救える者になるために(仮題)   作:オールライト

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ヒロインが全然決まらない。
普通なら好きな女性キャラをヒロインにするんでしょうけど、私の文章構想力を考えるとそれは無理臭いんですよね…。
…ヒロインいた方がいいですか?
ってなわけで四話です、どうぞ。


第四話 なんだかんだで結局眼鏡に落ち着くよなって話し

 ヒーロー科での最初の訓練、屋内対人戦が無事に終わり、各々が訓練の講評を受け、直すべき点と伸ばすべき点を見いだせた(余談だが衝也と八百万と轟の三人は高評価だった)その次の日。

 登校のために校舎に行き交う生徒の中に一人、一際異彩を放つ少年がいた。

 腕や体に包帯を巻いた痛々しい姿で歩いているもじゃもじゃ頭のそばかす少年、緑谷出久である。

 屋内訓練での爆豪との戦闘で身体を酷使しすぎたため、雄英高校の養護教諭、リカバリーガールのチユでは治療しきれなかった怪我を次の日に持ち越してしまったのである。

 周りの視線を感じてしまうのか、キョロキョロと辺りを見ながら居心地悪そうに歩いていた。

 そんな彼に一人の少年がつかつかと近づいてきて、いきなり肩にポンと手を置いてきた。

 緑谷はビクッ!と体をこわばらせた後、ゆっくりと後ろを振り返った。

 するとそこには、軽く右手を上げて挨拶をする緑谷のクラスメート、五十嵐衝也が人の悪そうな笑みを浮かべていた。

 

「うぃーっす緑谷、おはよーさん。」

「あ、五十嵐君!お、お、おはよう!」

「かってぇーな緑谷。もうちょっと楽ーにしようぜ、別に知らない相手って訳でもないんだしよ。」

「う、うん、ごめん…。」

「別に謝らなくてもいいんだけど…。まぁ、俺みたいな変な人に声を掛けられても困るだけだろうし?やっぱり仕方ねぇのかなぁ?」

「ちょっ!?やっぱり怒ってるんじゃないかぁ!」

「ハハハハ!」

 

 慌てたように叫んだ緑谷を見て面白そうに笑う衝也。

 それを見て緑谷はちょっと面白くなさそうな表情を浮かべていた。

 緑谷は体力テストの時、自身の余計な一言により衝也が軽くキレたりしたため、緑谷自身は少し彼に対してビクビクしていたのだが、頭がいいバカである衝也は次の日にはそのことをとっくに忘れており、ナチュラルに緑谷に話しかけてきた。

 緑谷は最初、すぐに謝罪をして何度も頭を下げてきたのだが、衝也はなぜこんなにも謝られているのかがわからず首を傾げていた。

 そこで緑谷が恐る恐る理由を説明したのだが、それを聞いた衝也は笑って一言「ああ、わりぃ忘れてたわ。いいよ、許す許す。てか、そんなこと気にしてたなんてお前良い奴だな。てかちょっと小心者?」と言ったため緑谷は一瞬ポカーンとしてしまった。

 そんなこんなで二人は一緒に話をする、いわゆる友人関係になったのだが、緑谷の方はまだ少し衝也との接し方が固くなってしまっている部分があった。

 

「(ま、友人がいたような顔してないもんなぁ。時間が何とかしてくれんのを待つしかねぇか。)」

「えっとどうかしたの五十嵐君?僕の顔に何かついてるかな?それとも、やっぱりまだ怒ってるの?」

「いや、友達がいるような顔してないなぁ、って思っただけ。」

「やっぱりまだ怒ってるの!?」

「だいじょぶだいじょぶ、思ったことすぐに口にしちゃうだけだからさ。別に怒ってるわけじゃねぇよ。」

「なんか、それはそれで嫌なんだけど…。」

 

 がっくりと肩を落としてトボトボと歩く緑谷を見て「わりぃわりぃ」と笑いながら謝った衝也だったが不意に笑みを止め、少し心配そうに緑谷の全身をキョロキョロと見まわした。

 

「それにしても…あれだな。めちゃくちゃ痛そうだなその怪我。だいじょぶなん?」

「え、あ、うん!大丈夫だよ。この怪我は後でリカバリーガールの所に行って直してもらう予定だし。朝のSHRの時にはきれいさっぱりなくなってるだろうから。」

「つってもリカバリーガールのチユだってメリットばっかりってわけじゃないだろ?」

「まぁ確かに、朝早くから体力を奪われちゃうのは少しきついけど、なんとか」

「しわくちゃBBAの接吻とかデメリット以外の何物でもないだろ…。」

「そっちなんだ…。ていうか接吻って言わないでよ、何か余計生々しく感じちゃうから…。」 

 

