はぐれメタルの能力を貰った男がこいしに憑依(仮)   作:ディア

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さて全裸待機している諸君ら待たせたな!風邪はひいていないかい?
そんなこんなで難産でした。


第6話

 ヒヒイロカネと言えば日本版オリハルコンとも言っていい存在。メタルスライムから出来た金属がヒヒイロカネなんて信じられないよ。というか言えない。それでレベルアップしたことも言えない。

 

 

 

「私はおろか我が祖先イザナギが生まれる前の時代、ウガヤフキアエズ王朝時代のものを何故、いやどうやって手に入れた?」

 

 ウガヤフキアエズ王朝。ヒヒイロカネが存在した時代のことだけどさっぱりわからない。一応前世で調べてみたけど王様の名前がやたら長ったらしく覚える気にもなれない。そのくらい謎に包まれた王朝。

 

 

 

 私個人の見解では月の民の先祖の王朝がそれなんじゃないかと思ってる。その王朝にありふれた物だったヒヒイロカネが存在しない理由は月の民が地上の穢れを無くす為にヒヒイロカネを消して、穢れを消したんじゃないかな? あくまでも私の推測だから真相は本人達に聞くしかなさそう。

 

 

 

「適当に歩いていたら見つけた」

 

「どこだ!? どの辺を歩いていたのだ!?」

 

「美濃のあたり」

 

 ちなみに美濃は岐阜県あたりのことを指していて、小学校の教科書に載る信長が稲葉山城を岐阜城に変えたことが由来で岐阜となった。

 

「美濃……覚妖怪の住処付近にあったと言うわけか。なるほどな。覚妖怪はこれを隠していたのか」

 

「えーと、神様。一応言わせて貰うけど覚妖怪が隠していた訳じゃないわ。私がこれを手にした他の覚妖怪が見た時の反応が淡白だったもん。それにそんなお宝があるなら盗賊紛いのことをしないよ」

 

「そうか。ならば……!」

 

 神奈子が弾幕を放ち、私に攻撃しよう時したけどあっさりと避けられてしまう。

 

「動くな!」

 

「不意討ちする神様の言うことを聞く筋合いはなーい!」

 

 その言葉を聞いて手を休める神奈子。だけどその手は震えていた。

 

「殺してでも奪い取る」

 

 元ネタ知っているの!? そのネタが出るのって千年以上も後のことだよ!? 

 

「それなら……!」

 

 避けて避けて避けまくるしかないよね! 

 

 

 

 

 

 一時間後、全力で弾幕を撃ちまくったせいで神奈子は逃げ馬が逃げ損なったかのようにバテバテのヘロヘロ。後ろに差し馬がいたら間違いなく差されていた。

 

「大人しく、渡せ……」

 

「神様、そのやり方だと人間から嫌われるよ。強引に奪うのは神様の仕事じゃなくて妖怪の仕事だし」

 

 というか強盗そのものなんだけど。

 

「う……」

 

「まず事情を話してよ。神様って元々信者と取引する立場なんだから」

 

「……何となくという訳ではない。ヒヒイロカネはウガヤフキアエズ王朝時代の遺産だ。もう二度と手にすることはない。金銀財宝に価値があるのは希少だからだが、金銀財宝はまだ山から掘り出される。それよりも更に希少なヒヒイロカネに価値があるのは当然のことだよ。私が欲しがるのはそういうことだ」

 

「でもさ、信仰心を集めるならいらないよね」

 

「逆よ。そういう昔のものを持っているということは由緒正しい神として崇めるようになる。だから必要なんだ」

 

 

 

「もうその辺にしときなよ」

 

 現れたのはZUN帽子のロリ……もとい、幼さを残した少女。その正体を知っているけど推測だけで言うのは良くないよね。

 

「諏訪子……」

 

「こんにちは、はじめまして。私は洩矢諏訪子(もりやすわこ)、この神社のもう一神だよ」

 

