ハイスクールD×D~原初の龍神と赤龍帝~   作:火の鳥

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すっかり遅くなりました。



生家への帰還、悪魔との邂逅

 

 

《三者視点》

 

 

「あなたは朱乃と小猫に任せるわ……あなたとは知り合いらしいし」

 

リアスはそう言うと、イッセーを連れて転移して行った。

 

沈黙が辺りを支配する。

 

悠莉は瞑目しているだけ

 

朱乃と子猫は悠莉に何ともいえない表情を見せていた。

 

「………気配で分かるが、悪魔になったんだな」

「はい………」

「………うん」

 

朱乃も小猫も気まずそうに俯くと、悠莉は首を傾げた。

 

「どうした? 元気が無いように見えるが」

「……だって、私たち……悪魔になって……」

「そうですわね……私たちは人間から外れてしまいましたの……ですから……」

 

小猫と朱乃は自嘲気味にそう言うと、悠莉は溜息を吐く。

 

「それがどうした?」

「………え?」

「悪魔になったからと言って、それがどうしたんだ?」

「…………悠莉くんは怖くないの? 悪魔なのよ?」

「ふう………俺が怖がる必要性が何処にある?」

 

意外な返答に二人は動揺するが、悠莉は気にせずに話す。

 

「白音……お前がなんで名前を変えたのかは深くは聞かない……白音の事情があるだろうからな」

「………………」

「朱乃は……悪いが去年、駒王学園(くおうがくえん)に入学してお前を見つけた時に近辺を調べさせてもらった。だから、ある程度は知っている」

「……そうですか………それは初耳でしたわ………」

「俺はその時ここにいなかったから何が起きたのかは想像しか出来ない。当時のことを話したくないのなら話さなくてもいい、特に白音はな」

 

朱乃に白音……子猫は悠莉に近づく。

 

「想像するだけだが1つ分かることがある。その時、お前たちは何かと戦っていたのだと」

「………うん」

「だから、はっきりと言う」

「なんでしょう?」

「悪魔になったからどうしたと言うんだ? それでお前たちを嫌う理由にはならない」

「「え!!」」

 

悠莉が言った言葉に二人は驚く。

 

「それに昔、約束したはずだ……俺はお前たちにまた逢うと。まあ、他にも約束はあるが」

「えぇ……でも、それは昔の話……」

「お前たちは、時効になったと思っていても俺は一度だって忘れたことは無いぞ!」

「「!!」」

「俺はいい加減な気持ちで約束を交わしたわけじゃないんだよ……たとえお前たちが悪魔だろうが人外だろうが俺には関係ないんだよ。俺は姫島朱乃と白音に約束したんだからな」

 

俺がそう言い切ると、二人は泣いていた。

 

「どうした?」

「いえ……ただ、嬉しくて……」

「はい……」

 

二人は変わってしまったのに彼だけは変わらないでいてくれた。

 

それが嬉しくて、二人は悠莉に抱きついていた。

 

「……私、変わってしまったわ」

「それが何だというんだ。大事なのは見た目ではなく、心だ」

「……悠莉さんは全然変わらないよ……いつまでも……」

「そうか? 少しは成長したと思ったんだが」

 

それを最後に二人は感激に涙を流し続けた…………

 

悠莉はそれを優しく見守っていた……………。

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして二人は落ち着き、家に帰るために町の中を歩いていた。

 

「なるほど……二人はリアス先輩の眷属になったのか」

「はい、その時に初めて知ったんですのよ? 小猫ちゃんと悠莉くんがお知り合いだったって」

「……私も朱乃さんと悠莉先輩が知り合いだったとは思わなくて……」

 

小猫はジト目でこっちを見てくるが、それを受け流しながら思う。

 

「小さい頃に顔を少しだが顔を合わせていたと思ったんだがな……」

「そうなんですの………?」

「ああ……だが、本当に少しだから覚えてなくても仕方ないかもな」

 

悠莉はそう言い、昔を懐かしんでいると───。

 

「しかし、昔は気弱で自己主張がなかった白猫が無口クールキャラで泣き虫、甘えん坊がお姉さまキャラか………歳は取りたくないものだ」

「あらあら、そんなに変かしら?」

「……むしろ10年経ってそこまで変わらない方が普通じゃない」

 

苦笑している悠莉に朱乃はニコニコ、小猫は半眼で睨んでいると、小猫の言葉に悠莉はこう答える。

 