 会話をしながら、若干顔色を悪くする二人。

 リカバリーガールの治癒の対価がどれほどのものなのかを物語る壮絶な顔色をしていた。

 衝也に至っては下を向いて口元に手を持ってきているような状態である。

 そんな二人は顔色を悪くしながらも学校に向けて歩みを進めていたが、緑谷がとある光景を目にしてふと足を止めた。

 

「?なんだろうあれ?」

「ん、どした緑谷?なんか変なもんでも見つけたか?」

「いや、変な物ってほどでもないんだけどさ…。ほら、あれ。」

「うん?」

 

 顔を上げて緑谷の指さす方向に衝也が視線を向けるとそこには、雄英高校の入口の校門の前にものすごい人だかりができていた。

 

「うおーなんだあの人だかりは。う〇こにたかるハエみてぇにうじゃうじゃいやがるなぁー。」

「もっと別の表現の仕方はなかったの…。」

「てか、どうすんだよこれ…。あれだけ人が多いと学校の中入れないぜ…。」

「うーん…とりあえず行くだけ行ってみようよ。ここの生徒だってわかれば通してくれるかもしれないよ?」

「ま、ここで立ち止まってるよりかはましかね。」

 

 そう言いながら二人が人だかりへと近づいていくと、突然彼らの前にスーツを着た一人の女性が現れた。

 

「ちょっとすみません!」

「うわぁ!?」

「どぉお!?」

「雄英の生徒さんですよね?ちょっとお伺いしたいことがあるんですけど!」

「へ!え、あの!ええっと!その…!?」

 

 女性はズイッ!とすばやい動きで二人に近寄ってきて早口でそう捲し立てた。

 周りを見ると先ほどの人だかりにいた連中が一様に二人に近寄ってきて囲っており、軽い包囲網が完成していた。

 突然のことで軽いパニック状態に陥っている緑谷だったが、隣にいた衝也は不機嫌そうに溜息を吐いて、軽く頭を搔いた。

 

「あのさ、話をする以前にアンタら何様のつもりなんだよ。いきなり出てきて自己紹介もしないで話を聞いてくれ、なんて非常識にもほどがあるぜアンタら。」

「あ、え、す、すいません!私たちはNHA報道ステーションの者です!この雄英高校に」

「マスコミなのはわかってんだよ。俺が言いたいのはこんな大勢で学校の門にたむろしてるのはなんでだって聞いてるんだよ。」

「え、いやあの…今年度から雄英高校の教師になったと言われているオールマイトについて話を…」

「にしたってもうちょっと場所選んでくれねぇかな?こんな門のど真ん中にそんな大勢でいられると学校の中に入ることもできないんだけど?マスコミだからって何しても許されるわけじゃねぇんだぞ。話を聞きたいんだったら学校側にきちんと許可とって堂々と中に入ってやればいいじゃねぇか。」

「えっと…」

「自分たちの知りたい情報を集めるためなら学校や生徒の都合はお構いなしッてか?随分と偉いんだなマスコミってのは。非常識の極みだぜおい。」

「何もそんなつもりは…」

「つもりはなくても現状の行動を鑑みるにそう思ってるとしか思えないんだよ。自分が大丈夫と思ってればなにしたって許されんのか?人に話を聞く前に自分の行動をきちんと見つめなおせよ大人なんだから。俺からは以上!行こうぜ緑谷。ほらどいてどいて邪魔ですよ。」

「え、ちょ衝也君!?あ、あのすみません、僕達、こ、これで失礼します!ま、待ってよ衝也君!」

 

 終始不機嫌そうにマスコミに喧嘩を売ったあと、ズンズンと門をくぐり校舎へと向かっていく衝也を見て、慌てたように彼を追いかける緑谷。

 駆け足で衝也の元までたどり着いた緑谷は、呆然と彼らの背中を見つめるマスコミに一度視線を向けた後、小声で衝也に話しかけた。

 

「しょ、衝也君駄目だよ、マスコミにあんなこと言っちゃあ…!あんなことしたら新聞にあることないこと書かれて大変なことになっちゃうよ?」

「しゃぁねぇだろ?気に入らねぇもんは気に入らねぇんだよ。俺マスコミとか報道とかが一番腹が立つんだよ。ズケズケと他人の領域に踏み込んできて、荒らすだけ荒らして興味がなくなったらすぐにほかの所に向かっていきやがる。ほんとクズみてぇな奴らの集まりだよ。」

