アイアンマン J.P.N   作:Chiba.

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アイアンマン J.P.N

「フライデー。ターゲットまであと何メートルだ?」

赤い鉄のスーツを着た男は自らプログラムしたAIに話し掛けた。

「この距離だと3kmかと。」

男はAIの出した答えに「そうか」と答えると目の前に飛んでいる謎の黒い塊のような巨大な怪物を追っていた。

「あんな図体で空も飛べるなんてアイツは何者だ?」

ここは雲よりも上。はるか上空を飛んでいた。

彼、アイアンマンことトニー・スタークはアベンジャーズの任務として彼の目の前にいる謎の怪物を倒すべく追っていた。

 

「このスピードだとアイツにすぐ追いつけるな。フライデー、どこか島でもいい。安全にヤツをぶっとばせる場所を見つけてくれ。」

フライデーは

「残念ながらこの近くに島や安全に怪物を倒せる場所はありません。それに...。」

「なんだ?」

「あと数キロで日本の領空権に入ってしまいます。」

「日本だと?」

「はい、このまま進めば日本の自衛隊に追われてしまいます。」

「それはちょっと厄介だな...。」

スタークはしばらく考えると

「よし。フライデー、日本の防衛大臣か国の偉い人でもいい、繋げれるか?」

「....やってみましょう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少年は、その日の講習を終えノートをカバンにしまった。

そして1人静かに教室を出た。

周りは楽しそうに笑いながら廊下を歩くものなど優雅な大学生活を送ってるように見えたが彼、葛城 慶次は違った。

ただ1人誰にも見向きもされずに大学を去ろうとする。

「あ、葛城君!」

正門を出ようとした時後ろから名前を呼ぶ声がきこえた。

「もう帰っちゃうの?」

彼女は櫻井 霞といい慶次とは同じ高校で三年間同じクラスで顔見知りであったが彼自身にとってはどうでもいいことだった。

「そうだけど?」

「今からさ友達と一緒にボウリングするんだけど葛城君もどうかなって。」

慶次は一瞬うつむき考えるフリをして

「ごめんこの後バイトだから。」

本当は嘘だった。今日はバイトなんて無い。彼は毎回こうして彼女の誘いを断わっている。

「そうか...いつも大変だね。」

「.....ごめん。....じゃあね。」

そう言って慶次は正門を出た。

霞は彼の後ろ姿をただ見るだけだった。

 

葛城は、昔からこういう性格であった。周りからの関係を避け何事も一人でやり通す。こうして毎日をすごしてきた。

彼は退屈していた。今までの人生を。もっと何か刺激のあることを今世界中ではいろんなことが起こっている。

ある場所では宇宙から侵略してきたエイリアンをヒーロー達が倒したことや空飛ぶ街を破壊し世界の危機を救ったことなど世界中で話題になっているニュースがいっぱいある。それなのに自分はただのうのうとただつまらぬ生活を過ごす日々。このまま自分はなにも無く平凡に生きただ死ぬんだろうなと思った。

 

「彼」に出会うまでは。

 

 

〜同時刻〜 日本上空

 

「よし。何とか市民を安全に避難させるようお願いできたぞ。」

スタークは先ほど日本の防衛大臣に何とか話しを付け怪物と激突する付近に避難勧告を出すようにした。

「あのデカブツと戦える場所は...。」

 

「フライデー。あの場所はどうだ?」

フライデーはすぐさまスタークの示した場所に起こる被害予想について分析して、

「はい。あの場所ですと被害状況は最小限にすることができます。」

「まぁ、周りにマンションやアパートもあるが...その時は私が何とかしよう。」

そうするとスーツの両手や両足からでる。ジェットの威力が上がった。

「このままヤツを捕まえてそこに連れ込む!」

スピードを増したアイアンマンは、徐々に怪物との距離を縮める。

そしてとうとう怪物の背中を上から掴むと

「コラ!動くんじゃない!」

捕まえた瞬間怪物は大きく暴れだし振り落とそうとする。

「ウォォォォォォ!!」

怪物は大きな声をあげてアイアンマンに捕まえられながらまだ暴れる。

瞬間アイアンマンは怪物もろとも下に急降下した。

「まずい!!フライデー。早く避難勧告を出すよう連絡するんだ!」

あまりの巨体に飛ぶことができないアイアンマンは、ただ真下に落ちることしかできなかった。

 

