グリモア〜私立グリモワール魔法学園〜龍と指輪の魔法使い 作:ゆーふぉにあ
バトルが少ないですけどもうしばらくお預けです…
キャラ登場編はまだまだ続きます
「晴夜……晴夜……!」
「コヨミ!どこだコヨミ!」
どこまでも続く暗闇の中、晴夜は自分を呼ぶ声だけを頼りに駆けていた。
「……ッ!コヨミ!」
そしてついに晴夜は倒れている少女を見つける。駆け寄る。
「コヨミ!コヨミ!」
少女が倒れている周りは少女の流した血で赤く染まっている。
「晴夜……助けて……!」
苦しそうに声を上げる少女。
しかし晴夜は名前を呼ぶことしかできない。
「コヨミ!死ぬな、お前がいなくなったら俺は……!」
〜〜〜
「コヨミ!」
バサッ、と布団が捲れ上がる音がした。
「はぁ……はぁ……夢か……」
晴夜は全身にびっしょりと汗をかいていた。
結希に会い、梓に連れられ、つかさと戦い、気絶した、のだろうか。記憶がない。
頭痛がする。
今自分がどこにいるかもわからない。
そう思い辺りを見回してみる。
まず目に入るのは一面の白
ベットも壁も眩しいような白だ。
おそらく保健室だと判断がつく。
そして続いて窓を見やるとオレンジ色の夕焼けが見えた。
どうやら夕方らしい。
真夏の夕方だ、5時は過ぎてるに違いない。
「服部ー、いるかー?」
おそらく自分を連れてきたのは梓かつかさだ。
2人とも律儀に待っている性格かは知らなかったが一応そう呟きながらカーテンを開ける。
「ん……んぅ……」
「ん?」
そこには保健委員であろう紫色の髪をした少女が机で眠っていた。
おそらく普段はかけているのであろうメガネが横に置かれている。
「ん……あ、あれ?」
少女はゆっくりと目を開くと悪い視界の中でも目の前に誰かが立っていることだけは理解したのか慌てた様子を見せる。
「わ、わわ!私寝ちゃってた!?」
少女は慌ててメガネをかけようとするも触れた拍子に床に吹き飛ばしてしまう。
「め、メガネどこ〜……」
吹き飛ばしたことに気づかなかったのかその手は机の上を行ったり来たりしている。
「ちょっと待ってろ。ほら」
晴夜はメガネを拾い上げるとそのまま少女の顔につける。
「ご、ごめんね。でもありがとう。私メガネがないと何も見えなくて……」
少女は申し訳なさそうにそう言うが、晴夜はそんな中メガネをかけるだけで人の印象はずいぶん変わるものだ、と感心していた。
「もともと俺が急に起こしたのが悪かったからさ。それで、ここ保健室?」
「そう。生天目さんがあなたを運んできた時はビックリしたわよ。というか、生天目さんと戦ってよく無事だったわね?怪我らしい怪我もしてないし」
彼女の話によれば、つかさはゆかりに晴夜を預けるとすぐに部屋を出て行ってしまったらしい。
お礼を言うべきか、と呟くと
「ならお礼に決闘しろって言い出すわよ」
との言葉を少女から頂いたのでやめておくことにした。
「それで、神北晴夜くん、だっけ?」
「exactly。あんたは?」
「い、いぐざくとりー?私は椎名ゆかり、ここにいる通り保健委員、よろしくね」
「あぁ、よろしく頼むよ。で、俺の身体は大丈夫なのか?」
「うん、特に異常はないみたい。でももし身体に違和感があったらいつでも言ってね。いつでもここにいるわけじゃないけど、できるだけ連絡は取れるようにしてるから」
「わかった、ありがとな、椎名」
「保健委員だからね。さて、あんまり遅くまで残ってると風紀委員に怒られちゃうからそろそろ行きましょうか」
晴夜はゆかりの言葉に頷き2人で保健室を出る。