「でも…」

「心配すんなって。何かあっても俺が悪く書かれるだけで、緑谷にはなんも被害はないと思うからよ。」

 

 そう言って緑谷の方を向き、笑顔で親指を立てる衝也。

 緑谷はそんな彼を見て困ったように苦笑すると、少しだけ顔を上げて校舎にある時計を確認した。

 

「あ!ご、ごめん衝也君!僕保健室によらないといけないから先に行くね!」

「ん、おう!じゃあまたあとでなー!」

「うん、また後で!」

 

 そう言って自分に手を振りながら走り去っていく緑谷を見送った衝也は振っていた手を下ろし、軽く後ろを振り返った。

 そこには相変わらず校門の前でインタビューを続けているマスコミたちと、それを追い払おうとしている相澤先生がいた。

 それを見た衝也はチッ!と舌打ちをした後恨めしそうに

 

「クソが…。」

 

 と呟いた。

 

 

 

 

 

 △▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 

 午前の授業も終え、各々が教室でお弁当を広げたり、ランチラッシュのメシ処に向かって行ったりして、友達とおしゃべりをし始めるお昼休み。

 もちろん1-Aの皆もお弁当を準備したり、財布を片手に食堂へと向かったりしている。

 そんな中衝也は…

 

「八百万…後生の頼みだ、食い物を作り出してくれ。俺に、飯を恵んでくれ八百万!」

「……」

 

 思いっきり友人にたかっていた。

 しかも創造の個性を持つ八百万に頼むという外道っぷり。

 タダで食べる気満々である。

 額を床にこすりつけて「何なら靴もなめるから!頼む八百万!」と叫ぶ衝也。

 八百万もその必死さに軽く引いてしまっている。

 

「あ、あのとりあえず顔を上げてください五十嵐さん。」

「否!断じて否!八百万が頷いてくれるまで俺は額を床から離すわけには…」

「別にそこまで頼まなくても作りますわ。ただ味の保証はでき」

「まじでか!!?まぁじでか!!!!!?」

「ッ!?え、ええ。作ることはそこまで難しくありませんし、そんな必死に頼まれたら断るのもしのびないですし。」

「……」

「?ど、どうかされまして?」

「俺、今日からお前の事八百万の神って呼ぶわ。」

「やめてください恥ずかしいです!」

 

 頬を赤らめながら衝也の持っているタッパーに卵焼きや唐揚げ等のおかずを出していく八百万。

 それを見ている衝也は涙を流して「ありがたや、ありがたや!」と彼女を拝んでいた。

 そんな衝也を見て、情けない物を見た様な雰囲気を出しているのは透明人間の個性を持つ葉隠透だった。

 彼女は全身が透明であるため表情が確認できず、雰囲気や声からでしか感情を読み取れないのだ。

 余談だが、浮いている制服の凹凸からして、結構良い物を持っていそうな女の子である。

 

「うわー、五十嵐ってプライドとかないの?女の子にたかるなんてさ~。かっこ悪いよ?」

「腹が減って敵と戦えないなんてことになるなら、俺はプライドなんて捨てる!」

「それっぽいこと言ってもかっこ悪いよ。」

「うるせぇぇぇぇ!こちとら腹減ってんだよぉぉぉお!空腹の苦しみに比べたらプライドなんて使い終わったトイレットペーパー並に軽く捨てられるんだよぉ!!」

「うわぁ…。」

「かっこ悪いね、五十嵐君…」

 

 人目を気にせずそう叫ぶ衝也を見て本気のドン引きをしているであろう葉隠と芦戸。

 その隣で終始表情を動かさずに衝也を見ていた蛙吹が首を傾げて衝也に尋ねた。

 

「ねぇ、五十嵐ちゃん。」

「ん?どうした蛙吹。」

「梅雨ちゃんと呼んで。それより五十嵐ちゃんはお弁当は持ってきてないの?」

「……」

 

 蛙吹の問いかけに急に無言になった衝也はしばらく無表情で立っていたが、机の上にある自身のカバンをごそごそとあさり始めた。

 しばらくあさると中から、掌の半分ほどのサイズの白いおむすびを取り出した。

 そしてそれをスススッと蛙吹達の目の前へと出してきた。

 その小さなおむすびを見た耳郎は怪訝な表情を浮かべて声を出した。

 

