救える者になるために(仮題)   作:オールライト

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えー、皆さん、お久しぶりです。
おそらく5か月ぶりでしょうか?
いやー、遅くなって申し訳ございません。
もう世が世なら袋叩きにされているところですよほんと。
まー、簡単に言うとですね、スランプみたいなもんですね。
なんというか、小説がまったくもって書けなくなってしまいまして。
そのせいで何もかもめんどくさくなりまして。
どうせこんな小説シレーっと投稿やめても大丈夫だろう、と思い投稿をやめようかと思ったのですが
一応ストーリーの構成は考えてあるんだし、やっぱ書きたいなぁ
と思い、また書き始めたはいいのですが…やっぱりうまくかけず。
どーしよーかなぁーなんてクゥオキャクゥオーラを片手にパソコンと向き合っていたら

なんと!!

いつの間にか小説のUA数が100000超えてるじゃぁありませんかぁ!

お気に入りもいつの間にか1000件超えてましたしね。
いやぁ、びっくりっすね。
最初はお気に入りが5人になって大はしゃぎしていたのが
今や1000ですよ1000
こんな駄文を1000人の方が見てくれてるんですよ?
奇跡ですね、私は来世の分の運まで使い果たしてしまいましたよええ。

いつかは記念の話なんて作らないとね


てなわけで、ひそかにそれを見てやる気を出した私は連日の仕事の合間合間を使って何とか話を作り上げたわけです。
正月休みなんて存在しない仕事なうえにスランプなんで書くのに時間かかりましたけど…


というわけで、スランプにより駄文率100000%の本文です。
もう不安しか心に残ってないです。

どうぞ


第十八話 経験値が足りない?そんな時ははぐれたあいつを探すといいぞ

雄英高校体育祭の第二種目の騎馬戦の中で、物間寧人君を物まね芸人と勘違いした衝也の発言により完璧に目をつけられてしまった五十嵐チームのメンバーは、呆れを通り越して悟りを開いているような表情をしていた。

 

「まぁ、もうしょうがないか…衝也だし。…衝也だし。」

 

「あの、なんで二回言ったか理由をお聞きしてもよろしいですか耳郎さん?」

 

「自分を納得させるために決まってんでしょ、こうでもしないとアンタをハッ倒しそうになるから。」

 

「解せぬ…」

 

人を小ばかにしたような表情から鬼のような形相へと変化した物間を見て、無表情のまま虚空を見つめて呟く耳郎。

その言葉を聞いて理不尽だ!というような表情を浮かべる衝也。

そんな彼の背中にしがみついている峰田は絶望したような表情で蛙吹に話しかけていた。

 

「なぁ、オイラはさ…五十嵐の作戦を聞いてさ『これなら楽に勝てる!』と思ってチームに入ったんだよ。それがどこをどう間違えて、こんな最悪な状況になるんだろうな?オイラはいったい何を間違えたんだ?」

 

「峰田ちゃんの場合は人生そのものを間違えてると思うわ。一度死んで生まれ変わったらどう?」

 

「あ、それウチも賛成。むしろ生まれ変わらずにそのまま未来永劫死んでて。」

 

「土の中から一生出てくんじゃねぇぞ腐れブドウ。」

 

「お前らホントいい加減にしないと泣くぞこのやろー!!?」

 

「やめろ背中が汚れる汚いブドウ汁ブシャーとかはやんないから殺すぞ。」

 

「五十嵐…おま…大概にしといてくれない?ほんとに…」

 

あらぬところからの罵倒に心を折られて寂しく衝也の背中で呟く峰田。

すると、そんな四人の様子を見ていた物間がしびれを切らしたようにポツリとつぶやいた。

 

「…四人で談笑とは、ずいぶんとコケにしてくれるじゃないか。よっぽど僕らに勝つ自信でもあるみたいだね?でも、そんな余裕な態度をとれるのも今のうち」

 

「いやいや、だったら攻撃してくればいいじゃん。こっちの話聞き続けて攻撃してなかったのヒロシだからな?特撮ヒーローの悪役かよ。言っとくけど本当の悪はそんなに甘くないぞ、実際にあってる俺が言うんだから間違いない。」

 

「……!!!!」

 

「い、いててててて!?ちょ、物間!?痛い!?痛いから!手に力入れ過ぎだって!!禿げる!禿げるから!?」

 