「まあ、外見は変わっても俺の本質は変わらないさ。俺は常に前を見据えるだけだ」

「……やっぱり変わらないね……」

 

そう言い、三人で町を歩いていると───。

 

「そう言えば、悠莉くんは駒王学園に在籍しているんですの?」

「ああ、2年に在籍しているぞ。それが、どうした?」

「……気が付かなかった……なんで?」

「ああ……それは認識阻害の結界と幻覚の魔術を常に発動させていたからな」

 

俺が言った事に二人はそれぞれ別々の反応を返す。

 

「どうしてそんなことをしていたんですの?」

「ふむ………それは勿論、驚かすためだ!」

「悪趣味……」

「ふっ………子猫よ。それは俺には褒め言葉だよ」

「ふふ……理由が何であれ、あなたがいるのなら私は嬉しいですわ」

 

そう言い、朱乃は悠莉に抱きつく。

 

「こういうところは変わっていないな、朱乃」

「ふふ……嫌ですか?」

「いや……構わん。今まで会えなかった分までそうするといいさ」

「じゃあ、お言葉に甘えまして…………」

 

朱乃は悠莉の腕に自分の腕を絡める。

 

「まあ、とりあえず家に帰るか」

「はい♪」

「うん」

 

悠莉がそう言うと二人も頷いた。

 

そうして悠莉は久しぶりに家に帰還するのだった………。

 

因みに朱乃は家が違うから途中で別れたが……………。

 

 

 

 

 

 

「今日は子猫、遅いね」

「高校の部活はそういうものですよ絢香」

「姉さんは部活に入っていないから分からない」

「私も姉さまと同じで部活に入っていないから分からない~」

 

この日、神崎家はいつも通りの夕食を迎えていた。

 

そう、いつも通りの……………

 

「ただいま帰りました。おばさま、絢香さん、雛乃さん、莉香」

 

そんな時、小猫が帰ってきた。

 

「おかえり」

「おかえりなさい」

「おかえり~」

「おかえりなさい。今日は部活関係ですか?」

 

因みに上から、莉香、絢香、雛乃、ルナスティアの順。

 

暖かく迎えてくれる一家に小猫は微笑みかけ、言った。

 

「今日は特別な人に出会って遅くなりました……それで、ここに招待したんですが……」

「あら? 特別って……もしかして……」

「わ~、もしかして彼氏?」

「まさか……子猫に先を越されるなんて……」

「子猫……意外と大胆」

 

これも上からルナスティア、雛乃、絢香、莉香の順。

 

勝手な想像する四人に苦笑しながら誰かを手招きする。

 

すると、そこに一人の少年が現れた。

 

「我、ここに帰還せり」

 

久しぶりに帰って来た悠莉にルナスティアは………

 

「……………」

 

言葉を失っていた。

※ただ単に、連絡無しで帰って来たから驚いているだけ。

 

絢香、雛乃、莉香も目を見開き、驚いていた。

 

だが、それでもルナスティアは分かっていた。

 

目の前の少年が今まで待っていた自身の子だということを…………

※ルナスティアは寂しがり屋なので悠莉がいなくて寂しがっていたからの反応。

 

「……!!」

 

ルナスティアはそのまま衝動を抑えきれずに悠莉に抱きつこうとして…………

※今まで甘えられなかったからの悠莉分を補給しようとして…………

 

「兄さま!!!!」

「お兄ちゃん!!!!」

 

絢香と雛乃が悠莉に抱きついた……………

 

「はい………?」

 

ルナスティアが唖然とする。

 

それに誰も気づかずに

 

「兄さま! 帰って来るなんて聞いてなかったよ!!」

「お兄ちゃん、おひさ~~! 久しぶりのハグ~~♪」

「ぶっ! 絢香、雛乃!? お前等、帰って来てたのか!?」

※この場合の帰ってたの意味は任務から帰ってたの意味。後、正体を隠す為にこちらでは従兄弟の設定。

 

揉みくちゃにされる悠莉。

 

子猫は止めようとするが初めて見た、絢香と雛乃の反応に戸惑うだけ。

 

莉香は我関せずにご飯を食べている。

 

この場が混沌化しそうな時─────。

 

「ふふふ…………ふふふふふふふふふふふふふふふふうふふっ」

 

何処からか地獄……冥府から聞こえそうな声がした。

 

絢香、雛乃、悠莉と子猫は気づかない。

 

だが、莉香は運が良いのか悪いのか気づいてしまった。

 

