GIRLS und PANZER with Unbreakable Diamond 作:デクシトロポーパー
今回は、億泰視点です。億泰から見れば、これで戦い終わちゃってます。
※誤字報告、ありがとうございます。
カエサルがサイコロじゃなくてサイ(哺乳類)投げてた。
「虹村、到着だ。手はず通り頼む」
「お……オウよ!」
虹村億泰(にじむら おくやす)は、ようやく車外に開放された。今まで、この3号突撃砲とかいう威力のスゴイらしい戦車に乗り込んで出番を待っていたのだが、これがまた狭い。それをあのよくワカラン話で盛り上がっていたオタク女どもが話し合ったり、ジャンケンしたりした結果、億泰は椅子になる羽目になった。正確に言うと、3号突撃砲の一番後ろの席に億泰が座り、その上にエルヴィンが座った。『オホン。じゃあ、失礼』とか言って億泰のヒザの上に腰掛けたエルヴィンは、たまに居心地悪そうに身をよじっていたが、億泰とてそれは同じだ。
「もう一度言うが、何か行動を起こす場合は、まずは必ず電話で連絡してくれ。
それをやっていいか悪いかは私が判断する。上から目線で悪いんだが」
「わかってるぜぇ~、おめーがボスだもんなぁーー。
んじゃ、行ってくらぁ」
おりょうから借りたケータイをポケットに放り込むと、ザ・ハンドで空間をえぐる。閉じた空間の『引き寄せ』で10メートルくらい先に飛ぶ。それを絶え間なく繰り返し、川にかかった橋まで到達。振り返れば3号突撃砲は見えない。バックして隠れたようだった。億泰はしばし棒立ちになり、そしてハァッ、と息を吐いた。
(や……やわらけェーかったよなぁ~~
イイ思いしたんだろうけどよ、ありゃあツラくもあるぜぇ。
いいニオイもするしよぉーー)
虹村億泰。今までオンナのコに接点なんか持ちようのない生活をしていたが、先週から突如として女運が上がった感がある。その中でも、今日の『コレ』は極めつけと言えたが、知り合ったばかりの女が相手では気まずさと表裏一体になるのは避けられなかった。
(あ~~、アレが華さんだったならよぉー)
五十鈴華を大洗女子学園のマドンナと確信して疑わない億泰である。見た目が好みのほぼド真ん中で、しかも楽しそうに話を聞いてくれる華に会うことを、最近は毎日の楽しみにしているのだ。だが、今回は敵同士。全力で戦わなければ、それこそ軽蔑されるだろう。ザ・ハンドで対岸まで瞬時に渡ると、取り出したケータイを、教わった手順のままに動かす。
「えーと、左押して、『エルヴィン』に合わせて、通話、と」
そこから先は、億泰のよく知る電話だった。2コールほどで、すぐにつながる。
「おう、向こう岸のガケに到着だぜ。今から穴掘って隠れっからよ」
『早いな。わかってはいるつもりだったが……すぐ、穴を作って隠れてくれ。
それと、ムーンライダーズの偵察も警戒するんだ。いつ来てもおかしくない』
「了解だぜ~、また後でな」
電話を切ってから、穴を掘って隠れるまではすぐだった。だが、隠れて数分もしないうちに砲声が響く。3号突撃砲の方角からではない。何台もの戦車が同時に撃っている感じだ。明らかに敵が撃っている。3号突撃砲の場所がバレてしまったのか?
「オイ、撃たれまくってねぇーか? エルヴィンよぉー」
『めくら撃ちだ。単なる揺さぶりだ。だからこう何度も撃ってくるんだよ。
少しずつ移動すれば、当たるものじゃあない……落ち着いて指示を待ってくれ』
そう言われはしたものの、西住チームが何かの方法で3号突撃砲の位置をおおまかにでも掴んでいたのなら、集中攻撃で先にやってしまうことはありえると思った。それこそ、億泰が3号突撃砲に攻撃位置を指示する作戦を、逆に向こうが先にやってきたとしたら。思ったことは、そのまま電話の先のエルヴィンにぶつける。
「ムーンライダーズがよ、そっちを先に見つけてんじゃあねーのか?
オレがこれからやろうとしてるみてーによ、
秋山が攻撃場所を指示してるような気がするぜぇ」
『秋山さんが4号戦車から降りてまで? それはない!
