楽しんでいただけたら、幸いです。
side 隼太郎
試合形式の練習も、前半が終わった。
結果から言うと俺は、2打数無安打であった。
詳しく言うと、1打席目、見逃三振。
2打席目、投ゴロ。
1打席目は、エースの仁村先輩との対決だった。
サイドから投げられるチェンジアップとストレートに、タイミングを合わせられず、最後は予想外のシュートで抑えられたという感じだ。
次の打席、2打席目。
相手は背番号11、脇田先輩だった。
感想を言うと・・・
アンダースロー打てん!!無理!!!!
一体なんなんだあのフォームは!
タイミング取りづらっ!!ボールが低く決まりすぎだって!!
結果的に言うと、3球で仕留められてしまった。
3球連続で低めに決められて、あえなく撃沈した。
これで、ベンチチームの攻撃タイムは終了、攻守交代となって、今度は俺たちが守備につくことになった。
ちなみに、セカンドである。
グローブを持って守備に出ようとした時に、ブルペンから乾いたミットの音がこだました。
おれはブルペン中を覗いてみた。
投げていたのは赤田先輩、2年生だ。
「・・・オラッ!!」バシィィン!!
「速え・・・!」
気迫満面に押し出す投げっぷりは、3年生と並べても遜色ないな迫力だ。
そういえば、前に捕手の大月先輩から、赤田先輩のことを言っていたのを思い出した。
『赤田か・・・確かに、あいつはすごいよ、見ていて気持ちがいい。球速も早いし、球種も多い、気持ちも乗せやすい。キャッチャーの俺からしたら、扱いやすい投手の1人だと思っているよ。』
そのようなことを言っていた。
だけど、言っていた大月先輩の表情は、どこか残念というか、諦めというか、疲れたというような顔を見せた。
そして、こう続けた。
『でも、今俺が挙げたそれらの長所をゼロにしてしまう性格なんだよアイツは。マウンドに立つと傲慢な態度で、チームプレーのことを考えようともしない、我1人で立ち向かっている感じだ。』
そしてこう続けた。
『もっと言えば、コントロールがない。どんなにいいピッチングをしても、2アウトから得点される体質なんだ。』
『当然、0アウトからも失点する、塁に出られたら盗塁される、守備をしようとしない。』
『それらのマイナスな要因がプラスの要因を打ち消している。・・・いや、マイナスが上回っていると言った方がいいか。』
そのようなことを、練習時に大月先輩から聞いていた。
ブルペンでは、まだ赤田先輩が投球練習をしている。
「あんなにすげぇ球を投げているのに・・・マイナスかよ・・・。」
ムードだけで気圧されている俺にとっては、一軍レベルが計り知れないくらい高く、スタメンの道がさらに遠く感じた瞬間でもあった。
「赤田!マウンドに上がれ!」
「うっす」
監督からお呼びがかかり、赤田先輩はブルペンから出て行った。
「・・・おっと、俺も出ないと。」
俺も急いで、守備位置に向かって走って行った。
しかし、なぜかその足取りは重く感じたのは、俺の気のせいだと信じたい。
〜〜〜〜
スタメンチーム、1番バッターは大月先輩から始まった。
いきなり、バッテリー対決である。
先ほどの回想で、赤田先輩のことを話していた大月先輩である。
セカンドの位置から、赤田先輩の投球を見守る。
「ウラッ!!」
「・・・」バシィィン!!
「ボール3!!」
が、1球もストライクが入ることなく、ボール3となった。
間髪入れず、赤田先輩が投球した。
「クソッ!」
「・・・」バシィィン!!
「ストライク1!!」
「・・・よし・・・!」
持ちこたえているようにも見えるが、俺は少し疑問を持った。
(どうしてこの人は、ストレートばかりを投げたがるのだろう?)
ここまで4球、すべてストレートを投げている。
ストレート主体で抑えに行くのは悪くないのだが、この人は今の所、3球高めに外れているのである。
普通だったら立ち上がりは、別球も試していくべきだと思うのだが・・・
この人はそれをしなかった。
「オラッ!!」
「・・・」キィン!!
「!!」
結局、左翼線にツーベースを打たれた。
セカンドのベースカバーに入ると、塁上でバッティンググローブを外していた大月先輩がこっそりと話しかけてきた。
「前に言っただろうけど・・・これがマイナスなところだよ。」
その言葉に、激しく同意だと、そう思ってしまった。
さらに、大月先輩が続ける。
「でも・・・まだまだこっからだから。」
その言葉に、やけに重みを感じたのは、言うまでもない。
〜〜〜〜
もはや劇場である。
赤田先輩は周りが見えていないのか、暴走列車の感じがした。
次の浜田先輩にはフォアボールを出し。ノーアウト一、二塁。
バッターは、井岡先輩である。
個人的には、常日頃から、「守備が自分の生きる道」と豪語している井岡先輩の打撃というのは、少し楽しみでもあった。
圧倒的に守備練習を行う比率が多い彼が、打撃しているのはあまりに見ていない光景だったため、本当に気になるのである。
そう思っていると、井岡先輩がバントの構えをした。
(ノーアウト一、二塁で、次のバッターが白戸先輩だからなぁ。バントだろうなぁ)
しかしノーアウト、当たりが強ければ最悪、三塁でアウトにされてしまう条件である。
バントに備え、俺は少し前進をした。
「ッ!!!」
「・・・と」コン
バントはあっさりと決められた。
1アウト2、3塁。
すると、赤田先輩は納得がいかないといった表情を浮かべながら、マウンドから降りて行った。
(・・・あぁ!!そうだった!3人ずつと勝負して、終わったら塁にランナーを残して次に継投するんだった!!)
俺らのチームで、赤田先輩以外の投手は1人しかいない・・・!
「」カタカタカタ
「勇平・・・!!」
〜〜〜〜
勇平がこっちに走ってきた。
これほど緊張している投手をみたことが無い。
ああもう右手と右足が同時に出てるから!目も泳ぎっぱなしだし!というか凄い目の動き方してるんだけど!!
どう動いてんのそれ!?
「おい・・・勇平。大丈夫か?」
「だだだだだダダダダダッだだだっだだっだだだっだだだだっだだっだだだだっだだだだダダダダダッ大丈夫」
「長すぎるわ!!ほら目をしっかり!!」
焦点が合っていない目をなんとかしようとするが、ダメだな、アガリきっていて聞こえていない。
こういう時、どういう風に声をかけたらいいんだろうか・・・。
投手の励まし方・・・難しすぎる・・・!
「大丈夫・・・!地に足をつけることができれば・・・!」
「勇平・・・」
「今のお前が1番地に足着いてないと思うけど」
「うぐっ・・・!」
「すまん、なんて声をかけたらいいのかわからない。だからありふれた言葉を言っとくよ。」
「後ろは俺らがいるから、打たせていこうな!」
「うんっ・・!」
頑張れよ・・・勇平。
守備位置に戻ったところで、大月先輩が何やら監督と話しているのが見えた。
そして終えると、マスクをかぶり、勇平のところにやってきた。
「特別に許可をもらって、マスクをかぶらせてもらえることになった。今から俺がリードする。」
まだこの1週間は忙しいので、これだけで。
すみません、また今度、しっかりと投稿します。
それでも、感想や評価は待ってます!
それではまた次回〜