何気なく、そちらに目を向けるとそこには────。

 

魔王………いや、元神だからこの場合は魔神というべきだろう………

 

ともかく、魔神が降臨していた。

 

それを見た、見てしまった莉香は顔を盛大に引き攣らせた。

 

そして急いでご飯を食べて皿を台所に置き、食堂から退出する時に

 

絢香と雛乃に向かって十字を切り、冥福を祈り、この場を急いで後にした。

 

一方、魔人が降臨したことに全く、気づいていない二人は────。

 

「兄さま、今夜は一緒に寝ましょうか? 久しぶりの再会の記念に♪」

「あ~~! 姉さま、抜け駆けは卑怯だよ! 私もお兄ちゃんと寝る~~♪」

 

かなり調子に乗っていた。

 

悠莉はなんとか二人から離れようとするが、予想以上に力が込められていてなかなか振りほどけない。

 

子猫もこれには呆れ顔。

 

「こら! お前等、いい加減に……………っ!!!」

「? どうしたんです…………………!!!!!」

 

そう二人も気づいてしまった、絢香と雛乃の後ろにいる魔神の姿に…………

※悠莉の妻で一番、怒ると怖いのはルナスティア。普段は慈悲深く、深い優しさを持っているが怒ると誰も逆らえなくなる。あの真紅でもだ!

 

 

悠莉は我に返り、二人に知らせようとするが…………

 

「二人共! 直ぐに離れろ! このままじゃ………」

「ふふ♪ 離れろだなんて無理なこと言うんだね兄さまは♪」

「そうだよ~~! 久しぶりの再会なのに離すわけがないじゃん♪」

「馬鹿! 俺はお前等を思ってだな………」

 

悠莉が何とか二人を説得しようとすると────。

 

「ふふふふふふふふ……………何をしているのかしら…………?」

 

とうとう魔神が堪忍袋の尾を盛大にブチ切って進行してきた。

 

「……………!!!!!」

「……………!!!!!」

 

一瞬で表情を引き攣らせる、絢香と雛乃。

 

ギギギギギッと後ろを振り向く。

 

そこにいたのは────。

 

満面の笑顔を向ける、ルナスティアだった……………ただし、目は笑っていない。

 

「あ………あ………」

「(ガタガタガタガタガタ)」

 

顔を真っ青にして恐怖に震える、絢香と雛乃。

 

「ふ……ふふふふふふふっ……二人共……何をしようとしていたのですか?」

 

優しく問いかける、ルナスティア。何処から取り出したのか手には錫杖を握っている。

 

「えっと………その………」

「……グスッ……ふえぇ…」

 

言いあぐねる絢香。雛乃は既に泣いている。

※二人は小さい頃に一度、ルナスティアに怒られた事があるため、トラウマになっている。

 

 

「んん~~~~~…………どうしたのかな? 答えられないのかしらぁ……?」

 

作)止めてあげて下さい! もう、二人のライフはゼロだよ!!

 

「あぁん………………?」

 

作)ナマ言ってスミマセンシターーーーーーーーー!!!!!

 

弱い……弱すぎるだろ!! 作○!! 

 

 

絢香は泣いている雛乃の代わりに顔を引き攣らせながらもなんとか笑みを作り、言った。

 

「……い……一緒に寝よう♪?」

 

言ってしまった。

 

その瞬間────。

 

「ふふふふふふ…………そう………そうなのね」

 

ボウッ!!

 

ルナスティアの体から膨大なオーラが立ち上った!!

 

「ひっ……………!!」

「………………っ」

 

完全に腰を抜かす絢香。雛乃に至っては目が虚ろだ。

 

この時、神崎家を中心に物凄いエネルギーの渦が出来ていた。

 

 

 

 

──冥界──

 

 

──首都──

 

『緊急のニュースをお知らせします』

『現在、人間界にて強大なエネルギーを観測!』

『エネルギーの発生場所は不明で今も場所を特定するために調査が続いています』

『エネルギー量が膨大なため、観測チームは次元が割れる可能性を示唆』

『政府と四大魔王は事態を重く見て、冥界中にシェルターへの緊急避難を省令!』

『市民の皆様は落ち着いて行動してシェルターに避難して下さい!』

『繰り返します。現在…………』

 

 

 

 

──神の子を見張る物《グリゴリ》本部──

 

 

「アザゼル!! この事態は何事だ!」

「俺が知るかよ!! バラキエル!」

「アザゼル様! エネルギー量測定不能です! 今もなお高まってます!」

「おいおい………下手すると次元が崩壊するぞ……」

「おい!! アザゼル! どうするんだ!?」

「………逃げるか♪」

「ふざけるな!!」

 

 

 

 

──天界──

 

 

「ミカエル様! 一大事です!」

「どうしたのですか?」

「現在、人間界にて強大なエネルギーを観測しました。今、場所の特定を行なっているのですが……」

バンッ!