向こうからしてみても一番の脅威は君のザ・ハンドなんだ。
君を放置して私達を探すはずはないと思う』
「そ、そうかよ。すまねぇ」
『作戦通りに動こう。私達の役目は西住チームの拘束だ。
失敗すれば、38tと東方は敵の中に孤立するぞ』
逆に諭される形になってしまった。気がする、程度の話でしかなく、エルヴィンを説得できる材料は元よりない。それは結果的に幸運だったのだろう。なぜなら、直後に億泰は発見された。ムーンライダーズにだ。
『ハ、発見ンンンーーーーッ! 作戦目標、ザ・ハンド!
イタゼェェーーーッ』
「なっ……ヤ、ヤロォ~~」
『どうした、虹村』
「いたぜ、ライダーズがよぉー。見つかっちまった!」
『っ……そこをすぐに離れろ。砲弾の雨が降ってくるぞ。
そのまま撃たれたら多分、君に死亡判定が出る』
「待つダケの時間は終わりってことだよなぁ~~、打って出るぜ!
こうなっちまったら敵をビビらせるしかねぇーだろ!」
『むむ……よし。許可する! 手はず通り、砲撃位置の指定を頼む。
安全な場所に出次第、地図を出してくれ』
その後、しばらくは作戦通りにことが進んだ。砲撃位置の指定に手こずりまくったことを除けば、順調と言ってもよかった。そして、待ちに待った瞬間が来る。
『虹村、やるぞ』
「おっ、やんのかよ?」
『ミョルニル作戦、発動だ。突っ込んで叩きのめせ!
ここから先は勝つか負けるかだ、それしかないッ』
「ナンだよアツいじゃあねーかオメーよぉ。
ウレシそーにしやがって!」
『ウレシイともさ。一度、こーやってキメてみたかったんだよ、作戦発動を!』
「あ、わかる! それはスゲーわかる!
戦車の上に立ってんだろオメー、今!」
『ふっ、やらいでか!
と言いたいとこだが、戦闘中はさすがになぁ。だから勝利宣言でやるよ』
「ヘッ、露骨なオネダリしてくれるよなぁー」
『そう言うなよ。勝ったら鉄十字勲章をあげよう。行けッ!』
鉄十字勲章とやらは何のことやらだったが、こういうノリは割りと好きな億泰である。もうコソコソ隠れる必要はない。正面から行く。一分と経たずに、ムーンライダーズ三騎に囲まれる。馬蹄が地面を踏み鳴らし、周囲を旋回している。
『空間ヲ削リトル、ザ・ハンド!
相手ニトッテ不足ハナイナァァーーーッ!』
『ソノ汚ネェ面、吹ッ飛バシテヤルゼェェーー』
『鉛弾ノプレゼントダァ! HO! HO! HO!』
「ぶ、ブッソーすぎるぜッ、てめぇーら……秋山がアタマ抱えるワケだよなぁ~
来いッ! 灸すえてやっからよぉ~」
奇しくも兄、形兆と同じタイプのスタンド。銃を持った集団型。囲まれて撃たれまくるとヤバイのは瞬時に理解した。有無を言わさずザ・ハンドの右手で弧を描く。正面から来た一体を引き寄せ、左手で即座にブチ抜く。
『ギャビッ!?』
「……ゲッ!」
ブチ抜いてしてしまってから気がついた。秋山のムーンライダーズが7騎しかいないことに。兄、形兆のバッド・カンパニーは歩兵が60人もいたから、一体や二体程度ではダメージにならなかったが、秋山は……
『ライダーズ7、行動不能と判定。再起不能(リタイア)』
承太郎の淡々としたアナウンスと共に、たった今の戦果を目視で確認した。バラバラに砕け散ってピクピクしている残骸の甲冑に『7』と確かにある。
(ギャアァァ~~~ッ!
単純計算、身体の7分の1が吹っ飛んじまうゥ~~~
生きてんのか? 秋山はよぉぉーっ)
「オイてめえらッ オヤブンが心配じゃあねぇーのかよッ」
『バァカモノメェ~~ッ、ココハ戦場ダァァーーーーッ!』
『敵ヲ前ニ舌ナメズリッ! 我ラ戦士ヲナメクサリヤガッテェェェ~~』
ライダーズは億泰の制止など聞かなかった。旋回しながら間断なく銃を撃ちまくってくる。右に左に、ザ・ハンドを回してはじく。無視はできない。ザ・ハンドのパワーをもってすれば防御自体はたやすいが、それでも億泰の肉体に直接命中すれば、容易に貫通する威力があるのだ。これもまた、バッド・カンパニーで経験済みのことだった。
「チ、チキショオッ! 反撃するに出来ねぇ!