衝也の発言にこめかみをぴくぴくさせている物間。

その物間の騎馬の先頭である少年、円場から悲痛な叫び声が上がるが当の本人の耳には入っていないのか、円場の毛根の悲鳴は収まらない。

 

「何度も言うが…僕の名前は物間寧人だ。あまり人の名前を間違えないでくれるかな?君だって人に名前を間違えられるのは嫌だろ。それに、そうやって名前を間違えてばかりいると人としての品位を疑われるよ?」

 

「だから、物まね芸人なのはわかったって。ていうか、いきなり他人にいわれのない因縁吹っかけてくるヒロシのほうがよっぽど品位疑われるだろ。」

 

「このうすら馬鹿!!」

 

「痛い!?」

 

あきれ顔で物間に返答を返した衝也だったが隣にいた耳郎から頬に強烈なイヤホンビンタを食らい、思わず声を上げてしまう。

そして、右手で右ほほを抑えながら彼は隣にいる友人へと抗議の声を上げた。

 

「ちょ、いきなり何すんの耳郎!?突然人をビンタするとか…せめて前ふりとかくんないと覚悟ができないんですけど!?」

 

「前ふりがあればいいんだ。わかった、じゃあ殴るから。」

 

「目が痛いッ!?」

 

すると今度はきちんと前ふりをしてから耳たぶイヤホンのコードで衝也を殴る耳郎。

しかし、今度は場所が頬ではなく両目である。

なまじイヤホンのコードの細さが両目にいい具合に入り込むような細さだったうえに勢いもあるため、痛さは倍増である。

痛みで床を転げまわると失格になってしまうため、衝也は空中で悶絶しながらうねうねしたり、くねくねしたりしながら痛みを必死に和らげる。

そして、少しだけ痛みが治まったのか目に涙を浮かべながらも再び抗議の声を上げる。

 

「い、いやね…前ふりがあればいいとか、そういうのじゃないんですけど。理由もなく人を殴るのはやめていただけないでしょうかって話なんですけど…」

 

「うるさいこの異次元級バカ。一生そこでもがいてろこの頂上級バカ。あんたがしゃべると状況が悪化しかしないんだよこの宇宙級バカ。この体育祭が終わるまで口開くな超絶級バカ」

 

「え、なにこの壮絶なる罵倒…俺が何をしたってんだ?」

 

「自分の胸に手を当てて考えてみなよ、自分が何をしたのか。それでもわからないんだったらアンタはもう本当に黙ってて。」

 

「…耳郎、ウサギは」

 

「いいから考えろって言ってんでしょうが!」

 

「脛が痛いっ!?」

 

一切の反論を許さない耳郎のイヤホン攻撃により再び悶絶し始める衝也。

そんな彼の背中にしがみついていた峰田は、「まったく…」とつぶやいて呆れたようにため息を吐いている耳郎の方を向いて、ぼそりと呟いた

 

「自分は触る胸もないくせに、よく言うぜ…」

 

「そぉぉい!!」

 

「ぬぉぉおお!?」

 

そのつぶやきを聞いた瞬間、隣に異常なまでの殺気を感じた衝也はほぼ反射的に背中にいた峰田をつかみ、前方の物間たちの方へとぶん投げた。

 

「っ!?円場!」

 

「わかってる!」

 

それをみた物間が素早く円場に支持を出すと、円場はすぐに大きく息を吸い込み、肺にため込んだその空気をすべて吐き出した。

その瞬間、叫び声をあげながら物間に向かって飛んでいった峰田は

 

「ぬぉぉぉおっぐぶ!?」

 

物間のほぼ目の前で、壁にぶつかったかのようにビッターン!と空中に張り付き、そのまま重力に従って地面へと倒れ込んだ。

 

「って…いきなり何すんだ五十嵐ぃぃぃぃ!」

 

が、すぐに起き上がり衝也の方へと向き直り、人差し指を彼に向けながら怒号を上げ始めた。

 

「なにいきなり人をボールみたいに投げてんだよ!?しかも敵チームの目の前に!!」

 

「いや、なんか…このままだと巻き添えを食らうと本能が危険信号を上げてたもんでつい…」

 

