グリモア〜私立グリモワール魔法学園〜龍と指輪の魔法使い 作:ゆーふぉにあ
タイトル通り今回は風紀委員のあるキャラがメインで登場します
前回は1人称視点でしたが今回からは3人称視点ですのでご了承ください
それではどうぞ
1-1 ようこそ魔法学園 with風紀委員
「ここが魔法学園か……デカイなぁ」
真新しい制服に身を包み少年は校門の前に立つ。
「おっ、やっときたな!」
グリモワール魔法学園、その入り口にやってきた少年を出迎えるのは空を飛ぶウサギのぬいぐるみ、兎ノ助。
「待ってたぜー!えーっと、神北、はるや、でいいんだったっけ?」
「はい、晴れた夜と書いて晴夜です。あらためてよろしくお願いします。兎ノ助さん」
少年、晴夜は既に入学手続きと説明の際に兎ノ助に会っていた。
なので、その空飛ぶぬいぐるみという珍妙な光景に驚くこともなく話を続ける。
「よろしくな!つーかお前、あの神北一也の息子だったっけ?」
「えぇ、兎ノ助さんによろしく伝えてくれと両親が言っていました」
「そーかそーか、あいつらの子供がもうこんな年齢か。感慨深いなぁ……」
兎ノ助は小さな腕を組んで見せるがすぐにまた手を振り上げる。
「よーし!じゃあ学園の案内だな!そろそろ頼んでた生徒がくると思うんだけど」
「兎ノ助さん、お待たせしました」
兎ノ助の背後に一人の少女の影が見えた。
青い髪のサイドテールに琥珀色の目。
清潔感のある少女は少々厳しい顔を見せてこちらを見ている。
「紗妃!?なんでお前が!?確か案内役は夏海に頼んだんだが」
「夏海さんなら今風紀委員室でお説教中です。代わりに私が案内役を務めます」
そう言うと紗妃と呼ばれた少女は生徒手帳らしき手帳を取り出す。
「うーん……まぁ紗妃なら大丈夫だろ」
「えぇ、転校生さんだけでも手を焼いているんです。今のうちにしっかりとこの学園で清く正しく過ごすことを学んでもらうにはちょうどいいです」
「転校生さん?」
晴夜が疑問を口にすると兎ノ助がそれに答える。
「そう呼ばれてる奴がいるんだ。この学園ではお前と同じ数少ない男子生徒だ。もし会ったら仲良くな」
兎ノ助が喋り終えると紗妃はコホンと咳払いして注目を集める。
「風紀委員の氷川紗妃です。今回の案内で校内の施設の紹介をするのとともに校則についても把握してもらいます」
「俺は神北晴夜、よろしく」
晴夜は右手を紗妃に向けて差し出す。
「……ッ!あなた、その指!」
「指?あぁ、もしかしてこの指輪のこと?」
紗妃は伸ばされた晴夜の手を指差す。
その手には大きな指輪が付けられている。
そして、左手も同じく赤い宝石がはめ込まれた指輪とさらには腰にもホルダーにいくつかの指輪が収められている。
「そのような大量のアクセサリー、見過ごすわけにはいきません、没収します!」
そう言って紗妃は晴夜の右手に手を伸ばし、指輪を引っ張る
しかし
「ぬ、抜けない?」
「あー、無理無理、校則的によくないかもしれないけどこの指輪は外せないんだ。そういう魔法がかかってるから。しかも俺には解除もできないし」
ほら、と言って晴夜は自分でも指輪を引っ張って見せるが全く外れる様子はない。
「それと、俺の魔法はこの指輪、どれも欠かせないんだ。だから常に使えるようにしておきたい。どうしてもダメなら別の方法を考えるけど」
そう言い晴夜は左手で腰のホルダーに手を当てる。
「指輪を魔法に、ですか?」
紗妃は訝しむが、実際に魔法に道具を使う魔法使いがいるのも事実。
紗妃自身も誓約書を使った魔法を使うことがある。
「……まぁいいでしょう。ですがこれからあなたは常に魔法を他人に見せながら生きることになります。そのことをしっかりと自覚していただくようお願いします」
そう言うと紗妃は生徒手帳に晴夜について何やら書き込み始める。
「お待たせしました。では行きましょう。この学園で清く正しく生活するために、色々とお教えしましょう」
「よろしく頼む、氷川さん」
晴夜は得意げに言い歩き出した紗妃に対して苦笑いを浮かべて続くのだった。
「……大丈夫かぁ?あいつ」
不安そうな顔をした兎ノ助だけをその場に残して
〜〜〜
「まずはここですね、学園のシンボルのようなものです」
紗妃が示したのは大きな噴水。
「うはーっ、涼しいな!」
晴夜はすぐに噴水に駆け寄る。
水の勢いは強くないので水はほとんど跳ねてはいないが、真夏の暑さの中では見ているだけで涼しく感じる。
「中には入らないでくださいね」
「わかってるって、でもほら、あのバスクーラーついてなかったから暑くて暑くて……」
