とある異物の結合操作《ジョインオペレーション》 作:乙乙乙乙乙
「なんなんです?」
神崎さんがうっとおしそうにこちらを見る。でも僕はそれを無視して話し始める。
「あんたらのいうことはわかる。その気持ちだって痛い程わかる。僕の友達にも一人いたからね、記憶をなくしちゃったやつ…」
「な、なら…!」
「でも!
…なにか違うと思うんだ。だってさっきから聞いてたら、自分たちのことばかりでインデックスの気持ちを考えてるように聞こえないんだけど?」
そう、僕が感じた違和感はこれだ。さっきから、自分たちが辛いと言って行動を肯定してるけど、追い回されてるインデックスの気持ちはさらさら考えてない。
「変な魔術師達に追いかけられて命を狙われ、優しくしてくれた高校生には迷惑は掛けられないからと自分から立ち去って、おまけにあんなひどい怪我までさせられて…あんた、ほんとにインデックスの友達?」
「当たり前です!」
「でも友達なら、もっと相手のことを考えてあげられるもんだと思うんだけど?」
「そ、それは…」
言い淀む神崎さん。そこに当麻が追い打ちをかけた。
「そうだ、そうじゃないか。お前ら、あいつの気持ちをこれっぽっちも考えちゃいねぇ!あいつがどんな気持ちで逃げ回ってたと思ってる!あいつは俺たちに、わたしと一緒に地獄の底までついてきてくれるか、とまで言ったんだぞ!あいつが過ごしてきたこの一年は地獄とも呼べるような時間だったんじゃないのかよ!もし記憶がなくなるっていうならまた、もっと楽しい記憶を作ってやればいい。あんたらがもうちょっと強くなれば…あんたらが嘘をつき通せる偽善使い(フォックスワード)になれれば!記憶がなくなってもまた、、、あいつが記憶がなくなってもいいって思えるような幸せが待ってるって思えたなら!あいつだってもう、逃げ出す必要なんてないだろ!」
「私達だって!最善を尽くしました!でも…でも…!」
「諦めてんじゃねーよ!まだ諦めるには早いだろ!友達だってなら、インデックスが幸せに生きられるような方法を最後まで探してやれよ!こうやって諦めて、敵として追っかけまわすぐらいなら少しでもあがいてみろよ!頑張ってみろよ!悔いが残らないようになんて野暮なことは言わねぇ。けどな、インデックスのためになるって胸を張って言えるようなことをしろよ!それが友達ってもんだろ!」
「私は…私は…」
どうやら当麻の説教は終わったみたいだ。でもこれで僕の話も終わりってわけじゃない。ちょっと確認したいことがあるんだよね。
「ところで神崎さん、さっきの話を聞いてて変だなと思ったことがあるんだけど。」
「…何でしょうか。」
ちょっと涙目だね神崎さん。まあ当麻の説教だからね、あれは心に響くもんがあるよ。マサルは自分の時のことを思い出しながら、そう思った。
「えーっと、インデックスって結構危ない存在で、色んな人に狙われたりするんだよね?」
「…はい、そうですが?」
「じゃあなんでそんなインデックスをこんな外にまで出せてるの?あんたらってイギリス清教だったよね?そんなに危ないなら監禁するなりなんなりしそうなものだけど?」
「え…?」
そう、そんな危険なものを、インデックスを物扱いする様な組織が野放しにする訳がないんだ。護衛をつけてまで外に行かせるより、監禁した方が早いからね。
「こうやって外に出してるなら出してるなりに、なにか仕掛けをしてるはずなんだ。なんせインデックスを物扱いする様なとこだからね、あんたらの組織は。そうじゃないとつじつまが合わない。」
「俺からもちょっといいか?」
当麻が口を開き話し始める。当麻もなにか違和感を感じたらしい。
今まで睨み合っていた彼らが、一人の少女を救うために、自然に解決策を練っていく。この一見不自然な流れも当麻やマサルの力なのかもしれない。
「さっき、魔導書ってのは脳の75パーセントの容量をとってて、記憶が1年しか持たないって言ったんだよな?でもさぁ、それじゃあ完全記憶能力を持った人って4年しか生きられないのか?」
「「ッ!!」」
僕と神崎さんが同時に驚く。確かに完全記憶能力を持ってたあいつは、別に記憶を消したりしてるなんてこと言ってなかった。それに完全記憶能力がそんな悲劇的なものだって聞いたことはない。
やっぱり…何かおかしい。
神崎さんも気づき始めた様だ。
「それで?どうする?これから。なんだかどうにかなりそうな予感がするんだけど?僕は。」
「そうですね…ステイルにも連絡して魔術サイドからも少し調べてみます。期限はあと3日あるのでそれまでに必ずなにか手がかりを見つけてみせます。それでは」
それだけ言うと神崎さんは音も立てず去って行ってしまった。よっぽど急いでるんだろう。熱の入れ方がすごい。よし、それじゃあ
「当麻、とりあえずインデックスの様子を見に行くか。」
「そうだな。」
僕たちは小萌先生の家へと歩き出した。