Girls und Panzer  Re.大洗の奇跡   作:ROGOSS

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流派同士の争いです!

 戦いの場は、大洗女子学園の敷地内にある戦車演習場。

 非公式の戦いではあるが、戦車道連盟から来ていた蝶野が臨時の審判として試合を取り仕切る事となった。

 両者に不利がともわないよう、ルールは強襲戦車(タンカスロン)でありながらもアンコウチームはⅣ号戦車D型を使うことを許されていた。

 それが、絵音の過信からくる油断なのか? それとも対等の勝負をするために、まだ戦車には不慣れなあんこうチームを気遣っての配慮なのか。真実はわからないが、単純な戦車性能だけで見れば、みほに有利なように試合が運ぶと予想された。

 だが、相手は3年以上チームを組み、試合を重ね、異名を得るまで暴れ続けている名チーム。その魔の手によって捕食されぬよう、みほにも一寸の油断は許されてはいない。

 戦車道の試合と同じく、みほと絵音が静かに近づいて行った。

 この試合に勝たねばならない。ここに勝たずとも、天地が真逆になるような事でも起きない限り、大洗女子学園の戦車道は続いていくだろう。それでも、ここで彼女達をチームメイトとして加えられなかった場合の代償は大きい。ましてや、同じ学校であるのに、同じ戦車乗りであるのに、過去のわだかまりによって相容れない、というのは胸がモヤモヤする。

 絵音は、黒いタンクジャケットを羽織っていた。その姿からは、普段の引っ込み思案な様子など窺えない。

 自分こそが車長であり、自分の指示こそがチームの明暗を決める。ゆえに、私が全てであり、私がこのゲームでの(キング)である。私の覇道を、何人たりとも邪魔などさせない。

 そのオーラがそう物語っていた。

 みほも負けはしない。勘当された身であろうとも、自分にはまだ戦車に乗らなくてはいけない理由がある。

 今のチームメイトのために、負けはしない。屈しはしない。

 

「両者、握手」

 

「よろしくお願いします!」

 

「よろしく」

 

 蝶野の一声により、二人は握手を交わした。

 絵音の手は、思っていたよりも小さく熱かった。決して少女の手ではない。戦車に関わる家に生まれた身として、生まれたその瞬間から戦車に携わってきた者が持つ独特の手。

 油臭さと鉄の匂いにまみれた鋼鉄の腕。

 

「西住さん。勝つのは私だ。これは強襲戦車(タンカスロン)。仲間に怪我をさせたくなかったら、早々に引くことを提案させてもらいたい」

 

「それはダメです。ここまで、服部さんと約束をとりつけるのも大変だったでしょう。会長の想いを、私は無碍にはできません。ですから……私は戦います」

 

「くくく……そうですか。でしたら、せいぜい頑張ってください。鋼鉄の箱に閉じ込められて、死なぬよう。そこは棺桶ではなく戦車。戦う事から逃げた流派の一派が、どんな顔で乗れるという。戦いに特化した服部流(われら)を打倒など不可能。あざけ笑うのは、私の番だ」

 

「ちょっと。これはあくまでも、敵同士の戦いじゃないのよ。そこまで言う必要はないのじゃないかしら?」

 

 見かねた蝶野が口を挟む。

 確かに、今の言い様は挑発の域を越えていた。

 試合前に、相手の精神状態を揺さぶるため、あえて煽るような行為をするチームもある。しかし、決して彼女たちは仲が悪いわけではない。

 試合後には、食事をして会話を交わす。そして、次回また戦うまでにお互いを切磋琢磨する好敵手(ライバル)となる。

 今の絵音にはそれがなかった。

 完全なる私怨。そのためにだけに動いていた。

 

「それはすみません。気を付けます。では……」

 

 遠ざかる絵音の背中をみほは、静かに見つめた。

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