グリモア〜私立グリモワール魔法学園〜龍と指輪の魔法使い 作:ゆーふぉにあ
戦闘描写はやっぱり苦手ですね
暖かく見守っていただけると嬉しいです
「何があと少しよ!全然遠いじゃない!」
騒ぎながらも夏海カメラの光を魔法で増幅し、熱魔法を発動させる。
「すまない、私も晴夜も久しくこの道を使っていなかったからな。距離を見誤っていた。それに……」
怜はツルを一本斬り捨てると神社の方を見やる。
「人面樹はまだ生まれたばかりのはず。そんな遠くに分身を作る力があるとは思えない……」
「そういうの考えるのは後にしよう。晴夜くん!」
転校生の言葉に晴夜は頷くとウィザーソードガンを剣モードにして構える。
「あぁ、見つけたところだ!南!」
「はい!」
智花は晴夜の声に答えると、中サイズの火球を人面樹の分身に向け放つ。
威力も抑えたその魔法は当然ながらツルによって防がれる。
「それっ!」
しかしそのツルを晴夜が一閃。
まとめてツルを斬り落とされることで人面樹は無防備になる。
「「怜(ちゃん)!」」
「任せろ!神戯一刀流!鍔車!」
怜は大きく跳躍し、刀の周囲に真空波を巻き起こす。
そしてそのまま刀を人面樹に対し振り下ろす。
「やるじゃない、智花もよく合わせられたわね?」
「最初の分身を倒した後に晴夜くんに相談されてたんだ。魔力に余裕があるならこよの方が効率がいいって」
「そういうこと、怜、大丈夫か?」
「あぁ。ところで転校生、魔力は大丈夫か?」
「全然問題ないよ。それよりみんなの体力の方が大丈夫?」
守が4人を見回す。
遠距離攻撃が主な智花、基本的に迫ってきた敵の排除のみに集中している夏海はそれほどでもないが、剣を振り回し動き回ることの多い怜と晴夜は少し息をあげているように見える。
「この程度なら問題ない」
「俺も大丈夫だ。と、いうより心配ならさっさと終わらせよう。それが一番だ」
そう言うと晴夜は左腰のホルダーにウィザーソードガンをしまう。
その後も、2度の人面樹の分身による襲撃を乗り切り、ついに5人は神社の中にまでたどり着いた。
「あいつが本体か」
境内の目の前、そこには先ほどまでの分身体とよく似た、しかしそれに比べると巨大な人面樹が立ち塞がっている。
「見た目は先ほどまでの奴らと変わらないが油断はするなよ。何があるかわからない」
怜は再び刀を構え、晴夜も剣を抜く。
晴夜が顔を横に向けると怜の額に汗が流れるのが見えた。
先ほど家族の避難が終わったとの連絡は受けたが、しかし下手に暴れれば神社自体を傷つけかねない。
多少は仕方ないとしてもできるだけ避けたい事態だった。
「さっきのやり方でやってみよう。さっきより広い分、もしダメそうでもなんとかカバーできる」
「はい、それじゃあ、いきます!」
そう言うと智花が先ほどと同じように火球を作り出し、飛ばす。
当然ながらツルにより防がれてしまう。
しかしそれでいい。
そう呟き晴夜が姿勢を低くして走りこむ。
「でやぁっ!」
目にも留まらぬ素早い斬り上げ攻撃でツルを斬り捨てる。
「よしっ!ここまでは完璧!」
「怜!」
「あぁ!……受けるがいい、神戯一刀流奥義!征鬼一刀!」
その攻撃は、鬼の軍団をも一刀両断する、魔法と剣技を一体にした、怜にしか使えない奥義。
「……怜さん!ダメだ!」
転校生がそう叫ぶ。
分身体と同じように行く、その考えが甘かったと後悔してももう遅い。
怜の元に神社周辺の木から無数のツルが伸ばされている。
しかしそこは空中、回避行動は不可能、ツルを斬るにしても数が多すぎる。
「怜!」
「ちょっ、あんたどうする気!?」
夏海の制止も気にせず晴夜は怜の元へと飛びこむ。
「晴夜さん!怜ちゃん!」
そのまま2人の周りをツルが覆い、それは分厚く巨大な球の形をなす。
2人は空中に吊り下げられた球体の中に閉じ込められる格好となった。
「今助けます!」
「智花待って!あんたの魔法じゃ中の2人も危ないわよ!」
「で、でも!」
「夏海ちゃんの言う通りだよ。僕たちがすべきなのは、本体を倒すこと!」
