効果音ばかりと前回の後書きで嘆いていましたが、意外と効果音は少なくなってしまいました。
しかし、動的な表現は結構含めたと思いますのでそこのところも注目してご覧ください。
できれば、ご感想の方お待ちしております。
……しかし、ルーミアが後半かなりヒステリックになった気がします……
[幻想郷・博麗神社] ルーミア SIDE
(どうして…どうしてどうしてどうして!!!)
闇を操る妖怪の少女…ルーミアは、混乱と激情の渦の中に巻き込まれていた。
それは妖怪の大敵ともいえる、
そしていつも厳しくも本意は優しい、憧れすら抱いていた博麗の巫女・博麗霊夢がその黄金聖闘士と会話をしていたということだ。
彼女にとってそれは大きな問題であり、大きなショックを与えた。
何故なら、妖怪・ルーミアにとって忘れられない
そのショックは彼女に大きな混乱を与えた。何故この幻想郷に訪れているのか、そして何故博麗霊夢と語らいあっているのか、と。
その混乱のせいか彼女は博麗霊夢に裏切られた、としか思考出来なくなった…いや、そうとしか思考が進まなくなっていた。
仕方ない事ではある。なにせ大敵であるムウと霊夢が喋っているのを見てしまえば、混乱してしまい後ろ向きな思考に陥ってしまうだろう。
そうして思考が止まった時には、すでに体が動いていた。ムウを
激情に駆られたその攻撃の弾幕は、ムウに向かい殺気を込められ茂みから放たれる。
殺す気は無かったものの殺気を放ったその弾幕は、見事に霊夢に勘付かれムウを助ける形で避けられた。
しかしそれはルーミアにとっては想定内である。いくら裏切られたとはいっても霊夢は恩人たる存在。殺すまではいかず思いとどまっていた。
そのため、わざと殺気を勘付かせてムウと霊夢を分断させてムウだけを殺そうという算段だった。
結果ルーミアの狙い通りとなり霊夢はムウを押し倒し、霊夢は後方へ逃げて見事分断される形となった。
ルーミアは己の操る闇で自分を覆うような傘の形を作り茂みを出てくる。
殺気の込められた凶悪な目はムウがいるであろう土埃の舞う方を見つめている。
しかし、ルーミアは自分の中にある想いを霊夢に伝えずにはいられなかった。
「……なんで…なんでそんな奴といるんだよぉ、霊夢ぅ!!」
「……ルーミア!?」
予想通り、霊夢は困惑していた。何故攻撃してくるのか。何故ここにいるのか。全く訳がわからないという顔である。
…そして何故、そのような悲しみの表情にあるのか…と。
ルーミアは心の中がモヤモヤとした、まるで雨雲に覆われているような感覚に襲われていた。
この感覚は前にもあったな、とわずかに思い出す。
そう、
それは…恨み,憎しみ,後悔、その全てであった…その混沌とした負の感情が彼女の心を覆い尽くしていたのだった。
その負の感情が皮肉にも彼女の思考能力を停止させ、今の彼女の原動力ともなっているのだ。
彼女の顔は、今にも泣きそうな悲しみに満ちた表情となっていた。
もっとも、彼女が悲しみの表情になっていたというのは後々気づくのだが…
そんなこともつゆ知らぬルーミアは、霊夢に訴えかけるように叫ぶ。
「霊夢…今まで相手してくれた事はとっても感謝してるよ…でも!こいつは私達の敵なんだ!!霊夢とどういう関係か知らないけど…
あいつは殺さなきゃいけない!!」
ルーミアは意識を改めてムウのいるであろう方向へ向けた。
その刹那、ルーミアの周りに闇が溢れだす。
その闇はルーミアの肌が露出している部分を覆い尽くしていく。
腕には、大きな鉤爪を備えた剛腕を。脚はまるで豹のような関節の形をした強靭な大脚を。頭には闇の塊が頭上に現れ、平皿のようなものが現れ頭への日光を遮断している。
まさにそれは妖怪のそれである。これがルーミアの力を解放した姿。〈スペルカードルール〉を無い事にした際の妖怪の力の権化であった。