「てめぇ、そんなあいまいな理由で仲間を投げるか普通!?いくらオイラでもさすがにキレるぞこの野郎!!」

 

「そっちこそなに堂々と仲間です宣言してんだよキレるぞこのクソブドウ!!」

 

「…泣くぞー、ほんとに。」

 

そういって本気で涙目になっている峰田と口喧嘩をし始める衝也だったが、ふいに横にいた耳郎から制止の声があげられた

 

「ちょっと衝也、アンタいつまでしゃべってんの?今は目の前の敵に集中しなよ」

 

「ん、ああ、悪いな耳郎。なんか目の前のわいせつ物がわめきたてたもんでつい…」

 

「さっさとブドウ狩り始めるよ、目標は目の前の腐ったブドウただ一人。」

 

「うぉぉぉぉい!!お前が目の前の敵に集中しろぉぉぉ!?オイラ敵じゃねぇだろおぉぉぉ!!」

 

峰田はまさか耳郎までもが自分を敵扱いし始めるとは思わなかったのか、最大限の清涼で二人に対して抗議を上げていく。

 

「オイラ達の敵はオイラじゃなくてオイラの後ろのやつらじゃねぇか!オイラは敵じゃなくてみ・か・た!!」

 

「オイラ達じゃなくて俺達の敵だろ?そんでもってお前は俺の敵。」

 

「あとウチの敵。」

 

「あとは女の敵ね。」

 

「なんでオイラが衝也やちっぱいの敵になってんだよ!?つーかさりげなく二人に混ざってんじゃねぇぞ蛙吹!」

 

「お前今ウチのことなんて呼んだ?ねぇ、なんて呼んだ?答え方次第じゃ…潰すよ?」

 

「こぇえよ!もはや仲間に向けるような目ぇしてねぇぞ、ち…耳郎」

 

「『ち』って言った?今アンタ『ち』って言ったよね?」

 

そういって光を失った瞳で峰田のことをにらみ続ける耳郎。

大量の冷や汗を流す峰田、『耳郎はこんなにも恐ろしい殺気を出せるのか!?』と戦慄する衝也。

そして、

 

「…っ全員、いい加減に、しろぉぉぉ!!」

 

「いってぇぇぇ!俺の髪がぁぁぁ!」

 

ついに痺れを切らした物間が怒りで握りしめていた拳と顔をを大きく上にあげて怒号を叫びだした。

握りしめられていた己の髪の毛を引き抜かれてしまった円場は悲鳴を上げた。

彼の毛根も悲鳴を上げた。

 

「さっきからまるで僕らなど眼中にもないかのように、グダグダと…ここは幼稚園児の遊び場じゃっ…!?」

 

そこまで言って上にあげていた拳と顔をもとに戻し、文句を言おうとするが、その言葉はすぐに中断された。

なぜならば

 

彼のすぐ目の前に、己のハチマキ目指して腕を伸ばしている衝也がいたからである。

先ほどまで前方でしゃべっていた衝也がすぐ目の前まで移動してきたことに驚いた物間はわずかに迎撃が遅れてしまう。

 

「っつ!?」

 

(これは…円場の…!

 

ハチマキまであとわずか数十センチといったところで衝也は先ほどの峰田のようにまるで壁に当たったかの如く動きを止めてしまった。

だが、奇襲を防がれた衝也はこのことが想定内だったのか慌てる様子もなく瞬時に後方へと下がり、物間たちの攻撃圏内から離れていく。

 

「くっそ…やっぱこうなるか。あー、腕いてぇ。」

 

「…助かった円場。今のは危なかった。」

 

「いや、今のは俺が痛みで思わず反射的に出しちゃっただけ。マジでたまたまだから、次は期待するなよ。つーか、物間、体育祭の後で話したいことがあるから体育館裏まできてくんない?」

 

額に一筋の冷や汗を流しなっがら円場にお礼を言った物間は、先ほどと同じように、人を馬鹿にしたような笑みを浮かべた。

自身の安堵と焦りを相手に気取らせないために。

 

「人の会話の途中に攻撃を仕掛けてくるとは、あまりいい性格とは思えないね。卑怯というか姑息というか…少なくともヒーローのすることじゃないよ。」

 