「サキエル様! 場所の特定を行ったのですがジャミングが激しくて、場所の特定は困難です!!」

バンッ!!

「報告します! 現在、人間界にある各聖地が共鳴反応を起こしています!!」

「何ですって!! まさか、正体不明のエネルギーに共鳴しているとでも言うの!?」

「皆さん! 落ち着いて下さい! 私たちまで混乱してどうするのですか!」

「ミ……ミカエル様……」

「今はこの事態に冷静に対処するのです。万が一を考えて、先ずは民の避難を知らせるお布令を出しなさい」

「は……はっ!! 直ちに!」

「あなたも引き続き、観測をして下さい」

「はい! 失礼します!」

ガッチャ! バタンッ!!

「ルナスティア様……私にどうか、お力を……!」

 

 

 

 

まあ…………現在、上も下も凄い状況だがこの事態を引き起こしているのが元神様とは誰も思うまい。

しかも、原因が嫉妬だとは尚の事、誰も思わないだろう。

 

 

場所を戻して、神崎家───。

 

 

「さあ……二人共……O☆HA☆NA☆SHI☆をしましょうか☆」

 

ルナスティアは笑顔で二人に近づいて────。

 

「「い……いやぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!」」

 

この日、悪は滅びた(笑)

 

 

 

 

「ごちそうさま……」

「ほい、お粗末さま」

 

現在、ルナスティアの拷も………お仕置きを受けた、絢香と雛乃は今もまだ、ルナスティアに説教を受けている。

 

子猫はまだ夕ご飯を食べていなかった為、悠莉が代わりに準備した。

※悠莉はもうご飯を食べてきているから。

 

悠莉はまだ続いてる説教を見て

 

「これは、朝方まで続くな。あれは放って置いて先に子猫は風呂に入ってろ。俺はもう帰って来る前に入ってるから」

「うん、分かった」

 

悠莉はそう言い、子猫も頷いて着替えを取りに部屋に行った。

 

悠莉は未だに惨劇が続いている現場を見て───。

 

「まあ……ご愁傷様だな……」

 

そう一言、言って食堂を後にするのだった……………

 

 

 

 

──悠莉の部屋──

 

 

風呂から上がった子猫は悠莉の部屋に来て、悠莉とこれまでの事を話していた。

 

「なるほど……相変わらずだな。母さんも……」

「仕方ないよ……悠莉先輩はおばさまのたった一人の子供なんだから」

 

悠莉は苦笑し、子猫は仕方ない事と言う。

 

随分、話し込んだのか子猫が眠たそうに目を擦る。

 

悠莉は時計を確認した。もう、11時を過ぎていた。

 

「もう、こんな時間か……ところで子猫……その枕は何だ?」

 

悠莉は子猫が部屋に来た時から持っていた物について聞いた。

 

「………今日はここで寝てもいい?」

「………何でだ?」

 

子猫が聞いてきたので、悠莉は理由を聞こうとする。

 

だが────。

 

「駄目…………?」

 

上目遣い+涙目+枕を胸に抱え込むコンボ!!

 

悠莉の精神は9999999999のダメージを受けた!

 

「………分かった」

 

陥落した。因みに子猫は悠莉が下に俯いてる時に拳をグッと握っていたそうな………

 

 

 

 

「じゃあ、電気を消すぞ」

「うん………」

 

そう言って電気を消す。

 

部屋の明かりは月明かりだけとなった。

 

悠莉が天井を見て、これまでの事を考えていると───。

 

「悠莉先輩……そっちに行っても良いですか?」

 

悠莉と子猫は一緒のベッドだが多少、離れて寝ている。

※悠莉のベッドは何故か、ダブルベッド以上の大きさがあるが……。

 

悠莉は少し、考えて───。

 

「いいぞ」

 

と言った。

 

悠莉に許可を貰って近づく、子猫。

 

「……先輩、腕を横に出して下さい」

「? いいぞ」

 