秋山を人質に取りやがって、キタネェーぞコラァ!」
ただただ守勢に回る。勝負事ではあるにしても、あの犬コロ女を血ダルマにしたいなどとはまったく思わない。どうにか戦闘不能にする方法はないものか。
「ハッ! そういやあ! ザ・ハンドの『右手』……
今回はコレで触るだけで『即死』っつールールだったような……これだぜ!」
珍しく、頭をひねってすぐに光明が見えた。ついさっき説明されたばかりの内容だから覚えていた。そうとなれば話は早い。さっきのように引き寄せた後で、ピトッと触ってやればいいだけ。
「へっへっへっ、来やがれッ! ニギニギしてやるぜぇ~~
このサエてる億泰さんがよぉぉーーー」
時折、物陰に隠れたりはしているが、ライダーズの動きは基本的に億泰を中心とした円を描くのみ。なら、タイミングを見計らっての引き寄せはたやすい。そう思っていたのだが。
『ン! 集合ノ合図ダ!』
『撤収、撤収ゥゥゥーーーーッ』
直後、ライダーズは脱兎のごとく逃げ出した。脇の林に分かれて入り、見えないところに一瞬で隠れてしまった。
「って、ザケんなコラァァァーーーーーッ!
ドコ行きやがった! すぐに見つけて……おああッ!?」
が、追うのは即座に中止する。戦車3台がついに現れたのだ。ということは、38tもすぐに来る。仗助も当然、『飛んで』来る。なら決まりだ。ライダーズにかまっている時間はない!
億泰も同時に突っ込んで3方向同時攻撃。これで西住は詰む。
(だ、だがよぉー、なんだ……あの『形』。
先頭に1台飛び出して、他の2台が左右に止まってェ。
で、大砲の向きはみんな同じ……)
気づいた瞬間、即座におりょうケータイを取り出し、通話ボタンを連打。
『どうした、虹村』
「38t止めろ! ワナだ、ぜってーワナ」
億泰の見ている前で、ワナはキレイに決まった。林から飛び出してきた38tは、3台からの集中砲火を浴びて真っピンクに染まった。西住は、策にハマッたフリをしていたのだ。そして逆に突っ込んでくる38tを撃った!
『東方チーム、38t、行動不能!』
『38t、敵弾貫通により乗員殺傷判定。
角谷杏、即死。小山柚子、即死。広瀬康一、重傷。
以上三名、再起不能(リタイア)』
「やーらーれーたーーーー」
惰性でしばらく走って止まった38tのキューポラから杏が飛び出し、白旗をバッタバッタと振り回していた。
『……聞こえたよ。罠だったんだな?』
「どうするよ? オレはこのまま突っ込む気だがよぉー」
『それでいい。カエサルいわく、賽は投げられた!……だな。
私達も橋を渡って攻撃に参加するよ……それまで持ちこたえてくれ』
「ノンキこいてたらオレらが全部ヤッちまうぜぇー」
『頼もしいな。じゃあ後で』
通話を切る。同時に駆け出す。4号戦車は仗助がやるのだ。正確に言えば、西住を車外に引きずり出して釘付けにし、指揮をとらせないのが仗助の目的となる。そして38tを見事ワナにハメた今こそが、西住がもっとも油断する瞬間。仗助は、そこへ来る。ならば億泰は、その混乱に乗じてザ・ハンドで戦車を刈り取るのが役目。眼前で戦車のうち一台……小柄なヤツ。確か、仗助と康一が『チハ』とか呼んでたヤツが急カーブし、それと一緒にこちらへ機銃掃射をかましてくる。これもまた弾くこと自体は造作もないのだが、砲で撃たれるとさすがに自信がない。一旦飛びのく。一緒に、奥にいた砲がふたつある戦車も機銃でこっちを狙ってきた。絶え間なく撃って近づけない気だ。いくらスタンド使いとはいえ、策もなく近づけば、確かにこれでやられてしまっただろう。だが、この状況もすぐに崩れる。
「来たッ! 待ったぜぇ~仗助よぉ~ッ」
あらかじめ、川にかかった橋の破片を確保していた仗助が、それをなおして掴まって、空を飛んでやってくる。軌道上には戦車が3台。当然ながら4号戦車も含まれる。そこに仗助は飛び降りた。38tを撃つために動きを止めてしまっていた4号戦車は、これをかわすこともできない。
「やった、『取り付いた』ッ!