「人を救うのにいちいちそういうの気にしてたら救えるもんも救えねぇんだよ。ヒーローが守るのは自分の体裁でもプライドでもない、人の命だからな。そのためならどんな卑劣な手でも使ってやるさ。

つーか、自分がそんな怒鳴るから攻撃される隙が生まれるんじゃないの?もうちょっとクールに行こうぜクールに。短気は損気ってよく言うだろ?」

 

「自分のことを棚に上げて…よく言うじゃないか…!あんなに隙だらけだったのに…!」

 

「だぁかぁらぁ、それは物まね君が攻撃しなかったから悪いだけだから。攻撃されても普通に迎撃できてたから。こっちはいつでもOKって感じ出してるのにそっちが律儀に待ってただけだろ?それを人のせいにするのはいただけない。別に俺攻撃しないでくださいなんて頼んでないし、なぁ耳郎?」

 

「えっとさ…言ってることは衝也がただしいのかもしんないけどさ…」

 

「だろ?」

 

「相手の方、見てみなよ。」

 

「ん?」

 

もはやすべてを悟ってあきらめてしまったような表情の耳郎に言われて物間の方を悪人する衝也。

するとそこには

 

 

 

 

 

ちょっとここでは書けないほどとんでもない顔をしている物間がいた。

 

「…爆豪より怖いんだけど、あの顔。」

 

「ケロ、今までの笑顔がかけらほどもなくなっちゃったわね。」

 

「心なしか黒いオーラまで出てきてるような気がするんだけど…ウチの気のせい?」

 

「オイラ、ああいう顔どっかの寺か神社で見たことあるぞ。両脇に鬼のような形相して立ってる仏像みたいなやつだ。」

 

「ちょっとまて腐れブドウ。てめぇいつから俺の背中に戻ってきた?」

 

「おめぇが物間のとこに突撃してきたときに」

 

「死ねぇ!」

 

「ぎゃああああ!目から爆音がぁぁぁ!!!」

 

耳郎の制裁を受けた峰田が叫び声を上げる中、蛙吹は衝也へと淡々と声をかけた。

 

「それで、何か敵の個性の情報はつかめた?」

 

「蛙吹…お前、こんな時に冷静に聞けるってすげぇな。今完璧にギャグの流れだったのに…。」

 

そういって苦笑いをする衝也だったが、すぐに視線を物間たちの方へと移す。

見るとあちらも物間を落ち着かせるために円場と呼ばれていた少年たちが必死に彼をなだめていた。

 

「あの物間っていう男の個性はわからない。けど、前の騎馬の男の個性はなんとなくわかった。俺や峰田がぶつかった『見えない壁のような物』を作ったのはおそらくアイツだろう。さっき峰田を投げた時、物間があの円場とかいうやつの名前を呼んだ瞬間、あいつが一瞬大きく息を吸い込んで、そのまま一気に空気を吐き出したんだ。その瞬間に峰田が壁みたいなものにぶつかったのを見ると、おそらくは吸い込んだ空気をどうにかできるんだろう。自在に操れるのか、それとも壁を作ることしかできないのかは断言はできねぇけど、まぁ、おそらくは後者だろうな。もし前者ならこの瞬間にでも攻撃しかけられるだろうし。」

 

「さすがね、さっきの二回でそこまでわかるなんて…。というか、名前ちゃんと言えるのね。」

 

「当たり前だろ。俺聴覚も鍛えてるから。名前間違えてんのはわざとだよ、あいつプライド高そうだし、怒ったら怒った分だけ視野が狭まるからな。」

 

「じゃあ、B組のことも…」

 

「いや、それはガチ。なあ蛙吹、こういうのって体育祭終わりに菓子折り上げて土下座50回くらいしたら許してもらえるかな?」

 

「…」

 

衝也の言葉に思わずジト目を向けてしまう蛙吹を見て、彼は気まずそうに大きく咳ばらいをした。

 

「っんっん!!とはいえ、壁の強度や大きさが均一なのかそれとも吸った空気の量で変わるのか、あとその壁の持続時間とかも未知数だけどな。でもま、さっきの強度なら何十倍になろうが突破は楽だ。問題は」

 

「その突破してる隙に何をしてくるかわからないってことでしょ?」

 

「おお、耳郎。峰田の制裁はもう終わったのか?」

 