 予想通り、その少女は私の前世である古石の知識にあった人物、洩矢諏訪子。前世の元ネタではマーラー……要するに男性器の見た目をした神様なんだけど、この神様は違う。金髪ロリの美少女……うん、頭痛が痛いというのとおんなじこと言っちゃった。

 

「古明地こいしだよー。よろしく」

 

 ケロちゃんにフレンドリーに返すと加奈子が項垂れていた。

 

「始めからそうすればよかった……」

 

 それはごもっともで。

 

 

 

「それでこいし、お前はここに何しに来たのだ?」

 

「そうそう、ある人の行方を尋ねに来たの!」

 

「ほう……」

 

「いつまで格好つけているのさ、神奈子。言っておくけどあんたの尊厳は強盗しようとした時点で失っているんだよ」

 

「うっ……」

 

「しかも勝って奪えたならともかく散々に負けた。もはや誰がどうみてもみっともないよ」

 

「……それでもせめてもの面子というのが──」

 

「あると思う?」

 

「……ない」

 

「じゃあ砕けた話し方でいいじゃん。私と一対一で話すときみたいにさ」

 

「……それもそうだね。という訳で改めて自己紹介しよう。八坂神奈子だ」

 

「古明地こいしだよ。よろしく」

 

 互いに握手して自己紹介を終えると神奈子が口を開いた。

 

 

 

「尋ね人、聖姉弟の行方についてだがさっきも言った通り西に向かっていったとしかいいようがないんだ。それくらいしか私から話せることはない」

 

「でもそれだと神奈子の非を詫びるものとしては少ないよね?」

 

「そこなのよね……かといってそれ以上の物となると……あ、あれがあった」

 

「何々? 何貰えるの?」

 

「つい最近、天皇家に後継者となる子供が産まれるらしい」

 

 西暦921年から925年の間に天皇となる後継者となる子供が産まれるって……朱雀天皇? ってことは今は西暦923年ってこと? 

 

「へえ……」

 

「神奈子、そんな情報どうでも良いでしょ? それよりも加護を与えるとかそういう選択があると思うんだけど?」

 

「……それだ。よし、こいし。お前に私の加護を与えよう。こいしに風の加護あれ!」

 

 そういって神奈子がゴッドパワーを使い、風の加護を与えると頭の中でバギ系の呪文が思い浮かんだ。もしかして本当に加護が来たの? 

 

「うん、確かな手応えありだ。これで何とか釣り合いが取れたはずだ」

 

「いやいやそれだけじゃ足りないはずだよ。ここは私の加護も──」

 

「や、遠慮するよ」

 

「…………どうしてぇぇぇっ!?」

 

 露骨な差別を受けたことに諏訪子が泣きながら腰にしがみつく。

 

呪い系(インパス)とか毒系(キアリー)は間に合っているんで」

 

 はぐれメタルは作品によってはどっちも耐性がついていたはずだよ。

 

「ちくしょーっ! こうなったら何が何でも加護を与えてやるぅぅぅっ! こいしに我の加護あれ!」

 

 諏訪子がそう言い放ち、私に加護を与えるとジバ系の呪文が思い浮かんだ。土着神だからかな? 

 

「ふぅ……なんとか出来たようだね」

 

「意外……呪いとか毒とかじゃなく土系統の技が頭の中に思い浮かんだ」

 

「私のことをなんだと思っているの?」

 

「祟り神」

 

 だって神奈子が守矢を完全に奪えなかったのって地元民が諏訪子の祟りを恐れるあまり出来なかったんだよ。呪いの神とかって普通に思うじゃん。

 

「まあ仕方ないか……それじゃその聖姉弟に会いにいきなよ。これ以上ここにいてもやることないんじゃない?」

 

「うん。それもそうだね、ありがとうね神様達」

 

「ばいばーい!」

 

「また会おう」

 

 こうして私は二柱と別れを告げ、聖姉弟のいる西へ向かった。




後書き
難産になった理由は加護を与えるという発想が今のいままで思い付かず先日ようやく思い付いて書き終わった……という感じですね。

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