そろそろ土埃が晴れる頃である。その前に勝負をつける。
ルーミアは強化した脚でムウのいる方向へ大きく踏み込み走り出す。
[幻想郷・博麗神社] ムウ SIDE
「やれやれ…こういう場所になると、予想はしていたものの黄金聖闘士とは難儀な存在ですね…」
ムウは土埃の上がる場所を
どうやら幻想郷の番人…霊夢と呼ばれる少女は無事だったようだ。
妖怪の少女、ルーミアというものの声にもハッキリとした声で返事をしていた。
しかし…恨みに染められたどす黒い小宇宙であるな。
そうムウはそのルーミアがいるであろう小宇宙の方向を見ていた。
それほどまでに黄金聖闘士を恨んでいるのだということを悟らせる程であり、肌にピリピリとした殺気が感じとられる。
しかし、それも致し方無いことであった。黄金聖闘士…いや聖闘士は、地上の平和のために蔓延る悪をいつの時代も成敗し続けていた。
それは古き時代から、特に今生きている妖怪がちょうど幼い頃くらいの時代から聖闘士はそれを行ってきた。そして妖怪達は知ってのごとく、古き日本には畏怖の存在として君臨していた。
つまり妖怪もその対象であったのだ。その古き時代は悪さをする妖怪が大多数。幼い妖怪こそ退治の対象で無かったものの、幼子妖怪以外の立派な妖怪は確実な退治対象であった。
先代達は数ある妖怪たちを退治してきたであろう…その頃子供であり、今では成長し立派な妖怪達と世代が重なる自分らは、育った妖怪たちに目の敵にされる事はよくあるのである。
土埃がそろそろ晴れてくる頃だ。恐らく、それに合わせてルーミアはムウに攻撃してくる。
そう読んだムウは静かに両腕を前に交差させる。瞬間、その両腕はまばゆく光り始める。
それを勘付いたか否か、ほぼ同じタイミングでルーミアの小宇宙がこちらへ向かってきた。恐らく肉弾戦へ持ち込む気であろう。
「…仕方ありません、手加減しますので許してくださいね…!
クリスタルウォールッ!!」
そう叫ぶとムウは思い切り交差させた両腕を左右に広げた。
刹那、ムウの周りの土埃は散り光明の壁が現れる。
虹色に光はうねっており、薄い壁であるはずなのに、何者も寄せ付けない迫力がそこにはあった。
土埃が払われ目に見えた光明の壁に突進してきていたルーミアは目を丸くする。
危険を察知したのか、大脚でブレーキをかけ後方へ大きく飛ぶ。
「おや…よくわかりましたね…」
「…!?」
ルーミアはムウにそう言われ顔をしかめる。
「この〈クリスタルウォール〉は何人たりとも寄せ付けない小宇宙の壁…
この壁に与えられるあらゆる攻撃・衝撃はそのままの威力で相手に跳ね返します…
もしあなたがそのまま突進していれば、その衝撃はあなたの身体へ直に返りダメージを受けていましたよ?」
ムウはあえて、この技の欠点である一方方向しか出せないという事を伏せた。
勿論、己の技の弱点など教えるものではないが、こうすることであわよくばルーミアの戦意を喪失させ話を聞ける精神にまで落とし込み、誤解を解こうという魂胆であったのだ。
しかし…
「それがぁ……」
ルーミアは両腕を後ろに引き、何かを溜めるように鉤爪の腕を握りしめる。
「どうしたってのッッ!!」
握りしめた拳は空に向かい放たれる。そこからは無数の闇の玉が上空へ向かって飛ぶ。
…いや、〈クリスタルウォール〉を越えた時点で曲線を描きムウに向かってくる。
ルーミアは理解していた。それが野生の勘といつやつか、それとも事前情報か…いずれにせよ既にルーミアには〈クリスタルウォール〉の弱点を理解されていたのだ。
「砕けろォ!!」
ムウに無数の闇の雨が降り注ごうとする。
「…成る程、一筋縄ではいかない、と…」
ムウは〈クリスタルウォール〉に沿うように右へ走り避ける。
ドドドドドドッ!!