子猫はそう言い、悠莉も特に疑問を感じずに腕を横に出す。

 

ポスッ。

 

子猫が悠莉の腕に頭を乗っけてきた。

 

「……なるほど。それがお望みか」

「………油断大敵です」

 

悠莉は軽く溜息を吐き、子猫は小さく笑う。

 

「まあいいか……ほれっ」

「……………っ!」

 

悠莉は腕に頭を乗せている子猫を抱き寄せる。

 

「……大胆です」

「ここまでしたらあまり変わらよ」

 

子猫は薄く頬を染めて、悠莉は不敵に笑った。

 

「…………………」

「…………………」

 

少しの静寂。

 

クスッ。

 

「……寝るか」

「……そうですね」

 

互いに笑い合い、目を閉じた。

 

「おやすみ……白音」

「!…………おやすみなさい、悠莉さん」

 

そう言い合い、二人は眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《イッセーside》

 

 

『ボク……コノセンソウガオワッタラケッコンスルンダ』

 

ん……朝か………。

 

昨日は災難だった。堕天使に襲われるとか俺って不幸だったな………

悠莉は大丈夫………だろうな。アイツが敗けるとこなんて想像が出来ない。

 

そう思い、俺は体を起こそうとして自分の変化に気づく。

 

───裸だ。

 

何故だ? 俺は裸で寝る趣味はないぞ………。

 

俺がベッドの上で愕然としていると───。

 

「……うぅん」

 

俺の隣から艶っぽい声が聞こえた。

 

俺は隣に視線を移す。

 

「……すーすー」

 

リアス・グレモリー先輩が気持ちよさそうに寝ていた。

 

ん? んん? 落ち着け俺。そうだ、こういうときは瞑想をするんだ!

 

俺は直ぐさま、座禅を組んで瞑想した。

 

……………だぁーーーー!! ダメだ! 落ち着けねぇぇぇぇぇ!

 

俺は頭を振って混乱していると───。

 

「イッセー! 起きてきなさい! もう学校でしょ!」

「おばさん、イッセーは帰っていましたか?」

「ええ、悠莉くん、玄関に靴があるんだから、帰っていたわ。もう! 夜遅くまで友達の家にいるなんて! その上、遅刻だなんて許さないわよ!」

 

一階から聞こえる母と悠莉の会話。

 

そして、階段を上ってくる2つの足音。しかも片方は怒りを感じる足音だ。ドタドタと勢いが違う。

 

マズい!! 母さんが来る!

 

この場面は、この状態は非常にマズい!

 

「待ってくれ! 俺なら起きてる! いま起きるから!」

「もう! 前は悠莉くんに免じて許したけど! 今度は許さないわ! 少し話しましょう!」

 

キレてるよ、マイマザー!!

 

ヤバい! 俺の部屋に母さんが来る! しかも悠莉の声も聞こえたから悠莉も来る可能性がある!!

 

こんな状態を見せられるわけがねぇ!!

 

「うーん……。朝?」

 

え? 先輩が起きちゃったよ。

 

ガチャ!

 

勢いよく開かられる俺の部屋のドア。それと同時に先輩が上半身を起こした。

 

俺と母の視線が合う。母さんは怒り心頭のご様子だ。憤怒の表情だった。

 

「おはようございます」

 

先輩が俺の母さんにあいさつした。

 

母さんの視線が俺から先輩に移る。

 

瞬間、母さんの表情が凍った。

 

「あれ? おばさん、どうしたんですか?」

 

外から悠莉の声が聞こえるが今は気にしてる場合じゃない。

 

「……ハヤク、シタク、シナサイネ」

 

機械的な声を出して母さんは静かに部屋を出て行った…………。

 

俺が呆然としていると───。

 

カッシャ!

 

カメラのシャッター音が聞こえた。

 

俺が顔を向けると───。

 

そこには悠莉が携帯で写真を撮っていた。

 

悠莉は俺と視線が合うと親指を立てて拳を突き出してきた。

 

「イッセー、避妊はちゃんとしろよ? 後、今日は先に行くな。待ち合わせている人がいるから」

 

悠莉はそう言うと、俺の部屋から出て行った………

 

ドタドタと下へ下りる足音。

 

多分、この足音は母さんだろうな…………

 

俺がそう思っていると────。

 

「お、お、おおおお! お父さんっ!」

「どうした母さん? 血相を変えて。イッセーがまた朝から一人でエッチなことをしていたのか?」

「セセセセセセ、セッ○スゥゥゥゥ! イッセーがぁぁぁぁぁ! 外国のぉぉぉぉ!」

「!? か、母さん! 母さんどうした!?」

「国際的ぃぃぃぃぃ! イッセーがぁぁぁぁぁ!」

「母さん!? 母さん!? 落ち着いて! 母さぁぁぁぁぁん!」

「あ! おじさん、おばさん。今日は俺、先に登校しますね。味噌汁はもう出来てますんで! じゃあ、行ってきます」

 

なんてこった。家族会議決定じゃないか! そして悠莉! お前はマイペース過ぎだ!!