 

 

 

なにかさっきからこの町周辺が騒がしい。

さっきの隣町はなにも無く平和だったが、自分の住むこの町に帰ってきてから様子がおかしい。

皆荷物や何やら持ってこの町から逃げるように走っているのだ。いやこれはもう逃げている。何かがこちらに向かって来るかのように。

何か胸騒ぎがしてきて葛城は急いで自分の住むアパートに向かった。

 

 

数分後自宅の目の前に到着した。しかし周りに人の気配は無くシンと静まり返っている。

「何なんだよこれ...。」

葛城は少し混乱しながらも早く自分も避難しないといけないと感じその場から逃げようとする。その時だった....。

 

上から何やら音がする。見上げると上空には何やら黒い塊が落ちてくる。

隕石か?と最初思ったが、にしては何かおかしい。あの黒い塊に赤いものがくっついて見えた。

それは徐々に近づいていくうちに形がでてきて

「あれは....人?」

次の瞬間その塊はなんと自分の住むアパートにズドンっと落ちてきた。

あまりの衝撃に葛城はその場に尻もちをついてしまった。

しばらくして衝撃がやんで、葛城はその場に立ち落ちた場所に走った。

「嘘だろ。」

葛城は呆然と変わり果てた自宅をただ見つめていた。

すると、崩れたアパートの瓦礫から何か動いた。

葛城は少しビビりながらも近づいていく。

次の瞬間中から黒い塊の正体の怪物が出てきた。

「うわああぁぁぁぁぁっ!!」

葛城はそのあまりにも常人離れした肉体、身長、顔、を見てまたその場で尻もちをついてしまった。

その怪物は葛城の顔をジトォと見た。葛城はまるでヘビに睨まれたカエルのように固まっていた。

自分に危害を及ぼすものではないと判断したのか、怪物は足場の瓦礫をどかしてその場で大きくジャンプして飛ぶようにしてこの場を去って行った。

「行っちゃった。」

今まで見たことのない怪物がいなくなって安心したのも束の間、また瓦礫の中が動いているのを確認した。

「もぅ何だよ....。」

また恐る恐る近づくと、今度は中から赤い人型をした怪物が出てきた。

葛城はその場から尻もちをついておどいたが、さっきの怪物に比べると小さく普通の人と平均的な体格をしている。

それにこの姿どこかで見たことある。そう思った。

その姿は、世界中でも話題になったニュースなどで度々出ていた。葛城も知っている。 彼は....。

 

 

「いやーフライデー、たすかったな。あのデカブツが下敷きにいなけりゃ意識を失っていた。」

「はい。ですが目的のヴィランは逃げられました。」

「何大丈夫さ。アイツは数時間かかれば元の人間体に戻る。放っといてもヤツの変身は解ける。」

スタークは余裕そうに言い放つ

「ところでスターク様。このすぐそばになにやら生体反応が出ています。」

「生体反応?避難勧告をしたのに逃げてないヤツがいるのか。」

「はい。しかもあまりにも驚きすぎて心拍数がかなり上昇しています。」

「なに、仕方ないさ。どれ私が無事かどうか見てみよう。」

 

 

 

葛城はそのテレビや動画で見たことがあるその姿に驚きを隠せなかった。

あのスーパーヒーローが今目の前にいる。

 

 

これは、ある普通の日常に満足できない少年が力を身につけこれから起こる運命にひたすら立ち向かい成長する物語。

 

 

スタークは、瓦礫から起き上がり怯えて崩れ落ちている青年を見てマスクをはずした。

 

「Are you okay?《大丈夫か?》」

 

 

第1話 END

 

 

 

 




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