こうなりゃあよぉ~、あとはコッチのモンだぜ!」
今まで億泰を狙っていた戦車の女どもも気がついたらしい。親玉のクビが今まさに取られようとしていることに。砲ふたつの戦車が、小さい砲の向きを変えて、仗助を撃とうとしている。億泰はこれを待っていた。
「注意がそれた。難なく取り付くぜ」
ザ・ハンドがえぐり取った空間の閉じるパワーを借りて億泰は飛ぶ。向こうからしてみれば、突然、こちらの姿が消えたように見えただろう。見ていれば、だが。小さい砲に取り付いた億泰は、すぐさまザ・ハンドで砲をチョップ。脇にあった機銃を一撃で叩き壊す。そしてそのまま戦車の車体に右手の『手形』をつけてやろうとしたが、背後から聞こえたエンジン音に思わず飛びのく。飛びのいて正解だった。また『チハ』とやらの機銃掃射が来た。この、イヤなタイミングでの妨害は幾度となく続き、やがて砲がふたつある戦車が態勢を立て直してしまった。4号戦車にチラリと視線を投げると、すでに仗助の姿はなく、少し離れた場所でボコスカと攻防を繰り広げている様子。どうも仗助も予想外の苦戦を強いられているらしい。4号戦車の砲塔が回って、こっちを見た。
(ゲッ……確かアレ……撃っ、てんのは……『華さん』)
明らかに億泰を撃とうとしている。逃げられないと悟った。理屈ではない本能的な直感でそれを感じ取った億泰は、砲を正面に捉えてザ・ハンドの右手を振り下ろす。轟音が鳴り響く。億泰は無事。ペイントにマミレてはいない。うまいこと砲弾を削り取れたのは、ほとんど運だと言っていい。
「あ、危ねぇッ、クソ危ねぇッ! オレいっぺん死んだ! 死んだと思った!」
直後、当然のように機銃弾が飛んでくる。ザ・ハンドで全部弾き、林の中に避難。と思いきや、砲ふたつ戦車が、壊れたのとは別な機銃を横合いから撃ってくる。
(ジリ貧じゃあねーか、これじゃあよぉ~)
こうなってはイチかバチかで、どっちかの戦車に取り付くしかないかと思い始めたところ、砲ふたつ戦車がキュラキュラと猛烈な音を立ててバックし始めた。一瞬遅れて轟音。今まで砲ふたつ戦車がいたところに、スカイブルーのペイントが撒き散らされた。音が響いてきた方角を見やると、3号突撃砲が全速力で混戦の只中へ突っ込んでくるところだった。キューポラから顔を出していたエルヴィンが、億泰に叫ぶ。
「M3リーをやれ! 虹村はM3リーをやれ! 私達は4号戦車をやる!」
「大砲ふたつの方だよな? ソッチでいいんだよなッ」
「ああ、ソッチだ! 頼んだッ!」
通りすぎていく3号突撃砲を見送って、億泰はザ・ハンドで『飛ぶ』。
砲ふたつ戦車……M3リーを追い越して反対側に出現し、振り向きざまに、またザ・ハンドで空間をえぐる。脇に転げて避けると、『引き寄せ』られたM3リーがちょうどいい位置に出現。億泰は、またそれをザ・ハンドで『飛び越す』。
「大砲をコッチに向けるヒマなんざやらねぇーんだよ、ボゲッ!
このまま川にドザエモンさせてやるぜぇぇ~~~ッ」
M3リーは、もう前にも後ろにも進めない。ザ・ハンドに一方的に引きずられていく。キャタピラは回っていても、それ以上の速度で『引き寄せ』られるのだ。四回ほど『引き寄せ』『飛び越し』を繰り返すと、川はすぐそこにあった。次で叩き落せる。そこで、無駄な全速前進をしていたM3リーが、ブスンと止まった。
「ア? エンストしちまったか? アワててギアチェンジしたのかヨ?