「うわ、ちっちゃ。それ具とか入ってんの?なに、塩むすびかなんか?」

「いや、具も塩もない。しいていうならむすびだ。」

「え?具も塩もないの?ただの白米?」

「ああ、ただのライスだ。」

「……」

「……」

「……」

「……」

「…よろしければもっと作りますわよ。」

「ウチもおかず一品あげるわ。」

「デザートのゼリーだけど、もらって五十嵐ちゃん。」

「私も春巻き、あげるね?」

「私も唐揚げあげるよ。」

「面目ねぇ、面目ねぇ!」

 

 詳しい事情も聞かずに、次々とお弁当のおかずを譲ってくれる女子たちの優しさに、ただただ涙を流すことしかできなかった衝也だった。

 

「そういえばさ、委員長って結局緑谷なわけ?」

「まぁ、悔しいですけれど投票の結果ですもの。本人が辞退しない限り決定だと思いますわ。」

「うーん、だいじょぶかな?ちょっと頼りなさそうだけど…。」

「私は大丈夫だと思うわ。訓練の時の緑谷ちゃんはすごかったもの。」

「だよね!よく避けたよねー緑君!」

 

 各々お弁当をつつきながら委員長になった緑谷について話し始める女子たち。

 朝のHRの時、突然相澤先生から学級委員長を決めろと言われたのだ。

 学級委員長といえば普通なら雑務として忌み嫌われる係なのだが、ヒーロー科では他を導くことができるとして大変人気のある係なのである。

 そのため皆一様になりたいなりたいと叫んでいたのだが、飯田の「周囲の信頼あってこそのもの。これは投票で決めるべきだ!」という案が採用され、投票が開始された。

 皆一様に自分に投票をする中、緑谷が三票、八百万が二票となり、委員長と副委員長が決められたのだ。

 各自不満は多少あったものの、彼らならいいかと納得した形である。

 まぁ、一部は不安があったりするのだが。

 

「そういえば五十嵐君には票がなかったよね?誰に入れたの?」

「ん、飯田だけど?」

「飯田さんですか…。確かにとてもまじめですし、意見をしっかりと言える度胸もあります。すこしまじめすぎるかもしれませんが、適任とも言えますね。」

「あ、いやそんな理由じゃなくて」

「?」

「ほら、あいつ眼鏡じゃん?やっぱ委員長といったら眼鏡だろ?」

「出た、頭のいいバカ。」

「てめぇのイヤホンぶっ壊してやろうか耳郎。」

「はい、トマト上げるよ。」

「わーい、サンキュー。」

(こいつチョロッ!)

 

 食い物に釣られる衝也に呆れつつも会話と食事をつづける女子たちだったが、突然部屋中に大きなサイレンの音が鳴り響いた。

 

「え!?なに、なんなのこれ!?」

「これは、警報ですわ!?一体何が…」

『セキュリティ3が突破されました。生徒の皆さんは速やかに屋外へ避難してください。繰り返します…』

「え!?え!?なにがどーなってるのこれ!侵入者ってこと!?」

「落ち着いてみんな。いったん冷静になりましょう?」

「そうですわ!みなさんいったん落ち着きましょう!とりあえず詳しいことがわかるまでここで待機を」

「でも屋外へ避難しろって言ってるじゃん!」

「まずは落ち着けってお前ら。慌てるなよ、ヒーロー志望だろ?緊急事態だろうと冷静にいなくちゃ助けられる命も助けられなくなるぞ。」

「!う、うん、ゴメン…。」

「うっし、じゃあまずは状況確認だ。」

 

 アタフタと慌てている耳郎や葉隠達を落ち着かせた衝也は軽く手を叩いて状況の整理を促した。

 それを見た八百万と蛙吹は感心したようにうなずいて衝也を見つめた。

 

「素晴らしいですね五十嵐さん。即座に皆さんを落ち着かせられるなんて…。」

「すごいわ五十嵐ちゃん。」

「そんなのはいいから状況整理だって。八百万、さっき放送でセキュリティ3って言ってたがセキュリティ3ってのがなんなのかわかるか?」

「ええ、雄英高校のセキュリティは三段階に分かれていて、入口の分厚い門がセキュリティ1。その次は門が三つ重なっているより厳重なセキュリティ2。そして最後が雄英高校の入口を囲うようにある鋼鉄の壁がセキュリティ3ですわ。」

「つまり、一番奥の一番厳重な部分までぶっ壊してきたってことか?」

「ええ…」

「ちょ、何それシャレになんないレベルじゃん!」

「やっぱ逃げた方がよくなくない?…。」

 