そのすぐには闇の雨がムウのいた場所の土を抉っていた。
ムウはルーミアがいるはずの方を〈クリスタルウォール〉越しに確認する。
が、そこには既にルーミアの姿が無かった。顔を振り姿を捜すが見当たらない。
…がルーミアはすぐに姿を現す。
今、闇の雨が降り注いだ場所の土埃の中から突如現れ、突進して来たのだ。
〈クリスタルウォール〉を回ってきたのだ。やはり弱点を理解していた。
すぐさま移動して止めを刺しに来たのだ。
…いや、最初からあの雨を食らわせることは叶わないと踏んでいたのかもしれない。それほどに行動が早かった。
「むぅ…では、お望み通りといきましょうか…!」
ムウはこちらへ立ち向かってくるルーミアに対し、真正面に立ちまっすぐとルーミアを見据える。
ルーミアは下から振りかぶっていた闇の剛腕をムウに向かい大きく振る。
しかしムウはそれを軽々と身を流し剛腕を空振らせる。
しかし、ルーミアもこれで終わりではなかった。
その空振ったその剛腕から突如、闇の枝のようなものがムウに向かい生えていく。
刃のように鋭く、実際物を斬ることが出来るということは直感でも理解できた。
「…っ!」
ムウは後ろへ飛び攻撃を避ける。避けられた枝は地面に突き刺さり、しばらくして剛腕へと枝を縮めていった。
〈クリスタルウォール〉を消し無駄な小宇宙消費を無くした後、さらに向かって来ているルーミアへと視線を移す。
今度もルーミアは右の剛腕を後ろへ引いているため、ムウはまた同じ手で来る…そう考えた。
だがしかし、ルーミアは大脚を思い切り踏み込んだ。
そして次の瞬間にはその場にいなくなっていた。地面には大きく足跡状にヒビが出来ている。
…そう、ルーミアは跳んだのだ。ムウの頭上へと跳躍し、ムウを跳び越えたのである。
着地後、すぐさま剛腕を振りかざしムウへ大爪を向ける。
「これでどぉーだぁあ!」
ルーミアは力を込め剛腕を突き出す。そのスピードは確実に攻撃を与えられるという自信が腕を押しているような、そう思わせるような攻撃である。
「…活発なことですね…」
しかし、その自信に満ちた攻撃はムウの体をそのまますり抜けた。
ルーミアは驚き腕を一瞬ピタリと止める。
しかし、黄金聖闘士の前にはその一瞬が一番の隙であった…
いつの間にか、ムウはルーミアの懐に入っていた。
振り切った剛腕のしたから桃色の髪が
「さて、これで大人しくしてもらえれば…良いのですがっ…!」
ムウはルーミアの腹に軽く拳を当てる。
ドンッッ!!
刹那、その小柄な体に大きな衝撃が走る。大きく背中は前後に震え、口からは体液を少量吐いている。
そして、そこから体は後方へ大きく吹き飛ぶ。ルーミアはバウンドしながら茂みに突っ込んだ。
「う、うぅ〜……ゲホッ、カハッエホッ!!」
ただ拳を当てたとは思えられない威力である。常人ならこうはならないだろう。
しかし、黄金聖闘士はこの恐ろしい威力を生み出す術を知っている。それが彼女の身体に襲いかかったのである。
急に当てられたその衝撃に、思わず咳き込んでしまっている。
しかしそれほどの攻撃を与えられても意識を保っているところを見ると、流石妖怪の娘である。
「やっ…やったなぁ…!!人間のォ…人間の分際でぇ…!!
殺す…殺してやる…こんな痛み屁でもない…みんなに比べたら…死んでいったみんなに比べたらなんてこと、無いんだァアアアアアアアア!!」
ヨロヨロの状態で立ち上がり、彼女は此方へ再度向かってきた。
しかし、誰が見てももはやムウには近接戦は通用するものではなかった。
ルーミアは何を思ってか、両腕を前に突き出す。
そしてその剛腕から闇の弾丸を鉤爪の先からムウへ飛ばしたのだ。
その弾丸は幾つもあったが、ムウには防ぎきることが出来るだろう。それ程度のものであった。
ムウはその弾丸を払うべく、片手を前に構える。…が、
ブワッ!!
突如とその弾丸らはムウの目の前で拡散した。
そしてそのままムウを取り込むように覆いかかり、完全なる闇でムウの視界を遮断したのだ。
「…!これは…」
「これでどこから来るか当ててみてよォ!?」
ズバッ!!