「そうすればあのツルもただの植物に逆戻りよ」
そう言って夏海は人面樹の本体を見つめる。
「ただ、デカイ魔法でツルを燃やすのもまずいから、かなり厳しいわね。怜たちが自力で脱出してくれればいいんだけど……」
夏海は不安げに浮かんでいるツルの球を見つめる。
「くっ、強度が他のツルより高いか……」
「さすがに腕が痺れてきたかな……」
怜と晴夜は何度も剣を振るい、ツルを攻撃するが、固く結ばれたツルは今までのただの植物と違い霧を含む量が多いのか、より硬化され、なかなか斬ることはできない。
「まずいな、この密閉空間で長時間霧にさらされ続けるのは危険だ……」
既に魔力の消費が激しいのか怜はどこか気怠そうに見える。
「……」
晴夜は剣を振るのをやめ口に手を当て何かを考え始める。
ーーいいよな、親父
顔を上げた意を決したように晴夜は真剣な表情で怜を見つめる。
「……怜、まだ全力の技は撃てるか?」
「あぁ、何か策があるのか?」
「ある。けど、これはまだ人に見せちゃいけないんだ。口外しないって約束してくれるか?」
「あぁ、お前の頼みなら聞かない理由はない。頼む」
怜も晴夜の言葉に頷く。
「初めて使うのがこの状況になるなんてな……」
晴夜は指輪のホルダーから赤い宝石のついた指輪を左手にはめる。
「変身」
晴夜は短く小さく、そう呟いた。
一方、智花たちもピンチに陥っていた。
「ちょっと、まずいって!うわぁっ!?」
「「夏海ちゃん!」」
唯一近接戦闘を主体に戦える夏海に負担がかかり、集中が切れたのか、ツルに左足を掴まれてしまう。
「ちょ、ちょちょちょ!転校生!何とかしてよー!」
そのまま持ち上げられ夏海は空中に逆さ吊りにされる。
「な、なんとかって言われても……智花、あのツルだけなんとか攻撃できる?」
「夏海ちゃんに当てないようにだと、難しいかもしれません……怜ちゃんがいれば」
智花がそう言ってツルの球に目をやる。
それとほぼ同時だった。
「2人とも!あれ見て!」
球が大きくうごめき次の瞬間、一気に燃え上がった。
「たぁああああああ!」
叫び声とともに炎の中から怜が現れる。
その剣は真っ直ぐに人面樹へと向かう。
「怜ちゃん!」
「シャッターチャンス!」
夏海は逆さ吊りのまま炎から飛び出す怜にカメラを向けるが
「とりあえずそこから下りたらどうだ?」
その声とともに夏海の足を掴んでいたツルが斬り落とされる。
「うわわわわっ!?」
「ほいっと」
落下した夏海を真下で待機していた晴夜がなんなくキャッチする。
いわゆるお姫様抱っこの状態だった。
「お前軽いな」
「重いって言われるのより何倍もマシだけどなんかムカつくわね」
夏海はそう言いながら怜の方に再びカメラを向ける。
「今度こそ終わりだ!神戯一刀流奥義!征鬼一刀!」
先ほどはばまれたが、今度は球を作ることに力を割いていたからからそれ以上のツルは伸びてこない。
そして人面樹は、怜の剣により、真っ二つに割断され、霧散していく。
「はぁ…はぁ……やったぞ、晴夜!」
怜は足をつき刀で身体を支えながら、晴夜の方へ向き直る。
「お疲れ様、ナイスコンビネーション」
夏海を下ろした晴夜は怜の元へと歩み寄り手を差し出す。
「あぁ、ありがとう。お前や、みんなの協力で神社や家族を守ることができた。っとと」
怜は晴夜の手を掴み身体を起こそうとするも、魔力が減っているせいで足元がおぼつかないようで、そのまま晴夜の身体へよりかかり、抱きとめるような形になる。
「む、すまない。どうやら想像以上に体力も魔力も消費しているようだ」
「気にするな、よく頑張った証拠さ。さ、学園に戻るか」
「あぁ、そうだな」
そう言って怜は神社の本殿を見つめ、目を閉じる。
後日、2人が抱きついている写真として夏海に脅されるネタに使われたのは別の話。
晴夜変身後の姿見せず!
まともに変身して戦うのはもう少し先の話になりそうです
次回以降色んなキャラを出していく予定です
それではお疲れ様です