「それなら購買で何か飲み物を買いましょうか?食堂棟はすぐそこですし。もしすぐに必要なものがあれば紗妃に購入していただいても構いませんよ?」
紗妃は心配そうに晴夜の顔を軽く覗き込む。
「熱中症になったりはしていないようですが汗を大量にかいているようですし」
「そうか、それじゃあ行ってみようかな」
〜〜〜
「いらっしゃいませー!あ、氷川さん……と、えっとそっちの方は」
購買部では2人と同じグリモアの制服を着たピンク色の髪の少女が出迎えてくれた。
「こんにちは、桃世さん。本日転校してきた神北さんです」
「そうでしたか、はじめまして!購買部でバイトをしてる桃世ももです!」
「はじめまして、神北晴夜だ。よろしく」
晴夜が手を差し出すともももそれに答え2人は握手を交わす。
「もし購買に関することでお困りのことがあればなんでも言ってください!」
「ありがとう、それじゃあ、牛乳をもらおうかな」
晴夜は財布を取り出しながら注文をするのだった。
〜〜〜
「これで授業棟は以上になります。クラスについては委員長の椎名さんから詳しく聞いてくださいね。他に何か質問は?」
「とりあえず大丈夫だ、ありがとう。次は?」
「次で最後です。図書館棟です」
紗妃は最後に残った一棟を指差す。
「図書館棟って……まさかあれ全部図書館なんて言わないよな?」
他の棟と比べればわずかに小さいがそれでも図書館棟は十分に大きい。
仮に全てが図書館なら何年かけても読みきれない量の本があるに違いない。
「……それだけの蔵書があったとして誰が管理して誰が読むんですか?いくつかの委員会室や部室があります」
紗妃は呆れたようにため息をつく。
「あなたは転校生さんとはまた違う方向で変な人ですね」
「変な人だとはよく言われるよ。変わり者で飄々としてるから本心で何考えてるかわからないって」
そう言う晴夜の表情はヘラヘラとしていて、紗妃にもその本心は読めない。
「そう言われているのも、なんとなく納得してしまいますね。さぁ、行きましょう」
〜〜〜
〈担当者不在につき閉館中〉
図書室の入り口にはそう書かれた札がかけられていた。
「あらら、残念だったね」
晴夜は腕を頭の後ろにやってそう言う。
一方の紗妃は手帳にチェックを入れると閉じて晴夜の方を向く。
「そうですね、ですがこれでとりあえず一通り必要な施設の案内は終えました。よろしければ風紀委員室でお茶でもお出ししましょうか?」
「ほんと?それじゃあせっかくだからお願いしようかな。もう少し氷川さんと話していたいし」
「そう言う行為が不純異性交遊に当たると先ほど注意しましたよね?」
紗妃は目を吊り上げて晴夜を見る。
「あぁ、ごめんごめん。でもここに来て初めて出会った同年代の子だから仲良くしたいって思うのは悪いことじゃないでしょ?」
「……まぁ今日は初日なので大目に見ましょう。ただし不特定多数の女子に対して思わせぶりな発言を続けるようでしたら転校生さんともども厳しく取り締まりますからね!」
「はいはい、わかったよ。気をつける」
「全く……この学園の男子生徒はどうしてこうみんな……」
小声で文句を並べながら紗妃は風紀委員室の方へと歩いていく。
それに続きながら晴夜は小さく呟く。
「さっき小声で言われてた氷帝ってそう言うことなんだろうな」
「何か言いましたか?」
「いや、何も」
そうして風紀委員室の前にたどり着く。
「事情を説明するので少し待っていてください」
「わかった」
そう言うと紗妃は風紀委員室の中に入っていく。
薄いドア一枚を隔てただけの声は晴夜にもしっかりと聞こえていた。
「この短期間に男子の転校生が二名、珍しいな」
中から聞こえるのは凛々しい女性の声。
「ん?この声……」
晴夜はその声に聞き覚えがある、気がした。
「神北さん、どうぞ」
紗妃に呼ばれ晴夜は風紀委員室の扉を開く。
「なっ、お前!?」
「やっぱり!」
風紀委員室にいたもう一人の風紀委員は目を丸くして晴夜とほぼ同時に驚嘆の声をあげる。
「久しぶり、怜」
「あぁ、久しぶりだな、晴夜。元気そうで何よりだ」
神凪怜、長い黒髪をなびかせた少女が晴夜を見つめていた。
第1話、いかがだったでしょうか
転校先に過去の知り合いがいるのはやはり王道ですよね
初期の頃では聖奈、恋、夏海にエミリアなんかも候補でした
まだグリモアキャラ、主人公ともに書き慣れていないのでうまく扱えていない部分もありますがそれは後々改良していけたらと思います
では次回もお楽しみに