Girls und Panzer Re.大洗の奇跡 作:ROGOSS
飽きたわけではないです。
ただ、疲れと別原稿の忙しさのためになかなか更新できないでいます(白目)
時間は少し巻き戻り、試合開始前のサンダース学園開始地点。
ケイはシークレット枠で参戦させる4台のM22軽戦車ローカストを腕を組みながら見つめていた。
空挺戦車として開発され、増加生産の分を含めると2000台近く製造された戦車だが、肝心の「奇襲性」において評価されることはなかった。理由としては、輸送中は砲塔を外す必要があり、降下後に地表で組み立て作業を行わなければいけなかったかららしい。もっとも、戦車としては大変優秀な性能を誇っており、イギリスにも輸出されたほどだった。後継機として開発されたM24は、あの大学選抜チームでも採用しているチャーフィーだ。
「ケイがローカストを持ってくるなんてね」
「悪い作戦じゃないでしょ? 密林ならシャーマンよりも小回りの利く子が必要だったし、なにより……」
「なにより?」
途中で言葉を切ったケイをアリサは不思議そうに見る。
心なしかケイの目はまるで、これから悪戯でもしようとする幼い子供のようにキラキラと輝いていた。
アリサはこういう目をした彼女は、何か悪さを企んでいることを知っていた。知っているからこそ、この試合をケイが心の底から楽しめると期待していることもわかった。
「楽しみじゃない。西住流だけじゃなくて、服部流まで入ったチームと対戦するなんて」
「楽しむのもいいけど、足元をすくわれるようなことは無しでお願いしますよ……」
「Ofcouse‼ 当然よ。試合に勝って、なおかつ楽しむ。それを目指すのが戦車道よ。だからね、アリサ」
ケイの視線が鋭いものへと変わる。一瞬逃げ遅れたアリサは、その視線に捕まり身動きが取れなくなっていた。心の底でアリサは静かに、神よ助けたまえ。タカシ助けてと叫ぶ。
「余計なことはしちゃダメよ? いい、私はフェアプレーをモットーにしてるんだから」
「は、はいっ!」
「だったらシークレット枠じゃなくて、堂々と名前まで公開するべきじゃなかったのか?」
ガムを噛みながらやってきたのはナオミだった。
ナオミの言う通りだ。記憶にある限り、ケイがシークレット枠として戦車の名前を隠すことなどおそらく初めてのことだ。いつもなら、お互いに名前のない戦車で戦っても面白くないでしょう? などと言い、決して隠したりはしない。
フェアプレーと言いながらも、相手に隠し事をする。なるほど、確かにケイの言っていることは矛盾しているのかもしれない。
ナオミの言葉にケイはニッと笑う。
「それは違うわ。フェアプレーというのは、重箱の隅をつつくようなルール違反スレスレの行為やルール違反をすることだわ。シークレット枠を使ったのは、一種のサプライズと同じよ。はたして、有名な流派同士が手を組んだ時、どのような戦いをして、どのような情報分析をするのか……とっても楽しみじゃない?」
「ふっ、まったく、そんな目をしたケイには何を言っても仕方がないし、私もシークレット枠の使用に反対はしない」
「ふふ、よくわかってるじゃない。そろそろ時間ね。全員乗車よ! さあ、楽しんでいくわよ!」
『Yes,mam‼』
最後の方の言葉は無線機のスイッチを入れて話したため、仲間たちから返事が来た。
「ローカスト部隊は少しでも早く密林地帯に行きなさい。おそらくだけど、大洗も斥候部隊を出しているはずだわ。かき乱して、大洗本隊の居場所も丸裸にしなさい。アリサは別働隊を率いて、丘陵地帯を陣取って。ナオミもそれに追従。狙撃ポイントを確保よ。さあ、行くわよ! Go ahead!」