 若干怯えたような表情を浮かべる耳郎と芦戸。

 葉隠もどことなく怯えたような雰囲気を醸し出している。

 蛙吹も「ケロ…」と若干不安げな鳴き声を出していた。

 しかし、衝也は軽く首を横に振った後、校門側の窓の方へ視線を向けた。

 

「おかしい…。」

「?何がかしら?」

「雄英高校の厳重なセキュリティを破れるほどの実力があるやつが出たんだろ?ましてやこんな警報が流れたんだ。雄英の先生が対処をしないわけがない。なのに先生からの避難誘導も何もない。このことから考えられるのは、先生は生徒の避難誘導ができない状態にあると考えた方がいい。」

「避難誘導ができない状態ってなに!?」

「戦闘…」

 

 八百万の呟きに一斉に視線が集中する。

 衝也も深く頷いた後、窓の方へと歩き出した。

 

「その通り。先生が避難誘導もできないっつーことは、戦闘を行っている可能性が高い。…って普通なら思うんだが…」

「?何か別の可能性があるんですの?」

「戦闘に入ったんなら何かしらの音や煙があったり、とにかく普通とは違う変化があるはずなんだ。ところが今の所そんな様子は全くと言っていいほど無いだろ?」

「た、確かに…。」

「聞こえてくるのは生徒の悲鳴ばかりで、戦闘の音なんて全く聞こえないわ。」

「戦闘になったわけでもない。なのに生徒の誘導もできていない。となると考えられるのは…」

 

 そうしゃべりながら窓の方にたどり着いた衝也は、外を覗き込んだ後チッ!と舌打ちをした後蛙吹達の方を振り向き、外の方を指さした。

 

「こういうことだろ。」

『??』

 

 不思議そうに首を傾げた後、衝也の指さす外の方へと視線をやる少女達。

 彼女たちの視界に入ってきた景色は

 

「マスコミね…」

「マスコミですわ…」

「マスコミだねぇ~…」

「うわー、なんていうか…」

「拍子抜けしちゃったよ…」

「マスコミの対処に追われてただけってオチだよ。ったく…。」

 

 マスコミが雄英の下駄箱付近にまで雪崩のように押し寄せてきている風景だった。

 どうやら何かの手違いで門が開いてしまい、それに付け込んで奥まで乗り込んできたようだ。

 その様子を見て、芦戸はへなへなと床に座り込んだ。

 

「はー、何か安心したらドッと疲れが押し寄せてきちゃったよ…。」

「とりあえず、何事もなさそうで安心しましたわ。」

「ていうか、仮に門があいたとしても入っていいかどうかなんて考えれば普通わかるもんだろ。ほんとマスコミは自分たちの事しか考えねぇクズどもだな。一度徹底的にぶちのめした方がいいんじゃねぇか?」

「五十嵐ちゃん、顔がものすごいことになってるわよ…。」

「五十嵐…コワッ!」

 

 鬼の形相でマスコミを罵り始める衝也を少し怯えた様子?の蛙吹と葉隠。

 そんな彼女たちに軽く謝りながらも視線をマスコミから外さなかった衝也だったが、とあるものを見て、初めて視線をマスコミから外した。

 

(?何だあいつ、マスコミ…じゃぁねぇな、明らかに…。)

 

 彼が見ていたのは、雄英高校に体を向けているマスコミの後ろにいる一人の人間である。

 遠目のため性別等はよくわからないが、ただ一つわかるのは

 その人間はマスコミとは『真逆』の方へ歩いていたということである。

 

(……)

 

 顎に手を当てて考え込むような表情を浮かべながらその人間を食い入るように見つめる衝也。

 その人間は、決して雄英高校の方へ振り返ることなくそのまま門をくぐり、雄英高校を後にした。

 その数分後、通報を受けた警察が学校に到着し、マスコミはしぶしぶといった形で撤退。

 雄英高校マスコミ襲撃事件は無事けが人もなく解決されたのだった。

 

 ちなみに

 余談ではあるが、この事件がきっかけで委員長が緑谷から飯田に代わることとなった。

 その様子を見て衝也は「やっぱ委員長は飯田(めがね)だよな。」と呟いていたとかいないとか。

 

 

 

 




グダグダに慣れてきてしまった自分を殴りたい…。
飯田君の委員長抜擢がメインの話のはずなのに、ほぼおまけ扱いになってしまった。
申し訳ない…。
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