Girls und Panzer  Re.大洗の奇跡   作:ROGOSS

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お久しぶりです…
同人誌が書き終わりましたので、ボチボチ更新していきます。


誤算

「マーさん。西住隊長には連絡を入れましたか?」

「今、入れてるところだよ。あ、西住ちゃん? 接敵したよ。小さいシャーマン軍団がいる」

『小さいシャーマン軍団?』

「マーさん、ちゃんと伝えて」

「はいはい。ローカストを三両確認」

『ローカスト!? この目で見てみたかったです……』

 

 今聞こえてきた声はⅣ号で装填手をつとめている優花里だろう。さすがは戦車オタク。こんな時でも、名前を聞いて興奮するだなんて。

 そんな純粋さをどこか羨ましく思いながらも、絵音は現状を整理する。

 ナウエルの砲ならば、十分ローカストを相手に戦うことはできる。問題があるとすれば、数の差とこの地形だろう。鬱蒼としたこの地形での機動戦では、どうしても数が多い方が有利となってしまう。

 

『とりあえず、ライオンさんチームは一度退いて……』

「大丈夫ですよ、西住隊長。私たちが、どうにかしましょう」

『え……?』

 

 困惑の声が返ってくる。予想通りだ。

 絵音には確固たる自信があった。自分ならば、自分たちならばこのローカストを相手に有利に立振る舞うことができるという自信が。

 

「任せてください。それよりもおそらく別働部隊が丘陵地帯の確保、さらには大洗本隊へ強襲をかけるものと思います。西住隊長はそちらの方を」

『……大丈夫なんだよね、絵音ちゃん』

「もちろんです」

『……わかったよ。頑張ってね』

 

 数秒の間の後返ってきたみほの言葉を聞き、絵音は無言でうなずく。

 言葉など不要だ。関係こそ浅いが、お互いに戦車道の名家として生まれた一種のテレパシーのようなものがある。むしろ、余計な言葉を返した方がみほを不安にしてしまうだろう。

 

「さて、と……これから忙しくなりますよ」

「ふん! いつものことでぃ!」

「右腕がうずく。なるほど……力を見せる時が来たということか」

「ま、いつも通りやってよ。私は邪魔しないようにするからさ」

 

 4人の顔に凶悪な笑みが浮かび上がる。間違いなく、それは悪魔と同等の凶悪さ、ひいてはそれ以上の禍々しさを含んでいる。

 サンダース学園のケイの考えは正しい。シークレット枠で普段は使用しない小型戦車を使うことでインパクトを与えるだけでなく、確かな実用性で強襲を仕掛ける。

 大戦末期に開発されたローカストであるからこそ、できることは多い。

 だがしかし、ただ一つ、ケイはミスを犯している。否、自身の予想に含めていないことがあった。

 もしかしたら事前情報として知らなかっただけかもしれないが、そうであるならば自校の情報収集能力の低さに泣くしかないだろう。

 小型戦車同士の戦い、ましてや普段乗っているテトラークよりも数段強化されているナウエルを乗っている彼女たちにとって、この状況は最高の舞台だった。

 強襲戦車競技(タンカスロン)で培った技術が彼女たちにはある。ローカストを相手にするのは初めてだが、基本は何ひとつ変わりはしないはずだ。

 

「さて……では始めますよ。手始めに一発撃ち込みましょうか」

「任せろ」

「三時の方向の大木に。あれだけ腐っているのです、容易に倒れます」

「はいよ」

 

 ナウエルの75mm砲が火を噴く。

 絵音はいつもより大きい爆発音と振動に思わず、体を震わせる。

 砲弾は腐りかけていた大木に命中すると、大木は音を立てて倒れ始めた。そちらの方向へ勢いよく向かっていたローカストは緊急回避を試みるも、そのまま大木の下敷きとなり白旗を上げた。

 突然の攻撃にほかのローカストも戦闘態勢に入る。

 

「残り2両」

 

 高揚感がたまらない。

 ローカストの運転は慣れていないのか、どこか覚束(おぼつか)なさがある。弱者をいたぶって興奮するような趣味はないが、これは戦車道。有利な立場であり続けることに興奮を覚える変態であることくらい、許してほしい。

 

「残りも狩り取ります!」

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