東方にねこですよろしくおねがいします   作:ランタンポップス

1 / 2
幻想郷にねこです。

 20××年××月××日。

 インシデントレポート『040-JP-02』。

 

 1967年より財団で収容しているアイテム番号『SCP-040-JP』が、カメラ五台の監視下にも関わらず、収容棟内より忽然と消失しました。

 カメラ映像は、『SCP-040-JP』を記録していた状態時に、原因不明のノイズを発生していました。ノイズは一分後になくなり、映像は再び収容施設内を映しましたが、そこに『SCP-040-JP』の存在そのものが、影も形も消失しておりました。

『SCP-040-JP』である井戸小屋は、小屋も中にある井戸も全て消失しており、壊されたまたは、移動させられたような痕跡は一切ありませんでした。

 

 

 また『SCP-040-JP』消失の瞬間を記録しているとして、発生したノイズを分析、映像の復旧を行いましたが、作業は困難を極めるものと予想されます。

 消失時の目撃者は無し、『SCP-040-JP』消失発見者は、上層部より実験許可を得ていた上位職員で、収容棟に入った際に『SCP-040-JP』の消失を確認したようです。

 収容棟入室一分前にカメラ映像にてノイズを確認、怪訝に思った職員が入室した際の発見が事態発覚の経緯となります。

 

 

 事態は財団運営以来、非常に不可解な現象であると見解されております。また、当時は収容棟に他SCPを入れておりませんので、SCPによる事故の可能性も否定されます(財団でさえも認識していない、新たなSCPの可能性は否定出来ませんが)。

 場所の特定は今も叶わず、周辺一帯の調査を実施しておりますが、現時点で発見報告は受けておりません。

 痕跡も見当たらず、調査方針に目処が立っていないのが現実です。

 財団本部にて調査委員会を編成、事態沈静化を図っていますが、成果は全く得られておらず、消失時よりの不可解な状態が続いております。

 収容棟内の分析と調査は持続して行く方針です。

 

 

『SCP-040-JP』の起こす被害を危惧し、徹底的な情報統制を開始致します。

 調査委員会、全職員に対して、その点より理解の程宜しくお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『SCP-040-JP』消失に関する、本部方針について。

 

 調査期間三ヶ月を有し、『SCP-040-JP』捜索を行いましたが、目撃情報も『SCP-040-JP』が齎す被害も全国で報告されておりません。

 また、カメラ映像の分析も解析不能が決定付けられてしまい、これ以上のアナライズは不可能であると断言されました。収容棟内にも、とうとう痕跡の発見は起こりませんでした。

 

 

 以上を以って本部は、『SCP-040-JP』の物理的存在消滅を認識し、物理的な収容権限を放棄する意向を固めました。

 しかし、『SCP-040-JP』の物理的存在は消失しましたが、Dクラス職員を使った実験により『SCP-040-JP』が本来持つ概念的特性は依然として存在している事が分かっています(参加職員全員、記憶処理済み)。

『SCP-040-JP』の物理的存在は消失しましたが、以後、再発見が否定されませんので、資料はそのまま保管しておいて下さい。情報統制はそのままに資料管理を行います。また、資料閲覧時は変わらず、対ミーム処置を行使した上で閲覧願います。

 

 

 以上で『SCP-040-JP』消失に関する、本部方針の公開を終了致します。

 資料室は以前と変わらない管理を続けて下さい。

 宜しくお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

 

『ねこですよろしくおねがいします』

 

 

 

 

 

 

 

 

 田畑が囲う土道からは、深緑の森や、木々に覆われた山々が連なるのどかな田舎道であった。

 まだ季節は夏の手前である為、黄金色の稲穂の海が拝めないものの、田に張られた水を突き破り青々と立つ稲々は、これからの豊作を心待ちき出来る程に順調な成長を見せている。

 

 

 夏を待つ青空と、風に揺らめく全ての存在が一つの絵のようである。

 しかし、この自然の中には不自然とも言える、田畑の道の傍らにポツリと建っている人工物が目に入ろうか。

 

 

 

 

 焦げ茶色い木を横に並べた、ログハウス風の建物である。

 田畑の中心を流れる道に、突然降って現れたかのような奇怪性を持って道の最後に佇んでいた。

 いつの間に誰が、何の為に建てたのか。はっきりした事は分からないものの、丁度獣道に差し掛かり、尚且つ森林内に入り込んだ所にある為に農民たちは気付かなかった。

 

 

 しかし今日は、木を取りに来た木こりが来る時であったので、一人の木こりの男が、これを発見出来た。

 あまりここらでは見ない造りだったので、職業柄興味を示した男はその謎の建造物に近付いて行く。

 

 

 こんな所にこんな物があったかな。家のようだが誰かしら住んでいるのか。

 二つの疑問を携えて男は木漏れ日に照るその小屋の扉の前までやって来た。最近出来た物ではなく、最低十年程度は経過しているなと、男はすぐさまに見抜き、だからこそ「いつの間」と言う疑問と好奇が湧き上がって来るのだ。

 

 

 扉を叩いて住人を呼んでみるが、応答がない。しぃんとした森の中、戸を叩く音だけが響く様は男にとって、少し不気味な感じに思えた。

 内装が気になった彼は、小屋の側面部へと進んだ。窓はガラスだったので、彼にとっては珍しい物なのだろうか、驚いた顔で窓ガラスを凝視している。

 

 

 

 

 

 そしてガラス越しに、小屋の内部を覗き込んだ。

 

 

 

 

 見てしまうのだ。見てしまったのだ。

 

 

 

 

 小屋の中は生活感のない、殺風景な部屋だった。しかし部屋の中心に、古い井戸らしい物が寂しげに存在しており、寧ろ存在を誇示しているような風に見えた。男はここが井戸小屋だと分かったが、何故か視線が井戸を捉えて離さなかった。

 異常とも言える関心と興味が、男の視線を井戸に向けているのだ。男自身、井戸はほぼ毎日見ているし、何てことない物として認識しているハズ。

 しかし彼にとってその何の変哲もない、まさに凡庸な古井戸がまるで、冬場に咲く彼岸花のような衝撃と、矛盾による理解を求めたい探求欲に似た物と同等に感じられていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 すると、井戸の淵に何かがいる事に、男は気付いた。

 暗闇に包まれた所が、ガラスに当たり乱反射した光がそれを晴らした事により、隠していた姿を現したかのようだった。

 

 

 

 

 男は『それ』と目線を合わした瞬間、「あっ!」と叫び声をあげ、慄き、窓ガラスより一気に離れた。

 井戸の淵に立ち、こっちを凝視する、『異形の存在』を男は悲しくも、確認して記憶に刷り込んでしまったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 これが、『楽園』を暴虐的ではあらずとも、狂気を浸食させるように恐怖で満たした『異変』の幕開けだとは、木こりの男でさえも決して、理解出来る訳がないであろうに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 小屋の中には、『ねこがいました』。




SCP大好きですが、JPでは特にコイツがお気に入りです。
息抜き程度の投稿ですので、クオリティは低いかと思いますが、愛読願います事をお祈りします。
では、ねこですしつれいしました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。