 

「随分と朝から元気なお家ね」

 

先輩はベッドから下りると机の上に置いてあった制服に手をかける。

 

うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!! いきなり、生着替えですか!! そうですか!! ご馳走様です!!!

 

俺は桃源郷を見ていた。そして脳内メモリーに完全記憶!

 

だが、いつまでも見ているのは気が引けてしまう。

 

「せ、先輩!」

「何?」

「お、おっぱい……とか、見えてます!」

 

顔を背けながら言った。

 

「見たいなら見てもいいわ」

 

堂々と着替えながら先輩は言う。

 

────ッッ!!

 

つまり、堂々と見ろと!

 

そう思って、俺は前に悠莉が言っていた事を思い出す。

 

 

『イッセー……覗きはイケナイ事だが別に悪いことじゃない』

『じゃあ、どういうことだよ』

『簡単なことだ。覗くなら堂々と真正面から覗くんだ!!』

『!!!!!』

『イッセー……この真理を忘れるなよ? 覗くなら隠れてではなく』

『『堂々と!!!!』』

 

 

悠莉……今がその時なのか!? そうなんだな!!

 

俺はベッドに座りながら、そんな決意をしていると───。

 

「肩とお腹、平気?」

 

そう訊いてくる先輩。

 

「ああっ! 刺されたところと斬られたところですね! 今はもう、大丈夫ですよ!」

 

そう言って、俺は右腕を曲げ、お腹を左手で軽く叩いてみる。

 

「…………意外ね。もっと、混乱するものかと思ったわ」

 

そう言い、先輩は俺を興味深そうに見る。

 

「ははっ! 悠莉に鍛えられていますからね。襲われたくらいではもう別に驚きませんよ」

 

俺はそう言って、笑う。

 

「そう言えば、傷は誰が直してくれたんですか? 悠莉がしてくれたのは止血だけなのは覚えているんですが……」

「それは私が治したわ。致命傷だったけど、応急処置の手際さとあなたの体が意外なほど頑丈だったから、私の力でも一夜かけて治療できたの。裸で抱き合って、弱っていたあなたに魔力を分け与えたわけだけど。私とあなたが同じ眷属だからこそできる芸当よ」

 

な……何だと……!? 裸で抱き合っていた!?

 

まさか!?

 

「大丈夫よ、私はまだ処女だから」

 

先輩がそう言ったので少し、安心する。

 

「ふふっ。あなたが思っているよりも、世界は不思議が多いのよ?」

 

下着姿の先輩が、俺に接近。細い指先が俺の頬をなでた。

 

「私はリアス・グレモリー。悪魔よ」

 

え? 悪魔? マジで!?

 

「そして、あなたのご主人さま。よろしくね、兵藤一誠くん。イッセーって呼んでもいいかしら?」

 

そう言って、微笑む先輩に俺は見惚れるのだった……………

 

 

 

 

 

 

 

 

《三者視点》

 

 

悠莉はイッセーの家を出ると待ち合わせの場所に向かった。

 

「イッセーは大丈夫かね……。まあ、なるようになるか」

 

悠莉はこの後のことを楽観的に考えながら歩いていると───。

 

「おはようございます。悠莉くん」

「…おはようございます。先輩」

 

そう言って、挨拶をしてくる。朱乃と子猫。

 

そう、待ち合わせをしていたのは彼女たちだったのだ。

 

「おはよう、二人とも。少し、遅くなった」

「ふふ……そんなに待っていませんから大丈夫ですわ」

「うん……あまり、気にしない」

 

悠莉は少し、遅れたことを詫びるが朱乃と子猫は特に気にしていないようだ。

 

「そっか。じゃあ、行くか」

「はい」

「……はい」

 

悠莉がそう言って、歩き出すと二人も歩き出した。

 

「……えいっ♪」

 

朱乃は悠莉の腕に自分の腕を絡めて来た。子猫は目を細める。

 

「朝から大胆だな、朱乃」

「大胆な女は嫌いかしら?」

「ふっ、嫌いじゃないさ」

「では、問題ないですわね」

 

そう言い、そのまま歩き出す。

 

ギュッ!

