とある異物の結合操作《ジョインオペレーション》 作:乙乙乙乙乙
ドアを開けた小萌先生は、インデックスの姿に驚きながらも、治療を引き受けてくれた。当麻は部屋の中にいられないし、(幻想殺しが何でも打ち消しちゃうからね)僕があそこにいても別にやる事はないので、一緒に出てきた。今は二人でベンチに座っている。すると当麻がポツリポツリと話し始めた。
「なあ、マサル、魔術師ってほんとにいると思うか?」
「そんなの、いるわけ無いだろ…?」
「でもさぁ、それなら俺たちが見たのは何だったんだ?」
「多分あれは炎系の能力者だ。レベル4ぐらいはあるんじゃないか?」
「でも…そうだとしても、インデックスの事が説明できない。なんなんだよ、魔導書って、なんであいつは追われてあんな目にあわされてたんだよ!」
「落ち着いて当麻。とりあえず、今は一旦解決したんだ。次またあんな奴らがきたらまたぶっ飛ばせばいいだけだろ?僕たちは、負けない。」
「お、おう!そうだな、絶対にあいつは傷つけさせねぇ!これからもたのむ、マサル!」
「あぁ、よろしくだ。」
「お取り込み中のところ悪いのですが少しお時間よろしいですか?」
不意に響いた女性の声に、僕らは思わず身構える。
「誰だ!」
「そう警戒しないでください。別にあなた達に危害を加えにきたのではありません。ただ、少し話をさせていただこうかと。」
そう言って現れたのは、ジーンズの片方は太腿の際どい所まで切断して露出し、Tシャツの片方の裾も根元まで切断している、妙にエロい格好をした黒髪美人だった。
「わたしはイギリス清教『必要悪の教会(ネセサリウス)』所属の魔術師、神崎(かんざき)火織(かおり)です。」
彼女は、そう名乗った。
「お前もあの魔術師の仲間か!」
当麻が戦闘体制に入った。でもあの人からは戦闘しようという気配は感じられない。僕は、当麻を目で制しつつ神崎さんに、何の用?と話しかけた。すると
「私たちにインデックスを渡して欲しいのです。」
と、凛とした声で言った。僕たちにインデックスを渡す気はないということを知っているにも関わらず、だ。
「それは僕たちがすでに一人魔術師を退けた事を知っての発言かな?」
「もちろん、回収に行ったステイルを倒し、一般人に魔術での治療を委託したのも知っています。そしてそれが、すでに成功した事も。」
成功したのか…良かった。だけど、それを知っているこの人はインデックスをそのまま奪う事なく、僕らに交渉をしてきた。
(なにを考えてるんだ?)
ステイルとか言う魔術師は、力づくでもインデックスを回収しようとしていた。こいつも魔術師なら、実力行使という手もあるはずだ…もしかして、僕らの実力にビビった?
一瞬思ったが、それはないなと思い直す。もしそうなら僕たちなんて不意打ちで一発だ。
じゃあなぜ…?
一人で疑心暗鬼に陥っていると、神崎さんが話し始めた。
「あなた達がインデックスを守ろうとした事は知っています。そのためにステイルに立ち向かったのもわかっています。だからこそ…あなた達もインデックスの事を大切に思っていると信じて語ります。これから聞くことはあなた達のように平和ボケした日本人には少々ヘビーかもしれませんが…覚悟はありますか?」
なんだか重い話になりそうだ。だけど不思議と、いつものようにめんどくさいな、という気持ちは起きなかった。
「当たり前だ、聞かせてくれ。」
当麻の言葉に僕もうなづく。すると神崎さんは、ゆっくりと話し始めた。その内容は驚きのものだった。インデックスの頭には本当に10万3000冊の魔導書が収められている事、そしてそのせいで、インデックスは重要人物で、いろいろな組織から狙われたりしてること、自分がインデックスの同僚で、友達だったこと、しかしインデックスは、脳の75パーセントの容量を魔導書に取られているので、1年おきに記憶を消さないと脳がパンクして死んでしまうこと、そのせいで、自分のことやステイルのことなんて覚えていないこと、そして、記憶を消す作業のリミットがあと3日まで近づいてること、そのためにそろそろインデックスを捕まえて、記憶を消す作業を始めなければならないこと…
聞いてるだけで反吐が出るような話だった。神崎さんの苦しみもいたい程よく分かる。でもなんだかなぁ?釈然としないというか…
「じゃあ何だってお前は敵のふりしてインデックスを追いかけ回してんだよ!ちゃんと説明して仲間だってことを伝えればいいじゃねーか!お前らあいつをなんだと思って
「やめてください、ド素人が」
当麻の言葉は神崎さんの静かな、だけど迫力のある声で遮られた。
「知ったような口を利かないでください、私たちがいままでどんな気持ちであの子の記憶を奪っていたと思ってんですか?わかるんですか?あなたなんかに何が⁉私達が一体どんな気持ちであなた達を見てたと思ってるんですか⁉一体どれほど苦しんで!どれ程の決意で敵を名乗ってるのか⁉大切な仲間のために泥をかぶり続ける私達の気持ちがあなたなんかにわかるんですか⁉」
しゃべる途中からだんだん声が荒くなっていく神崎さんに当麻は驚いている。神崎さんの言ってることもわかる。でも、だけど、やっぱり…
「ちょっといい?」
僭越ながら口を挟ませてもらおう
なかなかこのサイトに入れなかったり…