急に右脇腹に痛みが走る。どうやら、感触からして右脇腹を引っ掻かれたようであった。
成る程、こうすれば視界には彼女は映らずに攻撃に反応される恐れは無くなる。
それに、じわじわと知らず知らずに殺されるという屈辱行為も行える。
そう考えていくと、よくぞ思いついたと感心させられる。
しかし、そうも言っていられない。なにせ、殺す気で攻撃されているためこのまま好きにさせてしまえば、いつか殺されてしまうのだから。
「くっ…このっ…」
しかし、ムウの力ありにしてもその視界の闇を払うことは叶わなかった。
闇を触ることは物理的不可能…となれば、闇を払い出すというのは叶わないこと。当然といえば当然である。
だが、このままではやられてしまう…こう考えている間にも着実に自分の体は引き裂かれているのだから。
ムウはその場で大きくため息を吐く。
「はぁ…もはや、問答は無用ですね…
一気に勝負をつけさせていただきましょう…
スターライト…エクスティンクションッ!!」
ムウがそう叫ぶと、突然ルーミアの周りが輝き始める。ルーミア自体には影響は無いものの、何やら怖さすら感じる輝きである。
「な…何!?」
輝きは徐々にルーミアを包み込む。それはまるで彼女を中心に光のゲートが閉じていくような、そんな風に輝きが縮まっていく。
彼女も抵抗しようとどこかへ行こうとするが、光に触れることについオドついてしまう。なにせ今まで光とは天敵としか見ていなかったのだから…
やがて彼女の幅程度にちぢまり、そして…
その輝きが閉じたと同時に彼女の姿は跡形も無く消えてしまった。
この一連を傍観することしかできなかった霊夢は唖然としていた。
なにせ、知り合いを光とともに消されてしまったのだから。
「ちょ…ちょっと!ルーミアは!?どこにやったの!!」
知り合いが消されたことによって少し混乱する霊夢。
ムウはそんな彼女に言うのは少し気が引ける。なにせ、この技の説明をすると早とちりな彼女にとってはとても衝撃的な技になるのだから。
「…えーっと。落ち着いて聞いてくださいね?…
この〈スターライトエクスティンクション〉はいわばワープの究極形です。
この技は相手を光に包み、遥か遠くへ飛ばす技です。
そしてこの技は…冥界、つまりあの世へ送ることができます。」
霊夢は一気に表情を喧騒なものに変える。
「なんですって!?
あんた、まさか…」
ムウはすぐさま宥めるように言い聞かせ、落ち着かせる。
「まぁ、まぁ。
この技は小宇宙を調整することで行き先を自由に変えることも、また可能です。
まぁ、技を受けた相手は大抵は気を失うし調整も難しいので、一概に便利とは言い難いのですが…
……例えばこのように」
と、不意に両腕を前に出す。
すると、ルーミアが空から降ってきてムウの腕の中に落ちてきたのだ。
ムウは軽々しくお姫様抱っこといった形で、技により気を失ったルーミアを受け止めた。
「……とりあえず、一度休みましょう。
彼女には……謝罪をしなければ」
ムウは少し顔を下に向け、神社の方向に体を向けルーミアを抱きかかえたまま歩き始める。
霊夢は今の状況に理解するのにはかなりの時間をかけた。
なにせ、ルーミアが突然ムウに対して怒り、攻撃を仕掛けて、終いにはよくわからない技でルーミアを眠らせてしまったのだ。
ルーミアが襲ってきた理由も大概わからないが、ムウという存在…聖闘士も分からなくなってきた。
何故妖怪に恨まれてしまっているのか。そしてあの圧倒的な技の威力。
霊夢は改めて考える。
聖闘士とは…幻想郷にとっては危うい存在なのでは…と。
可能性の域のためまだ確証はないが、力自体は幻想郷のバランスを崩しかねなかった。
だが、ムウに今そのような雰囲気は感じ取れない。
むしろ先程のセリフとその背中は悲しみを背負ってるそんな風にも、霊夢には見えた。
…はい、いかがでしたでしょうか。
戦闘回終了、次回は和解…?になります故、会話ばかりになってしまいそうです。
果たしてルーミアの過去に何があったのか。
そして黄金聖闘士は幻想郷になにをもたらすのか。
そこらへんをご期待してください。
これで構成予定なので((メタい
では、誤字脱字があればまたご報告をば。
それでは、ありがとうございました