「ほんとなら潰したかったけど…衝也の背中が汚れるし、とりあえず目玉に爆音ビートの刑だけにしといた。」

 

「耳郎って、意外に容赦ないな。」

 

「乙女の尊厳を踏みにじったやつには制裁が必要でしょ?」

 

(そんな気にしなくても十分スペック高いと思うんだがなぁ…。峰田、世の中胸だけじゃないんだぞ。)

 

言葉にするとこちらにいらぬ飛び火がかかりそうなため、心の中でそうつぶやきを漏らす衝也。

変なところで空気が読めるのに、肝心のところでは空気が読めないらしい。

まぁ、飛び火とまでとはいかぬものの、言葉にすればめんどくさくなるのはまちがいないので、今は口にしなくて正解だろう。

耳郎のコンプレックスをなんとなく把握できた衝也は気を取り直すように物間たちの方へと視線を向ける。

 

(あの騎馬の男が何の個性かはわからないが…前の騎馬の個性が防衛向けなのを考えると、攻撃系とみるのが妥当だろうな。おそらく、あの『見えない壁』で隙を作った後に個性で追撃するなりなんなりして攻勢に出る作戦なんだろう。少なくとも俺だったらそうする。それなら…)

 

「蛙吹、耳郎、いつでも準備を頼む。峰田…振り落とされんなよ!」

 

「え、おま、何言ってんのぉぉぉぉぉおっ!?」

 

小声で三人に話しかけた衝也は瞬時に物間の方へと身体を向け、そのまま一気に個性を使って彼らに向かっていった。

先ほどと同じように真正面からである。

 

「お、おい!来たぞ物間、どうするよ!?」

 

「作戦通りにやればいい!来るぞ円場!」

 

「わ、わかった!」

 

そういって円場は先ほどと同じように、大きく息を吐き出した。

その瞬間

 

「ぃよっと!」

 

「「っ!!?」」

 

衝也の姿が彼らの前方から消えた。

 

「なっ!アイツ、どこに…」

 

「後ろだ!」

 

「いぃ!?」

 

そういって物間が後ろを振り返ると、そこにはこちらへと腕を振りぬいている衝也の姿があった。

なんてことはない、いつぞやあったUSJ事件で黒霧の攻撃をよけたのと同じ要領で、今回は右横へと回避したのだ。

そしてすぐに後ろへと回り込み、そのままハチマキをかすめ取ろう、といった具合である。

 

(前に壁があるなら、壁のないところから攻撃をすれば…!)

 

そして、衝也の腕が物間のハチマキに迫るその瞬間

彼の伸ばした指が…

壁に当たったかのように折れ曲がり、少し嫌な音が響いた。

 

「ッ…!?」

 

その痛みに一瞬ひるんでしまう衝也だったが、伸ばされてきた物間の手を視界にとらえ、瞬時にその場から距離をとった。

何とか物間からハチマキをとられることはなかったが、衝也は自身の指に目を向ける。

 

「ガキの頃にやったボール遊びを思い出すな、飛んできたボールでよく突き指したっけな。」

 

「は!自分で突っ込んできて突き指なんて…ずいぶんと間抜けなヒーローじゃないか。話だけなら面白いね。」

 

「…間抜けはお前だよ、そんな油断してっと…痛い目見るぜ?」

 

「悪いけど、それはこっちのセリフだよ。」

 

そういうと物間は

 

「円場、範囲シールド!」

 

「え、あ…りょ、了解!」

 

円場に声をかけてすぐに彼にシールドを張らせた。

しかも今度は広範囲にである。

息を吐いている円場は苦しそうだ。

そして、円場が息を出し終えた直後

 

彼らの視界の外からそのシールドに蛙吹の舌がぶつかってきた。

その様子を見て、衝也はわずかに目を見開いた

 

「ッ!」

 

「…ようやく、面白い顔を見れたよ。」

 

そういって、いつもの笑みを浮かべた物間は実に得意げに話をし始めた。

 

「君たちの戦い方は観察させてもらってたよ。簡単に言うならば洗練された空中と地上との分離攻撃だ。一つの攻撃に意識がいけば、もう一つに意識が外れて攻撃が成功する。実に合理的で無駄のない緻密でよくできた作戦だが、その二つに対処できるように盾を作ってしまえば案外怖くはないんだよ。結局は物理的攻撃だしね。」