「あー、そうだ。夜ご飯用意してないから購買にでも寄ってくかな」
学食でもいいが、運動部の活動が終わるこの時間では既に混み合っていることだろう。
「そっか、それじゃあ私はここで」
「あぁ、また明日な」
「うん、また明日」
そう言うとゆかりは晴夜とは真っ直ぐ学園の外へと歩いていく。
「あ、晴夜、どこいってたのさ」
ゆかりと入れ替わりで歩いてきたのは転校生。
「お、転校生、いや、お前こそどうした?」
晴夜がそう言うのも無理もない。転校生はつかさと戦った晴夜と同じ、下手をすればそれ以上にボロボロだった。
「いやぁ……精鋭部隊の訓練に参加させられたらこんなことに」
話を聞くと精鋭部隊と対抗戦を行ったところ、転校生を集中的に狙う作戦を取られ、逃げ回るのに必死だったらしい。
それでも最後にはパーティを組んだ生徒のおかげで勝てたらしいが。
「初クエストはどうだった?と言っても僕もまだ先輩風吹かせるほどクエストに慣れたわけじゃないけど……」
「怖かったな」
晴夜は短くそう呟く。
「怖かった!?とてもそんな風には見えなかったけど」
「じゃあ逆に聞くがお前は怖くなかったのか?」
晴夜の言葉に転校生は考え込むような様子を見せる。
「そんなこと考えもしなかったな、必死で」
「ハハハ、大物だぜお前」
そんな無駄話をしながら2人は購買へとたどり着く。
「いらっしゃい」
「そういえばこの前来た時に女の子が働いてたけど、あの子って?」
晴夜は夜ご飯になりそうなものを選びながら購買のおばさんにそう尋ねる。
「桃世ももちゃんだね。あの子は町でもバイトしてるから今日はそっちへ行ってるよ」
「ってことは掛け持ちしてるのか。大変だな」
「でも、楽しそうだよね。今度話を聞いてみたいな」
「楽しいかどうかはともかくしっかりしてる子だったな」
そんなたわいもない会話をしながら会計を済ませ2人は寮へと戻っていく。
そして晴夜の部屋の前にたどり着き別れようとしたところで転校生がそう言えば、と口にする。
「そうだ、精鋭部隊の話さっきしたよね?」
「ん?それがどうかしたか?」
「そこのエレンって人が今度晴夜を連れて来いってさ。どうする?」
「んー……」
晴夜は腰に手を当てて考える。
「そこに行ったら強くなれるか?」
晴夜の頭に浮かんだのは先ほどのつかさとの戦闘。
元々軍人を目指すことを考えていたから腕力には自信があった。
それでもつかさ相手にはよくて引き分け、ほぼほぼ負けているようなものだった。
魔法に関してはもうあってもなくても変わらないレベルだ。
根本的にレベルが足りていない。そう感じていた。
「なれる、と思う。晴夜次第だけど、エレンさんやメアリーさんの訓練は軍人仕込みだけあってしっかりしてるよ」
「……じゃあ今度連れて行ってくれ。俺はもっと強くなりたい」
「……わかった。それじゃあ今度声をかけるね。じゃ、また明日」
転校生はそういうと自分の部屋の方へと向かっていく。
「あぁ、また明日な」
晴夜は部屋に戻るとそのままベッドに倒れこむ。
「……ヤバい、体動かねぇ……」
これは明日一番にまた結希かゆかりのところへ行った方がよさそうだ、そんなことを考えながら、晴夜は眠りにつくのだった。
初クエスト→つかさと決闘
の流れで身体がボロボロにならない人はなかなかいません
ちなみに話の中でも書きましたが元々晴夜くんは軍人志望なので身体能力は高いです
それでもつかさ先輩には及びませんが
次回は誰を出しましょうかね(まだ一文字も書いてない)
とりあえず次回をお楽しみに!