それではどうぞ
少年は病院で一命を取り戻した
しかし、その代償は大きかった
実の父と母を無くし
顔には左目あたりに酷い火傷跡がある
左目自体は見えるが
周りから見れば少し不気味な感じがある
僕はこの現実を受けなければならない
「……」
受け入れたい
火傷跡は受け入れた
しかし、こんな火傷跡
友達の皆には見せられない
見せられたらきっと……
「……っ」
僕は少し泣きそうになった
きっとこの火傷跡を見れば皆はもう近寄って来ない…
そう……好意を持っているあの子にも……
そう考えると
友達の皆には会いたく無くなった
「……はぁ」
誰もいない病室
僕はため息を漏らした
それから数週間後
僕は、広島にいるおじいさんとおばさんの家に引き取ってもらった
皆とはお別れを言わず
顔を見せずに
僕はあそこを離れたのだ
怖かったからだ
僕は新しい学校に通うことになった
しかし、友達は出来なかった
イジメは無かった
むしろ話す程度はあるし
みんなは近づきたい雰囲気だったが
僕が近づきにくい存在であった為か近づいては来なかった
なので中学三年まではずっと一人ぼっちだった
来る日も来る日も一人ぼっちだった
そんな中で
よく大和ミュージアムに行っていた
暇して行くわけでもあるが
ここに来たばかり、おじいさんが僕をここに連れて行ってくれたのだ
それから時間があればここに来る
何よりある船を見る為によく訪れていた
戦艦大和
第二次大戦で計画された最強とも言える戦艦
しかし、最強なゆえに弱点は沢山あった
燃料が馬鹿にならないとか
空には弱いとか
この戦艦だけは海にはあまり出ていないのだ
そう
僕はこの戦艦を見る為にここに訪れているのだ
理由は簡単だ
この船が
僕が死にかけた時
夢に出てきたのがこの船である
はっきりと覚えている
見上げる程に大きく
そして何よりも鋼鉄の鋼が全てをなぎ払う姿
僕はこの船に乗っていたのだ
だからだ
僕はこの船に命を救われた存在
そして
この大和を見ると
まるで父さんと母さんが隣にいるような気がしたからだ
たまに夢に大和が現れる
それを必ずしも僕が乗っている
操縦室に
白い服と白いズボン
そして白い帽子を被り
いつも"何か"と戦っている
別に嫌では無かった
何回か負けたこともある
負けたからと言って別に不幸なことは無かった
でも
負けるたびに
見えていない物が見えた
たまたまおじいさんとおばさん、そして親戚のおじいさんと麻雀をやるとき
今まで見えて無かった牌が見えたことが何回かはあった
それも全て"左目"によるものだった
そんなある日だった
またあの夢をみた
今度の敵は今までと違った
"自分"と同じ"戦艦大和"だった