 

「…」

 

自慢げにそういってくる物間を見続ける衝也は一言もしゃべらずに彼らを見続ける。

そんな彼に、耳郎達が近寄ってきた。

 

「衝也!指大丈夫!?さっき少し嫌な音してたけど…!」

 

「よく聞こえてんな耳郎…大丈夫、軽い突き指だ。全然動かせるし、問題はない。」

 

「…一回ちゃんと見せて、あんたの大丈夫は信用ならないから。」

 

「いや、マジで大丈夫だし…それに体育祭でそんな派手なけがなんかしないだろ普通。俺ってそんなに信用ないの?」

 

「そうね、少なくとも信頼できても信用はできないわ。」

 

「…蛙吹、お前もか。」

 

耳郎に指を確認されながら少し残念そうな顔をする衝也に対し、背中にいた峰田は声を荒げて彼に話しかけた。

 

「おい五十嵐なんだ今の!?あの壁作る個性って背後にもできんのか!?」

 

「いや、さっきの息の吐き方からしておそらく壁は前方に設置させたはずだ。おそらくは…あの物まねくんの仕業だろ。」

 

「あのいけ好かないすかし野郎の?」

 

「…」

 

峰田の呼び方に一瞬眉を動かす物間だったが、すぐにいつもの笑みを浮かべて余裕そうな雰囲気を出す。

 

「ああ。あの時、一瞬だが円場とかいうやつと同じように息を吸って吐く動作をしたんだ。おそらく、それで壁が生成されたんだろ。」

 

「それって…」

 

「切島と同じ個性かぶりか!?」

 

「そっちの可能性もなくはないが…似てる個性だったら騎馬戦で組む必要がないだろ?似てるってことは役割もおのずと同じになってくる可能性が高い。それに、同じ系統のやつがチーム組んで特化型のチームつくるより、こういった競技ではどんな状況にでも対応できるように個性の幅があるチームを作ったほうが良い。となると残るのは

 

 

 

『相手の個性を模倣できるような』個性ってとこかな。」

 

「正解!模倣、つまりは個性をコピーする。それが僕の個性さ。」

 

そういって拍手をする物間に対し、衝也はわずかに笑みを浮かべた。

 

「まさかほんとに物まねができるとはな…驚いたぜ。」

 

「なんだよ、個性を模倣するって…そんなのチートもいいとこじゃねぇか!?」

 

峰田が顔色を悪くしながらそう叫ぶが、対する衝也はその表情を一切変えていなかった。

 

(相手が自分から個性をばらしてくれたのはありがたいが、コピーの条件や持続時間が分からねぇ以上はうかつに手出しはできねぇ。…ようやく合点がいったっぜ。ようはカウンター戦法ってことか。円場とかいうやつの個性で一瞬の隙を作り、その隙に個性を模倣する条件を達成するか、ハチマキを奪う。奪えなかった場合は相手の個性で攻勢に出るってわけだ。)

 

「なかなかにいい作戦立てるじゃねぇの、物間君。」

 

「やっと、名前で呼んでくれたね…えっと、名前なんだっけ、君?」

 

「…ねぇ衝也、こいつウザくない?」

 

「うん、くそウゼェ。」

 

「自分のことを棚に上げて言うのか…!」

 

耳郎と一緒に物間のことをウザいと言う衝也に思わず顔を怒りで染めてしまうが、すぐに笑顔へと顔を戻す物間。

そんな物間に向かって、衝也もまた笑顔を浮かべる。

 

「ま、なんにしてもこっちの個性を模倣するならこっちもやりやすいや。」

 

「…へぇ、なら遠慮なく使わせてもらおうかな?」

 

そういって物間はゆっくりと手のひらを衝也たちへと向ける。

その様子を見て、蛙吹は一瞬目を見開いた。

 

「!まさか…」

 

「悪いけど、君の個性も模倣させてもらったよ。よい個性じゃないか、威力も応用性も抜群だ。巨大ロボを粉砕できるほどの破壊力、それを自分に向けられるのは怖いかい?」

 

そういって笑う物間だったが、それを見ても衝也は笑みを浮かべたままだった。

それをみて、思わず物間は心の中で歯ぎしりをする。

 

(最初からだ…この戦いのはじめから、ずっとこいつは動じない…それが、それが気に食わないんだよ!今こうして、僕が、アンタの個性を使おうとしてる時も…こいつは一切態度を崩さない。動じない!これじゃあ、これじゃああんたの言葉一つ一つに動じている僕が…!)