 

「……ん?」

 

悠莉は手を握られた感触がしたので下を見ると───。

 

「……………」

 

子猫が頬を膨らませながらも悠莉の手を握って来た。

 

悠莉はそれを見て笑みを浮かべ、朱乃もそれを微笑ましく見守る。

 

「ふむ……」

「…………っ!」

 

悠莉は子猫が握っていた手を一旦、解き指を絡ませて握り直した。

 

「…………///////」

 

子猫は顔を真っ赤に染める。

 

「ははははっ」

「あらあら、ふふふっ」

 

そんな子猫を見て、二人は笑った。

 

そんな三人を見ていた近所の人たちはその光景を見て、微笑ましく思っていたそうな。

 

 

 

 

校門まで来た時、視線が倍増した。

 

朱乃は更に腕を絡めて、子猫は恥ずかしいのか手を離そうとしたが悠莉が離せないように握るから諦めたようだ。頬を染めながらプルプルッと震えているが。

 

その光景を見た生徒は────。

 

キャーーーーーーーーーッ!!!!!

 

まあ、こうなるだろう。

 

「朱乃お姉さまと神崎くんとのツーショットよ!!」

「いつの間にお二人はそんな関係になったのかしら!」

「ああ………絵になるわぁ……朝からこんな貴重な光景を見れて私、幸せかも……」

「見て! 子猫ちゃんと悠莉くんが手を繋いでるわ!」

「しかも、恋人繋ぎよ! これはレアだわ!」

「子猫ちゃん、恥ずかしそうに頬を染めているわ。ああ……可愛い!!」

「そうね……あんなに可愛らしい子猫ちゃんは見たことがないわ」

 

凄い反響だ! 朱乃と子猫の人気は周知の事実。そこに悠莉が加われればご覧の通りの状況になる。

 

 

一方、男子の方は────。

 

「死ね死ね死ね死ね死ね死ね…………」

「リア充なんて……リア充なんて……!!」

「くそーっ! 何で、アイツと木場ばかりモテるんだ!」

「ふふふっ。宵の闇に気をつけろよ」

「世界は不平等だーーーーーー!!!」

「俺たちの何がいけないんだ!」

 

な、何と言うか……こちらも予想通りの光景だ。駒王学園は元女子高なので必然的に女子の比率が高い。八対二で圧倒的だ。ここを受験する男子は九割方、出会いを求めて受験するやつが多い。まあ、こんな感じで男子同士の格差も生まれてしまうのだが。

 

とりあえず、話を進めよう。

 

「ふふふっ。注目されていますわね」

「まあ、当たり前だろう」

「……恥ずかしい///」

 

二人は動じずに校舎に向かって歩くが子猫は恥ずかしそうだ。

 

「俺はこの手を校舎に着くまで離すつもりはないぞ?」

「もう……諦めた」

 

そう言って、子猫は頬を染めながら恥ずかしいのを我慢していた。

 

朱乃と悠莉は子猫のその様子を見て微笑ましく思うのだった…………

 

 

 

 

「では放課後に使いを出しますわ」

「ああ、了解。イッセーと一緒に行くわ」

「また、放課後に」

 

そう言い、朱乃と子猫は自分の教室に向かった。

 

「さてと、俺も向かいますか………」

 

そう言って、悠莉も自分の教室に向かうのだった…………

 

 

 

 

 

 

 

 

《イッセーside》

 

 

放課後。

 

俺は悠莉と一緒に朝、玄関で別れる時に先輩が「あとで使いを出すわ。放課後にまた会いましょう」と言っていたのでその使いを待っている。

 

悠莉もその時、現場にいたので一緒に呼ばれている。

 

ガララッ!