よくわかんねーケド!」
ふと上を見てみる。砲が回っていた。上にある小さい砲が、だ。こっちを狙い撃とうというのか。逃げることをあきらめて、せめて反撃をというわけか。
「残念だけどよぉー、間に合うわきゃねぇーだろ!
このままボチャーンしやがれッ ザ・ハンド!」
最後の引き寄せで、M3リーは宙に浮いた。浮いたままでいるはずもなく、落ちていく先は川。ドボーン、という音を確かに聞いたが、同時に億泰の目はふさがれていた。何が起こったのかわからないが、顔面に何かメリ込んでいる。
「桂利奈(かりな)ぁぁー、キィーック!」
頭が地面に激突してから理解した。顔面にメリ込んでいるのは、靴底だ!
誰かがトンデモないパワーとスピードで、跳び蹴りをカマしてきたのだ。倒れた億泰の真上に尻モチをついて、そのままマウントをとってくる。片目だけでもなんとかコジ開けると、チビッ子がのしかかっていた。
(何だァァーーーこの状態ッ?
コイツのドコにあんな威力のケリをかますパワーがよォォーーーー)
「このこのこのぉぉーーーーッ」
「イテッ、イテテッ、やめろっつの!」
顔をグーでポカポカやられるが、あんまり効かない。殴り慣れていないし、そもそも体重が軽すぎて威力が乗らないと見た。そして、わかった。こんなパワーの足りないヤツが、どうやって蹴り倒してきたのか。
(ザ・ハンドの『引き寄せ』をウマイこと使いやがったのかッ
『引き寄せ』の勢いそのまま蹴りに乗っけてきやがった!)
仗助と戦ったときにやられた、植木鉢攻撃と同じだ。いつの間にか戦車から降りて、『引き寄せ』と一緒に飛び、自分の身体を弾丸にしてきたのだ。なんてタフなヤツ!
「だが、てめぇ一人でどーにかなるもんかよ!
ザ・ハンドで触ってやりゃーオシマイよ……ハッ!?」
が、そこでさらに気づいた。四方をオンナどもに囲まれている。
「殴ってダメなら、間接キメるしか! 四の字固めッ」
「こうなりゃヤケクソぉぉーッ、アームロック!」
「浮いたおテテ、もらっちゃいますよ~。腕ひしぎ~」
「ホギャアアアアーーーーーーーッ
イテェ、イテェ、イデデェェェーーーー! はなせッ、はなしテッ、マジでッ」
よってたかって絡みつかれ、間接を見事にキメられる。オンナのコとコレほど密着した経験は今までにない。あるわけがないのだが、こんな方向性の接触は望んでいない。ヤツらはマジだ。間接がビキビキ音を立てつつある。
「テッ、テメェェーーらぁぁーーーーッ!
どっちみちやるコトぁ一緒だぜッ、
一人ずつザ・ハンドでニギニギして……」
ザ・ハンドを出し、最初にのしかかってきたチビを吊るし上げたところで、頭上にさしかかるもうひとつの影に気づく。
「……へ?」
ドコ見てるのかわからないようなトボけた顔の女が、植木鉢を大きく振りかぶっていた。唯一誰も組み付いていない、億泰の頭に向かって。
「や……やべ、それは……シャレになら」
ゴシャア!
植木鉢がバラバラになる音と同時に、億泰の意識もトンだ。
『西住チーム、M3リー、行動不能!』
『東方チーム、虹村億泰、重傷。再起不能(リタイア)』
「発泡スチロールの植木鉢……紗希ったら、いつの間にそんなモノ持ち込んで」
「でも~、ホントに気絶しちゃったみたい、このヒト……
けっこうカワイイかも~」
「私はパス。需要はなくもないだろーけど。
てか彼氏いなかった? 優季……」
「怪人にライダーキックできちゃったー! ねぇ見てた? 見てた?」
「…………バッタ」
「ズブ濡れ、しかもメガネ割れた。
私が残るしかなかったけどね、これはアンマリ……クシュン!」
To Be Continued ⇒
億泰、轟沈。
戦車一両を倒してるので、最低限の役目は果たしたと言ったところ。
次回は、仗助VSみほ。