 

「やってみろよ。」

 

「!?」

 

「ちょ、五十嵐おめぇ…!」

 

「五十嵐ちゃん!?」

 

「……」

 

突然の衝也の発言に目を丸くする物間と峰田と蛙吹。

そんな中耳郎だけは真剣な面持ちで彼のことを見つめていた。

 

「やってみろよ、俺の個性で、俺を倒すことができると思ってんなら。」

 

「…いいのかい?自分の個性の破壊力は、自分がよくわかってるはずだと思うんだが?」

 

「いいからやれって…なんだそれとも

 

 

怖いのか?」

 

「…ッ!」

 

衝也のその一言を聞いた物間は、ぎりぎりと歯ぎしりをした後、ゆっくりと彼らに向けた手の手首を反対の手で握りしめた。

 

「言われなくても、そうしてやるさ!!」

 

「ちょ、物間!直接的な攻撃は反則…」

 

「吹き飛べ!五十嵐衝也ぁ!!」

 

そう物間が叫んだ直後

 

彼の前方に大きな衝撃波が飛んで行った。

衝也のものとは威力に差があるものの、その威力は中々のもので、彼らが対峙していた場所を砂埃で覆ってしまうほどの威力はあった。

彼らの周りにいた選手たちも少しばかり巻き込まれている。

 

『おおっと!?ここですんげぇ音と砂埃!?緑谷とかの動向追ってたら見逃したけど!どっかのチームも派手に戦ってたみたいだぁ!』

 

『おい、直接的な攻撃って禁止なんだろ…大丈夫かあれ。』

 

マイクと相沢の声が、そして会場の観客のザワザワとした声が響く中、徐々に砂埃が晴れていく。

そして、そこにあったのは

 

 

 

 

 

壁に深くめり込んでいる物間チームだった。

 

 

『ってなんか知んねぇけど物間チームがめり込んどるぅぅ!?』

 

隣でプレゼント・マイクの叫びが響く中、ふと相澤が上空を見るとそこには

 

(確か、物間の個性はコピー…なるほどあいつの個性を使ったってわけか…)

 

耳郎と蛙吹をわきに抱えて上空に避難していた五十嵐チームがたたずんでいた。

 

『おおっと、どうやら戦ってたのは五十嵐チームみたいだぁ!一体何がどうなってこうなったのか!?個人的にめっちゃ見たかった、畜生、なんで見逃してたんだオレェ!!』

 

そういって悔しそうに実況するマイク。

そんな彼の声には反応せず、衝也はゆっくりと息を吐いた。

 

「コピーの個性…ね。確かに聞いてみるとチートみたいな能力かもしれねぇけどさ、俺達がこんなに自由自在に個性を使ってるのは長年それと共に過ごしてきた時間と、それなりの特訓があったからだ。だが、コピーしてるやつには時間も特訓もない。あるのはその場で見た限りの雀の涙ほどの情報のみ。だからこそ、お前は後方から入念に観察を行ってきたのかもしれねぇけど…所詮はどうあがいてもレベル1、経験値を積んでここまで来たレベル50の俺にはかなわねぇよ。」

 

そういって衝也は一呼吸おいて物間の方を向く。

 

「転職が自由自在にできるってのも案外不憫なもんさ。お前に足りないのは…役職じゃねぇ…は〇れメタルだよ。おとなしくメタル狩りに行ってこい。」

 

そういって衝也は物間たちから視線を外す。

もちろん、物間たちのPを回収することは忘れずに

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

五十嵐チーム、現在2位

 

残り時間 わからん!

 




物間君と耳郎のキャラ崩壊が激しいですな…

ていうか、物間君の個性って使いにくいですよね。
闘い方をうまくしない限り基本後手に回らざるをえないことが多いですし。
何より、自分の個性なのに自分の個性を持てないってのがつらい…
あれ、私何言ってんの?
い、言いたいことは伝わってる…よね?

いくら個性を使っても使ってるそれは自分のではなく他人の個性…
そう考えると私は物間君が病むのもわかる気がします。
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