。モニターに映っている奴は少しくたびれた口調で続けた。

 

『いくら特殊部隊っていっても連邦軍所属の俺たちに「宇宙海賊を叩け」だなんて。そいつら、別にここら辺を通るシャトルをたまに襲ったり来るくらいなんでしょ?使ってるモビルスーツだって一年戦争の時のリック・ドムを少しイジったくらいのポンコツが二機だけ。

 そもそもそんな奴らにキルシュアス隊が負けるってはなし自体おかしい。あれは21部隊の中でもエースクラスのパイロットを集めた小隊だ。たかだか宇宙海賊風情が勝てるような相手じゃ...』

 

『そこまでだハウル。ポイント到達まで一分を切った。

 それよりもだ。シンヤ、その機体の調子はどうだ?ちゃんと慣らせたのか?』

 

グラッドは延々と愚痴を垂れ流すハウルをたしなめながら、シンヤにそう訪ねてきた。

 

「問題ないよ中佐。昨日慣熟飛行したし。機体の反応速度もだいたい把握できた」

 

『おいおい、慣熟飛行って昨日のあれのことか!?ただ艦のまわりを2,3周回っただけじゃねえかよ。せっかく俺がチューンしてやったってのに......壊すんじゃねえぞ!?』

 

「大丈夫だよハウル。細かいクセは戦いながらつかむから。壊しやしないさ」

 

『ったく...、墜ちんじゃねえぞ』

 

「大丈夫だって」

 

 

『いい加減にしろハウル。そこまでだといったはずだ』

 

少ししつこい気もしなくもないハウルの追及をグラッドが呆れた声で静止した。

 

『すいません...』

 

バツが悪そうに謝り、モニターからハウルの顔が消えた。

グラッドは、それを確認すると苦笑しながら声にまだ少し呆れた色を滲ませつつもシンヤに言った。

 

『シンヤ、言うまでもないが墜ちるなよ』

 

「わかってる。死ぬ気なんてさらさらないよ」

 

『ならいいさ』

 

直後、無線からハウルの声が聞こえた。

 

『只今、ポイントに到達。ミノフスキー粒子戦闘濃度散布、ダミー隕石放出。

モビルスーツデッキハッチ開放、固定ハンガーロック解除、モビルスーツパージ』

 

わずかな振動とともにモビルスーツがバシリスクから離れてゆく。

シンヤは今一度操縦レバーを強く握りしめ、スラスターを吹かせた。

 

 

 

「シンヤ・トゥアレグ、ブラッディライダー、出撃()る!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同宙域―

 

 

 

 

 

 

「......機体チェック完了、各部異常なし...

 

ええっと、命令書には...先遣隊及び受領物資の護衛、ね...ムサカから発進後合流ポイントまでの中間地点までベースジャバーで加速、到達後は分離し後は原則慣性飛行で移動しろ?妙に手が込んでるわね、ここからポイントまで結構距離あるのに...途中から暗礁に入るからこっちとしては助かるけれど...しかもサイコマシーンが護衛として駆り出されるなんて...よっぽど重要なものなのかしら?」

 

『ブリッジよりヴァイシャ、準備いいか?』

 

「は、はい!問題ありません!」

 

『よし、ハッチ開放しろ!』

 

 

 

 

(今回の任務、何か嫌な予感がするけど...まぁやるしかないか、今更わがまま言って帰るわけにもいかないし)

 

「ルナ・メルカトル、ヴァイシャ、いきます!」




最後まで読んでいただきありがとうございます。
よければ感想、評価、お気に入り、アドバイスなどお願いします。


以下にオリキャラなどの大まかな設定を載せておきます。

シンヤ・トゥアレグ:16歳。地球連邦軍特殊部隊『アッシュギアス』所属。階級は小尉。モビルスーツ「ブラッディライダー」のパイロット。

グラッド·コイルマン:43歳。地球連邦軍特殊部隊『アッシュギアス』隊長。階級は中佐。使用機体は「スタークジェガン」。シンヤの後見人。

ハウル・キンバリー:25歳。地球連邦軍特殊部隊『アッシュギアス』所属。階級は大尉。戦況オペレーターであり、メカニック。アッシュギアスの母艦「バシリスク」のブリッジも取り仕切っている。


ブラッディライダー:地球連邦軍の第4世代型モビルスーツ。外見は一年戦争時の第1世代型モビルスーツ「ペイルライダー」に似ている。

バシリスク:地球連邦軍の所有する小型宇宙揚陸艦で『アッシュギアス』の母艦。 全長160メートル。宇宙世紀初期から使用されてきた貨物輸送船を改修したものであり、同型艦は存在しない。稼働クルーは全12人。システムの大部分が自動化されており、少人数でも稼働させることができる。 武装は単装メガ粒子砲×2、対空機銃座×8、ミサイル発射管×4。 モビルスーツを最大で5機まで収容できる。


アッシュギアス:地球連邦軍所属の特殊部隊。構成員は16人。主に隠密性の高い任務や、ゲリラ的な作戦を行う。汚れ仕事を押し付けられることも少なくない。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。