 

「来たみたいだな………」

「そうみたいだ」

 

上から悠莉、イッセーの順。

 

「や。どうも」

 

俺は反射的に睨んでしまった。

 

なぜなら、俺の前にいるのはこの学校に二大イケメンの一人、木場祐斗がいるからだ。

 

「なるほど。木場か」

「神崎くんも呼ばれているんだよね?」

「ああ……現場にいたし、何よりイッセーの友だからな」

 

悠莉と木場は知り合いみたいだ。

 

「悠莉、知り合いか?」

「剣道の実技の時によく手合わせしたことがあるくらいだな」

「一度も勝った事がないけどね」

 

そう言って、木場は苦笑する。

 

俺は話を戻すために木場に問いかける。

 

「先輩が言っていた使いはお前か?」

「うん。僕に着いて来てほしい」

 

木場はそう言った。

 

「分かった………」

 

俺はそう言って、席を立った……………

 

 

 

 

木場のあとに続きながら向かった先は、校舎の裏手だ。

 

「木場、こっちの方向に向かうという事は場所は旧校舎か?」

 

悠莉が木場にそう聞く。

 

「そうだよ。そこに部長がいるんだよ」

 

そう告げる木場。

 

部長? 先輩は何かの部活に属していたのか?

 

俺はそう思いながら木場のあとに着いていく。

 

「ほう……なかなか、雰囲気が出ているな」

「旧校舎って、部活で使っていたんだな」

 

おれたちは口々にそう言い、木場のあとに続き、旧校舎の中を歩く。

 

階段を上り、さらに二階の奥に向かって歩く。

 

しばらく歩いていると木場の足が、とある教室の前で止まる。

 

俺は戸にかけられたプレートを見て驚いた。

 

『オカルト研究部』

 

何故にオカルトなんだ? 先輩はこの部活の部長ってことだよな?

 

俺がそう思っていると

 

「部長、連れてきました」

 

木場が確認を取ると

 

「ええ、入ってちょうだい」

 

ガッチャ。

 

木場が戸を開け、俺たちはあとに続いて室内に入ると、俺は中の様子に驚いた。

 

室内には至るところに魔法陣が描かれているのだから

 

「おおっ! 悠莉! 天井や床に描かれているのは何の魔法陣だ?」

 

俺は気になってしまったので悠莉に聞いてみた。

 

「見た感じだと転移、結界、認識阻害かな。それらが描かれているみたいだ」

 

悠莉はそう説明した。

 

俺が悠莉から教わったのは錬金術や簡単な魔術だから、見たことが無い術式は興味が沸くな。

 

俺は周りを見渡していると

 

ソファーに座っている、小柄な子に気づく。

 

ん……? あの子は一年生の塔城子猫ちゃんだ!

 

こちらに気づいたのか、視線が合う。

 

「こちら、兵藤一誠くん」

「おう、子猫。来たぞ」

 

木場が紹介してくれて、悠莉は知り合いなのか挨拶をしていた。

 

子猫ちゃんが頭を下げるので俺も頭を下げて返す。

 

シャー。

 

部室の奥からシャワーの流れる音が聞こえた。

 

え!? この部室はシャワー完備!? 

 

キュッ。

 

「部長、これを」

 

誰かの声が聞こえる。声からすると女性のようだ。

 

「ありがとう、朱乃」

 

先輩の声が聞こえる。

 

カーテンの奥で着替えているようだ。

 

俺は朝のアレを思い出して、無意識に顔がニヤけてしまう。

 

「……いやらしい顔」

 

子猫ちゃんが毒を吐く。

 

グハッ! エッチですみません! でも後悔しない!!

 

俺は心の中で涙を流していると───。

 

カーテンが開き、先輩が出てくる。

 

「ゴメンなさい。昨夜、イッセーのお家にお泊りして、シャワーを浴びてなかったから、いま汗を流していたの」

 

先輩の説明を聞き、ふと隣にいる人物を見ると俺は驚きで絶句した。

 

なんせ、リアス先輩と合わせて、「二大お姉さま」の一角がこの部室にいるのだから。

 

「あらあら。私、姫島朱乃と申します。どうぞ、以後、お見知りおきを」

 

丁寧な挨拶を返されたんで俺も慌てて挨拶を返す。

 

「こ、これはどうも。兵藤一誠です。こちらこそ、はじめまして!」

「知ってる人もいるが一応、名乗っておく。神崎悠莉だ。よろしく」

 

それをリアス先輩は確認すると

 

「これで全員揃ったわね。神崎悠莉くん、兵藤一誠くん。いえ、ユウとイッセー」

「は、はい」

「おう」

「私たち、オカルト研究部はあなたたちを歓迎するわ」

「えっと、はい」

「ふむ、楽しみだな」

「悪魔としてね」

 

やっぱりか…………。

 

この日、俺の平和な日常は脆くも崩れたのだった………

 




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